講義録

内分泌・代謝学

内分泌・代謝学

■編集 寺本 民生
片山 茂裕

定価 7,150円(税込) (本体6,500円+税)
  • B5変型判  548ページ  2色(一部カラー)
  • 2005年9月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-0059-9

在庫僅少です。


内分泌・代謝学で学ぶ必要かつ理解すべき内容を,図表,チャートを駆使してまとめたビジュアル教科書。学生必携

 本書では大きく内分泌と代謝学に分け,それぞれの基礎的な講義内容から,具体的な疾患の機序,病因,分類,診断,治療までをわかりやすく解説している。また,各項目の終わりに重要なポイントが理解できる問題形式のSelf Checkを設け,解答と解説も掲載した。
 医学生の方々が入学してから卒業するまで利用でき,講義の予習復習用に活用いただける内容の教科書であり,内分泌および代謝学を病態生理に基づいて基礎的な機序や症候を理解し,診断を進め,疾患に対して確実に対処できる医師となるための知識を身に付けられる一冊である。


序文

 医学の教育は常に新しくなり,常に更新される必要がある。医学がサイエンスであり,常に進歩を続けるからである。しかし,サイエンスであるからこそ原理があり,その原理を理解すれば,その変化にもついていけるということもサイエンスゆえのアドバンテージである。医学は記憶のサイエンスではない。論理的思考のサイエンスである。したがって,その基本を十分理解することが最も重要なことである。本書では,この点に支点をおいて構成したつもりである。内分泌の「内分泌を深く知るための基本講義」,代謝学の「代謝を深く知るための基本講義」は是非とも熟読していただきたい。そして,各パートに進んでも時にはここに立ち戻っていただきたい。それぞれ,きわめて有機的に関連していることに気がつくことであろう。そして,その関連が理解できたときの喜びを味わっていただきたい。
 内分泌・代謝学というのは特に近年進歩の早い分野である。毎年,新たな分子機構が解明され,新たな治療法も開発されつつある。それゆえに,本書では,各パートにLevel up Viewというコラムを設けている。かなりな数のコラムである。これだけ読んでも,医学のサイエンスという部分を十分楽しんでいただけるものと思う。
 医学教育は,このようなサイエンスを教育するとともに,医師としてのスキルアップのための教育でもある。そして,医師となる前に国家試験という関門があることも事実である。平成17年度医師国家資格試験出題基準を見ると,各論としての内分泌・代謝の部分が8%を占め,ほぼ心臓・脈管疾患と同程度に出題されている。本書は,この点も考慮に入れ,国家試験で要求される疾患,知識については網羅した。また,症候については国家試験問題の約13%も占めるとされている。本書の後半に,症候のパートを設けた理由でもあるが,これは医師としてのスキルアップには是非とも必要だからでもある。内分泌・代謝学では,症候からその疾患を思い浮かべることがなければ,まず正しい診断にたどり着けることはない。通常の診療の中にいかに多くの疾患が眠っているか,医師として働いてみるとよくわかる。近年の国家試験では,実地に即した出題も多くなっている。症候編を通して,実地の診療への訓練もしていただけたらと願っている。
 先にも触れたように,基本的知識はいわば必須のことであり,応用を利かせることが必要である。したがって,身に染み込ませることが大切である。本書では,本文中では,できるだけその疾患,病態の骨格となるエッセンスを分かりやすくまとめる工夫をした。そして,本文が煩雑になることを避けるため,重要な基本的知識をBasic pointやSide Memoという別の項目立てとしてコラムとした。こあれは必須の項目である。
 本書には多くの先生方に本書の狙いを理解していただいた上でご協力いただいた。この場で,深甚の謝意を表したい。そして,本書が,医師となるために,また医師となった後でも貢献できたとすれば,本書を企画したものとして,これ以上の喜びはない。是非とも良医になっていただきたい。

2005年8月
帝京大学医学部内科学教授 
寺本民生
埼玉医科大学内科学内分泌・糖尿病内科部門教授 
片山茂裕
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目次

内分泌・代謝学を学ぶために必要な解剖図
内分泌・代謝疾患のカラー所見
内分泌・代謝学で使われる略語
内分泌・代謝疾患に関するガイドライン一覧
凡例(本書の特徴)

