東京女子医科大学糖尿病センター編

糖尿病診療の実際

症例から学ぶ治療最前線

糖尿病診療の実際

■監修 岩本 安彦

定価 7,150円(税込) (本体6,500円+税)
  • B5判  192ページ  2色
  • 2006年2月20日刊行
  • ISBN978-4-7583-0160-2

一貫した「糖尿病診療」の実際を学ぶことができる一冊

糖尿病は単なる一疾患ではなく,合併症を併発する病である。患者の多くは生活習慣の乱れから糖尿病になることも知られている。
糖尿病の診療は他科との連携が非常に重要である。現在では当たり前のように言われていることだが,その先駆け的存在が「東京女子医大糖尿病センター」である。
一つの施設で一貫した診療を行い,もちろん患者の負担も抑え,さらに治療成績もあがっている。
本書では東京女子医大糖尿病センターの豊富な症例に,なぜその治療を行ったのか,それによりどのような効果が得られたのかを提示し,糖尿病診療を学べる書とした。


序文

 東京女子医科大学糖尿病センターは,1975年に開設された。初代所長の平田幸正先生はセンター内にいち早く糖尿病眼科を併設し,内科と眼科が一体となって診療にあたる先進的な診療体制を確立した。その後,病棟における透析ベッドの導入,フットケア外来の開設などを進め,大学病院で唯一の糖尿病センターとして発展を遂げてきた。
 糖尿病センターには,代謝内科と糖尿病眼科の二つの診療科があり,外来においても病棟においても内科医と眼科医が緊密な連携のもと診療にあたっている。病棟には5床の透析ユニットを持ち,新規透析導入や透析中の患者さんの入院にはセンター内で診療にあたることができる点も大きなメリットである。外来には,糖尿病眼科,腎症,フットケアのほか,小児・ヤング,妊娠,神経,肥満・高脂血症,遺伝相談などの専門外来があり,糖尿病の初期治療から進行した合併症に苦しむ患者さんのニーズに応えることができる診療体制を整え,糖尿病のトータルケアを目指している。
 糖尿病センターでは,3ヵ月毎に症例報告会を行っている。臨床研修医や後期研修中の医療練士が,担当した患者さんの中から,診断や治療に苦慮した症例や学ぶべきことが多い症例を選び,上級医の指導のもとにまとめて発表するものである。その際,過去の症例や文献にも広くあたりながら報告を行うので,医局員の臨床研修の重要な機会となっている。前所長の大森安恵先生は症例報告会の折り,医局員に対して「症例報告こそがオリジナルな仕事である」との平田先生の言葉を引用し,日々経験する貴重な症例について深く掘り下げ,まとめることの大切さを説いておられた。
 本書は糖尿病センターにおける症例報告会で発表された症例を含めて,1型糖尿病,2型糖尿病,その他特定の機序・疾患によるもの,妊娠糖尿病に分け,医局員が分担執筆したものである。これらの症例の中には,すでに学会や学会誌に発表したものも含まれているが,本書の刊行にあたって新たに加筆,修正した。出版にあたっては,メジカルビュー社の宮澤進氏の支援をいただいた。この場を借りて厚く御礼申し上げる。
 本書が,急増する糖尿病患者さんの診療にあたる医師,コメディカルスタッフの方々の日常診療のお役に立てば幸いである。

2006年2月
東京女子医科大学糖尿病センター
センター長 岩本安彦
全文表示する

目次

I.糖尿病の診療−オーバービュー  岩本 安彦
 1.わが国における糖尿病の現況
 2.糖尿病の成因と病態に基づく分類
 3.糖尿病の診断と治療方針の立て方
 4.病型・病態に応じた治療の進め方
 5.東京女子医大糖尿病センターにおけるチーム医療の実践
II.症例に学ぶ糖尿病診療の実際
 1.1型糖尿病
  急激発症1型:小児例  大澤 真里
  3歳時検診で発見された無症状の1型糖尿病  内潟 安子
  緩徐進行型1型(slowly progressive type 1)  武藤 和子
  劇症1型糖尿病  高池 浩子
  高齢発症1型糖尿病  實重 真紀
  無自覚性低血糖(無感知性低血糖)  高池 浩子
  自己免疫性甲状腺疾患合併例  大谷 敏嘉
  精神的要因が血糖コントロールを困難にさせた思春期1型糖尿病の2症例  佐藤 明子
  1歳7カ月で発症し糖尿病歴50年の1型糖尿病  笠原  督
  第1子出産後関節リウマチ,慢性甲状腺炎,第2子出産後シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデスを発症した小児期発症の1型糖尿病  三浦順之助
 2.2型糖尿病
  発症早期の教育入院例(短期入院プログラム)  照屋  亮
  食事療法が奏効した教育入院例  太田 陽子
  教育入院後,良好な経過をたどった若年発症2型糖尿病  岩本 安彦
  健診で高血糖を指摘されても長期間放置し,合併症の症状で初めて受診した症例  日下 貴子
  初診時にすでに進行した慢性合併症を認めた症例  岩橋 朝子
  ビグアナイド薬が著効を示した肥満例  藤川 径子
  αグルコシダーゼ阻害薬で良好なコントロールを達成した症例  藤川 径子
  ナテグリニドで良好なコントロールを達成した症例  宇都 祐子
  ピオグリタゾンが著効を示した症例  吉永 陽子・佐倉  宏
  経口薬の初回治療の効果  菅野 宙子・岩本 安彦
  インスリン療法:混合型1日2回で良好なコントロールを達成した例  照屋  亮
  インスリン療法:糖毒性の解消により,経口薬に戻し得た例  日下 貴子
  インスリン療法:経口薬と併用療法  岩橋 朝子
 3.その他の糖尿病
 *遺伝子異常によるもの
  MODY 1  岩崎 直子
  MODY 3  尾形真規子
  MODY 5  岩崎 直子
  ミトコンドリアDNA異常(MIDD)  冨樫 倫子
  Wolfram症候群  太田 陽子
 *二次性糖尿病
  慢性膵炎に対する膵切除術後に発症した糖尿病  岩崎 直子
  アクロメガリーによる糖尿病  井上 愛子
  Cushing症候群による糖尿病  長谷美智代
  グルカゴノーマ症候群  武田 將伸
  腎移植後糖尿病(PTDM)  石井 晶子・馬場園哲也
 4.妊娠糖尿病/糖尿病合併妊娠
  食事療法でコントロール可能であった妊娠糖尿病  山崎 薫
  妊娠中インスリン治療を必要とした妊娠糖尿病  内野美和子 
  計画妊娠の1型糖尿病合併妊婦  内野美和子
  妊娠中に発見,すでに糖尿病網膜症を合併していた2型糖尿病妊婦  佐中眞由実
全文表示する

関連する
オススメ書籍