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第9回 ゼロから始める千夜術野物語 第三夜

前回のあらすじ
三木さん
「この線画を塗ればどうなるものか,危ぶむなかれ,危ぶめば術野イラストはなし」
ワタシ
ワタシ「いや確実に術野イラストにしてくださいよできるだけ簡単に」
術野イラスト作成もいよいよ佳境,ついに着色に手を付けようかというときに,しかし指導役の三木さんは不穏な笑みを浮かべるのでした。
三木さん
「とにかく塗ってみましょう。それでわかることもあります」
ワタシ
「絵に限らず上級者の人ってそういう『失敗から学びましょう』的なこといいますけど,失敗も挫折もないほうが絶対にいいと思うんですけど。そもそもこの企画,楽して描きたいってのが根底にあるんですけど」
Y本さん
「まあまあ。とりあえず色を付けてみます。どこから塗るといいとかありますか?」
三木さん
「もちろん一番キモになる術野内からです。本丸から切り込みましょう。ただ,いきなり色を決めてしまわないで薄めから作っていくといいですよ。前回,手術の焦点が当たっていないからと一部の解剖をノイズとして除きましたが,逆に残った部分はなにを描いてあるのかをはっきりさせないといけません。そのための色付けです」

両名,術野内から着色開始。
Y本さん
「大殿筋,中殿筋,筋鉤,ここも大殿筋……あれ?」
ワタシ
「どしたん?」」
Y本さん
「なんか筋肉が……おかしい? ような?」
ワタシ
「そう?」」
三木さん
「はい,気づきましたね。それはY本さんが筋肉の付着部をいいかげんなままにしていたからです。線画だとなんとなくあってるようにみえたりもしますが,色を塗ると誤魔化せないのがみえてきますね。筋肉はどこからきてどこについているのか,これを意識するだけで違いますよ」
シルクロードみたいなこといってる。
三木さん
「それと,Y本さんはみたままの色に塗っていますね。でも写実ではないのでそこに拘る必要はありません。実際の色と違ってもポイントのところをわかりやすく鮮やかに,ほかのところを抑えめにしましょう」
Y本さん
「あー,腱板とか薄いグリーンにしたりしますね。あれですか」
三木さん
「あれです」
三木さん
「筋肉には向きがあるのでその方向に合わせて塗りましょう。筋鉤などの金属は縦に塗ると木のようにみえてくるので横に塗るのを基本にするといいですよ。線の密度の違いでところどころにテカり具合が作れます。全部に入れちゃうとうるさいので程々に」
Y本さん
「むむむ,こう,して,こうだー!」

それはまぎれもなく術野。
三木さん
「いいですよ! ちょっと間違いもありますがみせたいものは伝わってきます。術野イラストに一番必要なことです」
ワタシ
「それを聞きたかった」

つづき(第10回)は1月20日公開予定です。