知って得する100事例

患者さんトラブル 予防・解決Q&A

患者さんトラブル 予防・解決Q&A

■編著 一杉 正仁

■著者 松村 美穂子
前田 純子
束田 千絵
山内 忍
川戸 仁

定価 3,080円(税込) (本体2,800円+税)
  • 四六判判  232ページ  2色
  • 2014年9月1日刊行
  • ISBN978-4-7583-0045-2

医師が直面するさまざまなトラブルをスピーディーに解決+しっかりと予防!

医師が直面するトラブルは「医療行為」に関するものだけではない。モンスターペイシェントへの対応,医療費の未収金,患者からのさまざまな質問など,解決すべきトラブルは多岐に渡る。本書は,いざ起こったときにお手本とするマニュアルがなく,しかも頻回に起こりうるトラブルを集め,その予防法・解決法を伝授する書籍である。
「ERで死亡した患者さんの身元が不明」「医療ミスの発生」「患者さんが輸血を拒否している」などのトラブルは,若手・ベテラン,開業医・勤務医を問わず襲ってくる。これらのトラブルは正しく対処しなければならないのはもちろん,解決に至るまでのスピードが大事であることはいうまでもない。最悪の場合,訴訟に発展することさえ考えられる。
本書は実際に起こった100例のトラブルを,Q&A方式で見やすく示している。また,解説も充実しており,じっくり読み込んで深い知識を得ることもできる。
厄介なトラブルが発生したときに必ず役立つ,医師必携の1冊である。


序文

刊行によせて

 わが国における平均寿命,年齢調整死亡率,乳児死亡率などをみると,医療水準は世界でもトップクラスです。しかし,人口1,000人当たりの医師数や国内総生産(GDP)に占める医療費の割合をみると,決して十分なマンパワーや経済的支援のもとに成り立っいるわけではありません。日本の医療が少ない投資で高質の成果を得ているのは,ひとえに医療従事者の努力によるといっても過言ではありません。
 さて,医療従事者の努力とは裏腹に,昨今は患者さんの権利意識が高まり,医療への信頼感が低下してきています。患者さんは医療に多くの期待を寄せますが,かならずしも患者さんの期待に沿った結果にならないこともあります。また,決して医療技術上の問題がなかったとしても,患者さんへ望ましい対応ができず,結果的に信頼関係を失うこともあります。
 本書では,臨床現場で活躍されている医療従事者の方が,無用なトラブルに巻き込まれないように,さまざまな場面でどのように対応すればよいかについて,Q&A方式でご紹介します。本書に収載されている内容は,現場で活躍する方から実際に寄せられた相談や質問に基づいていますので,多くの先生にご利用頂けると思います。すなわち,臨床各科にわたる知識と,法・倫理的な解釈を含めてコンパクトに構成しています。医師をはじめとする多くの医療従事者の方が,トラブルを正しく予防・解決するために本書を備えて頂き,適宜利用くだされば幸いです。
 最後になりましたが,本書の作成に多大な尽力を頂いた,メジカルビュー社の高橋 学 氏に厚く御礼申し上げます。

2014年8月吉日
滋賀医科大学社会医学講座 教授
一杉 正仁
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目次

