若葉マーク 臨床検査学エッセンス・ノート 4

臨床病因・生体防御検査

臨床病因・生体防御検査

■編集 山内 一由

■企画協力 磯辺 智範

定価 5,060円(税込) (本体4,600円+税)
  • B5判  376ページ  2色(一部カラー),イラスト244点,写真94点
  • 2013年11月5日刊行
  • ISBN978-4-7583-1464-0

「病因・生体防御検査」に関するエッセンスを凝縮したノート型サブテキスト!!

本書は,臨床検査技師を目指す学生さん向けに,臨床検査における「病因・生体防御検査」について,分野ごとの垣根にとらわれず横断的に広く解説した書籍である。
初学者に必要な「エッセンス」の知識を盛り込み,ページの左に図表,右に対応する箇条書きの本文という形式で構成し,視覚的に理解できるようになっている。また,余白には「MEMO」欄があり,読者が学習した内容を書き込むこともできる。
「教科書が難しすぎる」「授業で教わった内容を復習したい」という学生さんにおすすめのノート型サブテキストである。学内試験や国試対策にも使えるので,ぜひ本書を手に取ってほしい。


序文

 臨床検査なくして現代医療は成り立たない。“根拠に基づく医療( EBM )”の実践が叫ばれるようになってから,より一層,臨床検査の重要性は高まった。昨今では,“根拠に基づく臨床検査医学( EBLM )”の概念が確立され,その実践が提唱されるまでに至っている。今後,個別化医療の実践をはじめとする新しい医療を推進していくうえで,臨床検査の果たす役割はますます重要になるに違いない。また,医療を受ける側の臨床検査に対する期待も,さらに増していくはずである。病める者誰もが,確かな臨床検査に基づいて最新かつ最良の医療を享受したいと願って当然だからである。医療従事者の一員として,そんな切なる思いに応えていくためには,まずは臨床検査とそれにかかわる医科学的知識を系統的に整理し,確実に身に付け,実践的で柔軟に応用できる知識へと成熟させていくことが肝要である。言うまでもなく,臨床検査は実学であり,日進月歩の勢いで進歩しているからである。
 本シリーズは,膨大な量に及ぶ臨床検査に関連する知識を秩序だって整理していただく一助になるように,エッセンスとなる知識を厳選して編集したサブテキストである。本シリーズ第1 巻「臨床生理機能検査」を編集された磯辺智範先生のご意向とコンセプトに従い,重要事項を箇条書きスタイルでスリムにまとめるとともに,できる限りイラストや写真を提示して視覚的理解を促すように配慮し,学ぶ側,教える側双方の視点から使いやすさを追求した。
 臨床検査学を志す学生のみならず,実務に携わる現場の臨床検査技師,学生や新人技師の教育に携わっている臨床検査技師あるいは医師の皆様にお役立ていただくことで,いささかでも臨床検査の質の向上につながればと祈念して,ここに初版をお届けする。
 不十分な点があると思うが,多くの読者の方々からご叱正をいただき,よりよい内容に改訂するよう鋭意努めていく所存である。ぜひとも忌憚のないご意見をお寄せいただきたい。
 最後に,本シリーズの刊行にあたり,執筆の労をお執りいただいた諸先生方ならびに編集に多大なご尽力をいただいたメジカルビュー社編集部の皆様に深甚なる感謝の意を表したい。

2013年8 月
筑波大学 医学医療系
山内一由
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目次

chapter 1 微生物検査
1 病原微生物の分類/性状
 1 微生物の種類
 2 真核生物と原核生物
 3 細菌の大きさ
 4 細菌の形態と配列
 5 細菌の微細構造と外部構造
 6 細菌の細胞壁
 7 細菌の細胞質膜
 8 細菌の細胞質
 9 細菌の付加構造物

2 病原微生物の観察と染色法
 1 細菌の観察と染色法
 2 単染色
 3 鑑別染色
 4 特殊染色
 5 真菌の観察と染色法

3 発育と培養
 1 細菌の化学的組成
 2 細菌の培養
 3 培養法の種類
 4 培地の種類
 5 培養に必要な栄養素
 6 培養に適した温度
 7 培養に適した水素イオン濃度
 8 培養に必要な酸素条件
 9 培養に適した浸透圧
 10 細菌の増殖

4 遺伝と変異
 1 遺伝子
 2 遺伝子の伝達
 3 遺伝子の変化

5 洗浄・消毒・滅菌とは
 1 洗浄・消毒・滅菌の定義
 2 物理的消毒
 3 化学的消毒
 4 滅菌
 5 スポルディングの分類

6 化学療法
 1 化学療法
 2 抗菌薬の作用点
 3 抗菌スペクトル
 4 抗菌薬のPK-PD
 5 薬剤耐性
 6 抗菌薬の副作用
 7 抗菌薬の種類
 8 抗ウイルス薬
 9 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

