消化器外科専門医へのminimal requirements

知識の整理と合格へのチェック

改訂第2版

消化器外科専門医へのminimal requirements

■監修 北野 正剛

■編集 白石 憲男
平塚 孝宏
河野 洋平

定価 10,780円(税込) (本体9,800円+税)
  • B5判  656ページ  2色(一部カラー),イラスト150点,写真200点
  • 2017年7月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-1530-2
  • 読者の皆様へ

消化器外科専門医への第一歩,いざ改訂!

消化器外科専門医へのminimal requirementsがついに改訂! 2013年以降,新たに発表された「診療ガイドライン」や「取扱い規約」に対応。
“いま”必要な1冊です。


序文

第2版 序 

 知識は常に新しいものへと置き換わっていく。だからこそ,新しい知識の出現に心がときめき,その習得は楽しいものである。「消化器外科」分野においても,これまでに,多くのエビデンスが公表されている。これらすべてのエビデンスをフォローし,エビデンスを日常診療に生かすためには大変な努力が必要である。このような状況のなか,簡便に知識を修得できるという目的で,数々のガイドラインが出版されている。
 消化器外科医にとって,消化器外科の専門医を取得することは目標の一つである。少しでも,このような消化器外科医たちの勉強の助けになればという気持ちから,旧版の『消化器外科専門医へのminimal requirements』を出版した。大変ありがたいことに,多くの外科医たちに利用していただいているようである。執筆者を代表して,心からお礼申し上げたい。
 早いもので,出版から3年が経過した。この間に,胃癌,大腸癌,膵臓癌,胆道癌などの「取り扱い規約」や「診療ガイドライン」が改訂されている。思えば,3年という短い期間であり,改訂など時期尚早であると考えていたが,実際に読み返してみると,改訂すべきところが多いことに気がついた。そこで,執筆者一同に相談をしたところ,「後輩たちのためになるのなら」と全員が快く承諾してくれた。なかでも,執筆者の1人である河野洋平君は,公表過去問題の解析や改訂を必要とする項目の拾い上げという膨大な仕事を積極的にしてくれた。さらに,二宮繁生君は,執筆活動に参加し新しい4項目について加筆してくれた。その結果,半数以上の項目で加筆・修正を行うこととなった。旧版同様,多くの若き消化器外科医たちが本書を利用し,知識の修得に役立ててくれることを祈念している。
 最後に,情熱を失わず,最後まで改訂作業をしてくれた著者7名に心から感謝します。また,事務業務を担当してくれた秘書の安東徳子さんに感謝します。本書を改訂出版していただいたメジカルビュー社編集部の吉田富生氏,宮澤進氏および山田麻祐子氏に心からお礼申し上げます。

平成29年7月
編者代表 白石 憲男

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初版 監修のことば

 近年,医療制度や医学教育のあり方が大きく変わろうとしている。とくに,医学部における医学教育や医師のキャリアパス形成に関する改革が進められている。この改革に影響を与えたものの一つとして専門医制度改革があげられる。この専門医制度改革は,2008年に社団法人化した「日本専門医制評価・認定機構」を中心に進められている。
 ご存知のように,日本消化器外科学会は,これまで,厳正な書類審査(手術経験数,学術集会への参加や発表論文など)と筆記試験,面接試験などを通じて専門医の認定を行ってきた。消化器外科を志す若き外科医たちは,消化器外科学会の専門医取得を一つの目標として精進しており,消化器外科専門医制度は,我が国の消化器外科医の知識水準や技術水準を高く維持することに貢献している。
 一方,大学の外科講座における最近の動向の一つとして,臓器別診療があげられる。近年,初期研修が終了した後,大学に所属せず,臨床研修病院に直接,就職して経験を積む外科医も出現している。このように,めまぐるしい世の中の変化の中で,高レベルの消化器外科水準を維持するために,消化器外科専門医制度の役割が益々,増大することが推測される。
 本書は,大分大学医学部附属地域医療学センター(外科分野)の白石憲男教授の呼びかけにより,これから消化器外科専門医試験を受験したいと希望している若き医師たちと専門医を取得したばかりの新人指導者による勉強会の集大成であり,消化器外科専門医が習得しておくべき最低限の知識をまとめた書物である。それゆえ,本書は,これから受験する若き外科医の教科書としてのみならず,指導書として,また勉強会のテキストとしても役立つものであると確信している。すべての消化器外科医に,ぜひ一読していただきたい書物である。
 最後に,このような書物を出版していただいたメジカルビュー社編集部の吉田富生氏と宮澤進氏に心から感謝したい。

