NS NOW No.6

脳虚血の外科

このピットフォールに陥らない

脳虚血の外科

■担当編集委員 塩川 芳昭

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • A4判  160ページ  一部カラー,イラスト90点,写真86点
  • 2009年3月23日刊行
  • ISBN978-4-7583-0913-4

脳虚血の外科診療に携わるドクター必携!

臨床で遭遇することの多い脳虚血疾患の必須治療法であるバイパス手術,CEAやCAS の手術手技を,それぞれのエキスパートたちが詳述する。手技の実際とピットフォールに陥らないためのポイントを多くのイラストと写真を用いて解説し,見て分かる手術解説書となっている。
今回は「I. バイパス手術」「II. CEAとCAS」「III. 血栓溶解と血管形成術」の3章だてとなっており,脳卒中関連の治療の主軸となる内容で構成されている。適応基準を明確にし,低侵襲な手術であるためにはどのような手技が必要なのか,合併症を回避するためにはどうするか。エキスパート達によってまとめられた本書は,一層のレベルアップに役立つに違いない。

■シリーズ編集委員
寺本 明/新井 一/塩川芳昭/大畑建治


序文

 6冊目を迎えたNS NOW シリーズでは「脳虚血の外科−このピットフォールに陥らない−」をテーマにとりあげた。脳虚血はいわゆるcommon diseasesであり,その外科治療は予防的手術の側面が強いため,一般脳神経外科医にも遂行が求められている普遍性と,予防であるがゆえの低侵襲性が問われるものである。
 なぜ今,脳虚血の外科か。2006年の本邦におけるtPA認可は,単に一薬剤の使用にとどまらず脳卒中診療体制全体に大きなインパクトを与えた。従来見逃されていた発症早期の脳虚血症例がようやく診断,治療の俎上に登るようになり,治療適応や実施時期についても,今までの常識が大きく変わりつつある。また2008年の頚動脈ステント認可は,脳虚血に対する血管内治療が初めて認知されたともいうことができる。直達手術,血管内手術いずれにおいても,脳虚血の外科が新しい局面を迎えている現時点で,その適応,周術期管理,基本手技をまとめ直す意義は大きい。
 本書は,脳虚血の外科治療と血管内治療について,手技に着目してバイパス手術,内膜剥離術(CEA)とステント留置(CAS),血栓溶解と血管形成の三部から構成されている。「第I章:バイパス手術」では,基本的には脳虚血疾患に対するバイパス手術を念頭に置いているが,深部バイパス,ハイフローバイパスの項では脳虚血性疾患にとらわれず,初心者がこのような高難度手術を習得するステップを意識した記述がなされている。また「第II章:CEAとCAS」では,本邦で急増している頚部内頚動脈疾患の現時点における技術的総括といえる内容にまとめていただいた。第III章では,頭蓋内狭窄,急性閉塞に対する血管内治療の現状と将来展望,現時点でのコンセンサスを得た治療手技が簡潔に記されている。それぞれの理論的背景と周術期管理,安全確実な手術手技を念頭においた記述が,各分野のエキスパートにより余すところなく披露されており,初学者のみならずベテランの方々にも益するところ大きい,脳虚血に関わるものの必読書となっているのではないだろうか。

2009年2月
塩川芳昭
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目次

I バイパス手術
 手術適応  黒田 敏
  ■Positron emission tomography(PET)
  CPP低下とPETパラメータの関係
  OEF上昇した例の自然歴
  11C-flumazenil
  ■Single photon emission computed tomography(SPECT)
  CBF測定用トレーサー
  Acetazolamide test
  黒田の4型分類
  SPECTは予後を予測できるか?
  
 周術期管理  中川原譲二
  ■アウトライン
  ■術前管理
  患者の一般状態
  脳循環動態の確認(血行力学的脳虚血Stage IIの診断)
  脳血管造影による脳主幹動脈病変等の確認
  MRIによる脳梗塞の確認
  神経心理学的検査
  心血管合併症等の評価
  全身麻酔の可否の評価:血液ガス分圧の確認
  危険因子管理のための薬物治療の継続と中止
  抗血小板薬の継続と中止のタイミング
  ■術中管理
  術中血圧および血液ガス分圧の管理
  全身麻酔薬の選択
  術中バイパス開存状態の評価
  ■術後管理
  術後血圧管理
  術後血液ガス分圧の管理
  術直後の血液一般検査,胸部X線写真,頭部CT検査
  頭皮下ドレーン管理
  過灌流症候群の評価
  術後のバイパス開存度の評価
  術後血行力学的脳虚血の改善評価
  
 STA-MCAバイパス  舟木健史,宮本 享
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
  術前準備
  手術手技
  閉頭
  
 間接的血行再建術  宝金清博
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
  術前準備
  手術手技
  
 深部バイパス  谷川緑野
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
  手術側の決定
  術前準備
  手術手技
  縫合終了
  閉創
  
 ハイフローバイパス  石川達哉
  ■本術式の特徴
  本術式の理論的背景
  ■手術手技
  術前準備
  手術手技:STAの剥離,開頭,頚部の確保,RAの剥離,STA-MCA バイパス(assist
  RA グラフトの採取,RA グラフト-M2バイパス
  ECA-RA グラフトバイパス
  内頚動脈の遮断とグラフトの開放
  閉創
  術後管理
  
 手術訓練  井上智弘
  なぜ,血管吻合訓練が必要か
  基本練習の実際
  
II.頚動脈内膜剥離術(CEA)とステント留置術(CAS)
 CEAの適応とCASとの棲み分け  飯原弘二
  ■症候性狭窄症と無症候性狭窄症例におけるCEAの適応
  CEAのリスク評価
  症候性内頚動脈狭窄症に対する急性期CEA
  ■CASに関するエビデンス
  CEAハイリスク群に関するCASのエビデンス
  CEA低リスク群に関するCASのエビデンス
  CASハイリスク症例とは?
  現時点でのCEA, CASの棲み分け
  
 周術期合併症と管理  小笠原邦昭
  周術期合併症の種類と比率
  術中塞栓症
  術後過灌流
  
 CEAの手術手技  安部 洋,井上 亨
  ■本術式の特徴
  ■手術手技
  術前準備
  手術手技:マクロ操作
  手術手技:マイクロ操作
  
 ハイリスク 症例のCEA  水谷 徹
  ■本術式の特徴
  ■高位例に対する手技
  術前準備
  手術手技の実際
  ■心臓外科とのタイアップ
  遮断時間に対する耐性がない場合のfemoral - ICA シャント
  long segmentのCCA-ICAの露出
  
 CASの基本手技  中澤和智,村尾健一
  ■本術式の特徴
  ■適応判断の基本
  術前説明の基本
  ■手術手技
  治療の基本
  術後管理
  
III. 血栓溶解と血管形成術
 適応,現状と将来  根本 繁
  ■急性閉塞に対する血管内治療
  血栓溶解療法
  局所線溶療法
  血管内治療手技
  ■頭蓋内動脈狭窄に対する治療
  治療適応
  血管形成術かステント留置術か
  血管形成術の治療成績
  血管形成術の問題点
  ■今後の展望
  
 血栓溶解術と血管形成術の基本手技  江面正幸,松本康史
  ■本術式の特徴[血栓溶解術と血管形成術]
  ■手術手技
  術前準備
  手術手技
  血栓溶解術
  血管形成術
  術後管理
  合併症
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