新 目でみる循環器病シリーズ 12

弁膜症,心膜疾患,心内膜炎

弁膜症,心膜疾患,心内膜炎

■編集 吉田 清

定価 9,900円(税込) (本体9,000円+税)
  • B5判  188ページ  2色
  • 2006年9月27日刊行
  • ISBN978-4-7583-0134-3

弁膜疾患を知り,理解し,実践するための1冊に

弁膜症の主要な要因となっていたリウマチ熱が減少し,弁膜疾患自体が減少すると思われていたが,急激な高齢化社会を迎え,虚血性の心疾患などに伴う弁膜症が増加してきており,日常診療で遭遇する疾患となってきている。
本書では,弁膜疾患について改めて病因,診断,画像による心機能評価,治療までを各項目において解説するとともに,知っておくべき各外科治療までをまとめている。弁膜疾患の知識を学び,実際の診療に活かすことのできる1冊である。


序文

 近年の画像診断の進歩は目覚ましいものがあります。循環器領域では,超音波法や,CT,MRIなど幅広い分野で急速な発展がみられます。弁膜疾患においては,かつて主要な原因であったリウマチ熱が減少し,弁膜疾患は減少するであろうと予測されていました。しかしながら,わが国は世界でも前例がないほどのスピードで高齢化社会を迎えつつあり,それに伴い,虚血性心疾患や退行性変化に伴う弁膜症(僧帽弁逆流や大動脈弁狭窄)が増加し,日常診療の中で遭遇する機会の多い疾患となって来ました。このような状況を踏まえ,すでに米国においては,弁膜疾患に対する新しい治療法や予防法の開発が国家的プロジェクトとして始まっています。
 弁膜疾患の診断は,心エコー図法の発展と治療法の進歩により大きく変化してきています。従来から行われていた心臓カテーテル検査や心血管造影法は,心エコー図の発展とともに,必ずしも必要なものではなくなってきており,さらに心エコー図でしか得られない弁の形態や機能に関する情報が,弁膜疾患や心膜疾患の治療方針の決定に必要不可欠なものとなっています。心臓病の画像診断の精度を高めるには,手術所見や病理所見との対比が必要です。外科治療の効果判定には,治療後の症状や生命予後だけでなく,画像診断を用いた治療後の心機能や形態の評価が重要です。つまり,画像診断は外科治療の際の情報のフィードバックを受け,手術成績は画像診断により評価され,ともに向上していくと言えます。僧帽弁逆流における,心エコー図診断と僧帽弁形成術は,まさにこのような相互関係の中で発展してきました。心エコー図法による診断結果は,僧帽弁形成術の際の外科医の丁寧な弁の観察で審判を受け,また,僧帽弁形成術の結果は,術中・術後の経食道・経胸壁心エコー図法により評価され,それぞれの技術が向上し,新しい知見や方法が獲得されてきました。すなわち,内科と外科の密接な連携が画像診断の進歩,そして治療成績の向上に大きく貢献してきたと言えます。
 以上のようなことを念頭におき,新目で見る循環器シリーズ12「弁膜症,心膜疾患,心内膜炎」を企画し,臨床の第一線で活躍されている先生方に執筆をお願い致しました。本書が心臓血管疾患の臨床に携わるすべての内科医,外科医にとって,必ずや役立つものと確信しています。

平成18年8月
川崎医科大学循環器内科学教授
吉田 清
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目次

I 弁膜症   
 僧帽弁狭窄症  (中谷 敏)
 経皮経静脈的僧帽弁交連切開術(PTMC)  (福 康志,光藤和明,藤井晶子)
 僧帽弁逆流  (渡邉 望)
 機能性・虚血性僧帽弁逆流  (尾辻 豊,鄭 忠和,坂田隆造)
 僧帽弁疾患の外科治療  (佐地嘉章,米田正始)
 大動脈弁狭窄症  (大倉宏之)
 大動脈弁逆流  (合田亜希子,中尾伸二,増山 理)
 大動脈弁疾患の外科治療  (種本和雄)
 三尖弁疾患,肺動脈弁疾患  (西野雅巳)
 人工弁の種類と特徴  (加瀬川 均)
II 心膜疾患
 急性心膜炎  (相川 大,渡辺弘之)
 収縮性心膜炎  (山室 淳)
 心膜液貯留,心タンポナーデ  (室生 卓)
III 心内膜炎
 感染性心内膜炎  (泉 知里)
 人工弁感染性心内膜炎  (谷本京美)
 感染性心内膜炎の外科治療  (山口博一郎,江石清行)
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