平成25年8月
北野 正剛

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初版 序

 消化器外科を志す若き外科医にとって,消化器外科学会専門医を取得することは,大きな目標の一つである。消化器外科学会専門医試験は,執刀経験数,学術会議の参加経験,学術論文の執筆,消化器外科に関する幅広い知識,などが評価される。消化器外科専門医試験の合格率は約70%であり,難易度の高いものである。
 昨年のことだった。受験予定の若き医師の一人が「今更,何を勉強すればよいのか,わからない」と先輩医師に相談しているところを目にした。また,一昨年,受験に失敗した若き医師は,「従来からある有名な外科教科書を読んだつもりだったのに…」と頭をかかえていた。常日頃から,学術雑誌に目を通し,教育集会などに参加することは言うまでもないが,日常診療の忙しい日々の中で,改めて机について勉強することは,彼らにとって,大変な労力を要することのように思われた。そこで,消化器外科専門医を取得したばかりの医師を指導者として勉強会を始めた。まず,公表されている過去問題や教育集会テストを検討して,消化器外科医に要求される知識を把握し,その知識を整理することを行った。公表されている過去問題は,総論・消化管・肝胆膵と幅広く,かつ均等に出題されていた。
 本書は,その勉強会の集大成である。消化器外科専門医に要求される知識を簡便に習得していただくことを目的として作成したものであり,単なる試験対策本にならないように心がけた。消化器外科専門医受験生のみならず,指導者,そして,すべての消化器外科医たちの知識の整理書として活用していただければ幸いである。忙しい日常診療の合間に気軽に通読できるように,各項目の最初に「合格へのチェック」として類似・創作問題(合計3,000題以上)を掲載し,関連知識を「知識の整理」としてまとめる形式をとった。また,各項目のポイントを「専門医試験ではこんなことが問われる!」として注記した。本書を,大いに活用していただければ幸いである。 最後に,情熱を失わず,最後までともに勉強してきた著者7名に感謝します。また,本書の編集協力を担当してくれた平塚孝宏君,ならびに公開問題の解析などのご協力をいただいた協力者の皆様,事務業務を担当してくれた秘書の衞藤千鶴さんに心から感謝します。最後に,本書を出版していただいたメジカルビュー社編集部の吉田富生氏と宮澤進氏に心から感謝申し上げます。

平成25年8月
編者 白石 憲男
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目次

■総論
1.消化器外科的診察法・検査法
 (1)消化器癌における新しい画像検査PETと造影MRI
 (2)緊急内視鏡検査の適応(緊急検査)と禁忌,内視鏡の滅菌法,患者モニタリング法
2.消化器外科基本手技・処置
 (1)消化管吻合法の基本
3.術前・術後管理・合併症
 (1)術前の全身機能評価
 (2)静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症と肺塞栓症) 
 (3)高血糖高浸透圧症候群(非ケトン性高浸透圧昏睡) 
 (4)胃切除後の耐糖能
 (5)大腸切除の術前・術中腸管の準備
 (6)人工肛門の位置決めとケア
 (7)透析患者の周術期管理
 (8)術前術後の呼吸管理(開胸術を中心に)
4.外科とリスクマネージメント
 (1)クリ二カルパスの目的と効果
 (2)チーム医療とキャンサーボード
 (3)医療事故とその予防・対策
 (4)医療過誤・紛争・訴訟に対するマネージメント
5.救急外科・急性腹症
 (1)凝固検査と凝固異常
 (2)腹部外傷による腹腔内出血と臓器損傷
 (3)輸血
6.ショック
 (1)敗血症性ショックの病態
7.侵襲学と生体反応
 (1)炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカイン
 (2)外科的侵襲に対する生体反応
8. 出血・止血・輸血
 (1)下血の原因疾患
9. 損傷と創傷治癒
 (1)創傷治癒過程と促進・阻害因子
10.無菌・滅菌
 (1)消化器外科関係の消毒法(消毒水準)と消毒薬
11.外科感染症
 (1)SSI(危険因子・予防法)
 (2)臨床で注意したい感染症(フルニエ壊疽,偽膜性腸炎)
 (3)主な抗菌薬の基本事項
 (4)特殊な細菌による感染症
12.腫瘍
 (1)癌の疫学
 (2)癌の生物学:癌細胞の特徴・癌種別特徴・悪液質
 (3)腫瘍マーカー(陽性の癌種と偽陽性の原因)
 (4)後腹膜腫瘍
 (5)放射線治療と温熱療法(機序と効果)
 (6)癌治療における臨床試験
13.化学療法
 (1)消化器癌に対する抗癌剤の適応と作用機序,効果判定法
 (2)抗癌剤の副作用(有害事象)
 (3)分子標的治療薬(機序と有害事象)
14.消化器外科と免疫
 (1)腫瘍免疫と抗腫瘍免疫(感作機構,免疫細胞,サイトカイン,免疫療法,加齢)
 (2)腸管免疫とグルタミン
15.代謝・栄養
 (1)消化器外科代謝栄養の基本
 (2)術後ならびに消化器疾患に対する栄養管理
 (3)消化管ホルモン
 (4)中心静脈栄養
16.消化器外科と分子生物学
 (1)遺伝子変異(癌遺伝子, 癌抑制遺伝子)と遺伝子多型
 (2)消化器外科領域の分子生物学的トピックス
17.臓器移植
 (1)脳死移植の適応と除外基準
18.内視鏡外科
 (1)腹腔鏡下手術(二酸化炭素気腹の注意点)
19.緩和ケア
 (1)緩和ケア全般について
 (2)癌性疼痛
20.その他
 (1)消化管運動
 (2)消化器外科医が知っておくべき統計の基礎

