症候からたどる

鑑別診断ロジカルシンキング

鑑別診断ロジカルシンキング

■編集 後藤 英司
奈良 信雄
藤代 健太郎

定価 4,840円(税込) (本体4,400円+税)
  • B5判  320ページ  2色(一部カラー),イラスト70点
  • 2011年7月26日刊行
  • ISBN978-4-7583-0037-7

在庫僅少です。


診断スキルを学んで国試突破! デキる医師への第一歩がここにある

症状を訴えている患者をみる際の鑑別診断までの考え方を解説した本である。近年,医師国家試験では,臨床実習を重視した臨床問題の出題数が多くなっている。しかしながら,実際の臨床実習では体験できる症例数に限りがある。経験する症例数の不足を補うとともに,症例をみたときの鑑別診断までの考え方を具体例を出して解説しているのが本書である。症例は国試で臨床出題頻度の高い疾患を選んだ。
各項目は,症状の概説と症例から成り立っている。概説は〈概念〉〈症状をきたす疾患〉〈病態生理・発生機序〉〈鑑別診断のポイント〉,症例は〈検査所見〉〈診断の流れ(医療面接)(身体所見)(検査所見)〉〈症例マッピング〉〈治療〉となっている。欄外には,検査の基準値や,年齢が違うときはどう考えるか,といった上級医には自然と身についているポイントを示し,診断の補助となるようになっている。


序文

 最近は臨床診断にかかわる技術等の進歩が著しく,医師が診断をくだす際に新しい検査器機やそのデータに頼る傾向が強くなっている。もちろん,このような進歩は喜ばしいことである。しかし一方では,患者さんの病歴や身体所見から鑑別すべき疾患を考え,絞り込み,エビテンス等を考慮した検査計画を立てて診断を進めるという,古くから医師に求められてきた論理的思考(ロジカルシンキング)能力の養成がおろそかになっているのではないかとの危惧もよく聞かれる所である。
 一般に医学教育においては講義が重視されることが多い。講義では,1人の教員が数多くの学生に知識や考え方を伝えることが可能であり,教育する立場に立つと大変効率がよい方法である。教科書に沿って進めることができるので講義の準備もしやすい。しかし残念ながら,この方法は実際の診療現場で診断を進めたリ検査計画を立てたりする際に必要となる論理的思考能力の養成には必ずしも有用とはいえない。講義は,教員から学生への一方通行であることが多く,学生が能動的に学習するわけではないためである。
 この問題を解決するために,10年程前から多くの大学が問題基盤型学習(PBL:problem based learning)を導入して論理的思考能力を身に付けさせるよう努力をしはじめた。さらに,競争原理を加えたチーム基盤型学習も開発されるに至った。このような動きに合わせて,2004年に『臨床推論−EBMと病態生理から症例を考える−』(メジカルビュー社)を上梓させていただいた。幸い,多くの読者に好意的に迎えられ,臨床推論という言葉も当時に比べれば広く認知されるようになった。
 しかし,「臨床推論」という言葉は臨床現場であまり用いないためイメージしにくいという意見も頂いた。そこで,今回,新たに『症候からたどる鑑別診断ロジカルシンキング』というタイトルで学生や研修医を対象とした書を出版する運びとなった。本書のめざす所は前書と同じく臨床推論・論理的思考能力の養成である。推理能力は症例をじっくり考えることによって醸成されるので,著者の先生方には「症状や徴候(症候)」ごとになるべく多くの症例を挙げていただくとともに,論理的な診断の進め方,および,最終診断となった疾患と症候や身体・検査所見の異常との関連についてマップとしてまとめるようお願いした。
 学生や研修医諸君が,本書により診断プロセスについて学び,将来,さまざまな患者さんに接して診断を進める際に,狼狽えることなく,エビデンスや病態生理に基づいてその患者さんの病態を論理的に推論できるようになるよう期待している。
 最後に,編集に際してお世話くださったメジカルビュー社編集部の石田奈緒美氏,吉川みゆき氏に心より感謝申し上げたい。

