リハビリテーション神経科学

リハビリテーション神経科学

■監修 玉木 彰

■編集 鈴木 俊明
大西 秀明

■編集協力 解良 武士

定価 6,380円(税込) (本体5,800円+税)
  • B5判  366ページ  2色(一部カラー),イラスト200点,写真100点
  • 2019年3月29日刊行
  • ISBN978-4-7583-1937-9

神経活動を電気生理学的に理解する!  リハビリテーションに直結する神経科学の基礎から応用が学べる1冊

リハビリテーションにおいて運動機能,感覚機能,認知機能などを把握するうえで,神経活動の理解は避けては通れない。本書は神経の伝導の基礎から,運動,体性感覚,自律神経機能まで,神経にかかわる電気生理学的な知識を網羅的に解説。神経の活動は目で見ることはできないが,電磁気的な波形がそれを如実に示してくれる。ヒトの活動がどのように起こっているかを波形から読み解き,さまざまな動作,活動,生理反応が神経活動とどのように関連しているか理解できるようになっている。
PartⅠの基礎編で,神経の伝導,活動などの基本を解説し,PartⅡの臨床編で神経の電気生理学的な検討やリハビリテーションにおける実践について,多数のイラストや図表を用いて視覚的に解説。
神経生理学を改めてより深く学びたいという理学療法士・作業療法士,また養成校の学生に活用いただける内容である。


序文

 このたび,メジカルビュー社より『リハビリテーション神経科学』を発刊することとなりました。これまでご協力いただきました執筆者の先生方,また,メジカルビュー社編集部,野口真一様には編集にかかわる多くのご協力をいただき感謝しております。
 本書は,既刊『リハビリテーション運動生理学』の姉妹本として企画され,Part ⅠとPart Ⅱの2部構成となっています。Part Ⅰを基礎編とし,神経の構造と機能,神経可塑性変化のメカニズム,大脳皮質の構造と機能のような神経科学を学ぶための基礎知識をまとめていただきました。また,リハビリテーションで大きな問題となる痛みに関しての神経生理,神経心理,そして,随意運動や他動運動にかかわる皮質活動の特徴などもまとめています。Part Ⅱは応用編として,脳機能,脊髄神経機能,末梢神経機能などの神経学的な評価とリハビリテーションについてまとめています。実際に検査をする際の測定条件や得られた波形の分析方法の参考になるだけでなく,リハビリテーションと各種検査データとの関連性についての理解が深まるものと思います。理学療法士・作業療法士養成校のゼミナールを行う学部生や大学院生が神経科学について学ぶ際に大変貴重な参考書になると考えています。
 本書の特徴は,執筆者の多くが理学療法士であり,神経科学に関する研究を積極的に行っている方々であることです。すなわち,神経科学に精通している理学療法士の研究者が多く育ってきたことを意味しています。本書のようにリハビリテーションの視点にたった神経科学研究者だけで執筆された同様の書籍はなく,貴重な一冊になると信じています。

2019年2月
鈴木俊明 大西秀明
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目次

Part Ⅰ 基礎編
【1】神経の構造と機能  浦川 将
  1.神経の構造と機能の概要
  2.神経の安静時と興奮時
  3.興奮性シナプス後電位と抑制性シナプス後電位
【2】神経可塑性  石田和人
  1.神経可塑的変化のメカニズム
  2.中枢神経障害の機能回復と神経可塑性
  3.神経可塑性に関するトピックス
【3】大脳皮質の機能局在と神経ネットワーク  菅田陽怜
  1.大脳皮質の構造と機能
  2.皮質間の機能結合
  3.脳機能結合の計測・解析トピックス
【4】皮質活動と血流変化  椿 淳裕
  1.体循環変動と脳循環との関係
  2.神経活動に伴う血流変化について
  3.皮質活動と脳血流のトピックス
【5】痛みの末梢神経・脊髄機構  田口 徹
  1.痛みの神経生理の概要
  2.痛みの種類と生体反応
  3.疼痛研究のトピックス
【6】痛みと神経心理  大鶴直史
  1.痛みの脳内情報処理
  2.痛みと心理社会的要因
  3.おわりに
【7】非侵襲的脳刺激法による皮質活動の変動  犬飼康人
  1.非侵襲的脳刺激法の種類とその特徴
  2.tDCS の臨床応用
  3.tDCS,tACS,tRNS 研究のトピックス
  4.おわりに
【8】随意運動・他動運動・体性感覚刺激と皮質活動  大西秀明
  1.随意運動・他動運動時の皮質活動
  2.随意運動・他動運動を繰り返した後の皮質活動
  3.体性感覚刺激時の皮質活動
  4.体性感覚刺激を繰り返した後の皮質活動
  5.運動刺激・体性感覚刺激に関するトピックス
  
