新 目でみる循環器病シリーズ 17

血管疾患を知る

血管疾患を知る

■編集 松尾 汎

定価 10,450円(税込) (本体9,500円+税)
  • B5判  296ページ  2色(一部カラー),イラスト85点,写真169点
  • 2005年9月16日刊行
  • ISBN978-4-7583-0139-8

血管疾患に関して,必須基礎知識から検査・治療の実際までを分かりやすく解説

血管疾患に関して,解剖・病理などの基礎から,超音波検査・CT・RIなどの各種検査法,具体的な疾患の治療の実際について,実地に役立つ知識を分かりやすく解説した。また,本書の所々に,実地診療で役立つ「サイドメモ」を2〜4頁の独立した項目として配置した(抗凝固薬をどう使うか,超音波検査:周術期への応用,など)。これらは専門医を目指す研修医にとっては確実に知っておかなければならない事項である。このようにさらに“深く知る”ことができるようにも配慮した。


序文

【血管疾患への関心】近年,我国の疾病構造は「人口の高齢化」や「生活習慣の変化」に伴い,循環器疾患の増加が指摘されている。生活習慣の変化は動脈硬化の危険因子とされる糖尿病,高血圧等の多くの病態と関連する。その為全身の動脈に「動脈硬化」が生じ,高齢化も相まって全身の重要臓器の循環器疾患(脳,心臓,動脈瘤,末梢動脈などの動脈硬化性疾患)の増加が著しいとの指摘である。そのことを受け,近年は動脈硬化性血管疾患への診療は勿論,生命予後のみならずquality of life(QOL)を改善するため,より早期に発見し治療することへの関心,さらに進展・再発予防へとより関心が広がっている。
 また,時に致死的となる「いわゆるエコノミークラス症候群」は,種々の外科手術と関連する「周術期血栓症」としても,さらに集中治療室などでの重症例を診療する際にも発症する「静脈血栓塞栓症」(肺塞栓症:PE,深部静脈血栓症:DVT)として,近年注目されている。
【救急疾患としての動脈疾患】動脈での狭窄性病変(血栓塞栓症を含む)は,脳・頸動脈,冠動脈,腎動脈,腹部動脈分枝,四肢動脈で起こり得る。診断面では,超音波検査などの無侵襲診断法の進歩に伴う「Vascular Laboratory(Vascular Lab)」の整備,さらにCT(多列検出器)検査やMR検査などの低侵襲検査の進歩が著しい。治療面では,抗血小板薬での心血管イベントの抑制効果や抗凝固療法の有効性など多くのエビデンスが報告されてきた。大動脈疾患では急性大動脈解離や大動脈瘤破裂なども重篤であり,その早期診断や根治的手術の開発(低侵襲的治療:ステントグラフト内挿術の導入)などが行われてきた。特殊な病態としてのMarfan症候群や高安動脈炎などへの診療の取り組みも為されている。
【静脈・リンパ疾患への取り組み】DVTは,主に下肢の深部静脈が血栓により閉塞し還流障害を来した状態であり,急性では下肢の疼痛,腫脹を来すが,下腿の血栓では症状がなく経過する。Virchowの三因(血流・凝固異常・静脈壁傷害)が重要で,術後DVT頻度などの調査から,我国の発生頻度も欧米と差がない可能性がある。予防が最も重要だが,その取り組みは始まったばかりである。最近になって,QOLを低下させる下肢静脈瘤やリンパ浮腫への診療の遅れも指摘され,やっとその取り組みが開始された。
 本書では,これら種々の脈管疾患における診療の現状を,そのエキスパートの先生方に,臨床の各立場からご執筆頂くことができた。早速,今日から,本書を座右の書として活用して戴き,臨床の現場で役立つ事を期待している。

平成17年8月 大阪にて

松尾循環器科クリニック
院長
松尾 汎
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目次

I−血管疾患の基礎を知る
 解剖を知る(正木久男)
 生理を知る(大橋俊夫)
 病理を知る  (由谷親夫)
 血液凝固系を知る  (谷口尚太郎,丸山征郎)
 血管炎を知る  (橋本博史)
 疫学を知る  (松原純一)

II−血管疾患の診断法 
 生理機能検査  (太田 敬,杉本郁夫)
 超音波検査
  大血管  (知久正明,西上和宏)
  サイドメモ:周術期への応用  (渡橋和政,末田泰二郎)
  末梢動脈・静脈  (久保田義則)
 CT(大動脈,末梢動脈,静脈など)  (田波 穣,陣崎雅弘,栗林幸夫)
 MR(MRI,MRA,MRV)  (吉岡邦浩)
 核医学検査  (石田良雄,福地一樹,木曽啓祐,森脇 博,林 富貴雄)
 血管造影  (市川和雄,田島廣之,隅崎達夫)

III−血管疾患の治療 
 生活習慣病との関連  (矢嶋紀幸,渡辺 徳,池田宇一)
 治療方針決定に際しての全身評価  (松尾 汎)
 血管疾患とフットケア  (新城孝道)
 理学療法
  弾性ストッキング選択の実際  (平井正文)
  ASOの運動療法は有効か  (林 富貴雄)
  ドレナージの実施法を知る  (小林範子,藤野敬史,櫻木範明)
  炭酸泉足浴の効果を検証する  (熊田佳孝)
 血流障害の薬物療法  (本間 覚)
 サイドメモ:抗凝固薬をどう使うか  (小代正隆)
 サイドメモ:抗血小板薬の功罪  (横山健次,池田康夫)
 血管新生療法  (辰巳哲也,松原弘明)
 血管内治療  (田中良一)
 外科治療
  大血管  (竹谷 剛,高本眞一)
  末梢動脈  (小林昌義,只腰雅夫,古森公浩)
 サイドメモ:ステントグラフト内挿術の適応と限界  (川口 聡,石丸 新)

IV−診療の実際 
 末梢動脈疾患の診断と治療  (重松 宏)
 サイドメモ:急性動脈閉塞−救急疾患としての取り扱い方  (稲葉雅史)
 大動脈疾患の診断と治療
  胸部  (大北 裕)
  腹部  (菅野範英,岩井武尚)
 サイドメモ:高安動脈炎(大動脈炎症候群)  (安田慶秀)
 サイドメモ:急性大動脈解離内科治療の実際  (新沼廣幸,大平篤志)
 下肢静脈瘤の診療  (小川智弘)
 深部静脈血栓症の診療  (應儀成二)
 サイドメモ:周術期静脈血栓塞栓症予防の実際  (佐久間まこと)
 肺塞栓症の診療
  内科  (山田典一,中野 赳)
  外科  (安藤太三)
 知っておきたいリンパ浮腫の診療  (小川佳宏)
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