【一般外来】
●トラブル
・一般的なクレーム対応のスキームを教えてください。患者さんからクレームがきたら,どう対応すべきですか?
・担当の理学療法士が,患者さんに殴られるという院内暴力が発生しました。興奮している患者さんにどのように対応したらいいですか?
・ある入院患者さんに,違う患者さんの経口薬が渡されていました。患者さんが内服して嘔気を訴えたので誤投与がわかったのですが,どう対応すればいいでしょうか?
・在宅医療を受けている末期癌の患者さんが死亡していたと,看護師から連絡がありました。担当医はどうすればいいですか?
・いつもトラブルを起こす患者さんの診察を拒否することはできますか?
・手術の必要がある患者さんから,宗教上の理由から輸血はしないでくれと言われました。どうすればいいですか?
・小児の患者さんの体にあざがあります。不自然な場所ですが,親子の関係は悪くなさそうに見えます。虐待かどうかわからないのですが,どうすればいいですか?
・未成年の患者さんに処置を施すときには,かならず保護者からの同意を得なければなりませんか?
・「カルテを見せてくれ」「カルテをコピーしたい」と言ってくる患者さんがいます。言われるままに見せるべきですか?
・飛行機内でドクターコールがあったら,どうするべきでしょうか? もし自分がかかわってなにかあったらと想像すると不安です。
・新聞にも取り上げられた大事件に巻き込まれた患者さんが死亡しました。遺族との対応で気をつけることはなんですか?
・患者さんを処置中,「針刺し」をしてしまいました。対処方法を教えてください。
●相談/問診/手続き
・来院しなくなった患者さんのカルテやエックス線写真などはいつまで保管しなければなりませんか?
・患者さんを対象にしたアンケート調査を行うには,どのような手続きが必要ですか?
・認知症患者さんの施設入所を検討していますが,身寄りがいません。どのような手続きを取ればいいですか?
・患者さんがセカンドオピニオンを希望していますが,当院より規模の大きい施設はありません。説得して紹介状を書かないようにしてもよいですか?
・医療費を支払わない(踏み倒した)患者さんがいます。どのように対応すればいいですか?
・外国人の患者さんが来院しましたが,健康保険証をもっていないようです。どのように請求すればいいか教えてください。
・外国人の患者さんがよく来る病院に転勤しました。外国人の患者さんを診るときに注意することはありますか?
・患者さんがどこからか手に入れた診療ガイドラインを持ってきて「ガイドライン通りにやってください」と言われました。患者さんのためにいろいろ考えて治療しているのですが,どうしたらいいですか?
・高齢の女性患者さんが飛行機でヨーロッパ旅行に行くようです。医学的に注意すべき点はなんですか?
・海外旅行帰りの患者さんが発熱と下痢を訴えて来院しました。まずなにを疑うべきですか?
・高齢患者さんが登山を始めるといっていますが,医学的に注意すべき点はなんですか?
・代替医療や健康食品の併用を希望する患者さんがいるのですが,どのようにアドバイスしたらいいですか?
・糖尿病患者さんに「ダイエットでよくみる糖質制限食って本当に効果あるんですか」と聞かれました。どのように答えればいいですか?
・生まれてきた一卵性双生児の一方の子どもが遺伝性疾患であることがわかりました。子どもの母親から,「もう一方の子どもも同じ病気を発病する可能性はあるのか」と相談されました。遺伝性疾患が発症する可能性はどのくらいなのですか?
・患者さんから「夫が躁うつ病なのですが,息子も発症する可能性は高いですか」と相談されました。精神疾患が遺伝的に発症する可能性はどのくらいなのですか?
・「両親が癌で亡くなっていますが,自分も遺伝して癌を発症するのでしょうか」と相談されました。癌が遺伝的に発症する可能性はどのくらいなのですか?
・健康診断を受診した患者さんから「生活習慣病は遺伝しますか」と相談されました。どのように答えればいいですか?
・女性の患者さんから「いとこと結婚するが,近親婚では子どもに遺伝病が発病すると聞くので心配」と相談されました。近親婚の場合,遺伝性疾患が発症する可能性はどのくらいなのですか?
・女性の患者さんから「市販の遺伝子検査キットで検査したところ,乳癌になる可能性が非常に高い結果が出たので,乳房を切除したい」と言われました。どうすればよいのですか?
・血液検査を受けた患者さんから「性格は血液型によって決まるんですか」と質問されました。どのように答えればいいですか?
・産後の患者さんから「生まれた赤ちゃんの血液型を知りたい」と相談されました。新生児では血液型がはっきりしないと聞きましたが,どうなのですか?
・出産された患者さんのご主人から「生まれてきた子どもの血液型が夫婦の血液型と一致しない」と相談されました。どのような可能性が考えられますか?
・不妊治療中の女性患者さんから「高齢になるほど卵子が老化して染色体異常が起こりやすいのですか」と相談されました。染色体異常が起こる可能性はどのくらいですか?
・妊娠中の患者さんが,お腹が圧迫されるのでシートベルトをしていないと話しています。妊娠中はシートベルトをしなくても問題ないですか?
・「子どもがチャイルドシートをどうしても嫌がる。しょうがないので抱っこして自動車に乗車していますが,危険でしょうか」と聞かれました。どのように答えればいいですか?
・インフルエンザに罹患した子どもが昨日ようやく解熱したのですが,保護者から「すぐ学校に行かせたい」と申し出がありました。許可していいですか?
・震災以降,子どもの放射線被ばくを心配される保護者からよく相談されます。どう答えればいいですか?
・食物アレルギーがある生徒さんに対して,学校ではどのようなことに気をつけるべきですか?
・脳出血の治療を受けて1週間前に退院した患者さんから「仕事で必要なので車を運転したい」と言われました。許可してよいですか?
・縫合した傷は,毎日消毒した方がいいのですか?
●各科のエッセンス
・糖尿病の患者さんから「ライフスタイルを変えるため運動を始めたい」と相談されました。いいことだと思うのですが,無条件に勧めていいですか?
・糖尿病の患者さんへの効果的な運動指導法を教えてください。
・糖尿病でインスリン注射をしている患者さんがインフルエンザにかかりました。食欲不振でなにも食べていないようですが,インスリン注射は中止すべきですか?
・糖尿病治療中の女性患者さんが妊娠しました。妊娠中の血糖コントロールで気をつけるべきことを教えてください。
・高齢の糖尿病患者さんへの治療で気をつけることを教えてください。
・甲状腺機能亢進症として,バセドウ病はよく聞きますが,他にはどのような疾患がありますか?
・認知症の疑いで高齢患者さんが来院しました。ぼーっとして元気がなく,記憶力低下もみられますが,頭部MRIでは異常なく,認知症のスクリーニングテストも正常です。なにか他の疾患は考えられますか?
・尿路結石で繰り返し来院する患者さんがいます。水分もまめに摂取しており,バランスのよい食事を摂っているそうです。なにか原因があるのですか?
・ダイエット指導をしている女性患者さんがいるのですが,確かにカロリー制限しているのに結果が出ません。なにか疾患を疑うべきですか?
・30歳代と若いにもかかわらず高血圧の患者さんがいます。低カリウム血症を呈していますが,背景に別の疾患が隠れているのですか?
・全身の脱力を訴えてきた患者さんがいます。血液検査で低カリウム血症を認めました。正しい補充の仕方を教えてください。
・療養病棟に入院中の高齢男性が意識もうろうとなりました。血液検査で低ナトリウム血症を認めました。正しい補正の仕方を教えてください。
・女性患者さんから「妊娠していないのに母乳が出る」と相談されました。どんな原因が考えられますか?
・長咳がとまらずいくつもの医療機関を受診しているという患者さんが来院しましたが,注意して診るべきポイントを教えてください。
・夜中に子どもを連れて突然来院した方から「子どもが熱っぽいのでみてほしい」と言われました。微熱だったので「とりあえず様子をみましょう」と言ったのですが,親御さんは「本当に大丈夫なんですか」と心配そうです。どうしたらいいでしょうか?
・8歳の男児が感冒様症状で近医にかかり,内服薬を使用していたとのことですが改善せず,1週間後にショック状態で救急搬送されてきました。なにを疑えばよいですか?
●薬のエッセンス
・骨粗鬆症の薬を飲んだら,しばらく横になってはいけないといわれました。なぜですか?
・転んで挫創を負った患者さんが来院しました。破傷風トキソイドは接種した方がよいのでしょうか?
・感染性胃腸炎の患者さんが来院しました。抗菌薬はかならず投与すべきですか?
・内視鏡検査を受ける予定の患者さんがいるのですが,脳梗塞で倒れて以来,抗凝固薬を服用しています。このまま継続していいのですか?
・タクシーの運転手をしている患者さんが花粉症の薬を希望しています。処方に際して注意すべきことはありますか?
・ワルファリン内服者の食事で気をつけるのは納豆だけですか?
・変形性膝関節症に対して経口のサプリメントが発売されていますが,有効性はどのくらいなのですか?
・妊娠中や授乳中の女性患者さんへ処方するときの注意点を教えてください。
・小児の患者さんには解熱剤を処方しない方がいいと聞きましたが,本当ですか?
・子どもにはジュースで薬を飲んでもらっても問題ないですか?
・ステロイドの内服を始めた患者さんに白血球増加がみられます。なにか関係がありますか?
・アトピー性皮膚炎で長い間ステロイド(外用薬)を処方していた患者さんが,薬をなくして自己中断したら体調不良になったと来院しました。原因はなんですか?
●予防接種
・予防接種を行った日は入浴を控えてもらった方がよいのですか?
・予防接種の同時接種って本当に大丈夫ですか?
・早産児の場合も暦通りに予防接種を受けるべきですか?
・患者さんが海外留学するのですが,渡航前に済ませておくべき予防接種はありますか?
・保護者から「子どもが予防接種を受けて副作用が出た」と言われました。どのように対処すべきですか?
・「大人の麻疹が流行っているようですが,子どもの頃に麻疹の予防接種を受けたので大丈夫ですよね」と聞かれました。免疫の持続期間は一生続くと考えていいのですか?

