柔道整復師 イエロー・ノート 
臨床編

柔道整復師 イエロー・ノート 臨床編

■監修 平澤 泰介
渡會 公治

■編集 樽本 修和
安藤 博文

定価 6,160円(税込) (本体5,600円+税)
  • B5判  624ページ  2色(一部カラー),イラスト390点,写真70点
  • 2013年9月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-1460-2

柔道整復師を目指す学生のためのテキスト「イエロー・ノート」。日々の講義から学内試験・国試対策まで活用できる!

本書は「柔道整復師国家試験出題基準 平成22年版」に準拠し,「専門分野」を網羅している。学生がおさえるべき重要な内容について,効率よく短期間で学べるよう図表を多用しながらわかりやすくポイント解説した。
本書を読み進めながら,読者自ら「+α」の知識を本書に書き込めば,自分自身の講義ノートを作成することができる。講義用サブテキストとして,また,学内試験・国家試験対策での活用が可能である。
基礎編の『柔道整復師 ブルー・ノート』と併用すれば国試出題範囲を網羅できる。


序文

監修の序

人のからだの限界を超えた力がかかったり,構造や機能に合わない使い方をすると,外傷や障害あるいは疾病につながります。こうした外傷や障害あるいは疾病に対処するためには医学の知識が必要になります。
 外傷の対応が柔道整復師の本来の業務です。よりよき柔道整復師になるためには,まず国家試験を通らなければなりません。その試験の出題基準に準拠し,本書には病理学,一般臨床医学,外科学,整形外科学,リハビリテーション医学などの医学的な内容の他,柔道整復理論が収められています。
 伝統の武道の活法から発展した柔道整復術も現代医学の発展にあわせたものにならなければならないのは当然のことです。したがって,外傷の対応に必要不可欠な現代医学の膨大な知識を求められることになります。本書の内容は外傷のプロとして,実際の業務に直結する最低限知っておかなければならない必要な知識です。どのページを見ても,どのことばを見てもなじみがあるようになり,太い字体のことば,見出しのことばは説明できることがのぞまれます。そのために,何回も見直して自分のものにしてください。
 専門用語をしゃべることができないと,プロとしては先輩や指導者とも相談ができません。患者さんからも信用失墜です。難しいことばだなと思ったら声を出して読み,発語することをすすめています。本書の文章は短く,難しいことばにはルビがふってあります。
 ここで,あらためて何のために国家試験があるのかと考えてほしいと思います。けがや病気になって他人に自分の身体をあずけるとき,相手を信用できる証明がほしいと考えます。医師の国家試験,理学療法士の国家試験,放射線技師の国家試験などいろいろな業種で試験があります。それぞれ,必要だと判断された教育カリキュラムを受講し卒業した者に対し,その業種の役割に応じた知識を学んできたといえるか調べるのが国家試験です。これに受かると資格がもらえます。しかし,現場で人の身体を扱うにはもっともっと経験に裏付けられた知識が必要です。国家試験合格は必要にして最低レベルの保障だということを認識すべきだと思います。
 本書の特徴は『理学療法士 イエロー・ノート』『作業療法士 イエロー・ノート』や『診療放射線技師 イエロー・ノート』など,メジカルビュー社の国家試験対策の一連のイエロー・ノートに共通するスタイルを踏襲し,若い人たちが好む簡潔な表現に徹し,図表を多用し,コラムを配置して学びやすい工夫がなされていることです。本書を手掛かりに,自分自身のノートになるように勉強してください。そして,合格後も内容を膨らまして使ってください。

