新 執刀医のためのサージカルテクニック

下肢

下肢

■担当編集 齋藤 修

定価 15,400円(税込) (本体14,000円+税)
  • B5変型判  280ページ  オールカラー,イラスト340点,写真70点
  • 2018年9月29日刊行
  • ISBN978-4-7583-1861-7

そろそろ助手を卒業ですか? 実は執刀医は手術のこんなところに注意しているんです!

執刀医の視点に立った記述で, 手術のペース配分が理解しやすいように, 各手術手技の流れを「起承転結」の4段階に分けて, 豊富な図・イラストと具体的かつ簡潔な解説で構成。また, 是非とも継承したいテクニックや思わぬアクシデントを招きそうな注意点, 覚えておくべき解剖学的に重要な点など, 場面ごとに, 最前線で活躍する医師が実際に経験して得た知識を「アドバイス」や「ピットフォール」として随所に掲載。さらに助手を卒業していざ執刀医となった医師のニーズに応える情報も提供。
本書『下肢』では,下肢手術の基本的な手技について,ペース配分が理解しやすいように,各手術手技の流れを「起承転結」の4段階に分けて,豊富な図・イラストと具体的かつ簡潔な解説で構成。特に執刀医になりたての整形外科医が経験することが多い疾患を取り上げ,観血的整復固定術(ORIF),鏡視下手術,靱帯再建術,人工関節置換術などを,執刀医の視点に立った記述と豊富なイラストでわかりやすく紹介。また,場面ごとに,是非とも継承したいテクニックや思わぬアクシデントを招きそうな注意点,覚えておくべき解剖学的ポイントなど,最前線で活躍する医師が実際に経験して得た知識を「アドバイス」として随所に掲載。
執刀医となったその日から即役立つ,手術で実力を出し切るために必携の一冊!

■シリーズ総編集
德橋泰明


序文

 初版の『執刀医のためのサージカルテクニック 下肢』は2005年3月1日に出版されました。その後13年の経過とともに,医学は進化を遂げました。股関節においてはFAIという新しい疾患概念も生まれ,鏡視下手術もある程度の統一した見解が得られるようになりました。大腿骨骨切り術は激減し,もはやTHAが主流となっています。THAでは機種やデザインの改良の変遷だけではなく,側方アプローチや前方アプローチなど手術手技も大きく進歩し,長期成績も大幅に安定してきました。
 転子部骨折もCHSが主流であったものが,今や若い整形外科の先生はcephalomedullary nailの経験しかない時代です。ACL再建でもdouble bundleが主流になっています。TKAでは可動域不良から過去に消滅したACL,PCLを温存するBCRが再登場してきました。
 このような時代の変化に対応するために,本書の改訂版が望まれました。改訂版では下肢で頻度が高い疾患について,その分野において経験豊富でご高名な先生にご執筆していただきました。
 本書は初版と同様に,手術の初心者や若い整形外科医が執刀医となったその日より役立つようにという目的で企画された「独自の手術書」であります。文字数は必要最低限とし,図,イラストを豊富に挿入し,絵本のように見ただけで手術のイメージが湧きあがるのが第一の特徴です。手術の適応病態から始まり,術前シミュレーション,術前準備,手術体位,手術手技と,手術の一連の流れが一目でわかるようにフローチャートで示されています。手術手技においてはその流れを起承転結に分けて解説することにより,場面ごとのポイントが容易に理解できます。
 最大の特徴は,アドバイスやピットフォールが豊富に盛り込まれており,現場に即した生きた手術書であるという点です。経験豊富な先生方が若い整形外科医に伝授したいテクニック,術中トラブルの回避法,手術のポイント,解剖学的ポイントなどが詳細に表現されており,見ているだけで実際に手術を行っているような錯覚さえ感じてしまう素晴らしい手術書と自負しております。
 本書が若い整形外科医の手術の手助けとなり,成功に導かれるのであれば,結果として手術を受ける患者にとってこの上なく有益となります。そうなることが本書を執筆していただいた諸先生方と本書を企画した編者の未曾有の喜びであります。

2018年9月
日本大学医学部整形外科学系整形外科学分野准教授
齋藤 修
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目次

