日本医師会生涯教育シリーズ

消化器疾患診療のすべて

消化器疾患診療のすべて

■監修・編集 跡見 裕
井廻 道夫
北川 雄光
下瀬川 徹
田尻 久雄
渡辺 守

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5判  352ページ  2色(一部カラー)
  • 2012年11月26日刊行
  • ISBN978-4-7583-1502-9

診る機会の多い消化器疾患の診療のポイントをまとめた診療に欠かせない1冊

日本医師会生涯教育シリーズ83を単行本化。消化器疾患の基本から実際の症候や疾患への対応,さらに消化器の現状と今後の展望まで,消化器疾患の診断法,治療法を網羅的,かつ簡潔にまとめて解説した必携の書。


序文



 消化器の疾患は一般診療で最もよくみられる疾患の1つであり,他領域に比べて疾患の種類も多く,QOLに大きな影響を及ぼすものも少なくない.わが国の年間死亡者数は100万人を超え,そのうち約35万人ががんによる死であり,それを部位別にみると,消化器領域が多くを占めていることからも,その臨床・研究における重要性は増している.
 近年,医療の分野は日々進歩しているが,特に消化器領域の診断・治療法の進歩は目覚ましい.カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡が開発され,EMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は,現在ではメジャーな治療法になった.また,画像診断などの新規検査法の進歩,生物学的製剤など新規薬剤の開発など,発展の著しい消化器診療に対して,医師は常に新しく,幅広い知識が求められている.
 このような現況を踏まえ,本書では膨大多岐にわたる消化器診療のなかから,日常診療で遭遇することの多い疾患や,知っておかなければならない重要な疾患を絞り込み,診断・治療に必要な基本的な知識から最新情報までを簡潔に分かりやすくまとめた.会員の先生方の日々の臨床に大いに活用していただくことを強く願うとともに,日常診療に役立てていただければ幸いである.
 最後に,本書の監修・編集にご尽力いただいた跡見裕先生,井廻道夫先生,北川雄光先生,下瀬川徹先生,田尻久雄先生,渡辺守先生と,ご執筆いただいた多くの先生方に心から御礼を申し上げる.

平成24年10月
日本医師会会長
横倉義武
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監修・編集のことば

 日本医師会生涯教育シリーズの1つとして,「消化器疾患診療のすべて」を日本医師会雑誌特別号として出版することとなった.
 消化器疾患は食道から大腸・肛門,肝,胆,膵,腹膜にわたる多様な疾患であり,日常臨床で最もしばしば遭遇する疾患でもある.本書では,このように多岐にわたる疾患を,消化器疾患を専門としない医師がプライマリケアし,診断,治療の方針を立てることができるよう,必要な知識・手技を習得できるように企画した.
 当初はしばしば遭遇する消化器疾患に限って取り上げる案もあった.しかし,消化器疾患の分野においても診断法,治療法の進歩は急速で,プライマリケアに必要な知識・手技のみならず,医師としては様々な診断,治療の選択肢を考える上でも,稀ではあるが見落とすと重大な結果につながる疾患や,限られた施設でのみ行われる治療法でも明らかに他の治療法を凌ぐような治療法は,簡単な知識としてでも持っておくべきであるとも考えた.最終的に網羅的ではあるが,出来るだけ簡潔な内容で,日常臨床のお役に立てるような特別号を企画した.
 本書においては,消化器疾患の現状と今後の展望を概説したあと,一般臨床でしばしば遭遇する主要な消化器疾患の症候の鑑別診断を取り上げた.特殊な検査法に関しては出来るだけ簡潔に,その知識を日常臨床におけるdecision makingに使えるように分かりやすく概説頂いた.治療手技もプライマリケアで良く使用され,習得が必要なものから,高度で,知識として知っておき,患者さんの治療法の選択の際に参考となるものまで広く項目を選択した.更に,小児科の先生に御協力を頂き,一般臨床医として知っておくべき小児の消化器疾患も取り上げた.
 消化器疾患を診断法,治療法のすべてを網羅的に,かつ簡潔に取り上げたため,診察机の上において,診察をしながら参考に出来る書であると信じている.
 最後に,多忙な中をご執筆頂いた諸先生方に心より深謝したい.

