コンプレックスPCI完全攻略

コンプレックスPCI完全攻略

■編集 濱嵜 裕司

定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
  • B5判  392ページ  2色(一部カラー),写真500点
  • 2012年1月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-0215-9

“コンプレックスPCI”を攻略するテクニック,考え方を第一線で活躍するドクターが症例を交えて徹底解説

心臓カテーテルは,検査,治療に関わらず,近年循環器診療の中心となっている虚血性心疾患の診療に必要不可欠で,多くの医師の方々がその手技に携わっている。しかし,基礎的な知識を習得し,学会やセミナー等により最新の知識は得ているものの,多様な症例を経験する場が多くはないため,一定レベルの技術は習得してきているが,それ以上の知識を現場で得られないケースも多い。その結果,経験数の少ない病態の患者の治療を行う際に,患者の病態理解が不十分であり,かつ術者自身の経験・技術が十分でなく,治療成績の悪化や術後の患者のQOLの低下につながっている場合も多いと思われる。
そこで本書では,心臓カテーテルの基礎的知識を得ている医師に向けて,実臨床で遭遇することが考えられる多くの症例(病態)を提示し,病態の理解,術者の症例に対する考え方,治療上のポイント等を解説。実際の診療で遭遇した際に,慌てず適切な治療が行えるための必携の1冊である。


序文

 虚血性心疾患に対するカテーテル治療は,道具の改良および手技の改善により高い初期成功および良好な慢性期成績が得られるようになり,虚血性心疾患に対する治療の中心的な存在を担っています。特に,近年カテーテル治療における最大の問題であった再狭窄が薬剤溶出性ステントの導入により低率にできるようになったことから,適応が拡大される傾向にあり,複雑病変に対する治療を行う機会も増加していると思われます。そこで複雑病変に対するカテーテル治療に焦点をあてた本書を企画いたしました。
 複雑病変に対する治療が難しい理由は,単に手技的に初期成功を得ることが難しいだけではなく,最適な治療戦略および手技が実施されないとその慢性期成績にも多大なる影響を与える点にあると考えます。すなわち複雑病変に関しては,適切な治療戦略を立てる「思考力」とそれを実践する「技術力」が必要となります。本書では,複雑病変に対する治療戦略や必要な手技を解説するだけでなく,実際の症例での具体的な考え方と手技の解説も提示することで,複雑病変に対するカテーテル治療の理解が深められるような構成にいたしました。執筆に関しましては,日頃から編者がご指導いただいている日本を代表する著名なカテーテル専門医の先生方に分担執筆をお願いいたしました。諸先生方にご協力いただけたおかげで,内容的には複雑病変へのカテーテル治療を行う医師に非常に有益な書籍にできたと自負しております。この本が複雑病変へのカテーテル治療を行う医師の日々の診療の一助になれば幸いです。
 最後にお忙しい中,分担執筆を快諾していただけた諸先生方および本書の企画から校正に至るまで多大なるご協力をいただきましたメジカルビュー社高橋範子氏に深く謝意いたします。

平成24年1月
昭和大学医学部内科学講座循環器内科学部門講師
濱嵜裕司
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目次

Ⅰ 入口部病変
左冠動脈主幹部 中村 淳 
LMT病変へのPCIに対する基本的な考え方/LMT病変にPCIをするときの条件/LMT入口部病変の特徴/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①PCI施行例/症例②石灰化を伴う病変例/症例③重症LMT病変①/症例④重症LMT病変②/症例⑤LMT体部から分岐部,LMD近位部,LCX中位部の病変

右冠動脈 渡邉哲史,許 永勝 
PCIにおける冠動脈入口部病変に対する基本的な考え方/ガイドカテーテルの選択/PCIの実際/ステント留置の実際/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①2ワイヤー・テクニックを用いた例 症例②IVUSマーキングと大動脈壁マーカーワイヤーを使用した例/症例③SPRINTテクニックを使用した例

