Forefront 乳癌診療実践マニュアル

Forefront 乳癌診療実践マニュアル

■編集 福富 隆志

定価 6,600円(税込) (本体6,000円+税)
  • B5判  236ページ  2色(一部カラー),写真・イラスト120点
  • 2010年9月21日刊行
  • ISBN978-4-7583-0344-6

在庫僅少です。


乳癌診療の最先端がすべてわかる納得の1冊。薬物療法も充実し,手技のポイントを写真で掲載

既刊の「最新乳癌診療マニュアル」の著者が編者となり,より現在の臨床に即して実践的に使えるよう新たに企画した書籍。薬物療法もさらに充実し,現在の診療の最先端を具現化した書籍である。また,数ある乳癌診療の書籍のなかでも,手技のポイントとなる個所は写真で示すなど,より臨床で使いやすいよう工夫されている。そして,診療の第一線に立つ同門の先生方による統一のとれた執筆により,ばらつきのないバランスのとれた内容で,過不足なく,読者にも納得できる内容となっている。


序文

 「最新乳癌診療マニュアル」はおかげさまで初版を1996年に上梓して以来,2001年には第2版を刊行し,多くの方々のご支持をいただいてきた。この度,その「最新乳癌診療マニュアル」をより現在の臨床に即して実践的に使えるよう,新たに「Forefront 乳癌診療実践マニュアル」として出版することとなった。
 1996年の初版より一貫して,その時点で何が問題となっているか,そしてどこまでが科学的に明確となっているか(evidence)を明確に記載するよう心がけてきた。近年,Internet,携帯電話など情報伝達の手段とスピードは格段に進歩したといえよう。しかし一方,情報の信頼性とものを考える力,そして人文科学などを含めた包括的理解力,論理的構成力は確実に低下しているように思う。数学史上の難題,「ポアンカレ予想」を解決したペレルマンはMITの講義で,「黒板と白墨」を使用し,その仮説をゆっくり考えながら証明してみせた。その手法には考えさせられるものがあった。一方,医学は分子生物学を追及し,それに並行するかのように,むしろ緩和医療の重要性が増し,われわれは人間の心の問題にも取り組まねばならなくなった。最先端の医学は,心の哲学と無縁ではいられなくなったのである。そして精神腫瘍科などの新しい分野が生まれた。
 本書は,こうした乳癌診療におけるdiversityに真摯に対処した。新しい情報を数多く取り入れ,しかも手元においてすぐ活用していただけるよう,内容は理論よりも,現実性を重視した。そのために多くの図表を利用し,視覚的にも理解しやすいよう心がけた。同時にその情報の確実性,信頼度にも細心の注意を払った。そして,Internetなどで安易に入手できる情報とは異なり,記述された医学的内容を読んで考える,という視点も失わないように構成した。当然,その背景には常に患者さんに対する配慮を念頭においた。以上の目的の為に,今回は,愛知医科大学,慶応義塾大学医学部のスタッフが協力して力を出し合い,共同作業という形で,相互checkし完成度を高めた。
 本書の内容の斬新さ,信頼度には著者一同精一杯の努力を傾注している。引き続き読者の皆様にはご愛読たまわり,日常臨床においても即戦力としてご利用いただけるものと信じている。

2010年07月
福富隆志
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目次

Chapter 1 画像診断はどこまで進歩したか? —MMG,USに加え,MRI,CT,RVSでどこまで読めるか?—    
 Abstract   福富隆志
 1 各種乳癌画像診断法の現状と問題点   中野正吾
  乳房温存療法  
  乳管内進展と多発病変  
  乳癌広がり診断における画像診断法  
  乳癌広がり診断の現状と問題点—注目される関連新技術  
   ●マンモグラフィ 
   ●超音波 
   ●MRI・MDCT 
 2 RVSを用いた至適切除範囲の設定の工夫   中野正吾
  RVSの原理  
  RVSの適応  
  RVSのcontraindication  
  RVS装置および準備  
  表示画面  
  操作のコツ  
  当科での成績  
  RVSを用いた至適切除範囲の設定の工夫  
   ●術式決定のためのMRI-detected lesionの同定 
   ●乳房温存手術 
   ●術前化学療法後の乳房温存手術 
   ●マンモトーム生検後の組織採取部の同定 