■執刀医の心得  齋藤 修
■股関節後方脱臼骨折(後壁骨折)に対するORIF  鈴木 卓
 皮切~寛骨臼後面の露出
 後壁骨片の翻転と関節内洗浄~Marginal impactionへの対応
 後壁骨折の整復と固定~全体のバットレスプレート固定
 骨切り部と小外旋筋群の修復~創閉鎖
■FAIに対する股関節鏡視下手術  星野裕信,錦野匠一
 ポータルの設置~関節包切開
 鏡視とプロービングによる病変部の確認
 Pincer病変のrim triming~Cam病変のosteoplasty
 関節包縫合~創閉鎖
■人工股関節全置換術(THA):後方アプローチ セメントレス  穂坂邦大
 皮切~脱臼・大腿骨頸部骨切り
 臼蓋の処置・臼蓋インプラントの設置~大腿骨の処置
 トライアル・脱臼肢位の確認~ライナー・大腿骨インプラント設置
 関節包・短外旋筋群の縫合~閉創
■大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術・後方アプローチ  清水 学
 皮切~展開
 頚部骨切り~寛骨臼の確認
 ラスピング~トライアルによる試整復
 ステム挿入~創閉鎖
■大腿骨頚部骨折(不安定型)に対するTwin Hookを用いたORIF  衣笠清人
 皮切~展開
 整復~仮固定
 ガイドピン刺入~ピン&バレル孔作製
 内固定~X線透視チェック
■大腿骨転子部骨折に対するshort femoral nail法  久留隆史
 皮切~エントリーポイントの決定
 ネイル挿入~直接的整復操作
 ラグスクリューの設置~コンプレッション操作
 横止めスクリュー~創閉鎖
■大腿骨転子部骨折に対するcephalomedullary long nail法  野田知之
 牽引による整復~整復
 ガイドピン挿入・ネイル挿入点の作製~ガイドロッド挿入・リーミング
 ネイル挿入~ラグスクリューもしくはブレードの挿入
 遠位横止め~創閉鎖
■大腿骨ステム周囲骨折に対するORIF  廣村健太郎,兼氏 歩
 皮切~展開
 骨折の整復,仮固定
 プレートの設置~プレートの固定
 創閉鎖
■膝蓋骨骨折に対するORIF  橋本晋平
 皮切~展開
 整復
 2 part骨折~膝蓋骨下極骨折に対する手技
 創閉鎖
■脛骨高原骨折に対するORIF  小林 誠
 皮切
 関節包の切開
 陥没骨折の整復
 内固定~創閉鎖
■ハムストリングを用いた解剖学的二重束前十字靱帯再建術  森本祐介
 ポータル作製~関節内の鏡視
 グラフト採取~脛骨側のドリリング
 グラフト挿入
 脛骨側固定~ドレーン留置・閉創
■高位脛骨骨切り術(HTO)・Opening wedge HTO  熊谷 研,齋藤知行
 皮切~骨膜下剥離
 骨切りラインの決定~骨切り
 骨切り部の開大~人工骨の挿入
 プレート固定~創閉鎖
■人工膝関節全置換術(TKA)  龍 啓之助
 下肢ランドマーク~顆間部郭清
 大腿骨遠位骨切り~伸展・屈曲ギャップの評価
 大腿骨前方・後顆骨切り~トライアル・アライメントチェック
 コンポーネントの設置~創閉鎖
■人工膝関節単顆置換術(UKA)  鈴木 元
 皮切~関節の展開
 脛骨の骨切りガイド設置~骨切りの評価
 大腿骨遠位骨切り~大腿骨後顆骨切り
 試験整復~創閉鎖
■Pilon骨折に対するORIF  長野博志
 緊急手術
 根治的手術の術前計画
 根治的手術
 創閉鎖
■髄内釘を用いた距骨体部切除併用足関節固定術  岩田直也,松本 和
 皮切~腓骨の骨切り
 距骨の骨切りおよび距骨体部切除~アキレス腱切離
 髄内釘固定~腓骨の整復および固定
 骨移植~創閉鎖
■人工足関節置換術(TAA)  豊島洋一
 皮切~長母趾伸筋と前脛骨筋の展開
 骨切り
 インプラントの設置
 創閉鎖
■距骨骨軟骨損傷に対する骨髄刺激法  三木慎也,安井洋一,宮本 亘
 ポータルの作製
 関節内の鏡視
 病変の掻爬
 軟骨下骨の穿孔~創閉鎖
■踵骨骨折に対する外側横皮切による整復固定術  小川真人
 皮切~展開
 整復
 内固定
 ドレーン留置~創閉鎖
■アキレス腱断裂に対する強固な腱縫合術  成瀬康治,占部 憲
 皮切
 下腿筋膜下の展開
 アキレス腱縫合
 下腿筋膜の縫合と創閉鎖
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