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前置胎盤・前置癒着胎盤の手術

入念な準備で危機に対処

前置胎盤・前置癒着胎盤の手術

■担当編集委員 小西 郁生

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • A4判  156ページ  オールカラー,イラスト200点,写真80点
  • 2012年1月31日刊行
  • ISBN978-4-7583-1208-0

産婦人科医として必ず知っておきたい「前置胎盤,前置癒着胎盤」について,エキスパートが詳細に解説

経験豊富な術者による“手術のコツと注意点”を中心に,豊富なイラストでわかりやすく解説しており,前置胎盤,前置癒着胎盤への対応の向上に役立つ1冊である。本症例への対応は必ず習得しておきたい技術であり,本書ではシチュエーションに合わせて,さまざまな方法を紹介,解説している。
経験を積んだ医師にとっても,これらの対応,手術への詳細な解説は,日常の臨床において危機的状況を避け,かつ乗り越える頼もしい先達となるであろう。

■シリーズ編集委員
平松祐司/小西郁生/櫻木範明/竹田 省


序文

 今回,産婦人科医があらゆる手術のうちでも最も緊張する「前置胎盤・前置癒着胎盤の手術」を特集することができた。ここに皆様にお届けしたい。
 平成18年2月,福島県立大野病院の産婦人科医が逮捕され,その後の公判で無実が確定したことは記憶に新しい。一方で,産婦人科の医学・医療として大切なことは,この事例によって,前置癒着胎盤が母体にとってきわめて死亡リスクの高い状態であることが改めて明らかとなり,この病態に対するさまざまな対策や工夫が系統的に行われる契機となったことである。もともと帝王切開術の既往がなくとも,前置胎盤・低置胎盤は母児に対してリスクの高い病態である。妊娠中期での妊娠中絶や早期産となるケースも多い。
 さらに近年,分娩における帝王切開率の急速な増加を基盤として,古典的な子宮破裂に加えて,子宮下部(下節)をめぐるさまざまな疾患が新たに出現してきたことである。帝王切開瘢痕部妊娠,瘢痕部血腫,瘢痕部菲薄化,子宮体癌の瘢痕部進展,等々であり,その極致が瘢痕部を巻き込んだ前置胎盤である。前置胎盤の瘢痕部への侵入は,最終的には胎盤組織の膀胱浸潤にまで至る。胎盤形成に伴う著しい血管新生が手術の際の大量出血を引き起こす。したがって,まずは正確な診断と評価,そして分娩に向かっての入念な準備が必要である。評価に基づく個別化された帝王切開術のシミュレーション,そして,いざ手術の際も開腹時所見をよく検討した上で手術法を決定する。その際には,保存的・待機的療法への方針変更も選択肢としてもっておくことが重要である。
 この前置胎盤・前置癒着胎盤の管理はエビデンスに基づくガイドラインというわけではなく,いまだ進化の途上である。しかし,今回は各執筆者の多大なご尽力により現時点での到達点を網羅することができた。実際の診療現場で非常に役立つ内容となったので,読者のみなさまにはこれを通読していただきたいと念願する。

2012年1月
小西郁生
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目次

前置胎盤・低置胎盤の診断 鮫島 浩
低置胎盤の経腟分娩と帝王切開術 大平哲史ほか
前置胎盤の経腟分娩と帝王切開術(妊娠中期胎児死亡例の経腟分娩) 佐藤幸保
前置胎盤の帝王切開術
 妊娠中期 川﨑 薫ほか
 妊娠後期 牧野真太郎ほか
 胎盤を貫通しての児娩出法 平松祐司
前置癒着胎盤
 術前評価 増﨑英明
 保存的対処法 近藤英治ほか
 子宮底部横切開法—トラブル回避の手術手順と適応— 小辻文和ほか
 出血量軽減の工夫① 動脈塞栓術 橋口幹夫
 出血量軽減の工夫② バルーン血流遮断法 村山敬彦ほか
 出血量軽減の工夫③ 子宮動脈塞栓術(UAE)の有用性 古谷健一ほか
 子宮全摘術 竹田 省ほか
 二期的手術 炭竈誠二ほか
 子宮全摘術(膀胱浸潤例) 平松祐司
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