Chapter 2 細胞診・針生検とステレオガイド下マンモトーム生検のコツと落とし穴は?    
 Abstract   福富隆志
 1 穿刺吸引細胞診(FNAC, ABC)   毛利有佳子,高阪絢子
  腫瘤触知下に術者1人で施行する場合  
  超音波ガイド下に術者,介者により施行する場合  
   ●手技の実際 
 2 針生検,マンモトーム生検   毛利有佳子,高阪絢子,中野正吾
  実施上の注意点  
  針生検(core needle biopsy:CNB)  
   ●手技の実際のポイント 
  ステレオガイド下マンモトーム生検  
   ●手技の実際のポイント 
   ●利点と欠点 
   ●マーキングクリップ (マイクロマーク(r)II 素材:ステンレス鋼) 留置時のコツ 
   ●ステレオ装置腹臥位式と座位式の比較 
   ●手技の詳細 
  US下(超音波下)マンモトーム生検  
   ●手技の実際のポイント 
  検体採取法の使い分け  

Chapter 3 術前治療はどこまで妥当か?     
 Abstract   福富隆志
 1 術前化学療法   吉田美和
  手術可能乳癌に対する術前化学療法  
  術前化学療法のコンセンサス  
  術前化学療法に関する問題点  
 2 術前内分泌療法   
 3 術前薬物療法の標準レジメン   

Chapter 4 乳癌手術の最前線は?
 Abstract   福富隆志
 1 非触知乳癌に対する温存手術   吉田美和
  術前・術中US  
  MMG 2方向(ML,CC)撮影  
  wire-guided operation  
  MRI+second-look USまたはRVS  
  Radioisotope occult lesion localization (ROLL)  
 2 腋窩リンパ節郭清の意義および適切な郭清範囲   吉田美和
 3 乳癌の低侵襲手術—non-surgical ablation—   吉田美和
 4 乳房温存術後の局所(乳房内)再発をどう考えるか   吉田美和

Chapter 5 術後補助療法の最新知見は?     
 Abstract   福富隆志
 1 各種ガイドラインをどう使い分けるか   藤井公人
  薬物療法  
  外科療法  
  放射線治療  
  検診・診断  
  疫学・予防  
 2 遺伝子プロファイリング    藤井公人
  p53遺伝子,抗p53抗体  
  BRCA1,BRCA2  
 3 化学療法と内分泌療法—レジメンの実際   藤井公人
  化学療法  
   ●アンスラサイクリン系薬剤を中心としたレジメン 
   ●タキサン系薬剤によるレジメン 
   ●化学療法に伴う副作用とその対策と注意点 
  内分泌療法  
   ●副作用対策 
 4 分子標的薬—レジメンの実際   藤井公人
 5 放射線治療   藤井公人
  乳房温存治療後の放射線治療  
  局所進行乳癌での放射線治療  
  化学療法と放射線治療の関係  

