心血管インターベンションエキスパート 5

OCTによる新時代PCIと各種画像モダリティを駆使した治療シミュレーション

OCTによる新時代PCIと各種画像モダリティを駆使した治療シミュレーション

■編集 森野 禎浩

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)

OCTをはじめ血管内視鏡,MDCT,MRIによる新しいPCI時代に取り残されないための知識・技術を凝縮

現在,PCIをめぐる環境が大きく変わろうとしている。このような状況のなか,PCIにおいて各種画像モダリティを使いこなし,治療にあたることが必須となっている。とりわけ,OCTを使いこなし,新しいPCIに触れ,手技にあたることが必要である。
そこで本書では,アンギオやIVUSはもちろんのこと,OCTや血管内視鏡,MDCT,MRIといった画像診断をどのようにPCIに役立てていけばいいのかを徹底解説。病理医,心臓外科医,臨床工学技士はどのように考えているのかを各筆者の経験をもとに執筆。新時代に取り残されないために役立つ1冊となっている。

  • B5変型判  246ページ  写真700点
  • 2013年3月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-0221-0

序文

 震災後,国内で使い尽くされた言葉に「想定外」がある。最近はこの究極の弁明を発すれば,なんでも許されるような風潮すらないだろうか?しかしながら,本書のテーマであるPCIには,「想定外」という甘い逃げ道はない。30年以上に及ぶ進化の過程で,あらゆる事象が出尽くしたに違いない。的確な経験と知識の共有がなされれば,予測できない事象など残ってないはずである。これから新しくPCIをはじめる先生には残酷な現実だが,起こりうる事象を予測できないとしたら,単に勉強不足か経験不足なだけであって,プロフェッショナルには技量と知識の追随のための努力が義務づけられているのである。
 PCIにおいて,こうした「予測」を可能にするのは,血管画像の的確な解釈といっても過言ではない。読者の皆様も,PCIのたびに術前のアンギオを解釈し,治療方法を選択し,仕上がりを想像し,術中画像モダリティの解釈を加え,合併症を予測・予防し,拡張のエンドポイントを決める,という一連の治療シミュレーションを繰り返しているに違いない。
早くからIVUSが保険償還されたおかげで,日本のPCIは異次元の発達をしてきた。日本版IVUSガイドPCIは成熟し,世界の頂点を極めている。要点をまとめた教科書をつくるのには今が絶好のタイミングである。さらにIVUSに限らず,OCTやCTなどの画像モダリティの臨床応用も日本が世界を牽引するエンジンとなっている。こうした新しい分野の知見は急速に肥大化する一方,技術革新もめざましく,PCI専門医がキャッチアップすることが困難になりつつある。特にOCTガイドPCIという新たな治療戦略は,新世代PCIの中心を占めることが予測されるが,使用者が限定されている。そんな画像の新旧の雄が入り乱れた戦国時代に,これらを駆使した治療シミュレーションの教科書を企画することはタイムリーで,そこには明確なニーズが存在すると思われた。
 このような企画企図で,国内のイメージングへの造詣の深い専門医が編纂したのが本書である。アンギオ,IVUS,OCT,血管内視鏡,CT,MRIといったモダリティごとの特集に加え,時事的なトピック,病理を理解するPCI専門医の深い解釈や,われわれのパートナーである心臓外科医や臨床工学技士の視点を加え,多角的な構成を目指した。各先生にはお忙しいなか,時間を工面して画像活用と解釈のコツをわれわれに伝授し,編集者の力不足を補っていただいた。本書の執筆者の献身的な労力には,この場を借りて心から感謝申し上げたい。広く皆様に本書をご活用いただくことが,執筆者へのせめてもの恩返しである。
本書がカテ室,医局の本棚,はたまた自宅のリビングのソファの脇などに置かれ,疑問のたびに開かれることを心から願っている。画像モダリティを駆使した治療シミュレーションによって,安全で効果的でPCIが裾野まで広ってくれれば,編集者としてこの上ない喜びである。

平成23年3月
岩手医科大学内科学講座循環器内科分野教授
森野禎浩
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目次

第1部 侵襲的画像検査
 Ⅰ アンギオ所見:PCIへの徹底活用
  アンギオ読影の共通語:定義と用語  興野寛幸 
   一般的注意点/アンギオ読影の共通語/分岐部における分類(Medina分類)/側副血行路の程度(Rentrop分類について)/peri-stent contrast staining(PSS)/結語:アンギオグラムの重要性
   
  血管壁シルエットからの病理考察とPCIの反応の予測  江崎裕敬,桜田真己  
   血管壁シルエットがあらわすもの/不安定プラークの予測以外に留意すべき血管壁シルエットの考察
   
  CTO病変の難易度に影響するアンギオ所見  嘉納寛人,及川裕二 
   CTO病変の冠動脈造影を行う際の留意事項/冠動脈の起始に関する病変難易度に影響する所見/CTO病変近位部血管の難易度に影響する所見/CTO病変の難易度に影響する所見/側副血行路とその供給冠動脈に関する難易度に影響する所見/冠動脈造影から多くの情報を得るために
   
  Breaking news:J-CTOスコア  阿部 充 
   モデル作成への個人的想い/J-CTOスコア誕生のいきさつ/詳細なアンギオ解析/J-CTOスコアの実際

