そこが知りたい抗血栓療法

そこが知りたい抗血栓療法

■編集 後藤 信哉

定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
  • B5判  260ページ  2色(一部カラー)
  • 2011年8月26日刊行
  • ISBN978-4-7583-0360-6

使用方法,適応疾患,実臨床で役立つポイントをプロフェッショナルが徹底解説

抗凝固・抗血小板薬は,循環器領域における必須薬剤の1つである。しかし,投与量や投与方法に関しては,まだまだ血小板活性のメカニズムや抗血小板薬の薬理を十分に理解したうえで使用しているとはいえない現状である。また,古典的な薬剤に加え,新しい薬剤が近年複数開発されており,身につけなければいけない知識も多い。その結果,臨床現場ではまだまだ手探りの状態で投与が行われている部分もある。
そこで本書では,読者が「そこが知りたい」と考える抗血栓療法の薬剤使用方法や適応疾患,臨床現場で役立つ各病態別のポイントをプロフェッショナルが解説。使用例も複数紹介し,効果的かつ安全に抗血栓療法を行うために必須の書籍である。


序文

 書籍を編集する機会が増えた。しかし,これほどまでにタイムリーに読者の方のニーズにお答えする書籍の編集に寄与できたことは過去にない。題名こそ「そこが知りたい抗血栓療法」であるが,「抗血栓療法」にかかわらず日常臨床に必要な知識を広くカバーする内容である。初学者であっても,経験を積んだ臨床医であっても,本書から得るものは多いはずである。読者諸兄よりも一足先に読ませて頂いた編集者として,本書を多くの臨床医に自信をもって勧めることができる。
 筆者はいずれも当該分野において日本を代表する専門家である。記載されている内容はわかりやすいが,深みがある。筆者は編集者ではあるが,すべての筆者のすべての記載に一人の医師,医学研究者として同意するわけではない。編集者である本稿の筆者の考えとは異なる考えの筆者もいるが,あえて全体の統一をとる努力をしなかった。一冊の書籍であっても複数の筆者がいれば,内容が完全に統一されている必要はないと考えた故である。賢明な読者諸兄は一読されれば編集者の意図をご了解いただけると信じている。
 本書が常に「bests for patients」をめざす日本の臨床医の先生方のお役に立てれば幸甚である。

2011年7月
東海大学医学部内科学系循環器内科教授
後藤信哉
全文表示する

目次

I 一般臨床になぜ抗血栓療法が必要か?
 一般臨床になぜ抗血栓療法が必要か?  後藤信哉
 一般臨床における抗血栓療法の重要性/抗凝固薬と抗血小板薬/Evidence Basedの介入推奨の難しい抗血栓介入/[コラム]一般臨床と抗血栓療法
 
II 一般外来診療における抗血栓療法の種類は?
 抗血小板療法  小田 淳
 本項で扱う薬物およびその用法/血栓症におけるわが国の独自性/アスピリン抵抗性/クロピドグレル抵抗性/[コラム]抗血小板薬の発がん抑制および促進効果
 
 抗凝固療法  是恒之宏
 作用機序と適応疾患/ワルファリン(商品名:ワーファリン)/ダビガトラン(商品名:プラザキサ)/[コラム]これからの薬剤 押さえておきたいポイントと将来性
 
III 抗血栓療法の適応疾患は?
 一次予防と二次予防  副島弘文,小川久雄
 アスピリンの一次予防効果/アスピリンの二次予防効果/[コラム]一次予防と二次予防
 
 冠動脈疾患  戸田恵理,後藤信哉
 一次予防/日本での一次予防/二次予防/[コラム]冠動脈疾患による抗血栓療法
 
 脳血管疾患  山崎昌子,内山真一郎
 脳梗塞の臨床病型/脳梗塞急性期の治療/脳梗塞慢性期の再発予防/[コラム]心原性と非心原性の違いとは?
 
 末梢血管疾患  進藤俊哉,重松 宏
 慢性動脈閉塞/急性動脈閉塞/急性静脈閉塞/慢性静脈血栓症/[コラム]抗血栓療法の使い分け
 
 不整脈,心房細動  大塚崇之,山下武志
 抗血栓療法が必要な不整脈は?/心房細動と塞栓症/ガイドラインにおける心房細動に対する抗血栓療法の適応/[コラム]出血性合併症の発症に対するHAS-BLEDスコア
 
IV 各種血栓性疾患の病態に応じた抗血栓療法をいかに考えるか?
 冠動脈疾患  中川義久
 虚血性心疾患の病態による違い/不安定狭心症での抗血栓薬使用のガイドライン/虚血性心疾患慢性期における抗血栓療法/カテーテルインターベンションにおける抗血栓療法/[コラム]外科手術とPCIのどちらを先に行うか?
 
 脳血管障害  棚橋紀夫
 脳梗塞の一次予防/脳梗塞の二次予防/[コラム]非弁膜症性心房細動患者の脳塞栓症予防に抗血小板薬は有効か?
 
