Q&Aでやさしく学ぶ心臓CT

Q&Aでやさしく学ぶ心臓CT

■監修 児玉 和久
栗林 幸夫

■編集 平山 篤志
佐藤 裕一
陣崎 雅弘
小松 誠

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5判  160ページ  2色(一部カラー)
  • 2009年3月16日刊行
  • ISBN978-4-7583-0189-3

これから心臓CTを始めようとする方へ最適の1冊

近年循環器診断の中心を占めてきた心臓カテーテル検査を凌駕するものとして心臓CT(MDCT)が脚光を浴びている。急速な技術革新は64列CTにとどまるところなく320列CTなど次世代CTも発表され,診断的心臓カテーテル検査は心臓CTにまさに置き換わろうとしているのではないかといわれている。
64列CTが全国に普及し,第一線の循環器医師,放射線科医師だけでなく,開業医,一般内科医,研修医といったレベルまで広く診断の方法として定着すると考えられている。しかしながら,まだその撮影,解析,解釈といった技術力に加え,ある程度の放射線科的知識と循環器的知識が必要であるため,その知識が不完全であることが多く,基本的知識を平易に解説した書物が望まれていた。
本書では,平易に解説されている書籍の少ない心臓CTの撮影,解析,ガイドラインなどの基本事項を全国の初心者のレベルの方々まで平易に理解できるようにQ&A方式にて構成し,本書を一読すれば自然と基本的知識が網羅的に理解されるような内容とした。


序文

「Q&Aでやさしく学ぶ心臓CT」発刊にあたって
                     
 時間の流れる速度はますます速くなり,今日の出来事はあっという間に過去のものとなる。私達はまるで過去に追いかけながら必死に先へと急いでいる。そのような感覚に捕らえられるのは,実学を学ぶ者にとって本当は幸せなことかも知れない。CTが臨床で活用され始めてはや十数年が経ち,現在の主役は64列のmultidetector-row CTすなわちMDCTである。しかし,日常業務の中で山積する難問と対峙するわれわれにとって効率よく新しい知識を吸収することは,過去に取り残されないためにも生き残りをかけた必須事項である。本書は,最近猛烈な速度で普及,発展しつつある心臓,循環器領域におけるMDCTの基礎から臨床現場での知り得るべき知識を,効率よく吸収するために企画されたものである。
 心臓画像診断の歴史は20世紀初頭の放射線の発見に始まる。これはノーベル賞の輝かしい栄誉とともに,われわれ人類が決して忘れることのできない偉大な業績である。放射線はその後,人類のすべての臓器における画像診断に応用され,心臓においては1940年代の後半Cournandによる心臓カテーテル法の出現をみることとなった。これはその後,Sones,Judkinsによる冠動脈造影法の開発へと発展し,心臓循環器疾患の画像診断や治療に画期的大変革をもたらした。さらにこの流れは,解析精度の向上のための新たな手段の開発と被験者にとって侵襲度を低減する方向へ向けられ,次の世代の展開をみせることになった。この大きな変革を担った1つがMDCTの開発と進化である。CTはその開発以来,静止臓器の画像診断においては極めて有用であるとの高い評価をうけ,臨床現場で必要不可欠な手段として大いに活用されてきた。しかし,心臓など動く臓器については時間分解能や空間分解能の壁に阻まれ,実用に供するに至らなかった。しかしこれに光明を与えたのがMDCTであり,その開発によって初めて,非観血的手法による冠動脈をはじめとする全身の実用に耐えうる血管画像を描出することが実現した。それからわずか数年,MDCTの爆発的普及は周知のとおりである。いまや患者さんからもカテーテル診断を凌駕する要望と信頼を受けているのが実情である。
 この状況はわれわれ専門医といえども安閑とはしておれない。「私は心カテのエキスパートであるからCTなど知ったことか」では即,患者さんの信頼は失われ見捨てられる。そのような方をはじめ,これから循環器学を勉強したい研修中の医師,またともに仕事を分かち助け合うパラメディカルの方々にとって最適の入門書である。質疑応答形式は要点を知るのに最も適しているが,これは小松先生の的を射た企画である。本書は心臓MDCTを識るうえでの,マイル・ストーンともなるであろう。

2009年1月
大阪警察病院名誉院長/日本大学医学部客員教授/尼崎中央病院循環器科顧問
児玉和久
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目次

I章 基礎・原理
 1.マルチスライスCTとはどんなCTですか?以前のCTとはどのように違うのですか?
 2.“列”と“スライス”とはなにか意味が違うのですか?
 3.マルチスライスCTにはどのような種類がありますか?
 4.多管球CTとはなんですか?
 5.CTの種類によってどれだけ画像が違いますか?
 6.これまでの心臓カテーテル検査による冠動脈造影の限界について教えてください
 7.CTによる冠動脈造影のメリット,デメリットについて教えてください
 8.心臓カテーテル検査による冠動脈造影とCTによる画像はどのように違いますか?
 9.心臓CTの診断精度はどれくらいですか?ほかのモダリティと比較してどうですか?
 
