COPD(慢性閉塞性肺疾患)診療ガイダンス

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診療ガイダンス

■編集 山口 佳寿博
松瀬 健
仲村 秀俊

定価 7,480円(税込) (本体6,800円+税)
  • B5変型判  288ページ  2色
  • 2004年2月27日刊行
  • ISBN978-4-7583-0318-7

COPD(慢性閉塞性肺疾患)を理解する第一歩

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は,WHOの統計では世界の死亡の原因の第4位にランクされ,今後数十年の間にその患者数と死亡率は高まることが予想されている。わが国でも約530万人の患者がいると推定される。先進国の中でも喫煙率の高く高齢化社会の日本では今後の患者数と死亡率の増加は確実で,将来大きな問題になることが懸念さる。
本書ではそんなCOPDについて,その発症メカニズムから診断・治療・管理,また患者さんからの質問を想定してどう答えるべきかまで,COPDのすべてをQ&Aでわかりやすく解説する。


序文

 慢性閉塞性肺疾患(COPD),は可逆性の少ない持続性/進行性の気流制限を特徴とする疾患と定義される。20世紀の中期よりCOPDに関して数多くの報告がなされ,COPDの形態,病態,診断,治療に関する重要な知見が多数集積された。COPDに関連して使用される言葉も興味深い変遷を辿り,1959年にはCiba Guestシンポジウムにおいて咳嗽,喀痰,息切れなどの慢性呼吸器症状を呈するものの原因を特定できない肺疾患を総称して“Chronic Non-Specific Lung Disease”と定義することが提起され,それを構成する疾患として“Chronic Bronchitis”と“Generalized Obstructive Lung Disease”が提唱された。後者の言葉の頭文字に注目して頂きたい。頭文字を綴っていくと“GOLD“となることにお気づきの事と思う。2001年ならびに2003年に世界保健機関(WHO)と米国国立心肺血液研究所(NHLBI)が共同で発表したCOPDの診断/管理/予防ガイドラインは“GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)”とよばれ全世界に普及しつつあるが,それと意味は異なるものの同じ略語に通じる言葉が45年前に存在したと言う事実は非常に感慨深い。現在,本邦のみならず世界の各国でGOLDを基礎としながらもその国に存在する独自の風土/習慣に適合したCOPD管理ガイドラインを作成する作業が進められている。
 COPDの罹患率は予想以上に高く,世界全人口の4〜9%に達すると予測されている。さらに,15年後のCOPDに起因する死亡率は虚血性心疾患,脳血管障害に次ぎ第3位に飛躍するものと推測されており,COPDに対する包括的取り組みの必要性が叫ばれる所以となっている。現在のところ,COPDの自然経過を修飾し呼吸機能の経年的低下を抑制する確実な治療法は確立されていない。即ち,COPDは全ての臨床面において解明された訳ではなく,治療面において今後さらなる努力が要求される疾患である。しかしながら,現在までに集積された知見を総合すると,汎用性のあるCOPD診断/治療指針を提出できる状況に達したと言っても過言ではない。
 以上のような事実を背景として,COPDの関する最新の臨床的知見を網羅し,COPD患者の診断,治療,管理を長期展望に立って計画的に施行するための具体的指針を示すことを目指して本書を作成した。この目的を達成するために,第一線でご活躍の多数の呼吸器専門医に執筆をお願いした。また,本書のもう一つの特色は患者自身ならびにその家族が抱くことが予想されるCOPDに関する種々の疑問点を整理し,それに対する答えを準備したことである。本書がCOPD患者の包括的診療にあって一般臨床医諸家の座右の書となることを念願するものである。

