新 目でみる循環器病シリーズ 10

心筋梗塞症

心筋梗塞症

■編集 吉野 秀朗

定価 10,450円(税込) (本体9,500円+税)
  • B5判  360ページ  2色(一部カラー)
  • 2007年4月20日刊行
  • ISBN978-4-7583-0132-9

心筋梗塞症を理解し,日々の診療に役立てる1冊

心筋梗塞症の分類や定義をまとめ,ST上昇型急性心筋梗塞と非ST上昇型心筋梗塞にわけて具体的に評価方法や合併症,治療戦略について先生方に執筆していただいている。また,二次予防の方法も具体的に解説しており,日々の診療に役立てられる構成となっている。


序文

 この「目でみる循環器病シリーズ10:心筋梗塞症」は,平盛勝彦先生が過去に2度にわたり編纂されたシリーズのまったく新しい改訂版であります。昨今の虚血性心疾患の診療は著しく進歩しました。また,単に経験に基づく診療ではなく,客観的なデータやEBMに基づく診療が提唱され,ここ数年の間にガイドラインが相次いで作成され,さらに改訂され,ガイドラインに沿った診療がごく当たり前のようになってきました。
 一方で,現代社会では心の通った医療の充実が叫ばれています。医師は,患者とともに勇気をもって歩む伴走者でなければなりません。同時に,疾病に対して冷静で厳しい目をもつ科学者・研究者でなければなりません。臨床現場では,医師がEBMとされる多くの臨床報告に目を通し,ガイドラインを熟知することは当然のことであり,かつ,日進月歩の高度な知識と技術に裏打ちされた質の高い診療をも要求されています。臨床現場で診療するということは,単に教科書やガイドラインに当てはめて診断し治療するのではなく,患者を目の前にして常に疑問に思い,症状や所見の裏に隠れている病態の解明に迫る努力を続けるということであります。
 本書は,上記のような医療を目指すために,心筋梗塞症について病態の理解を念頭におきつつプラクティカルな視点からまとめられたものです。概念,病態が最初にまとめられ,さらに診断,治療が詳述されています。急性心筋梗塞は,診断・治療法の進歩によって著しく死亡率が低下しましたが,合併症を持つ症例への対応は今後も努力が必要なため,合併症への対応と重症度の評価にページを割きました。
 心筋梗塞治療は,急性冠症候群に含まれる「急性期」の診療とその後の社会復帰を目指し二次予防に心がける「慢性期」診療に分けられます。また,急性心筋梗塞をST上昇型と非ST上昇型に分けて構成いたしました。上記のように分けた後,さらに細分化し薬物的治療法,カテーテル治療法,外科的治療法,合併症への対処などを各先生方に分担執筆していただきました。本書は,これから循環器専門医を目指すすべての医師が知っておくべき心筋梗塞の知識を整理することを目指しました。
 教科書やガイドラインは常に再検討され,改訂される必要があります。本書では,心筋梗塞診療の領域において,教科書がガイドラインにとどまらずに,病態・診断・治療に関する最新の情報を,第一人者の先生方に執筆していただきました。本書が第一線の先生方の診断,治療のお役に立てば幸いです。

2007年3月
杏林大学医学部第二内科教授
吉野秀朗
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目次

