新NS NOW 13

脳室を征服する

アプローチとテクニックの王道

脳室を征服する

■担当編集委員 伊達 勲

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • A4判  156ページ  オールカラー,イラスト90点,写真140点
  • 2018年3月2日刊行
  • ISBN978-4-7583-1573-9

脳室を征服せよ。その後によく治めよ

No.13では脳室病変とその治療をテーマに取り上げた。
脳室は脳深部にあり,左右の側脳室から第三・第四脳室へと続く形状を取る。これに正確な手術を施すためにもアプローチには万全を期す必要がある。近年では開頭術に加え内視鏡手術も汎用され,手術や検査に必要とされる知識は一層増している。
本書では側脳室,第三脳室,第四脳室に発症する病変に対し「どのような体位で」「どのようなアプローチで」「どのような手技で」臨めばよいかを解説。正常な脳をできるだけダメージすることなく病変に到達し,合併症を起こさずに処置するための工夫と注意点が示されている。

■シリーズ編集委員
森田明夫/伊達 勲/菊田健一郎


序文

 『新NS NOW』シリーズの第13弾として「脳室を征服する」を取り上げました。脳室への手術アプローチを学ぶことは脳神経外科のすべての手術のアプローチやテクニックを学ぶことにつながるといってよいでしょう。基本的には脳室に入るためにはどこかの脳実質を通っていかなければなりませんので,いかに低侵襲な部位,方向,方法を用いるかの検討が必要ですし,そのためのデバイス選択やテクニックがきわめて重要です。本号のタイトルに「征服」「王道」などの言葉が入っていることは決して大げさではないと思います。
 脳室病変は脳脊髄液循環にしばしば影響します。その脳脊髄液循環について,従来から提唱されてきた「脳脊髄液は側脳室,第三脳室,第四脳室の脈絡叢で産生され,脳室からくも膜下腔を循環し,くも膜顆粒で吸収される」に変わる新しい考えかたが広く信じられるようになってきています。そこで,本号の最初の項は「脳脊髄液循環を再考する」として新しい知見をまとめていただきました。100年も前から提唱されどの教科書にも掲載されてきた考えかたの変化については今後も目を離せません。
 脳室病変と水頭症は切っても切れない関係にあります。水頭症に対する基本的治療である脳室腹腔シャント術と神経内視鏡による第三脳室底開窓術について基本手技を解説いただいています。さらに脳室病変で神経内視鏡が最も有効である脳室内出血と脳室内腫瘍の生検についての項を設けました。さらにチューブレトラクター(ViewSite™)と神経内視鏡の併用もしばしば行われるようになっていますのでその項も設けています。
 側脳室,第三脳室,第四脳室への顕微鏡下でのアプローチは高度なテクニックを要する場合が多く,どこから進入するか,体位をどうするか,脳への損傷をどのようにして最小限にするか,各施設で病変ごとにdiscussionをしながら決定していると思います。アプローチについて前方から,後方から,下方からなど病変ごとにわかりやすいイラストを添えてそれぞれ解説くださっていますので,大いに学んでいただけると思います。
 手術解剖セミナー(cadaver study)が各地で開催され,本書の読者の皆さんも参加され学んでおられると思います。これらのセミナーではtranscavernous approachやpetrosal approachなどの頭蓋底アプローチを学ぶことが多いのですが,実はcadaver studyは脳室へのアプローチを学ぶのにも大変有用です。私は専門医になりたてのころ,特に第三脳室後半部への後方からのアプローチを,テント上からあるいはテント下から何度もcadaver studyで学び,そして実際の症例で外科的腫瘍摘出を行ってきました。側脳室や第四脳室へのアプローチも同様にcadaver studyで大いに学ぶことができます。神経内視鏡についてもしかりです。読者の皆さんが,cadaver studyで学び,本書でも学んで,脳室を征服されますことを祈念します。

2018年1月
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科学教授
伊達 勲
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目次

脳脊髄液循環を再考する  間瀬光人
脳室腹腔シャント術  小児の場合,成人の場合  赤井卓也
神経内視鏡による第三脳室底開窓術  亀田雅博,ほか
神経内視鏡による脳室内血腫除去術  山本拓史
神経内視鏡による脳室内腫瘍の生検   林 央周
側脳室前角腫瘍へのアプローチ Interhemispheric approach, transcortical approach  野中洋一,ほか
側脳室三角部腫瘍へのアプローチ  田中雄一郎
第三脳室腫瘍への前方からのアプローチ  橋本直哉,ほか
松果体部から第三脳室へ進展した腫瘍に対する後方からのアプローチ  秋山恭彦
ViewSite™ を用いた脳室内手術  荒川芳輝
第四脳室腫瘍へのアプローチ  朴 永銖,ほか

◆シリーズ わたしの手術記載
① 破裂巨大動脈瘤  吉金 努
②若年性脳動静脈奇形(左前頭葉) Lt. frontal juvenile arteriovenous malformation  田中俊英
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