精神科臨床ニューアプローチ 8

睡眠障害・物質関連障害

睡眠障害・物質関連障害

■担当編集委員 上島 国利

定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
  • B5判  264ページ  
  • 2006年2月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-0233-3

在庫僅少です。


「睡眠障害・物質依存」に関わる疾患や診断のポイント・具体的な治療法など縦横無尽に解説された臨床に役立つ1冊

本書では,現代社会において,日常生活に大きな影響を与えることで話題となる2つのテーマ「睡眠障害」および「物質依存」について,その最新のトピックスから,診断のポイント,具体的な治療法,それらの障害に関係する疾患別の治療の実際,など縦横無尽に解説している。
まず,「睡眠障害」では,昼夜を問わず活動し続ける24時間社会とも呼ばれる現代社会を反映した深夜労働や交代勤務への就労者に起こりやすい不眠や睡眠不足,概日リズム障害による身体などへの影響,また過眠や睡眠時随伴症について取り上げ,それらの診断法について解説している。治療法では「薬物療法」として鍵となるベンゾジアゼピン系の特徴,用い方を中心に,「薬物以外の方法」としては高照度光療法や認知行動療法,精神療法などについても述べ,先出の障害をさらに細分化し疾患別での治療の実際についても記述している。
「物質依存」では,物質依存のメカニズムを心理社会的側面および生物学的側面から捉えることで診断のポイントを理解できるようにしている。アルコール,覚醒剤,有機溶媒,大麻,鎮咳剤といった依存症のみならず,衝動抑制の障害として病的賭博も含め「現代社会の依存症」に対応した。
「睡眠障害」では「睡眠障害の診断・治療ガイドライン」を,「物質依存」では「関連法規」を項目に加え,より臨床での実用性を考慮した構成立てとした。

■シリーズ監修
上島国利

■シリーズ編集委員
上島国利/市橋秀夫/保坂 隆/朝田 隆


序文

編集の序

 睡眠は心とからだの健康の指標といわれ,その障害は精神面のみならず心理社会的側面にも大きな影響を与えます。以前は睡眠障害といえば不眠が主たる症状でしたが,最近では,過眠や睡眠に随伴する異常現象であるパラソムニアまでを含む幅広い概念として捉えられています。ライフスタイルが多様化し,一定の時間に就寝するといった生活パターンをとりにくく,睡眠リズムの乱れを生じやすい現代人は,睡眠障害に悩むことが多くなっています。その結果,睡眠不足となり労働能率の低下や労働災害さらに交通事故,勉学の能率の低下などさまざまな保健医療面の問題を生じてきます。また,心身に与える影響によって身体疾患の経過や転帰を悪化させます。さらに精神疾患の多くは睡眠障害をきたし,原疾患の治療のみならず睡眠障害の対応が極めて重要になってまいります。睡眠障害が精神疾患の発症や再発のリスクファクターになるともいわれています。
 さて,睡眠障害治療に最も能率よく効果を発揮し,かつ安全性の高いのは,薬物療法といえましょう。睡眠薬についての正しい知識と使い方を知ることは,精神科医はもとよりすべての臨床医にとり不可欠です。本巻は睡眠障害の正確な診断から治療までをより実践的に取り上げ臨床に直ちに役立つようになっています。

 他のテーマとして長い歴史をもつ薬物依存を取り上げました。薬物依存,長期乱用,後遺症などは,現在の時代背景を考えると,迅速な対応が求められる問題です。とくに専門の治療者の育成や治療施設の充実は早急になされるべきでしょう。
 薬物依存の患者には保健,医療,福祉,教育,司法,行政を包括した治療システムを構築しないと,個々の臨床医の力では困難です。治療や対応が困難な薬物依存を敬遠するのではなく,より適切な対応のための方策を医療関係者が考えて行く時期のようです。