I 急性心筋梗塞へのアプローチ 
  急性心筋梗塞・急性冠症候群への分類・定義  (吉野秀朗) 
  筋梗塞症の疫学  (中村保幸)
  動脈硬化の進展と急性冠症候群の 発生病態  (仲川将志,上田真喜子)
  冠循環と心筋虚血障害・心筋梗塞の病理病態  (海北幸一,小川久雄)
II ST上昇型急性心筋梗塞:臨床像(初期評価)と治療I 急性心筋梗塞へのアプローチ 
  急性心筋梗塞・急性冠症候群への分類・定義  (吉野秀朗) 
  心筋梗塞症の疫学  (中村保幸)
  動脈硬化の進展と急性冠症候群の発生病態  (仲川将志,上田真喜子)
  冠循環と心筋虚血障害・心筋梗塞の病理病態  (海北幸一,小川久雄)
II ST上昇型急性心筋梗塞:臨床像と治療
初期評価
  臨床症状と身体所見,鑑別診断  (佐藤 徹)
  心電図  (四倉正之)
  心エコー  (坂田好美)
  血液生化学的心筋傷害マーカー  (清野精彦)
  包括的リスク評価  (古村雅利,磯部光章)
病院到着前治療(院外心停止/救急医療システムとプレホスピタルケア)  (高山守正)
救急外来における治療  (立花栄三,長尾 健)
再灌流療法
  再灌流療法の概念と治療戦略の選択,その評価  (川名正敏)
  薬剤による再灌流  (木村一雄,小菅雅美)
  PCI  (伊藤良明,村松俊哉)
  緊急CABG  (秦 光賢,南 和友)
  再灌流障害の概念とその対策  (浅沼博司,朝倉正紀,北風政史)
入院後早期の管理
  CCUの役割  (宮崎俊一)
  入院初期の治療法  (矢崎義直,山科 章)
合併症
 血行動態異常
  血行動態異常の評価法と左心不全/治療  (川村 淳,野々木 宏)
  心原性ショック  (川村 淳,野々木 宏)
  右室梗塞  (吉野秀朗)
  心室中隔穿孔と乳頭筋断裂,心破裂  (下川智樹,高梨秀一郎)
 不整脈
  心室性不整脈  (野呂眞人,杉 薫)
  上室性頻脈性不整脈(特に心房細動)  (沼田綾香,杉 薫)
  徐脈性不整脈  (杉 薫)
急性期以後の治療戦略
 左室機能評価と左室リモデリング  (安斉俊久)
 心筋虚血/再灌流障害リスクとviabilityの評価
  心電図  (小菅雅美,木村一雄)
  心エコー  (伊藤 浩)
  核医学  (西村恒彦)
  MRI  (寺岡邦彦)
  PET検査  (玉木長良,吉永恵一郎)
  侵襲的検査  (阿部 充,木村 剛)
 慢性期における電気的不安定性の評価と突然死の予防  (池田隆徳)
 心筋梗塞のリハビリテーションと低心機能への対策  (伊東春樹,長山雅俊)
残存虚血へのアプローチ
  PCI  (田村俊寛,木村 剛)
  CABG  (吉田成彦)
III 非ST上昇型急性冠症候群:不安定狭心症と非ST上昇型急性心筋梗塞
  定義と分類および病態生理と臨床像  (佐々木俊雄,三宅良彦)
  リスクの層別化と内科的治療  (船山 大,百村伸一)
  侵襲的vs非侵襲的治療の比較  (小山 豊,一色高明)
IV 心筋梗塞の二次予防
リスクファクターの修正
  積極的脂質低下療法  (高谷典秀,代田浩之)
  糖尿病  (中田佳延,井上弥絵,池脇克則)
  禁煙へのアプローチ  (飯田真美,藤原久義)
慢性期薬物療法
  β遮断薬とCa拮抗薬  (吉川 勉)
  ACE-IとARB  (石尾直樹,小室一成,小林欣夫)
  抗凝固療法と抗血小板療法  (後藤信哉)
 退院後の管理  (後藤葉一)
V 虚血耐性(ischemic preconditioning)と心筋保護
  虚血耐性(ischemic preconditioning)と心筋保護  (朝倉正紀,浅沼博司,藤田雅史,北風政史)
VI 再生医学
  再生医学  (牧野伸司,福田恵一)
VII 再発予防への非侵襲的アプローチ
  動脈硬化進展と頸動脈エコー  (堀端洋子,杉山正悟,小川久雄)
  MDCTによる不安定プラークの発見  (佐藤裕一)
  MRAを用いたアプローチ  (寺島正浩)
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