循環器医のための知っておくべき電解質異常

循環器医のための知っておくべき電解質異常

■編集 犀川 哲典

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • A5判  232ページ  2色
  • 2011年4月21日刊行
  • ISBN978-4-7583-0212-8

在庫僅少です。


循環器臨床で遭遇する電解質異常を基本から懇切丁寧に解説する一冊

電解質異常は,循環器臨床でも遭遇することが意外に多く,異常値をそのままにしてしまうと突然死や医源性の電解質異常をまねくことになる。本書は,実臨床で出会う基本的な内容から実際の対応を,循環器内科医,研修医が,わかりやすくていねいにかみ砕いて解説した書籍である。
各項目のはじめには「Point:ここをチェックしよう」を挿入し,項目内で覚えるべきポイントを示し,解説が必要な理解しておくべき語句については「覚えようこの用語」でやさしく説明,その他「「治療のポイント」や「Memo」などの囲みを用い,本文以外に解説が必要な内容を改めて説明している。また,成書ではあまり記述のない各電解質異常の症例についても提示し,考え方についても示している。


序文

 心血管系疾患の診断と治療に従事する医師にとって,電解質異常は,遭遇する機会が多く,治療により惹起されることもあり,大変重要な問題である。
 近年人口の高齢化に伴い,外来,入院の患者の診療において,多臓器障害を有する患者の増加が著しい。“心臓しか悪くない”,あるいは“肝臓しか悪くない”患者さんはまれである。程度はさまざまであるが,心臓,腎臓あるいは肝臓の機能障害を有する患者さんが少なくない。加えて脂質や糖代謝異常も合併する頻度が高い。患者さんは複合的な機能異常を伴っている。加えて昨今の薬物治療を考えると,電解質の変動を惹起したり,電解質の変動により有害事象を惹起する可能性が高い薬物が少なくない。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系薬物や抗不整脈薬はその代表である。程度の差こそあれ,多臓器機能異常を有する患者さんの診療に当たっては,電解質異常がないか? 治療により惹起されてはいないか? 常に念頭に置いて診療を行うことが重要であり,できれば予防したい。一度電解質異常が惹起されると,治療全体を見直すことが必要となり,その是正は容易でない。
 近年新しい研修システムの導入により,研修医の日常研修において,われわれ指導する立場の医師も少しセンシティブになっている。なぜなら彼らは2〜3ヵ月で,短いときは1ヵ月で他の診療科の研修にローテーションしてしまう。めざす診療科あるいは希望する診療科ではないが,内科はあるいは循環器はやっておいたほうが良さそうだから取りあえず回っておこうとくる研修医もいる。
 そのような研修医に,指導するタイミングを逸したり,忘れたりすると次の機会は回ってこない。研修が不十分なままに終了することになる。対策として電解質異常について,気軽に読める参考図書が欲しいと考えていた。
 この度メジカルビュー社から本書を出版する機会を得た。この種の本は通読するとともに症例を経験して読み直すものでもある。大きすぎず,厚すぎず,かつ気楽に読めるものが望ましい。この領域に詳しい先生方と一緒に企画・編集をして,症例を取り込んだ読みやすい本ができあがった。研修医,若手医師,あるいはコメディカルの皆さんに少しでもお役に立ててもらえれば,望外の幸せである。
 最後に本書の企画から上梓まで,大変お世話になったメジカルビュー社編集部吉田富生氏に深謝申し上げる。

平成23年 初春 豊後大分にて
大分大学医学部臨床検査・診断学教授
犀川哲典
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目次

I.基礎編  
 電解質に関する基礎知識 
  生体の恒常性
  水の調節
  ナトリウムの調節
  カリウムの調節
  カルシウムの調節
  その他:1マグネシウム
  その他:2リン,亜鉛,銅

II.臨床編  
 総論 
  電解質測定の実際,精度
  電解質異常でみられる症状と身体所見
  心電図変化から探る電解質異常
  電解質異常の病態診断
 疾患と電解質異常 
  高血圧と電解質異常
  不整脈と電解質異常
  心不全と電解質異常
  慢性腎臓病と電解質異常
  肝疾患と電解質異常
  糖尿病と電解質異常
  内分泌疾患と電解質異常
  悪性腫瘍と電解質異常
 薬物による電解質異常 
  利尿薬と電解質異常
  RAS系作動薬と電解質異常
  漢方薬と電解質異常
  薬物相互作用による電解質異常
  その他の薬物による電解質異常
 電解質異常の治療 
  電解質異常をきたさないための輸液の基本
  高ナトリウム血症と低ナトリウム血症の治療
  高カリウム血症と低カリウム血症の治療
  高カルシウム血症と低カルシウム血症の治療
  不整脈患者におけるマグネシウム測定・補正の重要性
 症例提示 
  低ナトリウム血症
  高ナトリウム血症
  低カリウム血症
  高カリウム血症
  低カルシウム血症
  高カルシウム血症
  高リン血症と低リン血症
  複合型電解質異常
  Cardio renal syndromeにみられる電解質複合異常の1例
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