2006年1月
上島国利
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目次

用語解説一覧
略語一覧
掲載薬剤一覧
睡眠障害 I 現代社会における睡眠障害
 1 疫学,分類,臨床上の特徴,最近話題の睡眠障害  清水徹男
   はじめに
   睡眠障害の分類とICD-10における睡眠障害の位置づけ
   不眠および睡眠不足の安全と身体の健康に及ぼす影響
   不眠の「こころの健康」に及ぼす影響
   最近話題の睡眠障害
   おわりに
  〔コラム〕睡眠物質プロスタグランジン,その他  高橋正洋,山田尚登
睡眠障害 II 診断と鑑別
 1 不眠をきたす疾患の診断のポイント  粥川裕平,冨田悟江,北島剛司,岡田 保
   不眠をきたす疾患の診断は,不眠の苦悩の受容から始まる
   不眠の的確な診断のポイント
   不眠の鑑別診断
   おわりに
 2 過眠をきたす疾患の診断のポイント  粥川裕平,北島剛司,冨田悟江,岡田 保
   過眠症診断のポイント
   まとめ
 3 概日リズム睡眠障害の診断のポイント  伊藤 洋
   概日リズム睡眠障害とは
   CRSDの病態
   CRSDの診断のポイント
   おわりに
 4 睡眠時随伴症の診断のポイント  原田大輔,伊藤 洋
   はじめに
   覚醒障害
   通常レム睡眠に関連する睡眠時随伴症
   診断のポイント
   おわりに
  〔コラム〕夢  中込和幸
睡眠障害 III 治療法
 1 薬物療法 ベンゾ(チエノ)ジアゼピン系睡眠薬の種類と特徴,用い方  中島 亨
   ベンゾジアゼピン系睡眠薬の種類と特徴
   睡眠薬使用を決定する前に考えるべきこと
   臨床生理から考えられるベンゾジアゼピン系睡眠薬の投薬にあたっての留意点
   効果が不十分/不適切な場合に検討するべきこと
   過量服薬時の対処法
 2 薬物療法 不眠の病型に応じたベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用法  中島 亨
   不眠の病型に応じたベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用法
   投与時の反応に応じた(非)ベンゾジアゼピン系睡眠薬の再選択の方法
 3 薬物療法 ベンゾジアゼピン系睡眠薬の常用量依存と離脱法のポイント  尾鷲登志美
   診察のポイント
   診断のポイント
   離脱法のポイント
 4 薬物療法 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の種類と特徴,使い方  尾鷲登志美
   非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の種類
   非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の特徴と使い方
 5 薬物以外の方法 睡眠衛生  安達明里,横尾実乃里,坪井康次
   はじめに
   睡眠衛生教育とは
 6 薬物以外の方法 精神療法  岩崎 愛,坪井康次
   精神療法の適応
   精神療法
   まとめ
 7 薬物以外の方法 認知行動療法  内海浩彦,井上和臣
   睡眠障害に対する治療方略
   認知行動療法の治療技法:行動療法的技法
   認知行動療法の治療技法:認知療法的技法
   患者が活用する認知行動療法の技法
   認知行動療法の今後
 8 薬物以外の方法 高照度光療法  永山治男
   高照度光療法の基本
   高照度光療法の実際
   おわりに
 