 Ⅱ IVUS:PCIへの徹底活用
  末梢塞栓症の予測と対策  遠藤光明 
   末梢塞栓症の病態/末梢塞栓症の予測/末梢塞栓症への対策/今後の課題と最近の話題
   
  血管穿孔の予測と拡張のエンドポイント  武田吉弘 
   冠動脈穿孔を回避するために/IVUSを活用して冠動脈穿孔を予測,回避する/エンドポイント
   
  真腔・偽腔の見極め方,真腔を取り直す工夫  矢嶋純二 
   真腔・偽腔の見極めが必要な状況とは/真腔・偽腔のIVUS所見/真腔・偽腔を見極める必要のある状況/真腔の取り直し方(retrograde approach)/真腔の取り直し方(antegrade approach)
   
  解離・血腫の予測  市橋 拓,木村祐之 
   冠動脈形成術によって起こる合併症,PCIとはなにか/病理(解剖)/イメージングデバイス/症例提示/文献的考察
   
  ステント留置部位の決定方法  辻田賢一,小川久雄 
   ステント留置におけるlanding zoneの決定/側枝閉塞の予測とステント留置部位/心筋架橋への配慮/結語
   
  ステント拡張サイズの決定方法  川野太郎,高山忠輝 
   ステントサイズの決定方法
   
  IVUSマーキング法による位置決めとmini-con PCI  緒方信彦 
   基礎編/応用編
   
  VH-IVUS徹底活用  那須賢哉 
   カテーテルインターベンションにおけるVirtual Histology IVUSの役割/プラーク全体の観察の重要性
   
  IB-IVUS徹底活用  大塚文之 
   IB-IVUSとは?/PCIにおいてIB-IVUSに期待されるものはなにか?/IB-IVUSの限界を知る/IB-IVUS活用のために考えるべきこと
   
  IVUSカテスタッフの対応  本江純子 
   PCI前にしておくべきこと/PCI中の注意点/PCI後の注意点
   
  Breaking news:Front View IVUS  早稲田勝久 
   Front View IVUS/臨床試験と今後
   
 Ⅲ 光干渉断層イメージング(OCT,FD-OCT):PCIへの徹底活用
  冠動脈壁画像の基本的解釈  房崎哲也 
   各種画像所見/ステント留置後の評価/今後の展望
  
  PCIへの徹底活用:適応・限界・可能性を踏まえて  塩野泰紹,北端宏規 
   OCTの役割/frequency-domain OCTの特徴/PCI前の病変評価/PCIの術中・術後の評価/遠隔期の評価/限界/将来展望/まとめ
   
  Breaking news:FD-OCT virtual 3D view  岡村誉之 
   DES留置後慢性期の評価/分岐部ステンティングの評価
   
 Ⅳ 血管内視鏡徹底活用
  血管内視鏡徹底活用  高野雅充 
   良質な画像を得るためには?/血管内視鏡の画像特性/血管内視鏡所見/血管内視鏡の活用法
   
第2部 非侵襲的画像検査
 Ⅴ MDCT(Multidetector-row CT)徹底活用
  内腔評価のピットフォール  奥津匡暁 
   内腔径計測の基礎/石灰化アーチファクト/バンドアーチファクトのピットフォール/ステント内評価のピットフォール/狭窄度評価のピットフォール/Curved MPR画像のピットフォール/閉塞と亜閉塞
   
  CTO-PCIへの徹底活用  磯村直栄,落合正彦 
   CTO-PCIにおけるMDCT(Multi detector-row CT)の有効性/MDCTで得られる情報/症例1/症例2
   
 Ⅵ MRI徹底活用
  心筋viabilityの評価とPCIへの応用  加地修一郎 
   遅延造影による心筋viabilityの評価/ドブタミン負荷シネMRIによる心筋viability評価/心筋viability評価をPCIにどう活かすか
   
  Breaking news:ここまできた冠動脈描出能  飯野美佐子 
   whole heart coronary MRA/撮影法の工夫/今後の展望
   
第3部 プロフェッショナルの視点
 Ⅶ PCIをする病理医からみた各種イメージング解釈
  Nakazawa’s view  中澤 学 
   イメージングデバイスのゴール/各種イメージング:病理学的見地から利点と欠点,または今後期待できる点を考える/必ずしも病理に迫る必要はない!
   
  Shinke’s view  新家俊郎 
   動脈硬化の進展とプラーク不安定化/薬物治療による動脈硬化病変の退縮/冠動脈ステント留置に対する治癒過程と新規の動脈硬化性変化/まとめ
   
 Ⅷ 心臓外科医に必要な術前イメージング
  内科医へのメッセージ  長 泰則 
   心臓外科医にとっての冠動脈造影とは/冠動脈走行の解剖学的留意事項/症例提示/結語

 Ⅸ 臨床工学技士によるhiqh quality PCIの設計と術者に対する助言
  Saiki’s advice  齋木 力 
   血管断面画像装置を使用する利点/治療前プルバック画像判読が治療を成功に導く/ステントの落としどころの特定/ステント決定と拡張圧の検討/ステント拡張と合併症確認
   
  Soeda’s advice  添田信之 
   環境設定/穿刺/ガイドカテーテル/ガイドワイヤー/通常のPCIケース/CTO
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