【救急・当直】
●死亡
・心肺停止状態で搬送された患者さんが死亡したのですが,身元がまったくわかりません。どうすればいいですか?
・救急搬送された患者さんが死亡,所持品からアイバンク登録証が出てきました。どのような手続きをとるべきですか?
・心肺停止状態で搬送されてきた患者さんの血液検査を行ったところ,トロポニンT陽性,CK高値でした。心筋梗塞と診断してよいのですか?
・低体温症の患者さんが運ばれてきました。心肺停止状態で,瞳孔も散大しています。これで死亡確認してもよいですか?
・警察官から死体検案を依頼されましたが,断ることはできますか?
●治療
・路上に倒れていた患者さんが運ばれてきたのですが,泥酔状態で問診もできません。本人は「早く帰りたい」の一点張りです。どうしたらいいですか?
・高齢の男性が肺炎で緊急入院となりました。糖尿病の既往がない(薬を飲んでいない)にもかかわらず血糖値が低かったのですが,なにが考えられますか?
・納屋でストーブを焚きながら作業していた男性が気分不快を訴えて来院しました。まずなにを疑うべきですか?
●薬物中毒
・処方された向精神薬を大量服用した患者さんが運ばれてきました。自殺の疑いがありますが,警察に届けるべきですか?
・市販薬を多量内服した患者さんが運ばれてきました。特に注意すべき薬剤はなんですか?
・睡眠薬を多量に服用しても死ぬまでは至らないと聞きましたが,本当ですか?
・インターネットで購入したハーブを吸引して意識障害になった患者さんが来院しました。どうするべきですか?
・意識障害で搬送されてきた中年の女性患者さんに対して,尿中薬毒物定性検査(トライエージDOAⓇ)を施行したところ,OPI(オピオイド)陽性と出ました。麻薬中毒と判断していいですか?
・救急患者さんに対する尿中薬毒物定性検査で覚醒剤成分が検出されました。直ちに警察に届けるべきですか?

