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第8回 ゼロから始める千夜術野物語 第二夜

前回のあらすじ
「美術5の血はなに色だーーーーっ!」
三木さん
「ではいよいよ解剖のイラストを術野のイラストにしていきましょう」
Y本さん
「おー」
ワタシ
「Y本さんの生気の薄さが若干気になりますが,進行としてはあってる。それで、まずどうしましょうか。解剖といいながら今骨しかないんですが」
三木さん
「骨が主役の手術であることは間違いないので,まずは骨を完成させてしまいましょう。特に術野のイラストで難しい『術野の深さ』の表現のためにはこの線画の時点でしっかりと描いておかないといけません」

Y本さん
「臼蓋のところは出っ張ったりへっこんだりで難しいですね」
三木さん
「陰で暗くする,大腿骨頭と向き合うところは少し明るくする,といったあたりは以前の応用ですね。寛臼骨の形を取るのが難しかったら解剖書を参考にしましょう」
Y本さん
「それやるとほとんど解剖書の写しになっちゃうんじゃ」
三木さん
「最初はみんな資料をみて描きます。頭に入ってくれば手癖で描けるようになりますよ。脱臼させた状態も直接描けるようになってきます」
ワタシ
「描ける人はみんなそういう……」
Y本さん
「こっちを向いて骨頭が……いや,こうかな?」
ワタシ
「いけない,Y本さんの線がところどころ弱気に! 三木さんフォローフォロー
三木さん
「筋鉤はですねー,いいですよ。白くすることで術野に深さを出せます。金属なんで骨に近いところなんかにはちょっとだけ映り込むのを再現しましょう」
Y本さん
「ええー,もうなんかぜんぜん違う」
ワタシ
「フォローつってんでしょ,なんで画力で殴るの
煽り運転か。
三木さん
「いえ,Y本さんのもちょっと解剖要素を描き足すだけで術野になりますよ。大殿筋と大転子に付着する中殿筋。これだけ」
ワタシ
「写真みると脂肪がいっぱいあるみたいですけど。あとなんだろこれ,靱帯?」
三木さん
「関節包ですかね。でも今回はカット。描きません」
Y本さん
「いいんですか?」
三木さん
「今回はそこに焦点があたっていないのでいいです。ノイズとなるものは描きません」
ノイズといい切ったな……しかし描かなくてもいい,というのは美術2にとってはありがたいお言葉。
だいたいなんか描き足してるうちにバランス崩れて収集つかなくなるのが常ですからね。
Y本さん
「必要な筋肉だけ描いて筋鉤がこんな感じで……」
Y本さん
「こう?」
三木さん
「あー,ふーん,なるほど。こうなりましたか」
その 『わたしにはあのときすべてわかっていたのです』みたいなことを後々言い出しそうな得心顔をやめていただきたい。
三木さん
「いえいえこのまま進めて塗ってみましょう。塗ってみてはじめてみえてくるものもあります。塗ればわかるさ,ありがとー
ワタシ
「ありがとうじゃないが」

つづき(第9回)は12月20日公開予定です。