慢性腎臓病(CKD)診療ガイダンス

慢性腎臓病(CKD)診療ガイダンス

■編集 松尾 清一
今井 圓裕

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5変型判  204ページ  
  • 2008年3月27日刊行
  • ISBN978-4-7583-0354-5

CKD対策の必携書

本書籍は,CKDの概念の変遷から診断基準,疫学,病態,治療までをQ&A方式で,慢性腎臓病対策委員会のメンバーが分かりやすく解説。明日からの診療にすぐにでも役立つように,専門医への紹介のタイミングも含めて体系的に紹介している。


序文

発刊に寄せて

 慢性腎臓病(CKD)は有病率が大変高いこと,CKDは市民にとって医学的にも社会的にも重大な負荷となること,しかしCKDはその進行段階に応じて適切な対策を講じることができること,が明らかにされている。これらの三つの点を満たしているCKDは,公衆衛生上の重要な対象となりうる要素を全て具備していると言う点で,社会を挙げて取り組むべき重要な疾患概念である。近年,米国やヨーロッパを中心にCKD対策の必要性が認識され,診療ガイドラインの作成や具体的な対策の立案と実行方法について検討がなされているのも,このような理由による。わが国は世界でも有数の透析大国であり,かつ透析患者数は右肩上がりにどんどん増加しており,全国民の約500人に一人が透析を受けている。新規透析導入患者を減少させるとともに,CKDに伴う合併症(特に心血管障害)を予防することは医療者のみならず,社会の大きな課題となっているのである。このようななか,数年前から日本腎臓学会や日本慢性腎臓病対策協議会を中心にして,CKDの疫学データの作成,腎機能の標準的指標として推奨されている糸球体濾過値(GFR)の簡易推算式の作成,CKD診療ガイドの作成,医療者・市民・社会・行政などへの啓発活動,国際協調,など多面的な取り組みが進められてきた。その結果,医療界や行政等において徐々にCKD対策の重要性が認識され,今や国を挙げての取り組みが始まろうとしていると言っても過言ではない。
 しかし注目され始めているとは言っても,CKDはまだまだ十分に社会が認識するところとはなっていないし,また医療者の間でもその内容にまで踏み込んで十分に理解されていない面もある。本書のなかでも紹介されているように,CKDは大変患者数が多く腎臓専門医のみで対処できるようなものではない。したがって,CKD対策でとりわけ重要な点は,腎臓専門医とかかりつけ医・非腎臓専門医・コメディカルスタッフ・患者自身との連携プレーである。CKDの概念を理解し,それぞれの職種が具体的な役割を認識して患者も含めた連携プレーを演じることが最も重要である。
 そのためには,日常診療において気軽に利用できるツールの一つとして,CKDを判りやすくかつコンパクトに解説した書が待望されていたわけである。本書は,編者らがこれまで関わってきた日本腎臓学会や日本慢性腎臓病対策協議会において検討されてきた項目をもとにして,CKDの重要なポイントをQ&A方式で項目毎に解説したものであり,誰にでも気軽に,しかも必要な部分を短時間で理解していただけるように工夫されている。今後ますます注目度が高くなると考えられるCKDの診療において,本書が皆様のお役に立てることを切に祈っている。