I.内分泌を深く知るための基本講義
 A.ホルモンを学ぶ
  ホルモンとは
  ホルモンの作用と作用機序
 B.内分泌疾患の基礎知識を学ぶ
  内分泌疾患の成り立ち
  内分泌疾患の診断と治療の原理
II.内分泌疾患を深く学ぼう
 A.視床下部・下垂体疾患
  視床下部・下垂体疾患の成り立ち
  下垂体前葉機能低下症
  成長ホルモン分泌不全性低身長症
  性早熟症・思春期早発症
  下垂体腺腫
  先端巨大症,巨人症
  Cushing病
  乳汁分泌・無月経症候群
  中枢性尿崩症
  SIADH
 B.甲状腺疾患
  甲状腺疾患の成り立ち
  甲状腺機能亢進症
  甲状腺機能低下症
  甲状腺炎
  甲状腺腫と甲状腺腫瘍
 C.副甲状腺疾患
  副甲状腺疾患の成り立ち
  副甲状腺機能亢進症
  副甲状腺機能低下症
 D.副腎疾患
  副腎疾患の成り立ち,検査
  Cushing症候群
  原発性アルドステロン症
  続発性アルドステロン症
  Addison病
  褐色細胞腫
  先天性副腎過形成症
 E.その他の内分泌疾患
  性腺機能低下症
  多発性内分泌腫瘍
  消化管ホルモン産生腫瘍
  インスリノーマ
  カルチノイド症候群
  異所性ホルモン産生腫瘍
  ホルモン受容体異常症
III.代謝を深く知るための基本講義 
  糖質,脂質,蛋白質の代謝と相互作用
  栄養素の役割とバランス
  生活習慣病
  核酸ヌクレオチド代謝
  電解質異常
IV.代謝疾患を深く学ぼう 
 A.糖代謝異常
  糖代謝の成り立ち
  糖尿病
   糖尿病の病因と分類
   糖尿病の症状と診断
   糖尿病の治療
   急性合併症
   慢性合併症
   その他の合併症
   妊娠糖尿病
   二次性糖尿病
  低血糖症
  糖原病
  その他の糖代謝異常
 B.脂質代謝異常
  リポ蛋白代謝の成り立ちと検査
  高脂血症
  二次性高脂血症
  高脂血症の治療法
  低脂血症
 C.動脈硬化症
  動脈硬化症
 D.肥満症
  肥満症
 E.アミノ酸代謝異常症
  アミノ酸代謝異常症
 F.核酸・ヌクレオチド代謝異常症
  高尿酸血症
  痛風
  Lesch-Nyhan症候群
 G.ビタミン欠乏症・過剰症・依存症
  ビタミン欠乏症・過剰症・依存症
 H.代謝性骨疾患
  骨粗鬆症
  骨軟化症
 I.その他の代謝疾患
  リソソーム蓄積症
  アミロイドーシス
  結合組織代謝異常症
  ポルフィリン症
  ヘモクロマトーシス
  Wilson病,Menkes病
  Werner症候群
V.内分泌・代謝の異常による症候を学ぼう 
  食欲不振
  肥満
  やせ
  口渇
  脱水
  浮腫
  発汗異常
  高血圧
  多尿
  下痢・便秘
  嗄声
  甲状腺腫大
  眼球突出
  眼瞼下垂
  無月経
  乳汁漏
  女性化乳房
  男性化徴候
  多毛・脱毛
  色素異常
  低身長
  末端肥大
  動悸,脈拍異常
  腰背部痛
  意識障害 
  けいれん 
  視覚障害 
  知覚障害 
  筋脱色 
  黄色腫 
 Self Check 解答と解説 
Basic Point  
 I.内分泌を深く知るための基本講義 
  多腺性自己免疫症候群
  ホルモンの測定法
 II.内分泌疾患を深く学ぼう 
  視床下部・下垂体の発生と構造
  下垂体前葉ホルモンの分泌制御機構
  成長ホルモンの分泌調節
  下垂体前葉ホルモン単独欠損症と症状
  IGF-I
  早期乳房発育症
  両耳側半盲
  先端肥大症の原因は?
  CRH-ACTH-コルチゾールの分泌調節
  低Na血症とAVP escape現象
  甲状腺腫による主要疾患の鑑別
  Basedow病眼症
  橋本病の病理組織像
  甲状腺腫瘍の組織型
  血清Caの評価
  Trousseau徴候とChvostek徴候
  副腎の解剖学的位置と構造
  ステロイドホルモンの作用発現機構