Ⅱ 分岐部病変
CT所見からのステント構造に基づいた治療戦略 挽地 裕,野出孝一 
μ-CT所見からのステント構造に基づいた治療戦略①分岐部病変におけるステント留置の基本的な考え方/μ-CT所見からのステント構造に基づいた治療戦略②解剖学的な病変ごとの特徴と注意点/μ-CT所見からのステント構造に基づいた治療戦略③各種ステントの特徴/μ-CT所見からのステント構造に基づいた治療戦略④final kissing balloon inflation technique(KBT)の必要性と行い方/μ-CT所見からのステント構造に基づいた治療戦略⑤double stent techniqueが必要な場面での考え方/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①喫煙歴があり,高血圧に対して内服加療中

single stentとdouble stentの使い分け(非主幹部病変,true bifurcationにおける戦略) 大屋秀文,許 永勝
非主幹部分岐部病変でsingle stentとdouble stentの優位性はどうであったか?/どういったときにdouble stentを考慮するか?/double stentになった場合/側枝入口部のみの病変(Medina分類0,0,1病変)/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①左前下降枝近位部に高度石灰化病変を認めた例

左主幹部分岐部での対応 中村 淳 
LMT病変へのPCIに対する基本的な考え方/LMT病変にPCIをするときの条件/分岐部病変を含むLMT病変に対してもPCIは十分な成績を出しうるか?/分岐部病変を含むLMT病変に対するステント植込み手技の実際/LMT病変に対するPCIはどう考えて施行するか?−そのアルゴリズム−/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①不安定狭心症へのOCT施行例/症例②LMTの近位部入口部付近と回旋枝入口部付近の2ヵ所で再狭窄を認めた例/症例③手技中に追加のステント植込みを行った例/まとめ

SPRINT stenting 木下順久 
分岐部病変の治療戦略の基本/single stentingがdouble stentingより優れている理由/SPRINT(Stenting with PRotruding stent INTo side branch)stentingを考案した理由/“SPRINT stenting”の実際/“SPRINT stenting”のTips&Tricks/double stentingは血管モデルで練習してから使用する

ステント留置後の側枝閉塞に対する対応 藤田 勉 
分岐部のステントにおける側枝閉塞に対する原則/ステント留置後の再ワイヤーリング/ステント植込み後の側枝のワイヤー抜去が困難になる要因を理解する/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①STARテクニックを駆使することで,bail outできた症例/症例②LADにステント後,側枝が閉塞して,STARテクニックでbail outした症例/症例③分岐部病変にステント留置後に最初に側枝に留置したワイヤーが,リクロスした側枝に絡んで抜去困難になった症例

スレンダーシステムでの対応 舛谷元丸 
スレンダーシステムとは?/スレンダーシステムを用いた分岐部病変におけるガイドワイヤーの選択/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①5年前にバイパス手術の既往のある症例

Ⅲ 石灰化病変
ロータブレータ以外の対応 桜田真己 
石灰化病変でのガイドワイヤーの選択/病変の評価と拡張/病変を拡張できない場合/ステントのデリバリー/子カテの使用

ロータブレータ使用例 松原徹夫 
ロータブレータ使用における基本的な考え方/ガイドカテーテルおよびガイドワイヤーについて/burrの選択について/アブレーション時の注意点/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①頸動脈狭窄症の術前全身精査の際に,冠動脈に石灰化を伴う高度狭窄を指摘された例

Ⅳ びまん性病変
ロングステントを避ける工夫 松原徹夫
びまん性病変に対する治療戦略の立て方/びまん性病変におけるデバイスの選択/びまん性病変に対するステント留置/合併症に伴うロングステント/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①糖尿病でインスリン加療中

ロングステント使用時の注意点 桜田真己 
問題点①ロングステントのデリバリーが難しい/問題点②ガイドカテーテルの選択/問題点③ステントの長さと径の決定/問題点④ロングステント留置の実際

Ⅴ 屈曲病変
スレンダーシステムでの対応 舛谷元丸 
スレンダーシステムとは?/スレンダーシステムを用いた屈曲病変に対するテクニック/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①陳旧性心筋梗塞症例

