日本医師会生涯教育シリーズ

糖尿病診療2010

糖尿病診療2010

■監修 岩本 安彦
門脇 孝

■編集 渥美 義仁
稲垣 暢也
加来 浩平
春日 雅人
羽田 勝計

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5判  352ページ  2色(一部カラー)
  • 2010年11月22日刊行
  • ISBN978-4-7583-0347-7

新しい診断基準に基づいた早期診断・早期治療・専門医との連携を中心とした,糖尿病診療にかかせない1冊

日本医師会生涯教育シリーズ79を単行本化。増え続ける糖尿病患者に対してどのように対処していくべきか。
本書では,まず,I章で本年7月に改訂された糖尿病の新しい診断基準を中心として,糖尿病へのアプローチ法について述べた。次にII章では重篤な合併症を引き起こさないための早期治療に重点を置いて,食事・運動・薬物療法を解説している。
III章では,生命予後やQOLに影響を及ぼす糖尿病合併症について紹介し,糖尿病治療において今後ますます重要となってくるかかりつけ医と専門医との連携について述べている。さらにIV章では,日本医師会や日本糖尿病学会などが取り組んでいる糖尿病対策について,介入試験などの最新情報を紹介している。
糖尿病に関するすべての最新情報を網羅した1冊である。


序文

<序>
 現在わが国では,「糖尿病が強く疑われる人」は890万人,「糖尿病の可能性を否定できない人」を併せると2,210万人に上ると推定される.21世紀の国民病ともいわれるゆえんである.
 糖尿病はあらゆる年齢層で発症する疾患であり,病態の幅も広い.さらに,さまざまな合併症を引き起こすことや,基礎疾患に合併することも多いため,医療者が糖尿病の診療に当たる機会は非常に多いと思われる.早期診断・治療によって発症予防や重篤な合併症の予防へとつなげる意味からも,日常診療に当たるかかりつけ医が重要な役割を担うことはもちろんだが,かかりつけ医と専門医,関連他科との連携,コメディカルを含むチーム医療や地域でのネットワークも欠くことができない.
 日本医師会では,平成15年に日本医師会生涯教育シリーズとして『糖尿病診療マニュアル』を発行している.また,平成17年には「日本糖尿病対策推進会議」を日本糖尿病学会,日本糖尿病協会との三者で設立し,関連学会・行政・団体などとも連携を取りながら,積極的かつ多角的に糖尿病対策に取り組んでいる.
 このたび日本糖尿病学会は糖尿病診断基準を11年ぶりに改訂,本年(平成22年)7月1日より施行した.これはすべての医療従事者に周知されるべき事項であり,このタイミングで本書が発刊されることの意義は大きい.ぜひご活用いただきたい.
 本書の刊行にあたり,監修の岩本安彦先生,門脇 孝先生,編集の渥美義仁先生,稲垣暢也先生,加来浩平先生,春日雅人先生,羽田勝計先生には,まさに糖尿病の診断基準が改訂となるご多忙の時期にご尽力いただいた.監修・編集の先生方,またご執筆いただいた諸先生方に深謝する.
 
平成22年10月
 
日本医師会会長
原中勝征
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<刊行のことば>

 生活習慣の変化に伴い,糖尿病患者やその予備群が増加の一途をるなか,早期診断・早期治療によって発症を予防し,また,糖尿病があっても進展を防ぎQOLの向上をめざす医療は,ますますその重要性を増しているといえよう.
 本年7月1日,日本糖尿病学会によって改訂された新しい糖尿病診断基準がスタートした.新基準ではHbA1cが診断基準の一つとして加わり,さらにはHbA1cが国際標準値に移行されることとなった.この新しい診断基準がすみやかに浸透して臨床に反映され,質の高い診断・治療に結び付くことが期待される.
 本書では,このたびの改訂の内容について詳述するとともに,最近登場してきた新しい薬剤について情報を提供し,また国が推進している臨床研究を紹介,さらに最新のトピックスも取り上げた.
 糖尿病の診療にあたる機会の多い会員の先生方は,糖尿病についての最新の情報を得て,臨床に生かしていくことが不可欠であり,本書は必ず役立つものであると確信している.
 最後に,本書の監修にあたっていただいた岩本安彦先生,門脇 孝先生,また,編集にあたっていただいた渥美義仁先生,稲垣暢也先生,加来浩平先生,春日雅人先生,羽田勝計先生,さらにはご執筆いただいた諸先生方に心より感謝申し上げる.
 
