心血管インターベンションエキスパート 2

3-D mapping:アブレーションにどう活用するか

3-D mapping:アブレーションにどう活用するか

■編集 山根 禎一

定価 7,150円(税込) (本体6,500円+税)
  • B5変型判  276ページ  オールカラー,写真700点
  • 2012年3月19日刊行
  • ISBN978-4-7583-0218-0

カテーテルのプロフェッショナルを目指すエキスパートシリーズ,ついに発刊

近年の不整脈の診断および治療に対する3-D mappingの発展は著しく,現在,多くの施設で当たり前のように使われている。しかし,3-D mappingを十分に日々の診療に役立てるのは,非常に難しく,機器だけが一人歩きし,使いこなせていないのが現状であろう。
そこで本書では,3-D mappingの原理や解剖等の基本的な事項から,各疾患別の3-D mappingを用いた診断,治療を具体的に徹底解説。多くの症例を用い,どのように使いこなすと3-D mappingの利点を最大限活用できるのか,また逆に限界はどのなのかを解説している。


序文

 カテーテルアブレーションが不整脈の有力な治療手段の一つとなってから早くも20年近くが経とうとしている。当初はX線透視と心内電位図だけの情報しかなく,心臓内の3次元構築の理解には2次元のX線透視と手先の感覚を頼りに想像するより他には方法がなかった。
 1990年代半ばに登場したCARTOシステムのコンセプトには度肝を抜かれたことを鮮明に覚えている。心臓の構造と興奮伝搬様式がコンピュータ画面上に3-D表示されている像を見て,時代が大きく変わりつつあることを深く認識した瞬間であった。ただ,こんな高価な器械を導入できる施設がどれだけあるのだろうか,という疑問も同時に抱いていた。
 時代は流れ,現在では不整脈の侵襲的治療を行う多くの施設で3-D mapping機器が導入されている。2-Dの時代と比べて高度な不整脈の治療が可能となり,成功率および安全性の向上に寄与していることは明らかだ。その便利さはまるで自動車のナビゲーションを見ているようでもあり,術者の技量が足りなくても器械の指示する場所を焼灼することで難治性不整脈が治ってしまうことも少なくない。本当によい時代になったものだ。
 でも,本当によいことばかりなのだろうか?
 3-D mappingはあくまでもバーチャル画像であり,本物を見ているわけではない。自動車の運転をナビゲーションだけ見ながら運転するドライバーはいないが,3-D mappingだけを見ながらカテーテル操作を行ったために重大な合併症を引き起こした事例を耳にすることもある。これでは器械の普及ばかりが先走りしているのではないか,という懸念も湧いてきてしまう。
 今,世の中に3-D mappingが広く普及した時代だからこそ,それをどのように不整脈治療に用いるべきであるのかを問い直してみる必要があると考え,この本を刊行することとなった。3-D mappingの長所短所を含めた詳細な情報を,国内外で活躍されている著名な先生方の全面的な協力を得てまとめた,わが国初の記念すべき本である。是非この本をカテーテル治療室に常備していただき,日々の臨床の中で活用していただきたく思う。
 最後になるが,ご執筆いただいた諸先生方,本書の実現に多大な貢献をしていただいたメジカルビュー社の高橋範子氏,吉田富生氏に感謝の意を表したい。本書がわが国のカテーテルアブレーションの発展に役立つことを確信している。

平成24年2月

東京慈恵会医科大学循環器内科准教授
山根禎一
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目次

■総論
3-D mappingの歴史 伊藤太平,奥村 謙 
不整脈治療テクノロジーの変遷/3-D mappingシステムの歴史/CARTORシステム/EnSite NavXTMシステム/3-D mappingシステムの今後

3-D mappingの基礎,原理(CARTOR) 阪上 学 
CARTORシステムとは/CARTORシステムの基本原理/CARTORシステムの今後

3-D mappingの基礎,原理(EnsiteTM) 池口 滋 
non-contact mapping/conventional mappingとvirtual 3-D mapping/EnsiteTMの原理/EnsiteTMの誤差/MEAの留置位置/EnsiteTMのフィルター設定/心房頻拍の使用例

3-D mappingと解剖 井川 修 
3-D mapping systemからわかる心臓構造/3-D mappingと解剖/心内腔と3-D mapping/右室と3-D mapping/左室と3-D mapping/3-D mappingと臨床心臓解剖

3-D&remote navigation 宮崎晋介 
remote navigation systemの現状/3-D mapping systemとremote navigation/手技の実際/適応症例/将来の方向性

rotational angiographyのアブレーションへの応用 江島浩一郎 
rotational angiographyとは/左房および肺静脈のrotational angiogram撮像の実際/rotational angiogramのアブレーションへの応用/rotational angiogramの今後

■各論:疾患別3-D mapping使用方法
Ⅰ 心房細動
肺静脈隔離術 
 CPVI  内藤滋人 
CARTOMERGETMを用いた心房細動アブレーション/CARTOMERGETMの方法/Merge法/CARTOMERGETMの利点/心房細動アブレーションのstrategyと成績/CPVIの有用性

 EEPVI 谷口宏史 
non-shelled road map EEPVI法のコンセプト/non-shelled road map EEPVI法の実際の手技/

 電位指標によるPVAI  山根禎一 
3-D mapping機器の利点と限界/点状焼灼による拡大肺静脈隔離術(電位指標による肺静脈前庭部隔離術)/3-D mappingを併用したアブレーションの実際/CARTOR3の登場による発展/3-D mappingの利点と限界(これからの3-D mappingに期待すること)