7 細菌の薬剤感受性試験法
 1 薬剤感受性試験法に用いる接種菌液の調整
 2 薬剤感受性試験方法
 3 薬剤感受性試験結果の解釈
 4 β-ラクタマーゼの検査法

8 常在細菌叢/感染とは
 1 常在細菌叢
 2 感染とは
 3 宿主-病原体関係
 4 感染経路
 5 経口感染
 6 経気道感染
 7 接触感染
 8 その他の水平感染
 9 母子感染
 10 感染臓器と微生物の関係

9 好気性または通性嫌気性グラム陽性球菌,グラム陰性球菌・球桿菌
 1 グラム陽性球菌
 2 グラム陰性球菌・球桿菌

10 好気性または通性嫌気性グラム陰性桿菌,グラム陰性らせん菌
 1 通性嫌気性グラム陰性桿菌

11 好気性または通性嫌気性グラム陽性桿菌,抗酸性桿菌
 1 好気性または通性嫌気性グラム陽性桿菌
 2 抗酸性桿菌

12 偏性嫌気性菌
 1 偏性嫌気性菌とは
 2 偏性嫌気性菌の確認検査
 3 偏性嫌気性グラム陰性桿菌
 4 偏性嫌気性グラム陽性桿菌
 5 偏性グラム陽性球菌・偏性グラム陰性球菌

13 その他の菌
 1 スピロヘータ科
 2 レプトスピラ科
 3 マイコプラズマ科
 4 リケッチア症に関連する細菌

14 真菌
 1 真菌とは
 2 酵母様真菌
 3 糸状菌
 4 その他の真菌

15 ウイルス
 1 ウイルスとは
 2 DNAウイルス
 3 RNAウイルス
 4 肝炎ウイルス
 5 ウイルスの検査法

16 病原微生物の遺伝子検査
 1 遺伝子検査の適応と操作上の注意点
 2 遺伝子増幅法
 3 遺伝子プローブ法
 4 多型解析法


chapter 2 免疫検査
1 生体防御の仕組み
 1 免疫の特徴
 2 免疫担当細胞と器官
 3 リンパ球による抗原認識と細胞性免疫
 4 抗原と免疫グロブリン抗体
 5 免疫と炎症にかかわるその他の因子

2 免疫と疾患のかかわり
 1 感染症
 2 アレルギー
 3 自己免疫疾患
 4 腫瘍と免疫
 5 免疫グロブリン異常症
 6 免疫不全症
 7 移植免疫

3 免疫学的検査法の原理と技術
 1 抗原抗体反応の基礎知識
 2 試験管内抗原抗体反応の原理と臨床応用
 3 免疫学的分析法

4 免疫グロブリン・補体系の検査
 1 免疫グロブリンとは
 2 免疫グロブリンの基本構造
 3 免疫グロブリンの種類とその特徴,機能
 4 免疫グロブリンの測定法
 5 免疫グロブリンと病態
 6 異常免疫グロブリン
 7 補体とは
 8 補体の活性化経路
 9 補体の機能
 10 補体の測定法
 11 補体と病態

5 アレルギーと検査
 1 アレルギーとは
 2 アレルギーの分類
 3 アレルギーの検査法

6 自己抗体と検査
 1 自己抗体とは
 2 関節リウマチ関連自己抗体および血清学的指標
 3 抗核抗体
 4 抗可溶性抗原抗体
 5 抗DNA抗体,抗リン脂質抗体
 6 抗好中球細胞質抗体
 7 IgG4

7 感染症と免疫学的検査
 1 感染とは
 2 ウイルス感染症検査
 3 梅毒血清反応
 4 肝炎ウイルス関連検査
 5 レトロウイルス感染症関連検査
 6 サイトメガロウイルス感染症関連検査
 7 そのほかの感染症
 8 特異反応と非特異反応

8 免疫機能検査
 1 液性免疫検査
 2 細胞表面抗原の検査
 3 試験管内細胞性免疫機能検査
 4 生体内免疫機能検査

chapter 3 輸血移植検査
1 輸血療法
 1 献血と輸血
 2 献血者および輸血用血液の安全性確保
 3 輸血療法に関する指針
 4 血液製剤の使用指針
 5 同種血輸血と自己血輸血
 6 輸血用血液の管理
 7 安全な輸血の実施体制
 8 適合輸血
 9 輸血実施前の検査
 10 輸血実施前の検査に用いる検体
 11 輸血検査の基本

2 ABO血液型
 1 血液型
 2 ABO血液型検査
 3 ABO血液型おもて検査
 4 ABO血液型うら検査
 5 おもて・うら検査不一致
 6 分泌型と非分泌型
 7 亜型の検査
 8 被凝集価測定
 9 吸着解離試験
 10 糖転移酵素活性測定
 11 亜型の血清学的な反応態度および適応する輸血製剤

