心エコー図 知ってるつもりの基本と知識

心エコー図 知ってるつもりの基本と知識

■監修 吉川 純一

■編集 渡辺 弘之

定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
  • B5判  380ページ  カラー(一部2色)
  • 2011年1月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-0208-1

進歩著しい心エコー領域の基本の基本から最新知識までを徹底解説した1冊

進歩著しい心エコー領域における基本の基本から最新知識までを第一線で活躍しているドクターが徹底解説した1冊。
心エコー図の中に隠れているサインを見破る決定的瞬間や,病態生理9つのマストポイント等,読者が知りたい,知っておくべき内容をわかりやすく,箇条書きで解説している。また,心エコーの画像はもちろんのこと,イラストも多く用い,「まだまだ知識が足りない」と感じている若手医師にとっても,「知識のブラッシュアップ」を考える先生方に対しても役に立つ書籍となっている。


序文

 心エコー図に携わる者の間では,数字の一人歩きに注意すべし!といわれています。しかし現実は,数字どころかレポートのコメントまで一人歩きしています。コメントは,本来画像の解説であり,画像とともに閲覧されてこそ意味があります。コメントだけでは真実の一面しか伝わりません。すなわち画像がなければ,真実に触れることはできません。
 画像は解釈を求めています。適切な解釈がなければどんな画像もそれだけでは診断になりません。これはほぼすべての画像診断にあてはまり,もちろん心エコー図にもあてはまることです。画像は正しく読み取られることで,診断につながっています。
 心エコー図の中身は常に進歩しています。同じ画像でも,その解釈は大きく変化し続けます。たとえば収縮性の亢進した心臓は,機能的に優れた心臓と考えられていましたが,今では低い拡張性の裏返しという見方も提案されています。このような変化に対応するためには,体系的な知識が必要ですが, われわれの周りは膨大な知見で満ちており, 一人だけで学習する範囲には限界があります。
 本書は,それらをもう一度見直し,自分で気づきにくい欠落した知識を補うための参考書として企画されました。各領域のトップクラスの専門家にお願いし,なるべくシンプルに知識を整理し,考え方を中心に記載していただきました。心エコー装置のすぐそばに置いて,心エコー図の教科書とともに,本書を活用し皆様の臨床的疑問の解決に役立てていただければこれ以上の望みはありません。

平成23年1月
榊原記念病院循環器内科部長
渡辺弘之

西宮渡辺心臓・血管センター院長
吉川純一
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目次

I 心エコーのための解剖・生理の基本の基本  
 心エコーのための解剖・生理の基本の基本(吉川純一) 
  左室,左房,僧帽弁の解剖と働き/右室・右房の解剖と働き/右室と左室の役割/大動脈弁・大動脈・頸動脈の解剖/おわりに

II 身体所見  
 3分でできる心雑音の鑑別(室生 卓) 
  心雑音の分類/拡張期雑音/連続性雑音
 心不全の第一発見者になる(渡辺弘之) 
  心不全の自覚症状/心不全の身体所見/心不全をエコーで知る

III 決定的瞬間 サインを見破れ(これがエコーだ)  
 感染性心内膜炎(芦原京美) 
  病態と診断基準/心エコーの役割/心エコーによるIE病変/検査・治療の際の注意点
 心腔内血栓(福田祥大,吉川純一) 
  左室内血栓/左房内血栓/その他/まとめ
 心臓腫瘍(大塚 亮) 
  疫学/臨床症状
 人工弁の異常(相川 大,渡辺弘之) 
  パンヌス形成/血栓弁/弁周囲逆流/人工弁心内膜炎/経年変化による構造的破綻
 大動脈解離(小江陽子,西上和宏) 
  偽腔開存型大動脈解離/偽腔閉塞型大動脈解離/急性大動脈解離の合併症
 収縮性心膜炎(岩野弘幸,山田 聡) 
  収縮性心膜炎の血行動態/収縮性心膜炎の心エコー所見/おわりに
 心タンポナーデ(三原裕嗣,渡辺弘之) 
  病態/診断
 Induced Ischemia(石井克尚) 
  虚血性心疾患における左室壁運動異常/ストレインを用いた心筋虚血の評価/冠動脈形成術(PCI)中のストレイン変化(supply ischemia)/運動負荷後のストレイン変化(demand ischemia)
 下肢の血栓(竹本和司) 
  発症頻度/診断