 平成22年10月
 
日本医師会常任理事(学術担当)
高杉敬久
 
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<監修・編集のことば>
 
 このたび,日本医師会雑誌特別号(生涯教育シリーズ)において糖尿病をとり上げることとなった.厚生労働省の糖尿病実態調査,国民健康・栄養調査によれば,わが国の糖尿病患者数は予備群も含めて近年急増しており,国民の健康や生活の質(QOL),生命予後にも重大な影響を及ぼす疾患のひとつとして,早期診断,早期治療,さらには予防に向けてさまざまなとり組みが行われている.しかし,糖尿病は自覚症状に乏しい場合が多いため,放置されたり,治療が中断されることも多く,合併症が顕在化してから糖尿病の治療が開始されることもしばしば経験される.
 今回の特別号のタイトルを『糖尿病診療2010』とした背景には,2010年7月にわが国の糖尿病の診断基準が11年振りに改訂されたことがあげられる.今回の改訂では,糖尿病のコントロールの指標として幅広く用いられているHbA1cが,糖尿病の診断にも積極的に用いられるようになった.そしてHbA1cの国際標準化に向けた表記法の変更の方針も打ち出された.また2009年末から2010年にかけて,新しい作用機序をもつ糖尿病治療薬が次々に認可され,糖尿病の薬物療法も新しい時代を迎えたといえよう.
 『糖尿病診療2010』では,早期診断,早期治療,専門医との連携を編集方針の大きな柱として,目でみる糖尿病(カラー口絵)に続き,糖尿病へのアプローチ,糖尿病の早期治療,糖尿病合併症と専門医との連携,そして糖尿病対策の各章で,日常診療に役立つ多くの項目について,それぞれ専門家の方々に執筆いただいた.わが国の糖尿病患者の大多数の診療を担っておられる「かかりつけ医」の方々が知りたい,読みたい糖尿病診療に関する重要な項目,最新の情報(トピックス)を幅広くとり上げるよう努めた.世界的にも今やパンデミックと表現されるほどに急増する糖尿病患者の診療について,本書を通して学び,臨床の場において多いに活用していただくことを心から期待している.最後に,ご多忙のなか執筆いただいた先生方に厚く御礼申し上げる.
 
平成22年10月
 
監修・編集者を代表して
岩本安彦,門脇 孝
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目次

カラー口絵 目でみる糖尿病
   糖尿病とは (1)疫学と現状  大杉 満,植木浩二郎,門脇 孝
   糖尿病とは (2)成因と分類  高本偉碩,植木浩二郎,門脇 孝
   糖尿病の新しい診断基準  高本偉碩,植木浩二郎,門脇 孝
   糖尿病の治療(2型糖尿病を中心に)  柳沢慶香,岩本安彦
   糖尿病の合併症  北野滋彦,馬場園哲也,佐藤麻子,新城孝道,岩本安彦
   糖尿病に対するさまざまな取り組み  大杉 満,植木浩二郎,門脇 孝

序  原中勝征
刊行のことば  高杉敬久
監修・編集のことば  岩本安彦,門脇 孝
監修・編集・執筆者紹介

1章 糖尿病へのアプローチ    
 1.糖尿病とは  岩本安彦
 2.糖尿病診断のための検査   
   新しい診断基準,改訂のポイント  清野 裕
   HbA1cの国際標準化をめぐる最近の話題  柏木厚典
   血糖値(空腹時/75gOGTT/随時)とHbA1c  伊藤千賀子
   尿糖  武井 泉
   インスリンとCペプチド  出口亜希子,長坂昌一郎
   膵島関連自己抗体  川崎英二
 3.糖尿病の成因と分類   
   糖尿病の病型と鑑別  澤木秀明,花房俊昭
   2型糖尿病の成因と病態  岩崎直子
   その他特定の機序・疾患によるもの  西 理宏,南條輝志男
 4.病歴聴取と身体所見の取り方   岡本元純
 5.ライフステージ別の糖尿病の診断   
   小児糖尿病の特徴と診断  川村智行
   妊娠糖尿病の特徴と診断  平松祐司
   高齢者糖尿病の特徴と診断  井藤英喜
 6.糖尿病発症予防のために   
   境界型の評価と管理  田嶼尚子
   メタボリックシンドローム  岸田 堅,下村伊一郎
   ライフスタイルの是正  曽根博仁
   発症前の薬物介入  河盛隆造