II章 撮影一般
 1.心臓CTにかかる時間はどれくらいですか?
 2.開業医ですが,近隣の病院で心臓CT検査が立ち上がっています。どのように利用したらよいでしょうか?
 3.心臓CTを始めたいのですがなにを準備したらよいですか?
 4.循環器内科医,放射線科医,放射線科技師はどのように協力体制をとったらよいでしょうか?
 5.心臓CTを始めようと思うのですが,現在CTの枠に検査が詰まっています。心臓CTをどこに入れたらよいでしょうか?
 6.CTにおける時間分解能と空間分解能とはなんですか?
 7.造影剤の副作用に対するガイドラインは,いまどのように考えられていますか?
 8.心臓CTの被ばくはどれくらいですか?ほかの検査と比較してどれくらいといわれていますか?
 9.カルシウムスコアと心血管イベントのエビデンスはどのようなものが報告されていますか?
 
III章 実践撮影
 1.胸痛の患者がきました。すぐCTを撮ればよいのですか?(適応)
 2.前処置はどのようにしたらよいでしょうか?
 3.β遮断薬はなくても撮影できるのでしょうか?
 4.β遮断薬がショックの対応を妨げるというのは本当ですか?
 5.前処置でニトログリセリンはどうして必要ですか?
 6.造影後,発疹が出現,軽度の呼吸困難を訴えました。どのように対処をしたらよいですか?
 7.造影剤量はどれくらいが必要ですか?
 8.ECG modulationとはなんですか?
 9.Retrospective gatingとprospective gatingとは
 10.カルシウムスコアとはどのようなものですか?どうやって計測するのですか?
 11.撮影の手順を簡単に教えてください
 12.テスト造影をする場合としない場合があると聞きましたが…?
 13.Time-density curveとはどういうものですか?どう使うのですか?
 14.心臓CTにおける心電図同期とは?
 15.心房細動,期外収縮がありますが,撮影可能ですか?
 
IV章 画像
 1.いつも時間がなくて拡張期だけを見ていますが,それでいいのでしょうか?
 2.ピッチとはなんですか?どう使い分けるのですか?
 3.画像の種類を教えてください
 4.いろいろ画像の種類があるようですが,どれを主に利用するのでしょうか?
 5.カーネルとはなんですか?
 6.画像がきれいにでません。どうしたらよろしいでしょうか?
 7.ステント内部の評価はどこまで可能ですか?
 
V章 解釈
 1.アーチファクトはどのようなもので,どういう原因で生じますか?
 2.石灰化がひどく判定できませんでした。結果説明をどのようにしたらよいでしょうか?
 3.冠動脈バイパス術後の評価の現状は?
 4.冠動脈プラークはどのように判定するのですか?
 5.心臓CTでプラーク成分を知ることでなにかメリットはありますか?
 6.CT値とROIについて説明してください
 7.Profile curveとはなんですか?
 
VI章 臨床
 1.MBとはなんですか?所見に含める必要はありますか?
 2.冠動脈起始異常にはどういったものがありますか?
 3.CTで見えたプラークはほかの画像診断でどのように見えているものですか?
 4.不安定プラーク(vulnerable plaque)はCTでどこまでわかりますか?
 5.胸痛を訴えた患者に心臓CTを施行し,冠動脈狭窄がありませんでした。正常といってよいでしょうか?
 6.有意狭窄がなく,プラークがありました。どのように対処したらよいですか?
 7.CTOとはなんですか?
 8.CTOに心臓CTはどこまで役に立ちますか?
 9.心機能評価はどれだけ正確ですか?
 10.心筋評価はどこまでできますか?
 11.心臓CTのガイドラインなどにはどのようなものがありますか?
 
巻末:心臓CTをどのように,何例学べばよいでしょうか?
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