2004年2月
山口佳寿博
松瀬 健 
仲村秀俊
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目次

I.COPDとはなにか
 COPDとはどのような病気ですか。  山口佳寿博
 COPDの自然経過の概要を教えてください。  山口佳寿博
 患者さんは全国にどのくらいいますか。また,死亡率はどの程度ですか。  山口佳寿博
 COPDによりどのような社会的,経済的影響が考えられますか。  山口佳寿博
II.COPDの発症メカニズム
 発症の原因には何が考えられますか。  松瀬 健,石井健男
 発症に遺伝的要因は関与していますか。  松瀬 健,石井健男
 COPDの肺病理所見について教えてください。  永井厚志
 気道の慢性炎症に関わる炎症細胞にはどのようなものがありますか。  菊地和彦,滝澤 始
 組織破壊に関わると考えられるプロテアーゼ・アンチプロテアーゼ不均衡について教えてください。  仲村秀俊
 病因におけるオキシダント・アンチオキシダント不均衡について教えてください。  田中 剛,慶長直人
 発症にアポトーシスは関与しているのでしょうか。  青柴和徹
 COPDの各臨床病型は異なった機序で発症するのですか。  仲村秀俊
III.COPDの診断
 どのような症状をみたらCOPDを疑いますか。  仲村秀俊
 問診や診察の進め方を教えてください。  仲村秀俊
 検査手順を教えてください。  山口佳寿博
 一般肺機能検査でどのような所見があればCOPDと診断しますか。  高橋昌克,栂 博久
 血液ガス所見から何がわかりますか。  高橋昌克,栂 博久
 COPD患者における肺拡散能(DLCO)の測定結果はどのように考えたらよいでしょうか。  高橋昌克,栂 博久
 簡易スパイロメータの有用性について教えてください。  瀬山邦明
 COPD患者の胸部X線,CTなどの画像検査の特徴について教えてください。  小松 茂
 気道可逆性検査の方法と診断的意義について教えてください。  仲村秀俊
IV.COPDの重症度について
 診断基準と重症度分類を教えてください。  石井健男,松瀬 健
 患者さんの息切れをどのように評価したらよいのですか。  植木 純
 疾患特異的HRQLの評価法について教えてください。  植木 純
V.安定期COPD患者の外来管理
 長期管理の治療目標をどこにおけばよいのですか。  寺本信嗣
 患者教育,家族教育はどのように行えばよいですか。  伊藤 優
 禁煙治療の障害となるニコチン依存のメカニズムについて教えてください。  仲村秀俊
 薬物による禁煙治療法にはどのようなものがありますか。  川根博司
 禁煙指導における非薬物療法について教えてください。  川根博司
 COPDの薬物治療原則を重症度に応じて教えてください。  桑平一郎
 COPD患者の酸素療法の適応について教えてください。  小山田吉孝
 運動療法・呼吸リハビリテーションのための運動耐容能はどのように評価しますか。  赤柴恒人
 運動療法・呼吸リハビリテーションについて教えてください。  植木 純
 栄養管理はどのようにしたらよいのでしょうか。  吉川雅則,福岡篤彦,木村 弘
 在宅管理/訪問看護の方法と意義について教えてください。  中村守男
 COPD患者さんにインフルエンザワクチンの接種は必要ですか。  長谷川直樹
 COPD患者さんに肺炎双球菌ワクチンの接種は必要ですか。  長谷川直樹
VI.COPD管理に用いる薬物の投与量,投与方法,副作用
 抗コリン薬の実際処方を教えてください。  寺本信嗣
 β2刺激薬の実際処方を教えてください。  仲村秀俊
 テオフィリン製剤の実際処方を教えてください。  山下直美
 ステロイド薬の実際処方を教えてください。  平田一人
 粘液溶解剤の実際処方を教えてください。  平田一人
VII.重症COPDに対する外科療法
 肺気腫に対する肺容量減少術(LVRS)の適応と治療成績を教えてください。  川村雅文
 肺移植の現状と見通しについて教えてください。  川村雅文
VIII.COPDの急性増悪
 原因にはどのようなものがありますか。それによる死亡率はどの程度ですか。  久保恵嗣
 急性増悪の発症メカニズムについて教えてください。  藤本圭作
 急性増悪の重症度分類について教えてください。  西川正憲,佐藤雄一郎,松瀬 健
IX.COPD急性増悪の治療
