新 目でみる循環器病シリーズ 11

狭心症

診断から食事・運動療法まで

狭心症

■編集 住吉 徹哉
鶴見 由起夫

定価 10,450円(税込) (本体9,500円+税)
  • B5判  288ページ  
  • 2008年1月15日刊行
  • ISBN978-4-7583-0133-6

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狭心症を理解し,日々の診療に役立てる1冊

循環器専門医を目指す医師に向けて,基礎から臨床まで幅広く解説。
基礎となる狭心症の疫学を理解した後に診断・治療といった具体的な日々の診療に役立つ内容を掲載。狭心症の治療について欠かすことのできない食事・運動療法についても第一線で活躍する医師が具体的に治療法や現在の状況を解説している。


序文

好評を博している新「目でみる循環器病シリーズ」の一環として,狭心症に焦点をあてた本書を刊行することになりました。本書は狭心症の疫学と病態,診断と各種治療法などに加え,狭心症の発症や再発を予防するための生活指導の実際や心身医学的アプローチまでも含めた,狭心症の臨床全般に関するきわめて包括的な内容になったと自負しています。各項の執筆については気鋭の専門家にお願いして,基本概念の理解に始まり最近のトピックスまで網羅するように努めました。
 近年,種々の医療技術の進歩に伴い従来からの非侵襲的な診断や治療法が軽視される傾向にありますが,個々の病態に応じて常に最良の診断と治療のプロセスが取られるべきであると考えます。その意味でも本書では,まず「疫学と病態」の章で,実臨床に携わるものにとって必要な狭心症の各病態の基本的な概念を把握していただけるように心がけました。「診断」の章では,実際に患者さんを目前にした初診時からの病歴聴取を含めた合理的な診断プロセスとリスクの層別化にも重点を置きました。また「治療」の章では,薬物治療を含めて現時点でのエビデンスを網羅していただくよう各執筆者にお願い致しました。そして今回特に多くのページを割いたのが「生活習慣の改善」の章です。薬剤溶出ステントの登場により狭心症の治療効果が比較的容易にかつ一定期間得られるようになったのはまぎれもない事実ですが,これにより冠動脈疾患の治療のプロセスが完了した訳ではありません。むしろ今後はその再発予防がますます重要となることを踏まえ,具体的なアプローチを含めて各項を執筆していただきました。
 狭心症は冠動脈疾患の一連のスペクトラムの中でも安定狭心症から急性冠症候群に至るまでのきわめて幅広い病態を呈するため,診断や治療法をそれぞれの病態に応じて整理し理解する必要がありますが,本書がその一助になることを願って止みません。

平成19年11月
東京女子医科大学循環器内科准教授
鶴見由起夫
榊原記念病院副院長
住吉 徹哉
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目次

