眼科インストラクションコース 10

診療ガイドラインに準拠した

視神経と視野による緑内障診断完全マスター

視神経と視野による緑内障診断完全マスター

■担当編集委員 谷原 秀信

定価 10,450円(税込) (本体9,500円+税)
  • A4変型判  180ページ  オールカラー
  • 2007年1月24日刊行
  • ISBN978-4-7583-0720-8

視神経と視野の所見から行う緑内障診断のコツとポイントをマスターしよう!

視神経乳頭の観察,視神経周囲の観察,視野の計測,それぞれの結果を総合的に見て緑内障を診断する,という手順ごとに章分けしわかりやすく解説した一冊。視神経乳頭では眼底写真の典型例とバリエーションを掲載し,見間違いやすい所見についても解説している。緑内障診療ガイドラインは2006年秋に改定が行われたが,それにより何が変わったか,についても記載している。


序文

 科学的根拠に基づいた医療(evidence-based medicine;EBM)という概念は,現在の臨床医学の基盤となっている。緑内障診療に関しても,大規模な前向き臨床研究や疫学調査による科学的根拠によって,診療指針は新しく構築されようとしている。国の厚生行政や医療経済的側面からも,科学的根拠に基づいた医療の標準化は,医師の裁量権を尊重しつつも,時代の要請となっている。日本緑内障学会では,このような潮流のなかで,緑内障診療ガイドラインを作成して,発表している。日本緑内障学会が策定した診療ガイドラインとその改訂作業の経緯と意義については,ガイドライン作成委員会 阿部春樹委員長に執筆していただいた序「緑内障診療ガイドラインについて」に詳しく記載されている。
 緑内障診療ガイドライン改訂作業において,新規に採用された記載内容のなかでも,特に重要であるのは,緑内障性視神経症(glaucomatous optic neuropathy;GON)の概念と臨床的な判定基準であろう。優れた緑内障診療の第一歩は,緑内障性視神経症の機能と構造における異常の程度と病態を把握することである。本書籍は,「診療ガイドラインに準拠した 視神経と視野による緑内障診断完全マスター」という表題が示すように,改訂された診療ガイドラインの内容を踏まえて,日常診療において必要な基礎知識を,多数の写真や図表を駆使して解説するために企画された。
 「眼科インストラクションコース」シリーズの特徴は,図解や注釈,吹き出しコメントなどを多用することで一読理解できるような構成を意識したことがあり,教えられる側が何を求めているのか,ピンポイントかつ具体的にイメージできるという点があげられる。これらの特徴は,本書においても遺憾なく発揮されている。本書は,視神経乳頭と周囲組織における構造的(形状)異常,視野で示される機能異常,症例呈示で示される総合的判定などが記載されている。視神経乳頭や視神経周囲組織の構造的異常については,観察手法から陥凹拡大,ノッチング,ラミナドットサイン,下掘れ,皿状陥凹,血管偏位,線状出血,傍視神経網脈絡膜萎縮,網膜神経線維層欠損などが豊富な写真で紹介されている。視野異常については,緑内障の特徴から,視野の読み方,視神経症の進行に対する判断基準などが記載されている。さらに,具体的な緑内障症例の眼底所見や視野の異常をきれいな写真で呈示しながら,構造と機能の異常を対比しつつ下す総合的判定の詳細に踏み込んでいる。記載内容は,日常診療の基本的知識から,最新の診断技術までを包含しているが,あくまでも一般眼科医や若手医師にとって日常診療に役立つという視点で統一されている。すべての記述は,「インストラクションコース」の名称に相応しい要点を簡潔に押さえた文章にまとまっている。若手眼科医が明日からの診療に,そして指導医がこれからの臨床指導に役立てていただければ幸いである。

2006年12月
谷原秀信
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目次

視神経乳頭
 視神経乳頭観察手法のコツと落とし穴
 視神経乳頭陥凹の拡大と陥凹乳頭(C/D)比
 緑内障視神経症での視神経乳頭の色調と形態
 特徴的な視神経乳頭所見「ノッチング(notching)」
 特徴的な視神経乳頭所見「ラミナドットサイン(laminar dot sign)」〜乳頭陥凹部内のドット状の網目部分に注目してみよう〜
 特徴的な視神経乳頭所見「下掘れ(undermining)」
 特徴的な視神経乳頭所見「皿状陥凹(saucerization)」
 緑内障視神経症における視神経血管の偏位
 視神経乳頭形態を分類してみよう
 視神経乳頭所見の進行はどうやって観察するの?
 [Topics]緑内障性視神経乳頭・網膜神経線維層変化判定ガイドライン
 [Advice]視神経症と正常眼圧緑内障の鑑別のコツ
 [Advice]視神経乳頭の先天異常にはこんな形態がある
 [Topics]視神経乳頭形状の画像解析
 [Topics]視神経血流の評価装置
視神経周囲組織の所見
 視神経乳頭出血の病的意義
 乳頭周囲網脈絡膜萎縮(PPA)と近視性乳頭コーヌスの鑑別と予後判定
 [Topics]緑内障視神経症の進行とPPA
 神経線維層欠損の観察におけるコツと落とし穴
 [Topics]神経線維層の画像解析装置について
視野
 緑内障視野異常の特徴と鑑別診断
 [Advice]偽緑内障の視野と視神経(頭蓋内病変)
 静的視野計の種類とプログラムをどう使い分けるのか
  Humphrey視野をとってみよう
  Octopus視野計による静的視野測定
  その他の視野計
 静的視野の読み方,見方のコツと落とし穴
  Humphrey視野を読んでみよう
  Octopus視野による静的視野の読み方
  その他の視野計
 動的視野の読み方,見方のコツと落とし穴
 緑内障視神経症の「進行」をどう確認するか
 [Advice]視野異常の進行による治療方針の変更における実例
緑内障視神経症の総合的判定:視神経乳頭形状,視神経周囲組織,視野の対応
 視神経乳頭形状と対応する視神経周囲組織はどのように観察されるか
 視神経乳頭形状,視神経周囲組織と視野異常の対応をどう同定するか
 実例で観る緑内障視神経症の形状と機能(1)原発開放隅角緑内障
 実例で観る緑内障視神経症の形状と機能(2)正常眼圧緑内障
 実例で観る緑内障視神経症の形状と機能(3)発達緑内障
 実例で観る緑内障視神経症の形状と機能(4)原発閉塞隅角緑内障
 実例で観る緑内障視神経症の形状と機能(5)続発緑内障(ステロイド緑内障)
 実例で観る緑内障視神経症の形状と機能(6)偽緑内障の鑑別(虚血性視神経症)
 実例で観る緑内障視神経症の形状と機能(7)偽緑内障の鑑別(頭蓋内病変)
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