新 目でみる循環器病シリーズ 16

肺循環障害

肺循環障害

■編集 中野 赳

定価 9,900円(税込) (本体9,000円+税)
  • B5判  206ページ  2色
  • 2007年2月15日刊行
  • ISBN978-4-7583-0138-1

肺循環障害を理解し,日々の治療に役立てる

 肺循環障害を生理と病理,肺高血圧症,急性肺循環障害,先天性肺血管奇形の4つの項目にわけ,具体的に治療法や病因について解説。肺循環系は肺の本来の機能である呼吸性肺機能のほかに,生理活性物質の活性化や不活化,フィルター機能,線溶機能といった重要な非呼吸性肺機能をも有している。このように重要な肺循環系について,第一線で活躍する医師が図表を交えて治療に役立つ内容を厳選して紹介している。


序文

 肺循環障害は,循環器,呼吸器,さらには膠原病,小児科など多くの領域にまたがる疾患である。各領域の谷間に位置するがゆえに,わが国における研究や臨床の進歩は,これまで一部の専門家によってのみ支えられてきた。また,簡便な診断法や満足できる治療法がなかったことも,この領域へ臨床家が興味をもてない要因であった。
 しかし,最近の肺循環障害に対する診断法や治療法の著しい進歩は,わが国の臨床における肺循環疾患への注目を大きく引き寄せるに至っている。その代表的なものとしては,肺動脈性肺高血圧症の病因の解明や薬物治療の進歩,あるいは発症予防をはじめとした肺血栓塞栓症への取り組みの向上などがあげられる。肺動脈性肺高血圧症の薬物治療では,エポプロステノールの持続静注によりその予後が大きく改善し,また新しい経口薬剤も次々に開発されており効果が期待される。さらに肺移植も選択肢に入った。このため,一般臨床医にとっても,本症を早期に的確に診断して専門的治療に結びつける努力が必要となっている。一方,肺血栓塞栓症は従来わが国ではまれな疾患と考えられてきたが,現在では臨床でよく遭遇する普通の疾患になっている。特に,入院患者における発症予防はすべての臨床科で必要となり,内科以外の臨床医も十分に知っておくべき疾患である。
 このようにすべての臨床医が肺循環障害を理解すべきこの時期に,入門者から専門家まで,広く読んでいただける教科書が完成した。肺動脈性肺高血圧症や肺血栓塞栓症ばかりでなく,肺循環の基本や病因,さらに種々の原因に由来する肺循環障害まで遍く網羅されている。それぞれの項目は,わが国を代表する肺循環の専門家に執筆いただいている。
 本書により読者の方々の肺循環障害の知識がより深まり,明日からの臨床に役立つこととなれば幸いである。

平成19年2月
三重大学名誉教授
中野 赳
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目次

I 肺循環の生理と病理
  肺循環の生理 (村上伸介,木村 弘)
  肺循環の病理 (大郷恵子,大江 透,由谷親夫)
II 肺高血圧症
  肺高血圧症の分類 (山口佳寿博)
  疫学と予後 (中西宣文)
  病態,発症メカニズム(岡野嘉明)
  診断法 (佐藤 徹)
  内科的治療 (京谷晋吾)
  肺移植,心肺移植 (伊達洋至,草野研吾,松原広巳)
  各種疾患による肺動脈性肺高血圧症 (佐久間聖仁)
  左心系心疾患に伴う肺高血圧症 (百村伸一)
  肺疾患,低酸素血症に伴う肺高血圧症 (石丸伸司,辻野一三,西村正治)
  血栓塞栓性肺高血圧症 (栗山喬之)
III 急性肺循環障害 
  急性肺血栓塞栓症 (山田典一)
  その他の肺塞栓症 (太田覚史)
  ALI/ARDSに伴う肺循環障害 (田坂定智,石坂彰敏)
  急性肺水腫 (河村修二,松崎益徳)
IV 先天性肺血管奇形およびその他の肺循環障害
  先天性肺血管奇形およびその他の肺循環障害 (山田修)
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