新 目でみる循環器病シリーズ 4

心臓カテーテル

心臓カテーテル

■編集 百村 伸一

定価 9,900円(税込) (本体9,000円+税)
  • B5判  184ページ  2色(一部カラー)
  • 2006年8月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-0126-8

知って活かせる心臓カテーテル検査の基本書

心臓カテーテル検査は心臓病診療を大きく変えた検査法の1つであるが,近年,CTなど非侵襲的検査に「診断法」としての地位を奪われつつある。その一方で,「低侵襲な治療法」としてのカテーテル検査は今後,ますますその重要性が増していくと思われる。本書は,「治療法」としての心臓カテーテル検査に重点を置き,さらに看護や侵襲的検査であるがゆえの問題などについても記述してある。


序文

 私が卒業後,循環器の医局に入局しカテーテルを始めたころは,現在とまったく異った情況にあった。対象となる疾患は弁膜症,特にリウマチ性心疾患に基づくものが主体で,まれに入院する心筋梗塞に対する緊急冠動脈造影はむしろ禁忌であった。たまに行われる冠動脈造影も大きなリスクを伴う検査であった。米国に留学中の1982〜1985年の間に6ヵ月間心臓カテーテルのトレーニングを受ける機会に恵まれたが,大腿部からのアプローチによるJudkins法と腕動脈のcut downによるSones法の両者が行われていた。PCIは当時はもちろんバルーンのみ(そのころは“old”ではなかったのでPOBAとは呼ばれていなかった)でステントは存在しなかったが,レーザーによる冠動脈形成術が注目されていた。またこれも今は行われなくなった大動脈弁狭窄症に対するバルーン弁形成術も盛んに行われていた。
 その後はステントの登場によりPCIは飛躍的な発展を遂げ,急性心筋梗塞に対する緊急PCIも定着した。その間,僧帽弁狭窄症に対するPTMCが普及してきたが,弁膜症は急速に減少し,ほとんどのカテーテル症例を冠動脈疾患が占めるようになった。
 さらにここ数年Cyhperステントの登場によりPCIの適応拡大に拍車がかかり,今や研修医でも回診のプレゼンテーションでは「LAD♯6にCypherステントを挿入し…」とすらすらいえる時代となった。
 このように治療のためのカテーテルは花盛りであるが,一方,診断のためのカテーテルはエコードプラ法やMDCTなどの非侵襲的検査法の進歩とも相まって,その必要性は衰退の一途をたどっている。さらに現在のカテラボシステムには左室駆出率,弁口面積などの多くの血行動態指標算出のアルゴリズムは内蔵されているため血行動態に対する関心はどんどん薄れ,どのようなPCIデバイスを使ったかはよく把握していてもLVEDPすら答えられない場合が多い。本書ではそのような傾向を時代の流れとして受けとめ,PCIをはじめとする治療を目的としたカテーテル手技を中心に構成し,一線級で活躍の専門家に執筆をお願いした。インターベンションを志す医師にとって役立つばかりでなく,必ずしもカテーテルを専門としない循環器の医師もこの書によって最新のカテーテルの知識をupdateし日常診療に活用されることを望みたい。

自治医科大学附属大宮医療センター
循環器科教授
百村伸一
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目次

心臓カテーテル法の歴史  (山口 徹)  
心臓カテーテル検査室を知る   (小早川 直)  
心臓カテーテル検査の適応と禁忌,合併症  (樫田光夫)  
心臓カテーテル検査の基本テクニック  (西 裕太郎)  
心臓カテーテル検査による血行動態の評価  (百村伸一)  
冠動脈造影  (山本貴信)  
心筋生検法  (西尾亮介,松森 昭)  
血管内エコー   (前原晶子)  
血管内視鏡  (清水一寛,櫻井岳史,東丸貴信)  
心血管インターベンション
  PCI  (藤本 肇,石綿清雄)  
  DCA  (朝倉 靖)  
  ロータブレーター  (森田敏宏)  
  血栓吸引療法とdistal protection device  (伊苅裕二)  
  末梢動脈・腎動脈に対するPTA  (原 和弘)  
  バルーンによる弁形成術  (藤本 陽,石綿清雄)  
経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)  (高山守正)  
下大静脈フィルター,カテーテル的肺動脈血栓破砕吸引療法  (山田典一)  
補助循環(IABP,PCPS,VAS)  (許 俊鋭)  
心臓カテーテル検査の看護  (佐藤顕子,矢吹道子)  
心臓カテーテル検査の説明と同意  (中西成元)
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