I 狭心症の疫学と病態
 狭心症の疫学ー欧米との比較ー (小川洋司)
  冠動脈疾患発症にかかわる因子
  冠動脈疾患に対する治療手段
  今後の課題
 [Memo]女性の狭心症 (鈴木ゆき)
 狭心症の病態生理と臨床分類up date (生田新一郎,宮崎俊一)
  概念
  心筋酸素需要量と冠血流
  心筋虚血
  分類 1病態からみた分類
  分類 2誘因からみた分類
  分類 3経過からみた分類
  無症候性(無痛性)心筋虚血 
  その他の疾患 
  まとめ 
 [Topic] 狭心症と心筋梗塞の境界線ーバイオマーカーー (岡松健太郎,清野精彦) 
 冠動脈プラークの成因と進展・退縮 (後藤信哉) 
  冠動脈プラークと狭心症の病態の関係 
  冠動脈プラークの進展と狭心症を含む虚血性心疾患の発症の関連 
  プラークの退縮と虚血性心疾患の発症予防 
  プラークの成因と炎症 
  プラーク形成,狭心症を含む虚血性心疾患の発症には全身の因子が関与する 
 [Topic] VH/OCTによるvulnerableプラークの同定 (北端宏規,赤阪隆史)
 冠攣縮性狭心症 (中山雅文)
  概念・定義
  病態生理
  診断
  冠攣縮性狭心症の危険因子
  治療と予後
  今後の展望
 [Topic] 好酸球増加症候群(HES)と冠スパスム (三須一彦)
 無症候性心筋虚血 (衣川 徹)
  無症候性心筋虚血とは
  無症候性心筋虚血の分類と頻度
  心筋虚血と痛みの病態生理
  心筋虚血が無痛性となる機序
  無症候性心筋虚血の検出と診断のアルゴリズム
  症例の提示
  無症候性心筋虚血の治療と予後
  まとめ
 [Topic] 心筋虚血とT-wave alternans (梶本克也)
II 狭心症の診断 
 診断フローチャートとリスクの層別化 (田山信至,中尾浩一)
  概念
  症型
  診断のための戦略
  リスクの層別化:Framinghamポイントスコア
  病歴聴取のコツ:非心疾患を疑う要素
  まとめ
 心電図検査 (小菅雅美,木村一雄)
  虚血による心電図変化
  心電図診断
 [Memo] 虚血とQT dispersion (小菅雅美,木村一雄)
 核医学検査 (藤本進一郎,山崎純一)
  狭心症に対する検査で使用する核種
  狭心症における心臓核医学検査の適応
  今後の心臓核医学検査
 [Memo] Dual scintigraphyでわかること (井口信雄)
 MDCT検査 (大塚雅人,菅原重忠)
  冠動脈撮影法の基本概念
  撮影法の実際
  冠動脈評価に用いる表示法
  冠動脈病変の検出・評価
  冠動脈疾患診療における検査の適応
 狭心症のMRI/MRA検査 (佐久間 肇)
  負荷心筋パーフュージョンMRI
  冠動脈MRアンギオグラフィー(MRA)
  今後の課題
 PET検査 (吉永恵一郎,玉木長良)
  PET検査の特徴
  心筋血流PETによる冠動脈疾患診断
  血管拡張薬による薬剤負荷プロトコール
  画像評価のポイント:summed stress score
  心筋PETによる心筋viability検出
  今後の展望
 心エコー検査の進歩 (相川 大,渡辺弘之)
  運動・ドブタミン負荷心エコー
  冠動脈エコー
  心筋コントラストエコー法
  ストレインとストレインレート
 [Topic] 虚血と心筋ストレインイメージ (中谷 敏)
 選択的冠動脈造影と定量的評価 (石井康宏,山田綾子,辻 晋也)
  冠動脈造影の歴史
  冠動脈造影の意義
  冠動脈造影の適応
  冠動脈造影の実際
  冠動脈造影の評価
  冠動脈造影を補うその他の検査法
 [Topic] 3D coronary angiography (金田秀昭)
III 狭心症の治療 
 安定狭心症治療のエビデンス (小島 淳,丸吉秀朋,小川久雄)
  薬物治療?冠動脈インターベンション?冠動脈バイパス術?
  DESの登場により冠血行再建術の適応は変わるか?
  今後の展望
 不安定狭心症のエビデンス (浅野竜太)
  ACS治療方針決定の流れ
  早期侵襲的治療vs.早期保存的治療
  侵襲的治療戦略適応の時期について
  UAP/NSTEMIに対する初期の薬物治療
  UAP/NSTEMIに対する抗血小板薬のエビデンス
  UAP/NSTEMIに対するスタチンのエビデンス
  効果的な治療のポイント
 薬物治療のエビデンス (川村正樹,代田浩之)
  抗血小板薬
  β遮断薬
  Ca拮抗薬
  硝酸薬
  アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
  HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)
 [Memo] スタチンのpleiotropic effects (長嶋道貴)
 冠動脈カテーテル治療 (田村俊寛,木村 剛)
  冠動脈カテーテル治療の適応
  冠動脈カテーテル治療の長期予後
  DES時代における冠動脈カテーテル治療
  今後の展望
 [Memo] ステント血栓症up date (森野禎浩)
 冠動脈バイパス術 (岡林 均)
  適応
  冠動脈バイパス術の早期成績
  冠動脈バイパス術に用いるグラフト材料
  冠動脈バイパス術の遠隔成績
 [Topic] ロボットを用いた超低侵襲手術 (石川紀彦,渡邊 剛)
 No option患者と血管新生/心筋再生療法 (沼口 靖,室原豊明)
  治療的血管新生(therapeutic angiogenesis)の概念
  細胞移植に適した細胞とは
  名古屋大学での重症虚血性心筋症に対する細胞治療の試み
  今後の展望
IV 食事・運動療法と生活習慣の改善 
 狭心症に対する包括的心臓リハビリテーション (横井宏佳)
  狭心症に対するPCIの長期予後
  DES時代のPCI患者長期予後改善のために(運動療法の役割)
  DES時代のPCI後運動療法の今後の課題
  今後の展望
 運動処方の実際(安達 仁)
  運動療法施設の準備とプログラムの概観
  患者への説明
  運動処方の実際(心肺運動負荷試験による処方)
  運動療法の実際
  運動療法における課題
 メタボリックシンドロームと狭心症 (山田信博)
  メタボリックシンドロームの素因
  メタボリックシンドロームの概念
  診療ターゲットとしての心血管イベントと糖尿病
  Beyond LDLの考え方と包括的診療
  シンドロームXからメタボリックシンドロームへ
  診断基準
  管理
 生活習慣と食事の自己管理目標 (横尾英孝,横手幸太郎)
  狭心症の危険因子
  生活習慣と食事
  体重・血圧・脂質・血糖の管理目標値
   食事療法・生活習慣指導の実際,患者へのアプローチ
 喫煙と狭心症ー禁煙指導の実際ー (高橋敦彦)
  喫煙と虚血性心疾患の疫学
  喫煙と虚血性心疾患の病態病理
  ニコチン依存症
  行動科学的アプローチ
  スクリーニング
  禁煙治療プログラム
  禁煙外来の再診
  ニコチン代替療法
  禁煙がうまくいかなかった患者のフォローアップ
  これからの禁煙指導
 [Memo] 狭心症とED (石蔵文信)
 狭心症の心身医学的アプローチ (桑原和江,笠貫 宏)
  心疾患と心身相関とは
  冠動脈疾患の心身医学
  心身医学的アプローチとは
  今後の展望
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