MDCT徹底攻略マニュアル

CD-ROM付き

MDCT徹底攻略マニュアル

■監修 片田 和廣

■編集 佐々木 真理

定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
  • i_cdrom.jpg
  • B5判  264ページ  イラスト60点,写真700点,CD-ROM付き
  • 2002年4月9日刊行
  • ISBN978-4-7583-0800-7

MDCTを悠々自在に扱える究極のマニュアル

MDCT(Multidetector-row CT)の普及と進化は極めて急速で,多くの施設において臨床応用されている非常に有用性の高い画像検査装置である。本書は,「基礎編」「実践編」「将来編」の3部構成で,MDCTの「概念」「基礎・原理」「活用のノウハウ」「臨床応用」「今後の展望」につき簡潔明瞭に解説してある。「基礎・原理」については,臨床に直結した即役立つ内容を編集の佐々木先生にイラストを多用してわかりやすく解説して戴いた。「臨床応用」については各専門分野のエキスパートの先生方より極めて密度の濃い内容をご提供戴いた。「将来編」については,「MDCTの生みの親」である片田先生にご執筆戴き「技術的進歩」「臨床的進歩」について非常に興味ある情報をご提供戴いた。
本書は,本文全ページを「PDFデータ」として「CD-ROM」に収納してある。平面的な印刷物では到底表現できない「MDCTの容積データ」,なかでも「動画像」を「CD-ROM」に数多く収納した。「動画像」は,臨床における貴重なデータとして,ご執筆者の先生方よりご提供戴いたもので,MDCTのダイナミックな映像をあますことなく伝えられるものと確信している。


序文

監修の序

 CTが世に出てから30年になる。日本に最初にCTが導入されたのは1975年であるから,既に現役医師の約4分の3以上は,CTがない時代の医療を知らないということになる。CTのない医療がどのようなものかは,50歳代以上の医師は身にしみてよく知っているはずである。若い医師でも,外傷や脳血管障害などの日常診療を思い浮かべれば,容易に想像がつくであろう。
 このように重要な役割を果たしてきたCTであるが,現在までにいくつかの大きな節目をくぐり抜けてきた。MRIの出現,ヘリカルスキャンの開発,リアルタイムCT,そしてMDCTの登場がそれである。なかでもMDCTは,1つの大きな節目,いや,これまでで最大の変革といえるかもしれない。
 MDCTの普及と進化は急速である。CT登場からヘリカルスキャンまでに17年,ヘリカルスキャンからMDCTまで8年を要していることを考えれば,それが如何に急速かがわかる。なにせ,4列システムが出てから3年で8列へ,1年あまりで16列へと進み,さらに256列の実験機すら画像が出るまでになっているのだから。これは,これまでにどの医用機器も経験したことのない速度である。
 なぜこれほどまでに急速に進んでいるのか?簡潔に言えば「役に立つ」からに他ならない。例え最も保守的な意見を述べる医師にとってすら,患者さんの息止め回数を減らし,検査時間を圧倒的に短くすることの意義は否定できないであろう。それにもまして,MDCTが,多くの領域でこれまで得られなかった貴重な情報をもたらしていることは,本書の内容からも明らかである。
 このように大きな関心を集めているMDCTであるから,これまでに既に多くの教科書,単行本,雑誌の特集などが発行されている。そこに屋上屋を重ねるように,新しいMDCT本を上奏する意義がはたしてあるのか?私は確信をもって「ある」と言い切りたい。
 これまで発行されてきたMDCT本はすべて,MDCTをCTの延長でとらえている。このことについて常々佐々木先生と私は物足りなさを感じていた。MDCTは単に“速いCT”ではなく,X線を情報キャリアとして用いるすべての画像診断を変革する可能性をもった新しいモダリティなのである。その導入がわれわれに迫っているのは,小手先の対応ではなく,いくつものパラダイムシフトである。本書は巻頭から巻末まで,そのような明確なコンセプトを基に構成されている。本書の記述の特徴は,簡潔明瞭で「切れの良い」ことである。また,当たり障りのない記述ではなく,随所に著者の主張が色濃く反映されている。そこに,佐々木先生を始めCTを「当たり前」のものとして育った世代でなければ生み出せない“潔さ”が感じられる。MDCTについて何かを求めている読者は,必ずや本書から多くのヒントを得るであろう。
 最後に,本書の企画を通じて,価値観を共有する多くの理解者に巡り会えたことは,CTとともに歩んできた一研究者として望外の幸せであったことを記して,監修者の序としたい。

