脳神経外科学 必修講義

改訂版

脳神経外科学 必修講義

■著者 松谷 雅生

定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
  • B5変型判  212ページ  2色(一部カラー),イラスト97点,写真300点
  • 2010年2月26日刊行
  • ISBN978-4-7583-1185-4

在庫僅少です。


脳神経外科の基本を無理なく理解でき,臨床に活かせる知識を随所に網羅した医学生必携の教科書

脳神経外科を最初に学ぶ医学生に,脳神経外科で扱う疾患の病態を理解してもらう目的でまとめた書籍の改訂版である。病態を理解してもらうという点では脳神経外科の初級本であるが,画像・病理診断の解説なども盛り込まれており,脳神経外科の臨床研修でカンファランスに出席した際にそこで討議される鑑別診断が理解できる内容まで記載し,上級までの知識も含まれている。疾患の理解を目的の第一とした本書は,これから脳神経外科を学ぶ医学生にはもちろんのこと,脳神経外科の専門医をめざそうとする若手の医師も十分に読んで学べる書籍である。


序文

改訂版 序文

 本書は,「脳疾患がなぜ生命を奪うのか?」を最大の主題として構成いたしました。冒頭(序章)から,疾患の進行につれて脳機能が低下し,最終的には脳死に至る機構を提示し,それを防ぐための治療方法の概略を示しました。そこから各論へ進む構成をとっています。病態の理解に必要な最低必要な脳の解剖学と生理学,および神経診断学は第VII章にまとめてあります。典型症例の診断画像はその都度挿入しましたが,複雑な症例は第VIII章“診断画像と病理組織像”にまとめました。脳腫瘍組織像写真も同様です。これらの章は独立して読んでも,試験前の知識の整理に役立つような体裁としました。
 初版ともっとも大きく変わったのは,脳腫瘍,とくに悪性脳腫瘍の治療です。もっとも悪性の腫瘍である膠芽腫に有効な薬剤(テモゾロミド)が登場したことにより,神経膠腫の治療は一変したといっても過言ではありません。また,小児悪性脳腫瘍の治療成績の向上も著しく,最も悪性の髄芽腫の10年生存率(≒治癒と考えてよい)は70%前後が得られるようになりました。脳動脈瘤や脳動静脈奇形の治療も,血管内治療の進歩と普及につれて治療成績は向上しつつあります。21世紀は,まさに脳の時代です。
 このような進歩の時代に,先進的な治療方法を理解するのはたやすいことではなく,その疾患の基礎的な病態と,周囲の脳機能との関連をしっかりと理解しておくことが大切です。本書はこのステップに沿って理解が進むように配慮してあります。
 本書は医学部学生のみならず,脳神経外科臨床に携わる看護師をはじめとするコメディカルの方々にも十分役立つと信じています。日常の診療に是非役立てて下さい。本書のもう一つの目的は,脳神経外科疾患で治療を受けていられる方々に,病気の正しい知識をお知らせすることです。我々脳神経外科医と共に病気と闘っていただくには,闘う対象(病気)の理解が不可欠です。本書に目を通していただき,内容でわかりにくいところは,主治医に遠慮なくおたずね下されば幸いです。

 本書の内容で足りない部分は,次の成書で補足されることを勧めます。

・『脳神経外科周術期管理のすべて』第3版,松谷雅生・田村 晃 編集,メジカルビュー社,2009年:脳神経外科疾患を診断・治療するにあたっての注意点,患者管理方法をまとめたもので,ベッドサイド実習に役に立つ本です。

・『脳神経外科学』第10版,太田富雄・松谷雅生 編集,金芳堂,2008年:脳神経外科専門医のために,最新の診断・治療方法をまとめたもので,難解なところもありますが,最新の知識が得られます。

・『EBMに基づく脳神経疾患の基本治療指針』第2版,田村 晃・松谷雅生・清水輝夫 編集,メジカルビュー社,2006年:各疾患の信頼すべき治療成績をまとめた本で,治療方法の選択の際に参考になります。

2010年2月
松谷雅生
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目次

序章
I 頭蓋内疾患による症状発現機序と致死的病態
  1 症状発現機序
  2 重症脳疾患が生命を奪う機序
  3 脳ヘルニアの診断(致死的進行を防ぐために)
  4 脳死
  5 二次的細胞死
 