2013年9月
平澤泰介
渡會公治
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編集の序

 近年,高齢化やスポーツ愛好家の増加などに伴い,外傷を扱う柔道整復師のニーズはますます高まっている。柔道整復の歴史は他の医療同様古く,武道と結びつくことで独特の発展を遂げ,その医療技術は柔道整復術として現代に継承されている。
 平成元年(1989年)に,柔道整復師の資質の向上と教育内容の充実を図る目的で「柔道整復師法」が40有余年ぶりに大改正され,これまでの都道府県知事免許から厚生大臣免許となり,平成5年(1993年)に第1回国家試験が行われた。以来,カリキュラムや国家試験の出題基準の見直しを行いつつ現在に至っている。これらに伴う国家試験出題内容の大きな変化は,必修問題の設定と臨床問題の増加といえよう。本書は,こうした背景を考慮して,柔道整復師の資格取得を目指す学生に特に配慮した内容を心がけた。
 内容は,「柔道整復師国家試験出題基準 平成22年版」に準拠している。本書『イエロー・ノート 臨床編』では,国家試験出題科目のうちの「病理学概論」,「一般臨床医学」,「外科学概論」,「整形外科学(総論)」,「整形外科学(各論)」,「リハビリテーション医学」,「柔道整復理論(総論)」,「柔道整復理論(各論:骨折)」,「柔道整復理論(各論:脱臼)」,「柔道整復理論(各論:軟部組織損傷)」を収めた。姉妹本である『ブルー・ノート 基礎編』と併せて使えば,すべての出題範囲をカバーすることができる。記述はなるべく箇条書きで簡潔に解説し,その分イラストをふんだんに盛り込み,できるだけ視覚的に理解できるように工夫した。また,本文以外にも,国家試験合格のためのポイントなどを記した「One point Advice」,「補足」,専門用語を解説する「用語アラカルト」などといった囲み記事も適宜掲載した。特に平成17年(2005年)から実施されている必修問題についても,過去の出題部分を中心に「必修問題対策」として記載し,本書で必修問題の対策も行えるようになっている。
 本書は,国家試験対策としてはもちろんだが,普段の授業のサブテキストとして,また,学内試験対策の参考書としても使用できるし,本書の内容だけでは物足りなくなった読者は欄外の余白に学習内容を書き込むことで,自分だけのオリジナルノートを作ることも可能な構成となっている。
 執筆は,柔道整復師育成の教育経験豊富な先生方が行っているので,本書を学ぶことで臨床のための基礎力が身に付くことも想定されている。姉妹本の『ブルー・ノート 基礎編』と併用することで,学生の間のみならず,卒業後の臨床でも十分に役立つ内容と確信している。なお,本書の不備な点については,読者諸氏のご教示をお願いしたい。
 「ブルー/イエロー・ノートシリーズ」は,これまでに他の医療系国家資格について発刊されいずれも好評を博している。今回,柔道整復師編を発刊できることは,長きにわたり柔道整復の臨床と教育・研究に尽力してきた立場から,望外の喜びである。発刊にあたり,本書の編集にご協力いただいたメジカルビュー社スタッフの方々に心から御礼を申し上げたい。

2013年9月
樽本修和
安藤博文
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目次

Ⅰ 病理学概論 【南風原英之】
 ■ 1 病理学の意義
 ■ 2 疾病の一般
 ■ 3 病因
 ■ 4 退行性病変
 ■ 5 循環障害
 ■ 6 進行性病変
 ■ 7 炎症 (化学伝達物質)
 ■ 8 免疫異常・アレルギー
 ■ 9 腫瘍
 ■ 10 先天性異常(単一遺伝子病)

Ⅱ 一般臨床医学
 ■ 1 診察概論 【盛田幸司】
 ■ 2 診察各論/視診【加藤明雄,古城 徹,盛田幸司】
 ■ 3 診察各論/打診 【盛田幸司】
 ■ 4 診察各論/聴診 【盛田幸司】
 ■ 5 診察各論/触診 【加藤明雄】
 ■ 6 診察各論/生命徴候 【盛田幸司】
 ■ 7 診察各論/感覚検査 【盛田幸司】
 ■ 8 診察各論/反射検査 【古城 徹】
 ■ 9 検査法 【盛田幸司】
 ■ 10 主要な疾患/消化器疾患 【田村瑞枝】肝炎)
 ■ 11 主要な疾患/呼吸器疾患 【田村瑞枝】
 ■ 12 主要な疾患/循環器疾患 【山本通子】
 ■ 13 主要な疾患/血液疾患 【山本通子】
 ■ 14 主要な疾患/内分泌・代謝疾患【山本通子】
 ■ 15 主要な疾患/膠原病 【山本通子】
 ■ 16 主要な疾患/腎・尿路疾患 【山本通子】
 ■ 17 主要な疾患/神経系疾患 【古城 徹】
 ■ 18 主要な疾患/その他の疾患群 【盛田幸司】