  鉱質コルチコイド受容体と11β-水酸化ステロイド脱水素酵素
  sick day対策
  カテコラミンのα・β作用
  副腎性・副腎外性の鑑別
  性腺における性ステロイドホルモンの生合成
  セロトニンの生成と代謝
  肺癌の分類
  G蛋白質とは
 III.代謝を深く知るための基本講義 
  ピルビン酸脱水素複合体とビタミンB1
  運動の種類と効果
  尿定量検査について/部分排泄率
 IV.代謝疾患を深く学ぼう 
  インスリン受容体とそのシグナル伝達系
  膵臓の構造と病理
  インスリン分泌機序
  OGTTの留意点
  炭水化物の消化と吸収
  筋肉におけるエネルギー代謝
  暁現象とsomogyi効果
  乳酸の代謝/血漿浸透圧の調節機構
  ケトン体の生成
  網膜の構造と網膜症
  ポリオール代謝経路
  糖尿病性糸球体硬化症
  心筋における糖代謝,脂肪酸代謝
  先天異常の発症機序
  インスリンとインスリン拮抗ホルモン
  グルコース以外の単糖および二糖類の代謝
  脂質の吸収(カイロミクロンの形成)
  LDL受容体の構造とリポ蛋白代謝
  MTPの構造と役割,肝臓における脂質代謝
  ABC蛋白の種類と役割
  内臓脂肪の生理的特性と解剖学的特徴
  アミノ酸代謝異常症における症状発現の機序
  腎における尿酸代謝
  B群ビタミンの働き
  骨基質の形成
  骨のリモデリング(骨芽細胞と破骨細胞)
  リソソーム蓄積症と糖鎖
  アミロイド
  コラーゲンの構造,形態,組織分布
  コラーゲンの細胞内合成,細胞外分泌,細胞外修飾
  赤芽球増殖性ポルフィリン症
  鉄の存在様式と代謝動態
  老化(aging)とは
 V.内分泌・代謝の異常による症候を学ぼう 
  食欲中枢の解剖
  VMH破壊ラット
  エネルギー産生のしくみ
  浸透圧調節系と容量調節系
  underfillingとoverfilling
  発汗の調節機構
  高血圧の成因
  尿濃縮機構
  声帯は反回神経により支配されている
  Basedow病眼症の成因
  ミトコンドリア異常の遺伝様式
  性ホルモンと月経周期
  男性におけるアンドロゲンの内分泌学的制御機構
  アンドロゲンの分泌/アロマターゼ
  毛根の構造と毛の発育
  皮膚色素を形成する細胞
  骨端線
  カテコラミン(アドレナリンとノルアドレナリン)と動悸
  脳のエネルギー代謝
  網膜の構造
  神経の種類
  甲状腺機能低下症のスクリーニング
  黄色腫の発症メカニズム
Level up View  
 I.内分泌を深く知るための基本講義 
  11β-HSD(hydroxysteroid dehydrogenase) type 1とメタボリックシンドローム
  ステロイドホルモンのnon-genomic action
  ネガティブフィードバック(negative -feedback)
 II.内分泌疾患を深く学ぼう 
  POMCの合成様式
  先天性下垂体ホルモン複合欠損症/自己免疫性視床下部下垂体炎
  遺伝性GHD
  testotoxicosis(male-limited precocious puberty)
  腺腫の免疫組織学的分類
  先端巨大症はなぜ治療しなければいけないのか?    
  デキサメタゾン抑制試験による鑑別診断   
  高プロラクチン(PRL)血症はなぜ治療しなければいけないのか?/高PRL血症があり下垂体に病変があってもプロラクチノーマとは限らない
  腎性尿崩症
  尿中アクアポリン(AQP)-2の測定
  AVP受容体拮抗薬
  甲状腺ホルモンの作用様式と甲状腺ホルモン受容体の種類
  甲状腺放射性ヨード摂取率(radio-iodine-uptake:RIU)の検査適応
  Basedow病の免疫異常惹起因子
  TSH受容体抗体(TRAb)