平成23年7月
編者を代表して
後藤英司
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目次

覚えるべき基準値

肥満,やせ  足立淳一郎,平田結喜緒
 エネルギー摂取(食欲)と消費の調節
 症例1
 症例2

脱水  牛澤洋人,大友康裕
 症例1

浮腫  井上 祥,後藤英司
 局所因子と全身因子
 症例1
 症例2

発熱  尾崎承一,柴田朋彦,中野弘雅,大岡正道
 体温調節機序
 発熱の病態生理
 症例1
 症例2
 症例3

高血圧  北川清樹,和田隆志
 圧-利尿曲線(Guyton)
 高血圧における圧-利尿曲線の変化
 症例1
 症例2

チアノーゼ  土井庄三郎
 動脈血の酸素含有量と酸素運搬
 症例1

黄疸  林 克裕
 ビリルビンの代謝経路
 症例1
 症例2

ショック  今井 寛
 具体的なショックに対する治療
 敗血症性ショック
 まず行うこと
 肺血栓塞栓症
 アナフィラキシーとは
 Primary Survey
 Secondary Survey
 症例1
 症例2
 症例3

意識障害  松本哲哉
 症例1

けいれん  前原健寿,大野喜久郎
 症例1
 症例2

視力障害,視野障害,複視  松橋正和
 視力障害
 視野障害
 複視
 症例1
 症例2

めまい  本田圭司,喜多村 健
 前庭性眼振のメカニズム
 BPPVのメカニズム
 症例1

咳,喀痰,血痰,喀血  角 勇樹,稲瀬直彦
 咳の機序
 喀痰の機序
 血痰の機序
 症例1

構音障害  小林祥泰
 構音障害と失語症
 症例1
 症例2

嚥下困難  中島康晃,河野辰幸
 嚥下のメカニズム
 症例1

呼吸困難  久保惠嗣
 検査時の特記事項
 診療のコツ
 症例1
 症例2

胸痛  藤代健太郎
 症例1
 症例2
 症例3
 症例4

動悸  並木 温
 心拍数増加と心拍出量増大の病態生理
 症例1
 症例2

腹痛  中村典明,有井滋樹
 神経伝達の観点から
 症例1
 症例2
 症例3
 症例4

悪心・嘔吐  矢島知治,日比紀文
 消化管の通過障害による症状
 症例1

吐血,下血  細江直樹,日比紀文
 症例1
 症例2
 症例3

便秘,下痢  植竹宏之
 下痢
 便秘
 症例1
 症例2

腹部膨隆・膨満  植竹宏之
 症例1

乏尿・多尿,排尿障害  白石直樹,冨田公夫
 腎前性,腎性,腎後性乏尿
 水の再吸収メカニズム
 症例1
 症例2

血尿  島村芳子,寺田典生
 急性糸球体腎炎とは
 症例1

月経異常  石川智則,久保田俊郎
 症例1

不正性器出血  若林 晶,久保田俊郎
 症例1

うつ状態,躁状態  古野 拓,平安良雄
 症例1

食思(欲)不振  竹内 崇,西川 徹
 症例1

睡眠障害  三宅修司
 睡眠周期とREM睡眠
 症例1

頭痛  川原信隆
 病態別の頭痛の発生機序
 症例1

運動麻痺  小林祥泰
 発生機序の詳細
 症例1
 症例2

歩行障害  杉本昌之,古森公浩
 症例1

感覚障害  島田洋一,豊島 至
 痛みと神経線維
 感覚障害と感覚路
 症例1
 症例2

腰背部痛  河井卓也,齋藤知行
 症例1
 症例2

関節痛  南家由紀,小竹 茂
 関節リウマチの病態
 症例1
 症例2

乳房のしこり  山下純一
 乳房のしこり(腫瘤と硬結の違い)
 乳房の構造
 乳癌とホルモン依存性
 症例1
 症例2

リンパ節腫脹  田野崎 栄,檀 和夫
 リンパ節の構造と働き
 症例1

出血傾向  脇本直樹
 止血機構
 症例1

貧血  奈良信雄
 症例1
 症例2

皮疹  伊藤雅章
 症例1

索引  
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