Ⅲ 外科学概論【小林國男,田宮慎二,大松健太郎】
 ■ 1 損傷
 ■ 2 外科的感染症
 ■ 3 腫瘍
  1 定義
  2 分類
  3 診断
  4 検査法
  5 治療法
 ■ 4 ショック
 ■ 5 失血と輸血・輸液
 ■ 6 滅菌法と消毒法
 ■ 7 手術
 ■ 8 麻酔
  1 歴史
  2 術前患者管理
  3 全身麻酔の概念
  4 術式の概念
 ■ 9 移植
 ■ 10 止血
  1 出血の種類
  2 止血
 ■ 11 蘇生法(救急法)
 ■ 12 頭部・顔面外傷(救急法)
 ■ 13 意識障害
 ■ 14 けいれん
 ■ 15 脳卒中
 ■ 16 脊柱損傷(救急法)
 ■ 17 胸部外傷(救急法)
 ■ 18 腹部外傷(救急法)

Ⅳ 整形外科学(総論) 【煙山奨也】
 ■ 1 診断法と検査法
  1 視診
  2 四肢長および周径の測定
  3 関節可動域(ROM)測定法
  4 神経学的検査法
  5 徒手筋力検査法
  6 X線診断法
  7 MRI診断法
  8 超音波診断法
 ■ 2 治療概論
  1 保存的療法
  2 手術的療法の概念
 ■ 3 骨・関節・靱帯の外傷
 ■ 4 末梢神経損傷
 ■ 5 脊椎・脊髄損傷
  1 脊椎骨折・脱臼骨折
  2 脊髄損傷
 ■ 6 筋・腱損傷
 ■ 7 スポーツ外傷と障害

Ⅴ 整形外科学(各論) 【伊藤 譲】
 ■ 1 先天性骨系統疾患および奇形症候群
 ■ 2 汎発性骨疾患
 ■ 3 神経および筋の疾患
 ■ 4 感染性軟部組織・関節疾患
 ■ 5 非感染性軟部組織・関節疾患
 ■ 6 骨端症
 ■ 7 骨・軟部腫瘍
  1 骨腫瘍
  2 軟部腫瘍
  3 腫瘍類似疾患
 ■ 8 一般外傷・障害/脊椎・脊髄
 ■ 9 一般外傷・障害/頭頚部
 ■ 10 一般外傷・障害/体幹
 ■ 11 一般外傷・障害/上肢帯・上肢
 ■ 12 一般外傷・障害/下肢帯・下肢

Ⅵ リハビリテーション医学
 ■ 1 リハビリテーション概論【小野澤大輔,煙山奨也】
 ■ 2 障害 【小野澤大輔,加藤明雄】
 ■ 3 評価 【小野澤大輔,煙山奨也】
 ■ 4 治療 【小野澤大輔,原口力也,二神弘子,田宮慎二】
 ■ 5 治療各論 【伊藤正明】
  1 脳卒中
  2 脊髄損傷

