サルコペニア診療マニュアル

サルコペニア診療マニュアル

■監修 原田 敦

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • B5判  144ページ  2色
  • 2016年3月14日刊行
  • ISBN978-4-7583-0394-1

サルコペニアにかかわるすべてのスタッフ必携の1冊

サルコペニア研究のトップが集結し,その研究成果を反映して作成した診療マニュアル。
概念や判定法,類縁疾患との関連,予防,改善の実際,薬剤やバイオマーカーの今後の展望などを網羅し,最新の知見を踏まえて簡潔に解説。コンセンサスの得られているエビデンスだけでなく,研究者達の経験・データに基づく提言も織り込み,実臨床に役立つ内容となっている。


序文

 超高齢社会を迎え,高齢者率の増加がさらに進行中であるわが国では,単なる生存寿命の延長ではなく,健康寿命の延伸を求める社会に変貌を遂げつつある。言うまでもなく,健康寿命を阻害する二大疾患は,認知症と運動器疾患であり,後者の背景となる運動器の有する重要性は,今後ますます増加するものと考えられる。
 さて,運動器は,軟骨,骨,筋肉,靭帯,神経などの組織から成るが,そのうちで,軟骨, 骨, 筋肉,靭帯で構成される関節を,どんな種類の運動であれ,文字通りに動かすためには,筋肉が常に動力源として作用することが必須である。このように,運動器が機能するためには,筋肉は欠くべからざる存在である。
 しかしながら,その加齢に伴う筋肉の減少が, 若年成人の頃から始まっているにもかかわらず,筋肉の量や力の減少率が非常に緩徐なためにある程度加齢を重ねた後にしか,その障害は表面化しないために,高齢期になってもそれを病的ととらえずに,老化による生理的現象としか認識しない時期も長く続いた。とはいうものの,20年ほど前には,筋肉の減少にサルコペニアという名称が与えられ,研究は広く継続されていたが,最近になってその概念や定義も国際的に改訂されて合意されるに至った。そこでは,健康寿命をサルコペニアの主要アウトカムとして整合性が取れるようなものになっている。さらに,判定時の基準値に関しても,アジア人に使用できるようになった。また,サルコペニアの予防や改善には,運動や栄養によるエビデンスが集積しつつある一方で,使用できる薬剤はまだないというような状況にある。
 とはいうものの, このようなサルコペニアに関する新しい流れは,幅広く速いので,それらを全体的に包括して理解することは必ずしも容易ではない。
 そこで,このサルコペニア診療マニュアルでは,サルコペニアについて,その概念や疫学的データ,判定フローチャート,測定評価法,類縁疾患との関連,予防,改善の実際,薬剤やバイオマーカーの今後の展望など,現在までに明らかになった新情報を基本にして,各領域のトップの研究者である,平成25〜27年度の日本医療研究開発機構研究費長寿科学研究開発事業「加齢による運動器への影響に関する研究―サルコペニアに関する包括的検討―」における研究者の先生方を主体に解説をお願いした。
 本マニュアルが,サルコペニアの日常臨床や予防,研究に携わる方々のお役に立つならば,誠に幸いである。

平成28年2月
国立研究開発法人国立長寿医療研究センター病院長
原田 敦
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目次

Ⅰ サルコペニアの概念を整理しよう
 1.サルコペニアとは(原田 敦)
 2.サルコペニアの疫学(下方 浩史,安藤富士子,幸 篤武)
 3.疫学と病態の側面から診断への道筋(村木 重之)

Ⅱ サルコペニアの判定
 1.サルコペニア判定フローチャート(原田 敦)
 2.診断に必要な検査の理解と評価
  ①筋量(四肢筋量)の測定評価法(宮地 元彦)
  ②筋力と身体機能の測定評価法(宮地 元彦)
  ③身体機能の測定評価法(島田 裕之)
 3.類縁疾患とサルコペニアとの関連
  ①ロコモティブシンドローム(石橋 英明)
  ②老年症候群(神﨑 恒一)
  ③フレイル(荒井 秀典)
  ④生活習慣病(江頭 正人)

Ⅲ サルコペニアの改善の実際
 1.運動指導(金 憲経)
 2.栄養指導(澤田 篤史,吉居 尚美,藤田 聡)

Ⅳ サルコペニアの予防
 1.運動指導(金 憲経)
 2.栄養指導(細井 孝之)

Ⅴ 今後の展望について(新しい研究,治験など)
 1.薬剤( 原田 敦)
 2.バイオマーカー(重本 和宏)
 3.臨床検査(谷川 隆久,徳田 治彦)
 4.再生医療(橋本 有弘)
 5.生活習慣改善(島田 裕之)
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