平成20年3月吉日
名古屋大学大学院腎臓内科学  松尾清一
大阪大学大学院老年腎臓内科学 今井圓裕
全文表示する

目次

Part 1 概念,対策
 1.CKDとはどのようなものですか? 疾患概念を教えてください。  松尾清一
 2.CKDは最近,なぜ注目されるようになったのでしょう?  松尾清一
 3.CKDの診断には腎障害と腎機能低下が用いられています。腎障害の有無を知るにはどうしたらよいでしょうか?  堀尾 勝
 4.CKDの診断で用いられる腎機能評価法(GFR)について教えてください。  堀尾 勝
 5.CKDは軽症から重症までさまざまなものを含んでいるようですが,CKDのステージ分類はどうなっているのでしょう? また,それぞれのステージの特徴を説明して下さい。  松尾清一
 6.CKDのステージ分類に蛋白尿の量は入っていませんが,考慮する必要はないのでしょうか?  塚本雄介
 7.微量アルブミン尿を示す場合はCKDに入るのでしょうか?  塚本雄介
 8.画像での異常を示すCKDにはどのような疾患がありますか?  新田孝作
 9.糖尿病性腎症の分類とCKDの分類は異なりますが,どのように使用すればいいのですか?  羽田勝計
 10.世界中でCKD対策が行われていると聞きますが,世界の動きとしてはどのようなものがあるのでしょうか?  塚本雄介
 11.日本慢性腎臓病対策協議会とはどんな組織で,何をしているのでしょうか?  井上達之,安田宜成,槇野博史
 12.腎臓専門医の数と分布を教えて下さい。  今井圓裕
Part 2 疫学   
 1.世界と日本における末期腎不全(透析や移植を必要とする進行した腎不全−ESRD;end stage renal disease)の現状と,今後の見通しを教えてください。  伊與田雅之,秋澤忠男
 2.何故,世界中で腎不全が急速に増加しているのでしょうか? その理由と背景を説明して下さい。  伊與田雅之,秋澤忠男
 3.加齢で腎機能は低下すると言われていますが,日本人の加齢による腎機能低下速度はどれくらいですか? また,欧米人と比べて違いはあるのですか?  今井圓裕
 4.疫学データから,どのようなCKD対策が必要と考えられますか?  井上達之,槇野博史,松尾清一
 5.わが国の蛋白尿を有する人口はどの程度でしょうか?  斎藤知栄,山縣邦弘
 6.わが国の血尿を示す人口はどの程度でしょうか?  斎藤知栄,山懸邦弘
 7.CKDおよびESRDが医療経済に及ぼす影響を説明して下さい。  斎藤知栄,山懸邦弘
Part 3:成因と病態   
 1.どのような人がCKDになりやすいのでしょうか? CKDのハイリスク群について説明して下さい。  新田孝作
 2.遺伝的にCKDになる場合はあるのでしょうか?  新田孝作
 3.CKDではなぜ心血管障害の発症が増えるのでしょうか?   伊藤貞嘉
 4.CKDに合併する心血管障害とは具体的にどのようなものですか?  伊藤貞嘉
 5.日本人は脳血管障害の発症率が高いと言われています。CKDと脳卒中の関連はどうなっているのでしょう?  伊藤貞嘉
 6.CKDはある程度進行すると腎機能低下は回復できないと言われていますが,本当でしょうか?  井関邦敏
 7.腎性貧血はなぜ起こるのでしょうか? またその診断法や全身に与える影響を説明して下さい。  伊與田雅之,秋澤忠男
 8.Cardiorenal anemia syndromeはどういう病態ですか?  伊與田雅之,秋澤忠男
 9.CKDではなぜ,カルシウムリン代謝の異常が起こるのでしょうか?  伊與田雅之,秋澤忠男
 10.CKDにおける高カリウム血症について,成因や治療法について説明して下さい。  原 茂子,辻 裕之
 11.CKDでは高血圧症の合併症も多いと聞いています。どのようなメカニズムで起こるのですか?  木村健二郎
 12.CKDでは代謝性アシドーシスがみられるのはなぜですか?  原 茂子,辻 裕之
 13.心臓が悪い症例では,CKDが多いのはなぜですか?  伊藤貞嘉
