Medical Illustration 画力ゼロから始めるメディカルイラスト生活Medical Illustration 画力ゼロから始めるメディカルイラスト生活

第3回 ゼロから始める色鉛筆との真剣な交際

かつて世界は256色でできていました。
アナログの曖昧な、あるいは固有の色表現をデジタルとすることで共有できるものとし、我々は同じものを同じ色として確かに認識するようになったのです。
時を経て、ディープカラーなるものが跋扈する昨今となっては10億を超える色を操る術を人類は手にしています。そんな21世紀にたった36色でどうして人の心を打つ彩色ができるでしょうか(反語表現)。
三木さん
「そろそろ色塗りについて話を進めてもいいですか?」
ワタシ
「はい」
というわけで連載第1回以来の登場です、FABER-CASTELLのポリクロモス色鉛筆36色。プレゼント企画の商品にもなっているのに(https://www.medicalview.co.jp/50th/present/p02.shtml)ここまで出番ありませんでしたからね。あ、ご応募お待ちしております。
上質な色鉛筆といえばここかSTAEDTLERみたいなところありますよね。あとぺんてる? うちの親はクーピーしか買ってくれませんでしたが。
ワタシ
「用具についてはあんまりあれこれ言われなかったですが、色鉛筆だけはいいものをと指定が入りましたね。色もできれば多いのをと」
三木さん
「そうですね。こればっかりは使う色鉛筆で差が出ます。油芯のほうが色を伸ばしやすいですし、後で話しますが色を塗り重ねていくことになるので赤なら赤、青なら青で同系統の色が多いほうが使い勝手がよくなります」
ワタシ
「今回世界堂で買ったんですけど、色鉛筆ってバラ売りもしてるんですね」
三木さん
「なので、自分がよく使う色を後から買い足すのでもいいです。人体なら赤、オレンジ系統ですかね」
ワタシ
「なるほど! 世界堂すごいですね!」
三木さん
「推しますね」
本企画に開示すべき利益相反はありません。

さて、いい加減色塗りに入ることにします。
とりあえず前回Y本さんと上司Tが描いた手を塗っていきましょうかね。
三木さん
「よく観察しながら色を落としていきましょう。『これかな?』と思う色を見つけられたらその場所を少し塗ってみます。塗りつぶすというよりは、その色の線を引くような感じですね」
ワタシ
「さっき塗り重ねるって話がありましたが」
三木さん
「はい。輪郭線を描いたときと同じです。色も、いくつかの線を引いていくなかで納得できるものが見つかっていきます。同じ線画を何度も塗ってみたりします」
なるほど、そのためにまず手の絵をコピー取っておいたんですね。あ、はい。取ってたんです。
Y本さん
「手って結構赤いですね……」
三木さん
「そうなんです。肌色とかペールオレンジとかいいますが、肌は赤く見えるところが多くあります」
三木さん、そういうの。そういうのの講釈お願いしますよ。
三木さん
「本人が塗りやすければなんでもいいんです……同じような線が引きやすいのがいいですね。それを薄くしたり濃くしたりすることで陰影が表現できます」
上司T
「こんな感じ?」
Y本さん
「僕もできました」
ワタシ
「は? 上司Tうまいのでは? 企画意図わかってます?(威圧)」
上司T
「子供のお絵かきにつきあってるからね!」
三木さん
「黄色や黄緑の使いかたがいいです。赤との対比で肌のように見えてきます。手の甲には静脈が透けていることが多いので、青や緑といった色を下地に薄くおいておくのも効果的です」
おー、静脈。確かにしっかりと青みが浮き出ますね。太いし。複数あるし。
三木さん
「Y本さんは関節部の腱を赤で強調していますが、それなら指の関節は全部濃くしちゃいましょう。それからお二人とも、もっとどんどん線を重ねてください。その重ねかたの違いで場所ごとの色の差を表現します」
ワタシ
「違う色を使うのではなく?」
三木さん
「もちろんそれもありますが、同じ色の線で自然な陰影が出せます。例えば指を真上から見ると、腱の通っている中央に対して両サイドは赤が濃く見えませんか? これを再現できれば色でも立体感が出せます」
上司T
「静脈の側とか意外と暗い」
Y本さん
「改めて見ると爪って赤いんですね」
な……なんか二人が……絵描きっぽいこと言ってる!
三木さん
「気になった色はどんどん試しましょう。何色を塗ったらダメってことはないですし、重ねているうちにいい塩梅になったりもします。ポリクロモスの色鉛筆はこの重ね塗りにいいんです」
そんなこんなで仕上がった、二人の軌跡がこちら。
上達早くない?
え、上達早くない? Y本さん、あなた今朝まで美術2だったでしょ? 促成栽培にもほどがない?
このコーナー12回まで予定されてるんですけど。今3回目なんですけど。
あと上司T、次回から確実に出禁です。
Y本さん
「あんまり何種類も色使わなくてもいいんですね」
三木さん
「さっきもいいましたが、微妙に近い色を複数持ってると今みたいな陰影がもっと細かくつけられたりします」
上司T
「本当に塗りやすくてびっくりした。これ子供に買ってあげようかな」
三木さん
「おすすめです。気持ちよく色が伸びて塗りやすいからお子さんにいいですよ」
上司T
「これ36色だよね。じゃあ60色の買う
ワタシ
「なんでそこでマウント取ってくるんですか」