 Box isolation 熊谷浩一郎 
BOX isolationの利点/BOX isolationの実際

 Hamburg方式 髙月誠司 
肺静脈隔離術/Hamburg方式の拡大肺静脈隔離−circumferential pulmonary vein isolation/慶應方式の肺静脈隔離術/CARTORを使った肺静脈隔離のtips

心房内線状焼灼術 
 Roof & MIG 松尾征一郎 
心房内線状焼灼術を取り巻く背景/左房線状焼灼術/Roof line ablation/Mitral Isthmus Ablation(MIG ablation)

 Figure-7 長内宏之 
心房細動アブレーション治療の現状/Stepwise linear ablationの実際/発作性心房細動のアブレーション/持続性心房細動のアブレーション/Stepwise linear ablationの成績/Stepwise linear ablationが心房細動に有効な理由

 supralateral left atrial isthmus line 吉賀康裕 
治療の考え方/マスターすべき必須手技/治療成績および合併症

CFAEアブレーション 
 Nademanee style 桶谷直也 
鹿児島大学病院におけるCFAEアブレーション/持続性心房細動例/3-D mappingによる利点/CARTOR3の使用例/CFAEアブレーションの今後

 electrogram-based ablation 高橋良英 
electrogram-based ablationとは/electrogram-based ablationの指標電位/アブレーションの実際/手技の手順/3-D mappingの使用

GPアブレーション 山城荒平 
GPアブレーションとは/GPPVI(GP plus PV isolation)とは/ジオメトリーの構築/GPPVIでの3-D mappingの有用性

non-PV foci 山口尊則,土谷 健 
non-PV fociとは/non-PV fociの分布と頻度/non-PV fociからのトリガーの誘発/3-D mapping systemの選択/多極カテーテルの配置の工夫/起源同定後のアブレーション

Ⅱ 心房頻拍・心房粗動
Focal AT 蜂谷 仁 
3-D mapping登場以前/心電図による起源予測/アブレーション前電気生理学的検査/3-D mapping systemの有用性/mappingにおける着目点/NavXTM使用症例/non-contact mappingを施行し成功通電を得た症例/頻拍起源の解剖学的部位における頻度と特徴

macro-reentrant AT 江里正弘 
リエントリー性頻拍とは/macro-reentrant ATにおけるマッピング/新たなマッピング法:post pacing intervalをベースにしたマッピング/entrainment mapping(3-D color-coded entrainment mapping)の概説/3-D color-coded entrainment mappingを用いたMRT症例

先天性心疾患術後のAT 真中哲之 
先天性心疾患術後のATへのカテーテルアブレーション/先天性心疾患術後心房頻拍の特徴/先天性心疾患術後心房頻拍に対するカテーテルアブレーション時の3-D mapping

心房細動外科手術後のAT 宮内靖史 
治療選択のための最適なモダリティ選択/double potentialやfractionated potentialの解釈/身につけておきたい技術・知識

AFアブレーション後のAT 里見和浩 
AFアブレーション後のATの分類/マクロリエントリ性頻拍のマッピングのポイント/Focal ATのマッピングのポイント

Ⅲ 心室頻拍
虚血性心疾患に起因するVT 合屋雅彦 
心室頻拍の回路の解明/陳旧性心筋梗塞に合併する心室頻拍に対するアブレーション/虚血性多型性心室頻拍・心室細動に対するカテーテルアブレーション/問題点および今後の展望

epicaldial approach 副島京子 
epicardial approachとは/マッピングの工夫/合併症と問題点/心室頻拍例の手技の実際

心筋症に起因するVT 中原志朗 
マッピング方法/拡張型心筋症/不整脈源性右室異形成/肥大型心筋症

乳頭筋起源VT 山田 功 
左室乳頭筋起源心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)の特徴/マッピング施行のための最適なモダリティ選択/手技の着目点/身につけておきたい技術・知識

Ⅳ 心室性期外収縮
流出路起源PVC 山崎 浩,夛田 浩 
流出路起源頻拍/期外収縮の解剖学的特徴/従来法と比較した3-D mappingの利点/CT/心腔内超音波の活用/流出路起源PVCに対するnon-contact mappingの活用

unipolar電位と3-D mapping 奥村恭男 
右室流出路起源VPC/VT症例でのEnsiteTM/non-contact balloonシステムの実際−virtual unipolar電位(VUE)の解釈/右室流出路心内膜側からのアブレーションの可否を測る方法/手技の実際:アブレーション

Ⅴ 心室細動
特発性心室細動および虚血性心室細動 野上昭彦 
治療施行のための最適なモダリティ選択/3-D mapping利用の実際

Ⅵ 上室性頻拍
WPW症候群 徳田道史 
治療施行のための最適なモダリティ選択

房室結節回帰性頻拍(AVNRT) 徳田道史 
治療施行のための最適なモダリティ選択/術中の注意点

Mahaim束アブレーション 井原 健,沖重 薫 
Mahaim束アブレーションの歴史的背景/Mahaim束に対するmapping,ablation/Mahaim束に対する3-D mappingの応用/手技の着目点
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