その他の手技 濱嵜裕司 
屈曲病変の難易度の判断/屈曲病変に対するデバイス選択/エキストラサポートガイドワイヤー使用の是非/アコーディオン現象に注意/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①亜完全閉塞病変へのカテーテル治療/症例②右冠動脈の高度狭窄に対するカテーテル治療

Ⅵ 血栓性病変
スレンダーシステムでの対応 吉町文暢 
血栓性病変への治療/6Frガイドカテーテルによる血栓性病変への治療/スレンダーシステムによる血栓の対応①:5Fr de Percu/スレンダーシステムによる血栓の対応②:5Fr de Parachute

その他の手技 北山道彦 
血栓性病変と末梢保護デバイス/Percu Surge(Guard Wire Plus)/FILTRAPR/ParachuteTM/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①FILTRAPRが有効と考えられた症例

Ⅶ ステント内再狭窄
バルーンを中心に 高木拓郎,中村正人 
ステント内再狭窄に対するバルーン治療の基本的な考え方/ガイドカテーテル・ガイドワイヤー選択/IVUS/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①60歳代の糖尿病症例/症例②LADの薬剤溶出性ステント留置後再狭窄

ステントインステントを中心に 大辻 悟 
薬剤溶出性ステント再狭窄に関する考察/薬剤溶出性ステント再狭窄への対応/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①労作性狭心症,陳旧性心筋梗塞(下壁)

Ⅷ 慢性完全閉塞病変
慢性完全閉塞病変での冠動脈造影の撮り方・読み方 落合正彦 
CTOに対して冠動脈造影で収集すべき情報/どうすれば,高品位の冠動脈造影を撮影できるか/冠動脈造影の読み方/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①2年前に不安定狭心症のためLADにDES植込みを受けたRCA CTO症例

慢性完全閉塞病変でのワイヤーシェーピング 上田欽造 
ガイドワイヤーシェーピングの注意点,ポイント/CART時代のCTO wiringの考え方/順行性アプローチにおけるワイヤリングおよびワイヤーシェーピング/逆行性アプローチにおけるwiringおよびワイヤーシェーピング:LAD CTO症例

antegrade wiring  濱嵜裕司 
テーパーワイヤー導入前の慢性完全閉塞におけるantegrade approachの治療戦略/テーパーワイヤー導入によるCTOのantegrade approachの変化/フロッピーテーパーワイヤーは安全か?/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①bridge collateralを伴う完全閉塞病変症例/症例②左前下行枝にCTOの病変を認めた症例/症例③左前下行枝にCTOを認め,カテーテル治療を行った症例

パラレルワイヤーテクニック(基本手技と症例提示) 小林智子,中村 茂 
慢性完全閉塞病変カテーテルインターベンション手技におけるパラレルワイヤーテクニックの必要/パラレルワイヤーテクニックの基本的な考え方/パラレルワイヤーで使用するワイヤー/パラレルワイヤーの利点と問題点/パラレルワイヤーテクニック施行のタイミング/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①狭心症のカテーテル治療

パラレルワイヤーテクニック(症例提示) 浜中一郎,上田欽造 
臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①パラレルワイヤーテクニックが有用であった例

IVUSガイドワイヤリング(基本手技と症例提示) 五十嵐康己 
分岐部慢性完全閉塞病変へのIVUSガイドワイヤリング/偽腔からのIVUSガイドワイヤリング/IVUSガイドreverse CART/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①初回不成功に終わったLAD分岐部CTO病変に対してIVUSガイドワイヤリングを施行した例

IVUSガイドワイヤリング(症例提示) 小林智子,中村 茂 
臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①閉塞部入口部同定/症例② antegrade approachでパラレルワイヤーテクニック不成功後にIVUSガイドワイヤリングに切り替えた症例

STARテクニックの使い方  藤田 勉 
STARテクニックとは/ナックルワイヤーテクニック(末梢血管)/STARテクニックの適用/実際の経験に基づくSTARテクニック/臨床現場で役に立つ症例CHECK 
症例①STARテクニックとreverse CARTを組み合わせた例/症例②STARテクニックを用いた症例/症例③Dye STARテクニックおよびサイドブランチテクニック/症例④Dye STARテクニック