IV 病態生理 9つのマストポイント  
 前負荷と後負荷(村田和也) 
  心臓のポンプ機能の規程因子としての前負荷,後負荷
 Ischemic cascade(石井克尚) 
  Ischemic cascade/Reverse ischemic cascade/Diastolic stunningとPSS
 大動脈弁狭窄(渡辺弘之) 
  左室の求心性肥大と心機能の維持/弁口面積と圧較差/高度な大動脈弁狭窄/弁置換術
 大動脈弁逆流(谷口 学,伊藤 浩) 
  心エコー図検査の前のチェック項目/心エコー図による大動脈弁逆流の評価ポイント/大動脈弁逆流の成因/大動脈弁逆流による左室の代償性変化/大動脈弁逆流の重症度評価/手術適応
 僧帽弁狭窄(芳谷英俊) 
  疾患の疫学/病態の把握/心エコー図所見
 僧帽弁逆流(春木伸彦,尾辻 豊) 
  僧帽弁閉鎖不全の原因を考える/僧帽弁逸脱の解剖学的診断を行う/僧帽弁閉鎖不全の重症度を評価する/定性的・定量的評価方法の利点,欠点
 三尖弁逆流(高野真澄) 
  三尖弁逆流の成因・病態/TRの重症度評価/TRシグナルからの肺動脈圧推定/収縮期三尖弁離開が観察されたときの注意点/健常例におけるTRの意義
 高血圧と心不全(杜 徳尚,伊藤 浩) 
  高血圧と心不全の疫学/高血圧患者の心エコー図検査と注意点
 SAM・左室流出路狭窄(芳谷英俊,竹内正明,大谷恭子,尾辻 豊) 
  病的意義/診断方法/機序

V 先天性心疾患 ここから始める基本4疾患  
 心房・心室中隔欠損のとらえ方−外科医の側から望むこと−(安藤 誠) 
  心房中隔欠損の分類/外科手術に際してのポイント
 Fallotの中身(朴 仁三) 
  定義/解剖/血行動態/心エコー所見
 右室二腔症(安河内 聰) 
  基本的形態と病態/右室二腔症の心エコー診断/鑑別診断/治療
 ASO(amplatzer septal occluderによる経皮的心房中隔欠損閉鎖術)適応−どこで見分けるか−(嘉川忠博) 
  適応基準と禁忌/経胸壁エコー/経食道エコー/三次元エコー

VI 原理・基礎 知識を理解しよう  
 なぜエコーで見えるのか(平間 信) 
  眼のレンズと超音波診断装置のしくみ
 分解能:エコーはどこまで見えるのか(三木綾子) 
  空間分解能(spatial resolution)/時間分解能(temporal resolution)/分解能に影響を与える装置設定/3Dエコー画像の分解能/最新CT・MRIの分解能:他モダリティとの比較/結語
 エコー画像の設定と調節(菊田憲二) 
  ディスプレイの調整/断層画像の調整/血流カラードプラの調整/スペクトラル・ドプラ(パルスドプラ,連続波ドプラ)/弁輪ドプラ/おわりに
 アーチファクトができるわけ(平山秀男) 
  アーチファクトとは?/サイドローブ(副極による虚像)/グレーティングローブ/多重反射/音響陰影/鏡面現象(鏡面反射)/アーチファクトを鑑別するには?
 カラードプラで見えるもの(岡田 孝) 
  ドプラ法の原理/カラードプラ法で計測できる速度成分/流速の折り返し減少(エリアジング)/カラードプラのアーチファクト
 組織トラッキングの基本(山崎延夫) 
  定量化のポイント1 :測定器を選ぶ/定量化のポイント2 :「正しくトラッキングできたか」チェックする/定量化のポイント3 :どのストレインパラメータで評価するか/定量化のポイント4 :「正常値」がわかっている/おわりに
 エコーの窓の見つけ方(八木登志員) 
  エコーの窓と探触子操作/エコーの窓から得られる断画像/おわりに