2002年3月3日
片田和廣
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編集の序

 私が初めてMDCTを使用した時の感動,興奮は今でも忘れられない。“これはもはやCTではない!”と直感し,新しい時代のX線画像診断,即ち容積画像診断の到来を確信した。
 MDCTは爆発的に普及し,多くの施設で臨床応用されている。しかし,現行の装置が未成熟な第一世代であることもあり,"マルチスライス撮影による高速CT"という殻からは脱皮しきれていないように思う。検査法や読影法についても十分な吟味がなされず,現在求められているスリムで効率的な医療にそぐわない状況も散見される。MDCT装置の進歩は極めて急ピッチであり,次世代,次々世代装置が臨床の現場に投入されるのはさして遠いことではない。MDCTに携わる者の意識改革なしにはMDCTの性能を十分に引き出し患者さんに還元することは難しいのではないだろうか。
 本書ではMDCT産みの親ともいえる片田和廣先生に監修をお願いし,MDCTの概念,基礎,実践,将来について本質をわかり易く解説することを目標に編集した。基礎的事項については一放射線科医である私があえて執筆した。ポイントを絞った平易な内容にすると共に,臨床との繋がりを意識した記載に努めた。避けては通れない被曝,医療経済,根拠に基づく医療についても触れた。実践編の執筆は全国の各分野のエキスパートの先生方にお願いすることができた。MDCT活用のノウハウや臨床応用について極めて密度の濃い原稿を頂戴した。主要疾患については,高いエビデンスの研究や国際ガイドラインについても触れて頂いた。また,片田先生には監修者みずからMDCTの最先端と将来の指針についてご執筆頂けた。
 MDCTの容積データのインパクトをあますことなく伝えるにはカラー画像や動画像が不可欠である。そこで本書ではCD-ROMを添付し,これらを読者にお届けすることにした。本文は杏林大学放射線医学教室高原太郎先生の極めて視認性の高い形式を踏襲させて頂いた。本方式の使用を快諾してくださった高原先生には感謝してやまない。片田先生には細部に至るまで監修していただき,分担執筆の先生方からも多数のご意見を頂戴し,本書のレベルをより高いところに導いていただいた。また,恩師である岩手医科大学放射線科教授玉川芳春先生,脳神経外科教授小川彰先生には多くのご指導を賜った。刊行にあたってはメジカルビュー社編集部スタッフ,内堀明美さん(レイアウト),中沢ゆいさん(装幀,イラスト)の献身的なご尽力を頂戴した。この場をかりて御礼申し上げたい。
 これからの厳しい医療情勢のなかで,本書がMDCTという次世代のX線診断装置を健やかに育む一助となり,ひいては患者さんに恩恵をもたらすことにつながれば幸いである。

2002年3月
佐々木真理
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目次

I 基礎編
1 MDCTとは
2 装置
3 他の検査法との比較
 3-1 MDCT対平面検出器
 3-2 MDCT対コーンビームCT
 3-3 MDCT対EBT
 3-4 MDCT対MRI
4 ヘリカルスキャンと画像再構成
5 造影剤
6 画質と容積データ
7 画像処理
8 読影,画像管理
9 放射線被曝
10 経済的側面,性能維持
11 EBMとMDCT
 
 II 実践編
1 頭部
 1-1 頭部CT
 1-2 超急性期脳虚血のCT診断
 1-3 頭蓋内CTA
 1-4 脳血管(頸部)
 1-5 CT perfusion
2 頭頸部
 2-1 頭蓋底,眼窩,副鼻腔
 2-2 側頭骨(内耳,中耳)
3 脊椎,脊髄
4 骨,関節
5 肺,気道
6 心臓
 6-1 撮影:技術的側面
 6-2 冠状動脈の石灰化スコア
 6-3 冠動脈
7 大血管およびその分枝
 7-1 技術
 7-2 大動脈瘤および大動脈解離
 7-3 Adamkiewicz動脈
8 末梢血管
9 腹部
 9-1 肝・胆・膵
 9-2 腸管
10 骨盤,後腹膜
 10-1 腎血管
 10-2 腎実質,腎盂,尿管
 10-3 後腹膜,骨盤
 
 III 将来編
1 MDCTの将来
 1-1 技術的進歩
 1-2 臨床的進歩
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