【検査室】
●採血
・日常臨床検査項目で,日内変動が大きく,採血時間の影響が問題となる項目にはどのようなものがありますか?
・患者さんに採血をしましたが,休日で検査が後日になりました。検体はどのように保存するべきですか?
・大腸癌患者さんの血液型検査でおもて試験とうら試験の結果が一致しません。どうしてですか?
・細菌性肺炎の患者さんで血液培養を行った結果,グラム陽性菌が検出されました。CRPが2前後とさほど上昇していませんが,このようなことがありますか?
・膵臓癌の患者さんにCA19-9測定をしましたが,低値です。なぜですか?
・CEAが高値を示した患者さんに各種検査を行いましたが,癌が見つかりませんでした。このようなことがありますか?
●画像
・造影CT検査を行いますが,造影剤投与前に服用を控えた方がいい薬はありますか?
・女性の患者さんが「妊娠しているのを知らずにエックス線検査を受けた,被ばくしたので中絶したい」と強く言ってきました。どうすればいいですか?
●内視鏡
・内視鏡検査を受けたすぐ後に,仕事に戻って車を運転するという患者さんがいます。運転を許可していいですか?
●呼気試験
・ヘリコバクター・ピロリ菌感染が疑われるため,尿素呼気検査を行う予定です。検査前に気をつけなければいけないことはありますか?
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