平成24年10月
監修・編集者を代表して
井廻道夫
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目次

カラー口絵
 消化管の構造と機能  千葉 勉
 肝・胆道,膵の構造と機能  高森頼雪,滝川 一
 目で見る症候  
  ①黄疸  伊藤敬義,岩田朋之
  ②潰瘍性大腸炎の皮膚病変(壊疽性膿皮症)  長堀正和,渡辺 守
  ③手掌紅斑・くも状血管腫  堀江義則,山岸由幸,日比紀文
  ④Grey Turner徴候を呈した症例  伊佐地秀司
  ⑤Grey Turner徴候とCullen徴候を共に認めた症例  伊佐地秀司
  ⑥壊死性遊走性紅斑  岩瀬正典
  ⑦Osler病のtelangiectasia  下瀬川 徹
  ⑧Henoch-Schönlein紫斑病の下腿紫斑  下瀬川 徹
  ⑨胃がんによる左鎖骨上窩リンパ節転移(Virchow転移)  布部創也,佐野 武
  ⑩女性化乳房・腹壁静脈怒張・腹水(蛙腹)  福井 博
  ⑪涙腺腫脹   岡崎和一,内田一茂
  ⑫Wilson病のKayser-Fleischer角膜輪  青木継稔
  ⑬C型肝炎の扁平苔癬  長尾由実子,佐田通夫
  ⑭ベーチェット病にみられる口腔内アフタ  三好 潤,長沼 誠,日比紀文
  ⑮Peutz-Jeghers症候群の口唇の色素沈着  松本主之
  ⑯鼠径ヘルニア・腹壁瘢痕ヘルニア  和田則仁,古川俊治,北川雄光
  ⑰クローン病にみられる肛門病変  三好 潤,長沼 誠,日比紀文
  ⑱上部消化管出血の黒色便(タール便)  舩坂好平,宮原良二,後藤秀実
  ⑲潰瘍性大腸炎の粘血便  長堀正和,渡辺 守
 消化器疾患の内視鏡像  

Ⅰ.消化器疾患の動向
 わが国における消化器疾患の疫学  瀬戸泰之
 生活習慣と消化器疾患  大澤博之,菅野健太郎
 性差と消化器疾患  橋本悦子,白鳥敬子

Ⅱ.消化器疾患の主要症候と鑑別診断
 腹痛  千葉俊美,鈴木一幸
 悪心・嘔吐  屋嘉比康治
 胸やけ  荒川哲男
 吐血・下血  舩坂好平,宮原良二,後藤秀実
 便秘・下痢  毛利靖彦,楠 正人
 腹部膨満  及能大輔,平田公一
 黄疸  伊藤敬義,岩田朋之
 
Ⅲ.消化器疾患の検査法
 便検査  樋渡信夫
 血液・血清学的検査と肝炎ウイルスマーカー  穂苅厚史
 腫瘍マーカー  日野田裕治
 Helicobacter pylori診断検査法  河合 隆,森安史典
 消化管造影検査  松川正明
 上部消化管内視鏡検査  田尻久雄
 下部消化管内視鏡検査  工藤進英
 小腸検査(カプセル内視鏡,バルーン内視鏡)  藤森俊二,坂本長逸
 腹部超音波検査  井上達夫,工藤正俊
 腹部CT  蒲田敏文
 腹部MRI・MRCP  五ノ井 渉,大友 邦
 PET  東 達也
 ERCP  藤田直孝
 超音波内視鏡検査  入澤篤志
 消化管機能検査  福土 審
 細胞診・組織診  肱岡 範,山雄健次

Ⅳ.消化器疾患の治療手技
 胃管・イレウス管  大嶋陽幸,島田英昭
 浣腸・高圧浣腸  本郷久美子,須並英二,渡邉聡明
 腹腔穿刺・ドレナージ  太田惠一朗
 PEGと栄養管理  今枝博之
 消化管疾患の拡張術・ステント  新美惠子,藤城光弘
 食道・胃静脈瘤の治療(EIS,EVL,B-RTO)  小原勝敏
 上部消化管がんの内視鏡的切除(EMR,ESD)  矢作直久
 大腸腫瘍の内視鏡的切除(ポリペクトミー,EMR,ESD)  田中信治
 上部消化管出血の内視鏡的止血術  田辺 聡
 胆・膵の内視鏡的治療  中井陽介,伊佐山浩通
 ESWL  林 香月,大原弘隆
 肝細胞がんの局所療法  泉 並木
 内視鏡外科手術の動向と将来展望  森 俊幸,跡見 裕
 分子標的治療薬による消化器がん治療  室 圭
 消化器疾患と移植  島津元秀,河地茂行