II 治療方法の紹介
  1 頭蓋内圧亢進に対する治療
  2 手術
  3 その他の薬物療法
  4 腫瘍に対する治療
 
 
第I章 脳腫瘍
  1 総論
   A.細胞はなぜ腫瘍(細胞)になるか?
   B.病理
   C.理解
   D.疫学
   E.年齢と発生部位
   F.症状
   G.臨床検査の選び方とその所見
   H.治療総論
  2 各腫瘍の臨床
   A.脳実質内発生腫瘍
   B.脳実質外発生腫瘍
   C.遺伝子異常による脳腫瘍
   D.脊髄腫瘍
 
第II章 脳血管障害
  1 くも膜下出血−脳動脈瘤
   A.脳動脈瘤があるとどうなる(脳動脈瘤の自然史)
   B.脳動脈瘤の形成機序
   C.脳動脈瘤の頻度と破裂確率
   D.破裂脳動脈瘤の再出血の確率は?
   E.脳動脈瘤が破裂するとどうなるか
   F.出血による症状
   G.急性死の原因
   H.くも膜下出血の診断
   I.脳動脈瘤の診断
   J.破裂脳動脈瘤の治療
   K.無症候性未破裂脳動脈瘤の治療
   L.くも膜下出血(および手術後)の合併症
   M.脳動脈瘤破裂くも膜下出血の治療予後
   N.特殊な動脈瘤
  2 動静脈奇形
   A.動静脈奇形は何を引き起こすか
   B.診断
   C.治療
  3 その他の血管奇形
   A.硬膜の動静脈奇形
   B.ガレン大静脈奇形(ガレン大静脈瘤)
   C.内頚動脈海綿静脈洞瘻
   D.血管腫
  4 高血圧性脳出血
   A.症状と診断
   B.治療
   C.出血各部位の特徴
  5 閉塞性脳血管障害
   A.血管壁の異常をもたらす要因
   B.脳梗塞の分類
   C.虚血性変化進行の病理生理学
   D.治療
  6 もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)
   A.症状
   B.診断
   C.治療
   D.予後
  7 急性脳血管障害(脳卒中)の救急治療
   A.救急処置
   B.鑑別診断
   C.脳動脈瘤破裂疑い患者の脳血管撮影
   D.診断推定後の治療
   E.重症脳血管障害に対するバルビツレート昏睡療法と低体温療法の意義
 
第III章 頭部外傷
  1 外力による脳損傷の発生機序
  2 分類
  3 脳組織損傷をきたす病態
   A.びまん性(広範性)脳損傷
   B.脳挫傷
   C.外傷性脳内血腫
   D.急性硬膜下(内)血腫
   E.急性硬膜上(外)血腫
   F.慢性硬膜下血腫
  4 頭蓋骨骨折
   A.円蓋部の骨折
   B.頭蓋底骨折
   C.顔面の骨折
  5 小児頭部外傷
   A.小児虐待(child abuse)による頭部外傷群(battered child syndrome)
  6 外傷性脳血管障害
   A.頚部内頚動脈閉塞症
   B.外傷性脳動脈瘤
   C.頚動脈海綿静脈洞瘻
  7 治療概論
  8 頭部外傷後遺症
  9 脊椎・脊髄損傷
 
第 IV章 先天奇形
  1 概説:中枢神経の分化・発達と奇形発生機序
  2 脳の形成不全
  3 二分頭蓋と脳瘤
  4 二分脊椎
  5 後頭蓋窩の脳奇形
  6 水頭症
  7 頭蓋縫合早期癒合症
  8 頭蓋底と頭蓋骨・頚椎移行部の奇形
  9 くも膜嚢胞
 10 脊髄空洞症
 
第V章 機能脳神経外科
  1 三叉神経痛
  2 顔面痙攣
  3 難治性てんかん
  4 不随意運動
 
第VI章 中枢神経系感染症
  1 化膿性髄膜炎
  2 脳膿瘍
  3 硬膜下膿瘍
  4 AIDSによる悪性リンパ腫
 
第VII章 脳の機能と構造
  1 人間の行動に脳はどう関わるか
  2 脳の基本機能
  3 脳の構造と機能の関連(脳発生学の復習)
  4 脳の細胞活動(脳生理学の復習)
   A.神経細胞と神経膠細胞
   B.ニューロンの興奮
  5 脳を眺める(脳解剖学の復習)
  6 大脳皮質の働き
  7 大脳辺縁系の働き
  8 脳幹の働き:脳死とは?
  9 遷延性意識障害
 10 脳神経とその疾患
 
第VIII章 画像診断
 
第IX章 脳腫瘍の病理組織像
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