2章 糖尿病の早期治療    
 1.治療目標とコントロール指標   
   糖尿病治療の目標  春日雅人
   コントロール指標と評価  
    血糖コントロール指標と評価  
       ・HbA1cと血糖値  佐藤麻子
       ・グリコアルブミンと1,5-アンヒドログルシトール  石亀昌幸,三家登喜夫
    血糖以外の代謝コントロール指標と評価  柱本 満,加来浩平
 2.早期治療の意義   
   血管合併症予防の観点から  植木浩二郎
   膵β細胞の保護から  中村昭伸,寺内康夫
 3.病態に応じた治療方針の立て方   
   インスリン依存状態  川畑由美子,池上博司
   インスリン非依存状態  佐倉 宏
   インスリン抵抗性に応じた治療方針  松田昌文
   合併症の病態に基づいた治療方針  羽田勝計
 4.食事療法   
   食事療法の理論と栄養指導の意義  石田 均
   摂取エネルギー量と栄養素配分  江崎 治
   食事療法の実際と注意点  津田謹輔
   合併症の食事療法  本田佳子
 5.運動療法   
   運動療法の理論と意義  佐藤祐造
   運動療法の実際  馬  嘯,林 達也
 6.薬物療法   
   薬物療法の進め方  
    薬物選択のアプローチ  松木道裕,加来浩平
    薬剤併用のアプローチ  浦風雅春,戸邉一之
   経口血糖降下薬  
    インスリン分泌促進薬(SU薬)の特徴と適応  荒川将之,綿田裕孝
    インスリン分泌促進薬(グリニド薬)の特徴と適応  森  豊
    インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン薬)の特徴と適応  山内敏正,門脇 孝
    インスリン抵抗性改善薬(ビグアナイド薬)の特徴と適応  幡中雅行,谷澤幸生
    α-グルコシダーゼ阻害薬の特徴と適応  武部典子,佐藤 譲
   インスリン  
    インスリン製剤の種類と特徴  柳沢慶香,岩本安彦
    インスリン治療の開始法と変更法  荒木栄一,本島寛之
    強化インスリン療法  澤田 享,吉岡成人
    混合型(二相性)インスリン2回注射法  山田研太郎
    BOT  太田明雄,田中 逸
   インクレチン関連薬  
    DPP-4阻害薬の特徴と適応  原田範雄,稲垣暢也
    GLP-1受容体作動薬の特徴と適応  難波光義,宮川潤一郎
   糖尿病の薬物療法の注意点  
    低血糖  柴 輝男
    治療時の体重増加  長澤 薫,森 保道
    腎障害・肝障害・心不全を有する患者  宇都宮一典
 7.肥満糖尿病の治療  吉松博信
 8.糖尿病に合併した高血圧の治療  片山茂裕
 9.糖尿病に合併した脂質代謝異常の治療  石橋 俊
 10.チーム医療:患者教育と心理的サポート  石井 均

3章 糖尿病合併症と専門医との連携    
 1.急性合併症   
   糖尿病性昏睡  梅田文夫,名取省一
   低血糖昏睡  内潟安子
   乳酸アシドーシス  江藤一弘
   感染症  本郷偉元
 2.慢性合併症   
   糖尿病網膜症  後藤早紀子,山下英俊
   糖尿病性腎症  古家大祐
   糖尿病性神経障害  中村二郎
   糖尿病性大血管障害  
    大血管障害のスクリーニング  山崎義光
    血糖制御と大血管障害  小泉順二
    心血管障害  松永和雄,野出孝一
    脳血管障害  星野晴彦,鈴木則宏
    末梢血管障害  笹嶋唯博
   足病変  
    潰瘍・壊疽  河野茂夫
    足の皮膚病変(爪を含めて)  加藤卓朗
   その他  
    手の病気(ばね指:腱鞘炎)  亀山 真
    歯周病変  田中義弘
    男性性機能障害  丸茂 健,萩生田 純
    骨病変  山本昌弘,杉本利嗣
    睡眠障害  内山 真
    認知症  清原 裕
 3.かかりつけ医と専門医の連携   
   生活習慣病管理料(糖尿病)の活用  伊藤眞一
   医療連携とクリニカルパス  林 道夫
   SDM(段階的糖尿病管理)を用いた連携  渥美義仁

4章 糖尿病対策    
 1.日本医師会と日本糖尿病対策推進会議の取り組み  今村 聡
 2.JDCS  曽根博仁,山田信博
 3.厚生労働省糖尿病戦略研究   
   J-DOIT1  葛谷英嗣,坂根直樹
   J-DOIT2  林野泰明,福原俊一
   J-DOIT3  門脇 孝
 4.特定健診・特定保健指導  津下一代

トピックス    
  持続血糖モニター(CGM)  西村理明
  低出生体重児と糖尿病  穴澤園子
  多嚢法性卵巣症候群(PCOS)とインスリン抵抗性  佐川典正
  ヨード造影剤とビグアナイド系糖尿病薬との併用注意について  林 宏光
  SGLT阻害薬  石原寿光
  網膜症の最新治療−抗VEGF療法  北野滋彦
  膵移植/膵島移植  興津 輝,上本伸二
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