  euthyroid sick syndrome(nonthyroidal illness,低T3症候群)/甲状腺ホルモン合成障害/クレチン症(cretinism)
  萎縮性甲状腺炎
  甲状腺髄様癌
  ビタミンDの活性化
  Ca感知受容体(CaSR)とFHH
  悪性腫瘍に伴う高Ca血症(MAH:malignancy associated hypercalcemia)
  偽性副甲状腺機能低下症−遺伝子刷り込み−
  副腎ステロイド合成
  preclinical Cushing症候群
  偽性アルドステロン症とapparent mineralcorticoid excess症候群
  Bartter症候群とLiddle症候群
  Schimidt症候群/多腺性自己免疫症候群(polyglandular autoimmune syndrome)/Nelson症候群
  新生児マススクリーニング
  21-水酸化酵素欠損症の出生前診断・治療
  性染色体異常症(Turner症候群とKlinefelter症候群)
  メニン(menin)/RET遺伝子
  SASIテストとSACIテストとASVS
  腫瘍性骨軟化症(oncogenic osteomalacia)
  common diseaseと遺伝子多型
 III.代謝を深く知るための基本講義 
  ピルビン酸脱水素酵素複合体の活性制御機構
  メタボリックシンドローム
  プリン・ピリミジン代謝と先天代謝異常
  薬物とプリン・ピリミジン代謝経路
 IV.代謝疾患を深く学ぼう 
  インスリン抵抗性/高インスリン正常血糖クランプ法
  糖尿病の原因遺伝子
  IGT,IFGの意義
  glycemic index
  生活指導による介入効果
  二次無効
  糖尿病診療の大規模臨床試験
  血糖コントロール指標の特徴  
  sick day対策
  糖尿病での心理・社会的問題
  網膜症と血管新生(VEGF)
  神経伝達速度
  蛋白制限食
  児の合併症
  Fanconi-Bickel症候群(FBS)
  ガラクトース血症の治療
  肝臓における脂質代謝の制御機構
  動脈硬化発症メカニズムと変性リポ蛋白受容体
  small dense LDLと動脈硬化
  低脂血症と動脈硬化
  プラークの破綻
  内蔵脂肪蓄積による合併症の発症メカニズム
  心血管疾患の危険因子とホモシステイン
  痛風・痛風腎の成り立ち
  偽痛風との鑑別
  葉酸,ビタミンB6,B12の欠乏とホモシステイン
  ビスホスホネート
  選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)
  低リン血症性くる病の原因遺伝子
  リソソーム病の病因および病態生理
  アミロイドβ蛋白とAlzheimer(アルツハイマー)病
  結合組織代謝異常症における遺伝子異常
  ヘモクロマトーシスの遺伝子変異
  occipital horn症候群
  Werner症候群とアディポサイトカイン
 V.内分泌・代謝の異常による症候を学ぼう 
  視床下部性肥満のメカニズム
  UCP(脱共役蛋白質:uncoupling protein)
  中枢性塩喪失症候群
  反回神経麻痺を起こさないように手術するには?
  Basedow病と眼球突出の出現時期:どっちが先?
  糖尿病性動眼神経麻痺は,中枢性か末梢性か?
  アディポサイトカインと多嚢胞性卵巣症候群
  エストロゲン代謝酵素   
  特発性多毛症
  肥満と多嚢胞性卵巣症候群(PCO)
  メラトニン
  胎内(子宮内)発育不全性低身長症
  褐色細胞腫とβ遮断薬が禁忌なわけ
  ステロイド骨粗鬆症
  インスリンとインスリン拮抗ホルモン
  糖尿病性神経障害のメカニズム
  甲状腺中毒性周期性四肢麻痺の人種差
  スカベンチャー受容体
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