3 Rh血液型
 1 Rho(D)血液型
 2 Rh血液型

4 その他の血液型
 1 MNSs血液型
 2 P血液型
 3 Lewis血液型
 4 Kell血液型
 5 Duffy血液型
 6 Kidd血液型
 7 Diago血液型

5 不規則抗体
 1 抗体の分類
 2 不規則抗体のスクリーニング検査と同定検査
 3 赤血球凝集反応の原理
 4 赤血球凝集反応に影響する因子
 5 生理食塩液法・蛋白分解酵素法
 6 アルブミン法と間接抗グロブリン法
 7 直接抗グロブリン試験と間接抗グロブリン試験
 8 溶血性貧血

6 交差適合試験
 1 交差適合試験
 2 交差適合試験の検査法
 3 交差適合試験の方法
 4 交差適合試験不適合の原因
 5 大量輸血時の適合血輸血
 6 交差適合試験の省略
 7 コンピュータクロスマッチ
 8 タイプアンドスクリーン
 9 最大手術血液準備量
 10 手術血液準備量計算法

7 近年の輸血検査の実際
 1 カラム凝集法を利用した血液型検査
 2 カラム凝集法を利用した不規則抗体検査・直接抗グロブリン試験
 3 カラム凝集法を利用した全自動輸血検査装置

8 HLAタイピングと抗HLA抗体
 1 HLAとは
 2 HLAの種類
 3 HLAの遺伝
 4 HLAの臨床的意義
 5 HLAタイピング
 6 抗HLA抗体
 7 抗HLA抗体の臨床的意義
 8 抗HLA抗体の測定法

9 血小板抗原と血小板抗体
 1 血小板上の同種抗原系
 2 HPAの種類と特徴
 3 HPAの臨床的意義
 4 抗血小板抗体検査法

10 輸血に伴う有害事象
 1 輸血患者の観察
 2 輸血副作用の分類と種類
 3 溶血性輸血副作用
 4 発熱性非溶血性輸血副作用
 5 アレルギー性輸血副作用
 6 輸血後移植片対宿主病
 7 輸血感染症
 8 輸血関連急性肺障害
 9 輸血関連循環過負荷
 10 その他の輸血副作用

11 自己血輸血
 1 自己血輸血の利点と問題
 2 貯血式自己血輸血の種類
 3 貯血式自己血輸血の適応と禁忌,採血スケジュール

12 移植医療
 1 移植とは
 2 臓器移植
 3 造血幹細胞移植の種類
 4 造血幹細胞移植の比較


chapter 4 遺伝子・染色体検査
1 遺伝子とは
 1 核酸の基本単位
 2 二本鎖DNAの構造
 3 染色体の成り立ち
 4 ゲノムと染色体
 5 DNAの複製
 6 DNAから蛋白質への情報伝達
 7 遺伝子の構造と機能
 8 ゲノム遺伝子からmRNAへの転写
 9 mRNAから蛋白質への翻訳
 10 遺伝子の発現調節

2 遺伝子検査の適応と倫理
 1 遺伝子検査の種類
 2 遺伝子検査にかかわる倫理
 3 インフォームド・コンセントの必要性
 4 遺伝学的検査を実施する際に考慮すべき遺伝情報の特性
 5 遺伝子検査と遺伝カウンセリング

3 遺伝子検査技術と原理
 1 DNAおよびRNAの精製
 2 核酸の抽出
 3 遺伝子工学で使用される酵素類
 4 PCRによるDNAの増幅
 5 DNAの電気泳動
 6 遺伝子変異と遺伝子多型
 7 目的の遺伝子およびその構造変化を検出する
 8 核酸同士のハイブリッド形成
 9 未知の遺伝子変異および多型を効率よく検出する
 10 遺伝子の塩基配列を1つずつ読み取る
 11 試料中の標的核酸を定量する

4 生殖細胞系列の遺伝子検査
 1 ヒト遺伝学的検査とは
 2 遺伝学的検査の分類
 3 ゲノム薬理学
 4 薬理遺伝学
 5 遺伝子塩基異常の記載方法
 6 ゲノムバイオマーカーとは
 7 薬剤代謝酵素の遺伝子多型と薬剤応答の関係とは

5 体細胞の遺伝子検査
 1 体細胞の遺伝子検査とは

6 感染症の遺伝子検査
 1 感染症の遺伝子検査とは

7 その他の遺伝子検査
 1 臨床検査で用いられる遺伝子検査の例

8 遺伝子検査と診療・研究支援
 1 診療・研究支援への遺伝子検査の貢献

9 染色体
 1 細胞周期
 2 染色体

10 染色体検査技術
 1 染色体検査法とは
 2 染色体検査に用いられる検査材料
 3 染色体検査の流れ:細胞培養から標本展開まで
 4 染色体検査の流れ:分染法
 5 染色体検査の流れ:FISH法

11 染色体による遺伝学的検査
 1 先天異常疾患検査

12 染色体による造血器腫瘍検査
 1 造血器腫瘍検査
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