■各論
Ⅰ.食道
1.解剖
 (1)食道走行および隣接臓器の解剖と食道の先天異常
 (2)食道の解剖と食道憩室
2.検査・診断法
 (1)食道の一般的な検査法
 (2)食道機能検査(食道内圧測定・24時間pH測定)
3.手術手技
 (1)食道術式と適応病名
 (2)食道癌手術手技において留意すべき点
 (3)食道切除後の再建術式とその特徴
4.良性疾患
 (1)食道裂孔ヘルニア
 (2)逆流性食道炎とBarrett 食道
 (3)特発性食道破裂とMallory-Weiss 症候群
 (4)食道アカラシア
 (5)食道ウェブ(Plummer-Vinson症候群を中心に)
 (6)食道粘膜下腫瘍
5.悪性腫瘍
 (1)食道癌の疫学
 (2)食道癌の組織型と深達度
 (3)食道癌のリンパ節転移とリンパ節郭清
 (4)食道癌の周術期管理と術後合併症
 (5)食道表在癌(診断・治療)
 (6)進行食道癌(浸潤画像診断・サルベージ手術・予後因子・NAC)

Ⅱ.胃
1.胃の解剖・発生・生理
 (1)胃の解剖・発生・生理
2.検査・診断法
 (1)胃癌に対する検査・診断法(透視・内視鏡・EUS・CT・ペプシノゲンなど)
3.手技
 (1)胃癌取扱いの表記と手術に関する臨床研究
 (2)胃切除後の再建術と幽門形成術
4.良性疾患
 (1)画像診断(粘膜下腫瘍の鑑別)
 (2)消化性潰瘍と吻合部潰瘍
 (3)胃MALTリンパ腫とピロリ菌
5.悪性腫瘍
 (1)胃癌の発生(多発・発生母地など)
 (2)胃癌の特殊な組織型(EBV 関連胃癌,AFP産生胃癌)
 (3)早期胃癌に対する治療[ESD(適応・合併症・再発),腹腔鏡手術]
 (4)進行胃癌に対する診断・治療(遠隔転移も含む)
 (5)スキルス胃癌に対する診断・治療 
 (6)食道胃接合部癌の診断・治療
 (7)胃癌の化学療法(術後補助化学療法,NAC,切除不能胃癌の化学療法)
 (8)胃カルチノイド
 (9)胃GIST(生物学的特徴・診断・治療)
 (10)胃悪性リンパ腫(生物学的特徴・診断・治療)
6.その他
 (1)胃切除後障害