 急性増悪の予防法について教えてください。  西川正憲,鈴木勇三,松瀬 健
 患者さんがどのような状態になったら入院させますか。  西川正憲,岡村真由美,松瀬 健
 急性増悪時の外来での治療法を教えてください。  岩永知秋
 急性増悪時の入院治療における薬物療法について教えて下さい。  岩永知秋
 急性増悪時の人工呼吸療法について教えてください。  藤島清太郎
 患者さんがどのような状態になったら退院させますか。  藤島清太郎
X.COPDに合併しやすい疾患,鑑別が必要な疾患
 COPD患者は肺癌を合併しやすいのでしょうか。  副島研造
 慢性喘息とCOPDの類似点,相違点を教えてください。  浅野浩一郎
 閉塞性細気管支炎(BO)とCOPDの類似点,相違点を教えてください。  石井 誠
 一次性肺嚢胞とCOPDの類似点,相違点を教えてください。  石井 誠
 COPD(肺気腫として)と過誤腫性肺脈管筋腫症(LAM)との鑑別点を教えてください。  高橋左枝子
 COPDと好酸球性肉芽腫症(EG)との鑑別点を教えてください。  高橋左枝子
 COPDと気管支拡張症との鑑別点について教えてください。  米丸 亮
 COPDとびまん性汎細気管支炎との鑑別点について教えてください。  米丸 亮
 肺結核後遺症とCOPDの類似点,相違点を教えてください。  米丸 亮
XI.特殊病態への対応
 1秒率が低下しないCOPDはあるのですか。  山口佳寿博
 COPDと自律神経異常の関係について教えてください。  坂巻文雄
 COPDの病型によって治療内容を変更すべきでしょうか。  藤本圭作
 1剤の気管支拡張薬で症状をコントロールできない場合どうすればよいですか。  永田泰自
 長期経口ステロイド投与中の患者に対する注意点を教えてください。  水野有三
 睡眠時の呼吸異常とその対応について教えてください。  赤柴恒人
 労作時の低酸素血症の強い症例に対する対応について教えてください。  坂巻文雄
 急性増悪を何度も繰り返す症例にはどのように対応したらよいですか。  山本 寛
 慢性喘息合併例に対する対応を教えてください。  浅野浩一郎
 循環器疾患を合併したCOPD患者に対する対応を教えてください。  坂巻文雄
 胸部手術が必要な場合の対応策を教えてください。  乾 健二
 腹部臓器/整形外科的手術が必要な場合の対応策を教えてください。  小松 茂
 消化性潰瘍を合併した場合の対応策を教えてください。  久田哲哉
 人工呼吸管理を頻回に要しウィニングが困難な場合の対応策を教えてください。  金子 猛
 わが国におけるα1-アンチトリプシン欠損症の実際について教えてください。  瀬山邦明
 終末期の対応について教えてください。  中村守男
XII.患者さんの質問にどう答えるべきか
 COPDは治りますか。  金子 猛
 COPDの治療に禁煙がなぜ重要なのですか。  松原弘明
 気管支拡張薬の長期服用による副作用は心配ありませんか。  中島隆裕
 ステロイド薬の長期吸入による副作用は心配ありませんか。  中島隆裕
 症状が改善したら薬物を中止してもよいでしょうか。  中島隆裕
 COPDの発症に性差や人種差は関与しますか。  峰松直人
 精神的ストレスはCOPDを悪化させますか。  峰松直人
 COPDは遺伝しますか。  峰松直人
 禁煙するにはどうしたらよいですか。  峰松直人
 冬場の注意点を教えてください。  東本有司
 運動療法として1日どの程度の運動をしたらよいでしょうか。  桂 秀樹
 どのような食事をとればよいのでしょうか。  吉川雅則,福岡篤彦,木村 弘
 不眠時に眠剤を服用してもよいのでしょうか。  中島隆裕
 旅行をする場合の注意点と対応を教えてください。  松原弘明
 HOT施行中の自宅での注意点を教えてください。  小山田吉孝
 一人暮らしなのですが,どのような在宅管理サービスが利用できますか。  中村守男
 酸素濃縮器と液体酸素によるHOTの違いについて教えてください。  小山田吉孝
 海外に在住する場合どのようなことに注意したらよいですか。  石井 誠
 COPDのために破壊された肺を再生するための治療法は開発されていますか。  青柴和徹
 COPDの生命予後を規定する因子について教えてください。  坂巻文雄
付録:COPD管理ガイドライン抜粋
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