Ⅴ.消化器疾患の診断と治療
 上部消化管
 逆流性食道炎・GERD・食道裂孔ヘルニア  三輪洋人
 食道アカラシア  保坂浩子,草野元康
 食道がん  細川正夫
 Mallory-Weiss症候群[特発性食道破裂(Boerhaave症候群)も含む]  井上 泉,一瀬雅夫
 急性胃炎・急性胃粘膜病変  平石秀幸
 慢性胃炎  春間 賢,鎌田智有
 消化性潰瘍・H.pylori感染  高橋信一
 胃MALTリンパ腫  小野尚子,加藤元嗣,浅香正博
 機能性ディスペプシア  木下芳一,古田賢司
 胃・十二指腸ポリープ  大谷顕史,藤本一眞
 胃粘膜下腫瘍・GIST  安藤 仁,大木進司,竹之下誠一
 胃がん  布部創也,佐野 武
 下部消化管
 蛋白漏出性胃腸症・吸収不良症候群  穂苅量太,三浦総一郎
 潰瘍性大腸炎  長堀正和,渡辺 守
 クローン病(腸管ベーチェット病も含む)  三好 潤,長沼 誠,日比紀文
 感染性腸炎(腸結核,アメーバ赤痢なども含む)  飯室正樹,中村志郎,松本譽之
 食中毒  大川清孝
 薬剤性腸炎  平井郁仁,松井敏幸
 虚血性大腸炎  平田一郎
 過敏性腸症候群  本郷道夫,町田貴胤
 大腸憩室症  藤山佳秀,斎藤康晴,早藤清行
 大腸ポリープ・消化管ポリポーシス  松本主之
 大腸がん  飯田 聡,杉原健一
 腸閉塞(イレウス)  六車直樹,高山哲治
 虫垂炎  丸山嘉一
 S状結腸捻転症  長尾二郎
 直腸脱  上野 滋
 痔核・痔瘻・裂肛  二見喜太郎
 消化管カルチノイド(神経内分泌腫瘍)  山本博幸,篠村恭久
 消化管原発悪性リンパ腫  杉山敏郎
 肝
 急性肝炎  八橋 弘
 劇症肝炎  井戸章雄,坪内博仁
 B型・C型慢性肝炎  小池和彦
 肝硬変  福井 博
 自己免疫性肝炎  大平弘正
 原発性胆汁性肝硬変  阿部雅則,恩地森一
 原発性硬化性胆管炎  向坂彰太郎
 薬物性肝障害  松﨑靖司
 アルコール性肝障害  堀江義則,山岸由幸,日比紀文
 非アルコール性脂肪性肝疾患  西原利治,小野正文
 代謝性肝疾患  宮西浩嗣,加藤淳二
 肝膿瘍  山上裕晃,森山光彦
 肝囊胞  山中桓夫
 肝がん  酒井佳夫,金子周一
 胆・膵
 胆石症  大屋敏秀,田妻 進
 急性胆囊炎・急性胆管炎  糸井隆夫,森安史典
 胆囊ポリープ・胆囊腺筋腫症  露口利夫,横須賀 收
 胆道がん(胆囊がん,胆管がん,乳頭部がん)  三好広尚,乾 和郎,芳野純治
 膵・胆管合流異常  廣岡芳樹,後藤秀実
 急性膵炎  伊佐地秀司
 慢性膵炎  下瀬川 徹
 自己免疫性膵炎  岡崎和一,内田一茂
 膵囊胞性疾患  佐田尚宏
 膵がん・IPMN  鈴木 裕,杉山政則
 膵内分泌腫瘍  伊藤鉄英
 その他
 ヘルニア(鼠径ヘルニア,内ヘルニア,腹壁ヘルニア)  和田則仁,古川俊治,北川雄光
 腹部外傷  宮内雅人,横田裕行
 消化管穿孔  清水正幸,北野光秀
 腹膜疾患  宮﨑真一郎,今野弘之

Ⅵ.小児の消化器疾患
 小児消化器疾患診療の注意点  清水俊明
 肥厚性幽門狭窄症  安藤久實
 胆道閉鎖症  虻川大樹
 腸重積症  五十嵐 隆
 過敏性腸症候群  竹中義人
 メッケル憩室炎  唐木克二,大澤眞木子
 ヒルシュスプルング病  下島直樹

TOPICS
 IgG4関連疾患  神澤輝実,原 精一,来間佐和子
 HIVと消化器疾患  三田英治
 膠原病に伴う消化器疾患  櫻庭裕丈,石黒 陽,福田眞作
 多包性肝エキノコックス症診断のupdate  鈴木康秋,高後 裕
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