Ⅲ.小腸
 (1)腸閉塞(原因・診断・治療・予防)
 (2)小腸腫瘍

Ⅳ.大腸
1.解剖・発生・生理
 (1)大腸手術で問題となる血管・間膜
 (2)大腸手術で問題となる神経
2.検査・診断法
 (1)大腸癌の内視鏡検査による深達度診断
3.手術手技
 (1)直腸手術の術式
4.良性腫瘍
 (1)家族性大腸腺腫症とその類似疾患
5.悪性腫瘍
 (1)大腸癌の基礎知識
 (2)早期大腸癌の診断と治療
 (3)切除可能な進行大腸癌の診断と治療
 (4)Stage Ⅳの大腸癌に対する治療方針
 (5)大腸癌に対する標準的な化学療法と分子標的治療
 (6)局所進行直腸癌に対する放射線治療法
 (7)大腸癌再発の診断と治療
 (8)直腸癌の治療方針(リンパ節郭清と術式)
 (9)遺伝性大腸癌(FAPとHNPCC)
 (10)痔ろう癌
 (11)直腸GIST
 (12)直腸カルチノイド
 (13)大腸イレウスの治療
6.炎症性疾患
 (1)炎症性疾患総論
 (2)潰瘍性大腸炎
 (3)クローン病
 (4)虚血性腸炎
 (5)その他の腸炎(偽膜性腸炎,閉塞性腸炎,感染性腸炎,腸結核)
7.その他
 (1)大腸憩室症
 (2)結腸軸捻転症
 (3)肛門疾患(痔核,裂肛,痔瘻)
 (4)イレウス症状をきたす小児外科疾患
 (5)その他知っておくべき大腸関連の専門用語

Ⅴ.肝臓
1.解剖
 (1)肝臓の静脈とグリソン鞘
2.検査・診断法
 (1)血液検査と肝予備能(肝炎・肝性脳症,肝線維化マーカー,肝予備能)
 (2)肝臓の画像診断
3.手技
 (1)系統的肝切除・門脈枝塞栓術(手技名と適応疾患)
 (2)肝切除術における合併症の予防
 (3)腹腔鏡下肝切除
 (4)肝切除における血行再建
4.良性腫瘍
 (1)肝血管腫(Kasabach-Meritt症候群を含む)
 (2)肝良性腫瘍の画像上の特徴
5.悪性腫瘍
 (1)肝細胞癌の類似疾患
 (2)肝細胞癌の疫学と画像診断
 (3)肝細胞癌の治療方針と治療成績
 (4)混合型肝細胞癌と胆管細胞癌
 (5)転移性肝癌の診断と治療
6.炎症性疾患
 (1)肝膿瘍の治療(抗菌薬の選択)
7.その他
 (1)肝内結石の疫学・病因・手術適応
 (2)腹部外傷(実質臓器を中心に)の診断と治療
 (3)肝移植の疫学・適応・手順
 (4)肝硬変の治療

Ⅵ.胆道
1.検査・診断法
 (1)胆道の解剖と画像診断
2.手技
 (1)胆管空腸吻合の術後合併症予防法と対策
3.良性疾患
 (1)胆嚢ポリープの手術適応
4.悪性腫瘍
 (1)胆嚢癌と胆管癌
 (2)胆管内乳頭状腫瘍
 (3)十二指腸乳頭部癌
 (4)肝門部胆管癌の診断と治療
5.炎症性疾患
 (1)胆道系の炎症性疾患(胆嚢炎・胆管炎)
6.その他
 (1)胆道系の先天異常疾患
 (2)胆石症と胆嚢腺筋症
 (3)胆汁外瘻と栄養障害

Ⅶ.膵臓
1.解剖
 (1)膵臓の発生と周囲の解剖
2.検査・診断法
 (1)膵疾患の内視鏡的逆行性膵管造影所見
3.手技
 (1)疾患と術式
 (2)膵頭十二指腸切除術(PD)の合併症予防
4.良性腫瘍
 (1)膵神経内分泌腫瘍の診断と治療
 (2)膵嚢胞性疾患(粘液性嚢胞性腫瘍,漿液性嚢胞性腫瘍)
5.悪性腫瘍
 (1)膵管内乳頭粘液性腫瘍
 (2)膵癌の診断と治療(手術療法)
 (3)膵癌の治療(化学療法と緩和ケア)
6.炎症性疾患
 (1)急性膵炎,自己免疫性(腫瘤形成性)膵炎

Ⅷ.脾臓
1.解剖
 (1)脾臓の間膜
2.良性疾患
 (1)脾摘の適応と脾摘後の合併症
 (2)食道胃静脈瘤
 (3)門脈圧亢進症

Ⅸ.腹膜・腹壁
1.ヘルニア
 (1)閉鎖孔ヘルニアの診断と治療
 (2)鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアの手術法
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