 14.アルブミン尿は腎機能と並んで予後や心血管障害の合併を規定する重要な要素です。アルブミン尿はなぜ,腎臓や心血管系に悪いのですか?  伊藤貞嘉
Part 4 臨床的意義   
 1.CKD診療における尿検査の意義について教えて下さい。  斎藤知栄,山縣邦弘
 2.小児のCKDの診断法について教えて下さい。腎機能はどのように評価するのでしょうか?  上村 治
 3.高齢者のCKDは成人のCKDとどこが違うのでしょうか? また,何に注意して診療を行えばいいですか?  今井圓裕
 4.CKD患者に造影剤を使用した検査をしたいと思いますが,どのような注意が必要ですか?  今井圓裕
 5.腎臓専門医にCKD患者を紹介する目安について教えて下さい。  水政 透,平方秀樹
 6.腎生検の適応と合併症について教えて下さい。  水政 透,平方秀樹
 7.蛋白尿と血尿ではどちらが重要ですか?  水政 透,平方秀樹
 8.腎臓専門医と非専門医の併診はどのようにするのですか?  水政 透,平方秀樹
 9.CKD患者のフォローアップの仕方について解説して下さい。  水政 透,平方秀樹
 10.どのステージで透析や移植の情報提供をはじめたら良いでしょうか?  鈴木祥代,倉田 圭,稲熊大城
 11.透析導入の目安はどのようになっているでしょうか?  倉田 圭,鈴木祥代,稲熊大城
 12.透析導入前の管理の善し悪しは,透析導入後の患者にどのように影響しますか?  稲熊大城,鈴木祥代,倉田 圭
Part 5:生活習慣病の改善   
 1.喫煙がCKD患者に及ぼす影響について教えて下さい。  守山敏樹
 2.水をたくさん飲んだ方がいいと言われましたが,本当でしょうか?  守山敏樹
 3.CKDでは飲酒は大丈夫でしょうか?  守山敏樹
 4.CKD患者における蛋白質摂取制限について,説明して下さい。  守山敏樹
 5.CKD患者はどの程度,運動してよいのでしょうか?  井関邦敏
 6.CKD患者にとって肥満は,どの程度の悪影響を及ぼすのでしょう?  井関邦敏
 7.糖尿病のCKD患者を治療する時の留意点は何ですか?  羽田勝計
 8.糖尿病を有する腎不全患者の食事療法はどのようにすれば良いでしょう?  羽田勝計
 9.高血圧を有するCKD患者における生活習慣改善は,どのようにすれば良いですか?  木村健二郎
 10.ストレスはCKD患者にとってどのような影響が予想されますか?  原 茂子,辻 裕之
 11.健康診断で尿蛋白が陽性と言われて来院したCKD患者に,どのように対処すれば良いですか?  原 茂子,辻 裕之
Part 6 薬物治療   
 1.CKD患者に薬を投与する場合の基本的なルールについて教えて下さい。  安田宜成,田中章郎
 2.CKD患者における目標血圧はいくらですか?  福田道雄,木村玄次郎
 3.アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は,どの程度の腎機能低下まで使用可能でしょうか?  福田道雄,木村玄次郎
 4.ACEIとARBには腎臓への作用に差があるのでしょうか?  福田道雄,木村玄次郎
 5.CKD患者における複数の降圧薬の併用療法について,説明して下さい。  福田道雄,木村玄次郎
 6.腎性貧血にはどのように対処したらいいですか?治療目標は?  伊與田雅之,秋澤忠男
 7.CKD患者におけるカルシウム・リン代謝異常の種類と対処法を教えて下さい。  伊與田雅之,秋澤忠男
 8.CKD患者に鎮痛薬を処方する時の注意点を説明して下さい。  安田宜成,田中章郎
 9.CKD患者における経口吸着薬を使用する際の注意点は何ですか?  伊輿田雅之,秋澤忠男
 10.CKDにおける脂質の管理はどのようにしたら良いですか?  木村健二郎
 11.CKD患者にみられる高カリウム血症を治療する際の注意点を説明して下さい。  原 茂子
 12.CKD患者における血糖コントロールの方法と留意点について説明して下さい。  羽田勝計
 13.高齢者CKDにおける薬物投与の注意点について教えて下さい。  今井圓裕
全文表示する