Part Ⅱ 応用編 
【1】脳機能の評価とリハビリテーション 
 1 脳波・脳磁図の基礎と応用  菅田陽玲
  1.脳波・脳磁図の概要,測定条件,波形分析
  2.脳波・脳磁図のリハビリテーションにおける臨床応用
  3.おわりに
 2-① 誘発脳波の基礎と応用  山本吉則
  1.体性感覚誘発電位の概要,測定条件,波形分析
  2.体性感覚誘発電位のリハビリテーションにおける臨床応用
  3.事象関連電位の概要,測定条件,波形分析
  4.事象関連電位のリハビリテーションにおける臨床応用
 2-② 誘発脳磁界の基礎と応用  大鶴直史
  1.誘発脳磁界の概要
  2.誘発脳磁界の測定条件
  3.リハビリテーションにおける体性感覚誘発磁界の応用
  4.リハビリテーションにおける運動関連脳磁界の応用
 3-① 運動誘発電位 TMS の原理と基礎  金子文成
  1.経頭蓋磁気刺激について
  2.TMS による検査方法と評価指標
  3.TMS によって得られるMEP の起源
  4.MEP に影響する要因
  5.2 連発磁気刺激
  6.脳可塑性の誘導
  7.安全性について
 3-② 運動誘発電位 SICI,ICF,SAI  佐藤大輔
  1.SICI およびICF の概要,測定条件,波形分析
  2.SAI の概要,測定条件,波形分析
  3.SICI,ICF,SAI のリハビリテーションにおける臨床応用
 3-③ 運動誘発電位 TMS を利用した小脳機能評価  平岡浩一
  1.小脳の機能
  2.小脳への経頭蓋磁気刺激
  3.CBI
  4.C-TMS による脳波変化
  5.小脳によるフィードフォワード制御
  6.急速運動時三相性筋活動への小脳の寄与
  7.視覚標的追従指運動時のC-TMS 由来運動反応
  8.立位における長潜時ヒラメ筋活動促通について
  9.安静腹臥位における長潜時のヒラメ筋H 反射促通
  10.小脳活動と眼球運動
  11.C-TMS による小脳機能評価の臨床応用
  12.おわりに
 4 長潜時反射,サイレントピリオド  嘉戸直樹
  1.長潜時反射の概要,測定条件,波形分析
  2.長潜時反射のリハビリテーションにおける臨床応用
  3.サイレントピリオドの概要,測定条件,波形分析
  4.サイレントピリオドのリハビリテーションにおける臨床応用
【2】脊髄神経機能の評価とリハビリテーション  鈴木俊明
  1.H 波の概要,測定条件,波形分析
  2.H 波のリハビリテーションにおける臨床応用
  3.F 波の概要,測定条件,波形分析
  4.F 波のリハビリテーションにおける臨床応用
  5.T 波の概要,測定条件,波形分析
  6.T 波のリハビリテーションにおける臨床応用
【3】末梢神経機能の評価とリハビリテーション  鈴木俊明
  1.神経伝導検査の原理および一般的な留意点
  2.運動神経伝導検査の概要,測定条件,波形分析
  3.感覚神経伝導検査の概要,測定条件,波形分析
  4. 運動神経伝導検査,感覚神経伝導検査のリハビリテーションにおける臨床応用
【4】筋機能の評価とリハビリテーション  谷埜予士次
  1.M 波の概要
  2.測定条件
  3.波形分析
  4.リハビリテーションにおける臨床応用
  5.おわりに
【5】自律神経機能の評価とリハビリテーション  岩月宏泰
  1.心拍変動にかかわる検査
  2.脈波検査
  3.交感神経皮膚電位(SSR)の概要,測定条件,波形分析
【6】平衡機能と神経科学  淺井 仁
  1.平衡機能検査の概要
  2.測定上の注意
  3. リハビリテーションにおける臨床応用
   :立位時の足圧中心動揺を測定することで何がわかるか?
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