Ⅶ 柔道整復理論(総論)
 ■ 1 骨折 【樽本悦郎】
  1 骨折の定義
  2 骨折の分類
  3 骨折の症状
  4 小児骨損傷・高齢者骨損傷の特徴
  5 骨折の治癒経過
  6 治癒に影響を与える因子
  7 骨折の合併症
  8 骨折の予後
 ■ 2 関節の損傷 【佐藤裕二】
 ■ 3 捻挫 【佐藤裕二】
 ■ 4 脱臼 【樽本悦郎】
  1 脱臼の定義・分類
  2 脱臼の症状
  3 脱臼の合併症
  4 脱臼の整復障害
  5 予後
 ■ 5 打撲 【佐藤裕二】
 ■ 6 軟部組織損傷 【佐藤裕二】
  1 筋の損傷
  2 筋損傷の概説
  3 腱損傷
  4 腱損傷の分類
  5 腱損傷の症状
  6 腱損傷の治癒機序
  7 末梢神経の損傷
  8 血管の損傷
  9 皮膚損傷
  10 柔道整復の治療(施術)
  11 整復(骨折,脱臼)
  12 軟部組織の治療(施術)
  13 固定
  14 後療法
  15 物理療法
 ■ 7 評価 【樽本悦郎】
 ■ 8 治療法 【樽本悦郎】
  1 分類
  2 整復法
  3 軟部組織損傷の初期治療
  4 固定
  5 後療法
 ■ 9 指導管理 【樽本悦郎】
  1 日常生活動作
  2 住宅環境
  3 就労環境・就学環境
  4 治療
  5 自己管理

Ⅷ 柔道整復理論(各論:骨折)
 ■ 1 頭部・体幹 【川村 茂】
  1 頭蓋骨骨折
  2 上顎骨骨折
  3 下顎骨骨折
  4 頬骨・ 頬骨弓骨折
  5 鼻骨骨折
  6 頚椎骨折
  7 胸骨骨折
  8 肋骨骨折,肋軟骨部骨折
  9 胸椎骨折・腰椎骨折
 ■ 2 上肢 【樽本修和】
  1 鎖骨骨折
  2 肩甲骨骨折
  3 上腕骨近位端部骨折
  4 上腕骨骨幹部骨折
  5 上腕骨遠位端骨折
  6 前腕骨近位端骨折
  7 前腕骨骨幹部骨折
  8 前腕骨遠位端部骨折
  9 手根骨骨折
  10 中手骨骨折
  11 指骨骨折
 ■ 3 下肢 【鈴木義博】
  1 骨盤骨骨折
  2 大腿骨近位部骨折
  3 大腿骨骨幹部骨折
  4 大腿骨遠位部骨折
  5 膝蓋骨骨折
  6 下腿骨近位部骨折(脛骨近位端部骨折)
  7 下腿骨骨幹部骨折(脛骨骨幹部骨折)
  8 下腿骨遠位部骨折
  9 足根骨骨折
  10 中足骨骨折
  11 趾骨骨折

Ⅸ 柔道整復理論(各論:脱臼)
 ■ 1 頭部・体幹 【高橋憲司】
  1 顎関節脱臼
  2 胸鎖関節脱臼
 ■ 2 上肢 【櫻井庄二】
  1 肩鎖関節脱臼
  2 肩関節脱臼
  3 肘関節脱臼
  4 肘内障
  5 手関節脱臼
  6 手根骨脱臼
  7 手根中手関節脱臼
  8 中手指節(MP)関節脱臼
  9 指節間関節脱臼
 ■ 3 下肢 【高橋憲司】
  1 股関節脱臼
  2 膝蓋骨脱臼
  3 膝関節脱臼
  4 ショパール関節(足根中央関節もしくは横足根関節)脱臼
  5 足根中足(リスフラン)関節脱臼
  6 足趾指節間関節の脱臼

Ⅹ 柔道整復理論(各論:軟部組織損傷)
 ■ 1 頭部・体幹 【荒木誠一】
  1 頭部組織損傷
  2 体幹部軟部組織損傷
 ■ 2 上肢 【堀江俊裕,岡田昌也,原口力也,佐藤裕二,二神弘子,樽本修和,加藤明雄】
  1 肩部・上腕部の軟部組織損傷
  2 肘部・前腕部の障害
  3 手関節・手指部の軟部組織損傷
  4 手関節部・手指部の変形ブシャー結節,ヘバーデン結節)
 ■ 3 下肢 【堀江俊裕,岡田昌也,田宮慎二,加藤明雄,佐藤裕二,伊藤 譲,樽本修和】
  1 股関節の軟部組織損傷
  2 大腿骨の軟部組織損傷
  3 膝関節部の軟部組織損傷
  4 下腿部の軟部組織損傷
  5 足部の軟部組織損傷
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