Chapter 6 再発癌の診療の新展開は?
 Abstract   福富隆志
 1 基本的方針   神野浩光
  再発治療の原則  
  治療効果の指標  
  局所療法と全身療法の選択  
  全身療法の選択  
  効果予測因子  
  併用療法  
  骨転移  
  治療アルゴリズム  
 2 化学療法と内分泌療法—レジメンの実際   坂田道生,神野浩光
  化学療法  
   ●薬剤の選択順位 
   ●化学療法剤 
  内分泌療法  
   ●ホルモン療法剤の分類と作用機序 
   ●内分泌療法剤 
  レジメンの実際  
   ●化学療法 
   ●内分泌療法 
 3 分子標的薬—レジメンの実際   高橋麻衣子,林田 哲,神野浩光
  トラスツズマブ trastuzumab  
   ●単剤療法 
   ●併用療法 
  ラパチニブ lapatinib  
   ●単剤療法 
   ●併用療法 
  ベバシズマブbevacizumab  
  ネラチニブ neratinib  
  スニチニブ sunitinib  
  ぺルツズマブ pertuzumab  
  trastuzumab-DM1  
  PARP阻害剤  
 4 定位放射線照射   大西達也,神野浩光
  乳癌脳転移に対する定位放射線照射  
  脳転移以外への応用  
  転移性肝腫瘍に対する定位放射線照射  
  転移性肺腫瘍に対する定位放射線照射  
 5 oncological emergencyとは   佐藤知美,神野浩光
  高カルシウム血症  
   ●臨床症状・診断 
   ●治療 
  脊髄圧迫症候群  
   ●臨床症状・診断 
   ●治療 
  心嚢液・胸水貯留  
   ●心嚢液貯留 
   ●胸水 

Chapter 7 インフォームドコンセントとコミュニケーションスキル    
 Abstract   福富隆志
 1 インフォームドコンセント   萬谷京子
  インフォームド・コンセントとは  
  ICの基本注意点  
  ICに対する著者らの方針  
   ●病名告知 
   ●検査説明 
   ●手術説明 
   ●転移が認められた場合・再発が認められた場合 
  臨床試験の説明  
  遺伝子診断の説明  
  医療訴訟の動向と対策  
   ●医療水準とはなにか 
   ●医師の義務と医療水準 
   ●司法判断の基準 
 2 コミュニケーションスキル   萬谷京子
  コミュニケーションスキルの必要性  
  基本的なコミュニケーションスキル  
  悪い知らせを伝えるコミュニケーション  
   ●Supportive environment(支持的な環境を設定する) 
   ●How to deliver the bad news(悪い知らせの伝え方) 
   ●Additional information(付加的な情報) 
   ●Reassurance and Emotional support(安心感と情緒的なサポート) 
   ●SPIKES 
  臨床の現場にて  

Chapter 8 積極的な緩和ケアの導入と腫瘍精神科医の参加へ    
 Abstract   福富隆志
 1 緩和ケア   萬谷京子
  癌性疼痛の評価と治療  
   ●癌性疼痛 
   ●癌性疼痛の治療 
   ●オピオイド製剤と薬物動態 
  呼吸困難について  
   ●癌性呼吸困難 
  消化器症状  
   ●嘔気・嘔吐の原因検索 
   ●嘔気・嘔吐の治療 
  せん妄  
   ●せん妄の治療 
   ●せん妄のケア 
  地域連携と治療・療養の場の選択  
  緩和ケアの地域医療資源について  
 2 サイコオンコロジー   萬谷京子
  サイコオンコロジーとは  
  サイコオンコロジーの歴史  
  癌患者にみられる精神疾患とその有病率  
  なぜ精神的なケアが必要なのか  
   ●癌患者家族に対する精神腫瘍学的治療の必要性 
  癌患者に多くみられる精神疾患と症状 
   ●適応障害
   ●うつ病
   ●せん妄
   ●不安
  癌患者における精神療法の特殊性 
  心理・社会学的な背景 
  精神療法の基本 
   ●精神療法の技法
   ●精神療法的アプローチ
   ●精神療法に関する障壁
  サイコオンコロジーの最先端 
   ●精神科の診察室にて
  Viktor E. Franklの「ロゴセラピー」について 
  今後の展望 

Chapter 9 統計処理とプロトコール作成の注意点は?    
 Abstract   福富隆志
 1 プロトコール立案,実施の際の注意点—データ解釈上のcheck point—   藤井公人,福富隆志
  臨床試験の性格をよく知る  
  登録と割付けの注意点  
  ITT (intention-to-treat) の原則を守る  
  サブグループ解析を行わない  
  中間解析  
  必要症例数の算定  
  ブリッジング試験  
  プロトコール作成に際しての注意点  

 付録:病期分類,腫瘍縮小効果の判定   
 索引   
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