心血管インターベンションエキスパート 6

合併症克服トラブルシューティング

合併症克服トラブルシューティング

■編集 及川 裕二

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5変型判  156ページ  2色(一部カラー),写真250点
  • 2012年12月10日刊行
  • ISBN978-4-7583-0222-7

万が一! のときにお役に立てる合併症処理の一冊

インターベンションの合併症は,ときとして非常に危険な状況に陥る場合が存在する。したがって,インターベンション術者としては常に合併症の発生を念頭においておかなければならず,またその回避方法についてより多くの引き出しをもっておくべきである。その知識なしにインターベンションを行うことは,禁忌! と言っても過言ではない。
本書は具体例をもとに,より実践に即した内容をPCI領域の第一人者の先生方に執筆いただいた書籍であり,万が一! の状況が起こった際にお役に立てていただける一冊である。


序文

 心血管インターベンションは,低侵襲かつ安全で効果的な治療ができる,ということで近年,著しく発展してきました。薬剤溶出性ステントの登場により慢性期成績が向上し,より複雑病変に対してもインターベンションが試みられるようになってきております。さらに,ワイヤー,バルーンカテーテルの改良も目覚ましく,よりアグレッシブなインターベンションが可能となった反面,インターベンションによる合併症の発生の増加が懸念され始めております。
 インターベンションの合併症の頻度は少ない,とは言え,決して0%にはできないものです。また,インターベンションの合併症は,個々の事例の発生状況も異なるため,バリエーションが豊富であり,術者自らの経験だけでは対処方法に苦慮する場合が少なくありません。したがって,合併症への対処方法については,一つ一つの経験をたくさんの先生方で共有して学んでいかなくてはなりません。
 インターベンションの合併症はときとして非常に危険な状況に陥る場合が存在します。したがって,インターベンション術者としては,常に合併症の発生を念頭においておかなければならず,またその回避方法について,より多くの引き出しをもっておかなくてはなりません。その知識なしにインターベンションを行うことは,禁忌!と言っても過言ではありません。低侵襲治療を望む日本の傾向においては,その施行数も現在では相当数に達し,冠動脈バイパス術に比しかなり多い割合でインターベンションが行われております。そのようななかで,患者様はもとより,術者側も,インターベンションに対してより慎重な姿勢で臨む,ということは非常に大切なことであります。
 本書は,具体例をもとに,より実践に則した内容を,PCI界の第一人者の先生方に解説いただいております。日常の手技にお役に立てるものを,ということを念頭に企画・編集されておりますので,万が一!のときにお役に立てていただければ幸いです。ただし,先にも述べたように,合併症に対する対処はこれで十分,というものはありません。新しいデバイス・テクニックが出れば,また新しい合併症発生の可能性があります。したがって,この本の内容に加え,先生方のこれまでの知識・経験で合併症対処に臨んでいただければ幸いです。

2012年10月
心臓血管研究所付属病院循環器内科
冠動脈疾患担当部長 
及川裕二
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目次

Ⅰ 冠動脈解離
 解離を予防するコツーデバイス決定はどのようにすべきか  岡村篤徳
  治療施行のため最適なモダリティ選択/術中の注意点
 Bail out法  伊藤 剛,那須賢哉
  シチュエーション別Bail out法
 
Ⅱ 冠動脈穿孔
 ワイヤーによる末梢穿孔に対する処置  矢嶋純二
  穿孔の予防/穿孔したときの対処/止血手技後の観察
 バルーンおよびステントによる穿孔に対する処置  松野俊介
  冠動脈穿孔の頻度/冠動脈穿孔の原因と重症度分類/バルーンおよびステントによる
  冠動脈穿孔に対する処置
 ロータブレータ(デバルキングデバイス)による穿孔に対する処置  小川崇之
 
Ⅲ Slow flow/No reflow
 造影およびIVUSからの機序分類を理解する  伊藤良明
  Slow flow / No reflowとは?/病態と臨床意義はなにか?/血管造影所見から予測する/
  血管内超音波検査(IVUS)から予測する/症例提示
 Bail out法  氏家勇一
  Slow flow / No reflowが起こってしまったら/Slow flow / No reflowの予防対策/症例提示
 
Ⅳ 冠動脈内異物回収
 ワイヤー遺残に対する処置  浅野竜太
  ガイドワイヤーの構造/ガイドワイヤーのトラップや断裂が起こる状況/ワイヤー抜去時に
  強い抵抗を感じたら/遺残したガイドワイヤーの回収
 ステント脱落に対する処置  後藤 亮
  治療施行のための最適なモダリティ選択/症例/マスターすべき必須手技/手技の着目点/
  術中注意点/身につけておきたい技術・知識
 ロータブレータスタックに対する処置  安齋 均
  バースタックの分類/バーの抜去方法
 IVUSスタックに対する処置  小堀裕一
  IVUSスタック/スタックの発生する原因/術中の注意点−スタックの予防/身につけて
  おきたい技術・知識−ステントでスタックしたら
 CorsairおよびTornusなどマイクロカテーテル抜去困難に対する処置  朴沢英成
  Corsairの構造・特徴,および使用法ついて/ Corsairの抜去困難について/Tornusの構造・
  特徴,および使用法について/ Tornusの抜去困難ついて

Ⅴ 穿刺部合併症
 橈骨動脈アプローチの場合(術中スパズム予防および術後閉塞を回避するコツ)  唐原 悟
  なぜ橈骨動脈アプローチなのか/身につけておきたい知識/治療施行のための最適な
  モダリティの選択/術後の注意点
 大腿動脈アプローチの場合(仮性動脈瘤およびシャント,血腫に対する処置)  辻 貴史
  大腿動脈穿刺/仮性動脈瘤/血腫/シャント
 
Ⅵ 大動脈解離  白井伸一
  治療に対する考え方/手技の着目点
 
Ⅶ ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)  角谷 誠
  HITとは?/HITの診断/冠動脈インターベンション時のHIT
 
Ⅷ コレステロール塞栓症  太田 洋
  コレステロール塞栓症の病態と症状/検査所見/発症の危険因子/病理診断/画像所見と
  リスクの回避/治療/予後/実際の手技のポイントと注意点
 
Ⅸ 造影剤に起因する合併症
 造影剤腎症  船田竜一
  定義/カテーテル検査および治療後に腎障害を発症した場合はCINなのか?それとも塞栓症
  なのか?/慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の症例にどれくらいまで造影剤を
  使用してもいいのか?/CINのリスクについて/CINの予防法:輸液・薬物療法・透析
 造影剤ショック  河口 廉
  ヨード造影剤ショックの発生機序/ヨード造影剤ショック発生時の対処法/アナフィラキシー
  様ショックに対する処置/ヨード造影剤ショックの予防
 
X 放射能障害  滝澤 要
  身につけておきたい技術・知識/臨床症状/保存的治療
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