 末梢血管疾患  木村秀生,宮田哲郎
 慢性動脈閉塞/急性動脈閉塞/深部静脈血栓症/[コラム]欧米におけるDVTに対する抗血栓療法
 
 不整脈疾患  池田隆徳
 心原性脳塞栓症の疫学/抗血栓療法に使用する薬剤/心房細動/心房粗動/洞(機能)不全症候群/カテーテルアブレーション治療/埋め込み型デバイス治療/今後の展望/[コラム]欧州心臓病学会の心房細動治療ガイドライン
 
 人工弁  戸田宏一,小林順二郎
 人工弁置換術後抗凝固療法/観血的処置が必要な場合の抗凝固療法のコントロール/抗凝固療法が過剰に効いている場合の対処/妊娠中の抗凝固療法/血栓弁/新しい抗凝固療法/[コラム]人工弁患者のPT-INR自己測定
 
V 抗血栓療法の薬効評価は?
 ワルファリンの薬効評価  中山享之,小嶋哲人
 ワルファリンの薬効を理解するための血液凝固概論/ワルファリンの特徴および作用機序/ワルファリンの薬効評価/[コラム]抗凝固療法の今後
 
 ワルファリンの遺伝子型と薬効予測  大野雅子,東 純一
 ワルファリンの応答性には10倍以上の個人差がある/ワルファリンの代謝と抗凝固作用機序/ワルファリンの薬効予測に必要な遺伝子多型情報/遺伝子型情報からワルファリンの薬効を予測し,維持投与量を推定する/ワルファリンの遺伝子多型に対する米国における動向/遺伝子多型を用いた薬効評価と予測の実際/今後の展望/[コラム]遺伝子多型で切る〜ワルファリン療法におけるブコローム併用投与〜
 
 抗血小板薬の薬効評価  佐藤金夫,尾崎由基男
 薬効評価の意義/薬効評価の測定法/薬効評価の問題点/[コラム]薬効評価はなぜ必要?
 
VI こんなときどうする? 日常診療で出会う病態と抗血栓療法
 急性冠症候群  村崎かがり
 血管の内因性抗血栓機構,止血凝固機構/急性冠症候群における抗血栓療法/抗血栓療法中の止血/[コラム]心房細動を伴う症例に対する,薬剤溶出性ステント留置について
 
 冠動脈インターベンション  河村朗夫
 抗血栓療法の役割/冠動脈インターベンションにおける抗血栓療法の変遷/ステント血栓症のメカニズム/冠動脈インターベンションにおける抗血栓療法の実際/クロピドグレルの諸問題/次世代の抗血栓療法/[コラム]薬剤溶出性ステント(DES)とステント血栓症
 
 薬剤溶出性ステント使用後  伊苅裕二
 薬剤溶出性ステントでは,死亡,心筋梗塞は増加するのか?/血栓症の定義の問題/日本におけるステント血栓症の発生率/いつまで抗血小板薬を使うべきか?/[コラム]冠動脈治療と血栓症
 
 人工ペースメーカ挿入時  岡村英夫,鎌倉史郎
 ガイドラインとエビデンス/実際の対応/それでも血腫ができてしまったら/今後の展望/[コラム]抜歯の抗血栓療法は?
 
 開腹,開胸手術時  左近賢人
 開腹,開胸手術におけるVTE予防と抗凝固療法/周術期VTEに対する抗血栓療法で注意すべきこと/[コラム]VTE発症のメカニズムと予防
 
 内視鏡治療時  矢田智之,上村直実
 内視鏡治療に合併する出血リスクと実際の止血術について/抗血栓薬と消化器内視鏡ガイドラインの変遷/現在設定されているガイドラインの問題点/海外のガイドラインの動向/今後の展望/[コラム]内視鏡治療時の落とし穴 こんな症状に要注意
 
 心房細動  新 博次
 心房細動の病態と発症/日本循環器学会の「心房細動治療(薬物)ガイドライン(2008年改訂版)」/TTR(time in therapeutic range)とは/わが国の抗凝固療法の現状/今後の抗凝固療法/心房細動除細動に際しての対応/高齢者,妊産婦への対応/抜歯や手術時,出血時の対応/[コラム]発作性心房細動でたまにしか発作がない症例には抗凝固療法は不要か?
 
 弁膜症  玉田智子,大倉宏之
 僧帽弁膜症/大動脈弁膜症/生来の弁の感染性心内膜炎/[コラム]炎症と左房内血栓
 
 糖尿病と抗血栓療法  福富達也,野出孝一
 糖尿病の合併症が生活の質を低下させる/糖尿病患者における易血栓性の機序/血管内皮機能と血栓形成制御/糖尿病におけるアスピリン療法/その他の抗血小板薬/他疾患合併における抗血栓療法/[コラム]これからの薬剤−PKC阻害薬
 
VII 実際の処方における注意は?
 抗血小板治療の実際と注意  佐瀬一洋
 血小板の機能と血栓症/抗血小板療法の基本としてのアスピリン/ADP受容体阻害薬の現状と今後/分子血管生物学の進歩と抗血小板療法の広がり
 
 経静脈的抗凝固薬の実際と注意  榊原 守
 経静脈的抗凝固薬のメカニズム/各々の経静脈的抗凝固薬の特徴,使用法,注意点/[コラム]これからの経静脈的抗凝固薬の展望
 
 経口抗凝固薬使用の実際と注意  後藤信哉
 経口抗凝固薬ワルファリンの特徴/新規経口抗凝固薬/ワルファリンと新規経口抗凝固薬の差異/[コラム]ワルファリンの時代は続くか?
全文表示する

関連する
オススメ書籍