VII 正常値  
 われわれの心臓は小さいのか(大門雅夫) 
  人種による心臓の違い/日本人における心エコー図正常値

VIII 5W1Hシリーズ:いつ,どこで,なにを,なぜ,どのように  
 パルスドプラの5W1H(阿部幸雄) 
  だれ? Part 1/なに?/なぜ?/だれ? Part 2/だれ? Part 3/だれ? Part 4/だれ? Part 5
 Continuous wave Dopplerの5W1H(水上尚子) 
  When:どのようなとき,連続波ドプラ法を用いるか/Why:どうして高速血流の最大流速計測には連続波ドプラ法を用いるのか/What:なにを計測するか/Where:どこで計測するか/How:どのように計測するか
 組織ドプラ法の5W1H(山田博胤) 
  組織ドプラ法とは?/なにをどのように記録するか?/いつ,なんのために使うのか?
 Tissue trackingの5W1H(石津智子,瀬尾由広) 
  基礎知識/Tissue trackingの5W1H/まとめ
 Strainの5W1H(浅沼俊彦,中谷 敏) 
  心筋ストレイン/心筋ストレインレート/解析において知っておくべきこと/解析でなにがわかるか
 負荷エコーの5W1H(平野 豊) 
  いつ行う? どのようなときに施行するか?/どこで/なにを/なぜ(目的)/どのように
 経食道心エコー図法の5W1H(芦原京美) 
  経食道心エコー図法の特性と利点/経食道心エコー図法の5W1H
 コントラストエコーの5W1H(小室 薫,山田 聡) 
  右心系のコントラストエコー法/左心系のコントラストエコー法/心筋コントラストエコー法(myocardial contrast echocardiography:MCE)
 ポータブルエコーの5W1H(三原裕嗣,渡辺弘之) 
  ポータブルエコーのカテゴリー/誰が,いつ,どこで,なぜ,どのようにして,ポータブルエコーを使用するか?/どのエコーを使用するか?/ポータブルエコーのHow much?
 三次元経胸壁エコーの5W1H(松村嘉起,杉岡憲一) 
  三次元心エコー図法の特徴,有用性/各疾患に対する有用性/心臓内腫瘤
 三次元経食道エコーの5W1H(相川 大,渡辺弘之) 
  リアルタイム三次元経食道心エコーとどのように向き合えばよいのか/僧帽弁逸脱の評価/今後の展望

IX 手術のしくみを理解する  
 左室形成術:虚血性僧帽弁逆流(松居喜郎) 
  種々の左室形成術/左室形成術による心不全コントロールのコンセプト/現時点での左室形成術の成績と評価/おわりに
 僧帽弁形成術(岡田行功) 
  手術視野と僧帽弁の観察/形成術式/僧帽弁後尖逸脱/前尖逸脱および両尖逸脱/グルタールアルデヒド処理自己心膜を用いた僧帽弁形成術/虚血性僧帽弁逆流/術中経食道心エコー図検査による2nd pump,SAM
 大動脈弁形成術(田中亜紀子,大北 裕) 
  弁形成術の前に/弁形成の実際/おわりに
 冠動脈バイパス術(真鍋 晋,高梨秀一郎) 
  多様化する冠動脈バイパス手術/CABGの現況/グラフト選択/Off pump CABG/上行大動脈の動脈硬化と周術期脳梗塞
 弁置換手術(田鎖 治) 
  使用する針糸/Everting mattress sutureかhorizontal mattress sutureか?/生体弁と機械弁植込み手技上の違い/大動脈弁置換手術/僧帽弁置換手術
 MICS(田端 実) 
  MICSの利点と潜在的欠点/MICSの適応/MICSアプローチの除外例/MICSにおける人工心肺と術中TEEの役割/写真で見るMICS手術/術後管理
 これだけは理解しておこう小児手術(高橋幸宏) 
  最近のFallot四徴/Fallot四徴の運動機能について/最近の再手術(肺動脈弁置換術)/再手術の適応決定/おわりに

X 虚血  
 負荷エコーのエビデンス(平野 豊) 
  方法について/診断の定義/虚血診断精度について/予後について/心筋viabilityについて/トレーニングについて/安全性について/その他の疾患への適応について
 虚血の証明はなぜ必要か(田中信大) 
  虚血の証明はなぜ必要か/虚血の存在と予後/冠動脈CT発展の功罪/無症候性心筋虚血/虚血を伴わない冠動脈狭窄

XI TEE  
 至適断面へのアプローチ(相川 大,渡辺弘之) 
  左室の観察/僧帽弁の観察/大動脈弁の観察/左房・左心耳の観察/大動脈の観察/心房中隔の観察

XII 心筋  
 viable/nonviableの境界線(麻植浩樹,伊藤 浩) 
  “Viability;The ability of a thing to maintain as it-self or recover its potentialities.”/心筋viabilityとは/心エコー図法による心筋viabilityの評価/心筋viability評価の臨床応用
 CRTをどうみるか(瀬尾由広) 
  心不全における心室同期不全/心室同期不全にみられる心エコー図所見/CRT適応決定と心エコー法/CRT後の同期調整/慢性期CRT効果の判定

Appendix  
 人を動かすエコーレポートの作り方(八木登志員) 
  心エコー図検査レポートの基本/依頼目的に答えるレポートの作成/レポート作成で守るべきこと
 ガイドラインの使い方:弁膜症(中谷 敏) 
  重症度評価に使う/手術適応決定に使う/クラス分類,レベル分類を見る
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