レトロチャネル通過の極意
 中隔枝チャネルへの対応(基本手技と症例提示) 村松俊哉 
臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①antegrade approachからretrograde approachへ変更し,再PCIを施行した例 

 中隔枝チャネルへの対応(症例提示) 五十嵐康己 
臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①術前の予想に反して中隔枝チャネルの通過に難渋したRCA CTO

 心外膜チャネルへの対応(基本手技と症例提示) 木村祐之,土金悦夫 
epicardial channel/epicardial channelの選び方/手技の流れ/穿孔対策/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①左冠動脈前下行枝入口部慢性完全閉塞例(antegrade失敗例)

 心外膜チャネルへの対応(症例提示) 村松俊哉 
臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①胸痛で来院しPCIを施行した症例

 バイパスグラフトへの対応(基本手技と症例提示) 山根正久 
レトロチャネル通過の極意/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①CABG後の狭心症/狭心症患者へのPTCA施行例/バイパスグラフトへの対応

 バイパスグラフトへの対応(症例提示) 木村祐之,朝倉 靖 
臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①バイパス術後10年を経過した右冠動脈慢性完全閉塞症例(再々施行例)

レトログレードワイヤリング
 ソフトワイヤーでの対応 濱嵜裕司 
retrograde approachにおけるガイドワイヤー使用法の基本的な考え方/ASAHI ULTIMATEbros 3で進まない場合/knuckle wireの作り方/knuckle wireの利点・欠点/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①10年前にバイパス手術の既往のある症例

 スティッフワイヤーでの対応 落合正彦 
側副血行路をASAHI Corsairが通過し,CTO遠位部冠動脈内腔に達したあとのストラテジー/retrograde wire crossing/reverse CART/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①労作性狭心症症例

CARTとreverse CARTの使い分け(基本手技) 木村祐之,朝倉 靖 
retrograde approach/CART/reverse CART/ASAHI Corsairの開発/CART vs. reverse CART/reverse CARTの困難,不適切症例

CARTとreverse CARTの使い分け(症例提示) 木村祐之,土金悦夫 
臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①糖尿病を合併し,右冠動脈慢性完全閉塞を伴う3枝病変症例

スレンダーシステムでのCTO PCI 吉町文暢 
慢性完全閉塞へのアプローチ/細径ガイドワイヤーの使用/スレンダーシステムの使用/対側造影をどうするか?/スレンダーシステムを用いたretrograde approach/スレンダーシステムとCTOのまとめ

Ⅸ 多枝病変への対応
段階的治療 高木拓郎 
多枝病変における段階的治療(staged PCI)の基本的な考え方/段階的治療(staged PCI)とは/段階的治療の選択/段階的治療の実際/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①心不全を伴う不安定狭心症症例/症例②駆出率分画率(ejection fraction:EF)30%の増悪型労作性狭心症症例

一期的治療 山根正久 
多枝病変への一期的治療/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①3枝病変に対する血管再建

Ⅹ 合併症への対応
冠動脈解離 濱嵜裕司 
冠動脈解離とは/冠動脈解離が生じたときに守るべき大原則/冠動脈解離への対応の実際/ガイドカテーテルによる解離/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①右冠動脈解離症例/症例②大動脈解離症例

冠動脈穿孔 大辻 悟 
冠動脈穿孔の早期発見と対応①/冠動脈穿孔の早期発見と対応②/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①労作性狭心症

冠動脈血腫 北山道彦 
冠動脈血腫とは/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①ステント留置後の血腫に対する処置

Slow flow/No flow 挽地 裕,野出孝一 
Slow flow/No flowの定義と発生に対する機序/発生する病態と頻度/Slow flow/No flowの予知・予測は可能か?/末梢循環障害への対処法/Slow flow/No flowを起こした場合の対応/臨床現場で役に立つ症例CHECK 症例①Slow flow/No flow発症の際の対応
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