睡眠障害 IV 治療の実際
 1 不眠症 頻度の高い不眠(精神生理性不眠)  梶村尚史
   おもな治療方法
   薬物療法
   非薬物療法
   治療のポイント
 2 不眠症 内科疾患および精神疾患に伴う不眠  三島和夫
   内科疾患に随伴する睡眠障害
   神経疾患および脳器質障害に随伴する睡眠障害
   精神疾患に随伴する睡眠障害
   アルコール依存症
   摂食障害
 3 過眠症 ナルコレプシー  本多 真
   ナルコレプシーの症状
   ナルコレプシーの診察のポイント
   ナルコレプシーの検査と診断のポイント
   ナルコレプシーの治療のポイント
 4 睡眠呼吸障害 睡眠時無呼吸症候群
   はじめに
   定義
   OSASの臨床症状および合併症
   検査
   治療
   おわりに
 5 概日リズム睡眠障害 時差症候群や交代勤務における睡眠障害の予防と治療のポイント  佐々木三男
   時差症候群
     108
   交代勤務睡眠障害
  〔コラム〕睡眠覚醒リズム障害とメラトニン 三島和夫
 6 概日リズム睡眠障害 睡眠相後退症候群  香坂雅子,森田伸行
   診察のポイント
   診断のポイント
   治療のポイント
 7 概日リズム睡眠障害 睡眠相前進症候群  香坂雅子
   診察のポイント
   診断のポイント
   病態
   治療のポイント
 8 概日リズム睡眠障害 非24時間睡眠覚醒症候群  香坂雅子
   診察のポイント
   診断のポイント
   病態
   治療のポイント
 9 睡眠時随伴症  稲見康司
   睡眠時随伴症
   睡眠時遊行症
   レム睡眠行動障害
 10 むずむず脚症候群  水野創一,堀口 淳
   概要
   臨床症状
   疫学
   発症機序
   治療
 11 周期性四肢運動障害  水野創一,堀口 淳
   概要
   臨床症状
   発症機序
   むずむず脚症候群との関連
   治療
睡眠障害 V 診療・治療ガイドライン
 1 睡眠障害の診断・治療ガイドライン  内山 真
   睡眠障害の多様性と臨床的重要性
   日常臨床における睡眠障害についての情報聴取
   睡眠衛生についての基本的知識
   睡眠薬の使用の原則
   おわりに
物質依存 I 現代の動向
 1 現代の動向  齋藤利和
   アルコール関連障害の概念の変遷
   現在の物質依存概念の誕生
   現代の物質関連障害の概念とその問題
   治療
   生物学的研究
物質依存 II 診断のポイント
 1 急性中毒,依存,脱離,健忘症候群,フラッシュバック  飯塚 聡
   急性中毒
   依存
   脱離
   健忘症候群
   残遺性および遅発性の精神病性障害(とくにフラッシュバック)
 2 心理社会的側面  宮里勝政
   物質依存の心理
   物質依存の社会的側面
   物質乱用小史
 3 生物学的側面  氏家 寛
   物質依存の神経回路
   診断
物質依存 III 各論
 1 アルコール依存の治療  古川愛造,樋口 進
   治療のステージ
   初回診察時の留意点
   離脱症状の治療
   薬物療法
   心理・社会的治療
 2 覚せい剤依存症に対する外来での対応−同意のもとでの法的抑止力提供による回復支援−  平井慎二
   覚せい剤依存の治療における問題点と解決策の展開
   覚せい剤依存をもつ者の要素および行動特性
   薬物需要削減のための取締処分と援助の連携のあり方
   同意のもとでの法的抑止力提供による回復支援
 3 有機溶媒依存の治療  土田英人,福居顯二
   はじめに
   有機溶媒乱用後の症状・経過
   有機溶媒依存症の診察・診断
   有機溶媒依存症の治療
   おわりに
 4 大麻依存の治療  永野 潔
   はじめに
   大麻関連障害の診断
   大麻関連障害治療の概要
   関連法規−大麻取締法と向精神薬及び麻薬取締法および精神保健福祉法
   大麻誘発性障害の治療
   大麻使用性障害の治療
   おわりに
 5 鎮咳剤依存の治療  寺尾 岳
   はじめに
   鎮咳薬依存に陥らないようにするには
   依存に伴う精神症状に対して
   離脱症状への対応
   依存の予防
   おわりに
物質依存 IV 衝動制御の障害
 1 病的賭博(pathological gambling)  松澤信彦
   病的賭博者が増加している
   病的賭博の臨床的特徴とcomorbidity
   精神力動と人格構造−自己愛の視点から−
   治療の進め方
   精神医学も衝動行為の制御が求められる時代に入った
物質依存 V 関連法規
 1 関連法規  五十嵐禎人
   はじめに
   麻薬及び向精神薬取締法
   覚せい剤取締法
   大麻取締法
   あへん法
   毒物及び劇物取締法における有機溶剤乱用の取締り
   守秘義務と届出義務
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