がん救急マニュアル

Oncologic Emergency

がん救急マニュアル

■編集 大江 裕一郎
新海 哲
高橋 俊二

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5判  264ページ  2色(一部カラー)
  • 2011年3月18日刊行
  • ISBN978-4-7583-0348-4

すべてのがん診療医必携! Oncologic Emergenciesに際して,迅速に適切な診断・治療ができる!

多くのがん患者は,がんの経過中に,がんに関連して,あるいはがんの治療に関連して緊急の治療が必要となる。診断・治療が遅れれば,著しいperformance statesの悪化や死亡に至ることもあるため,早期診断・治療が重要である。また,日常診療においてはOncologic Emergenciesを常に念頭においた,初期症状・徴候を見落とさない注意深いケアが求められる。本書ではOncologic Emergenciesの病因・病態から診断・治療までを,シンプルな紙面構成で,実践的にわかりやすく解説した。


序文

 日本では1981年より悪性新生物が死因の第1位となっており,現在では日本人の約3分の1,年間約35万人が悪性新生物で死亡しています。多くのがんは亜急性〜慢性に進行し,緊急の対応を要することはそれほど多くありません。しかし,病態によっては緊急に対応しないと生命に危険が及んだり,永続的な機能障害を生じることがあり,このような病態はOncologic Emergencyとよばれています。さらに,最近では早期の評価が必要な事象や病態もOncologic Emergencyに含めるようになっています。しかし,がん診療の現場においてこのような緊急対応が必要となる病態があること自体,十分に認識されていないのが現状です。
 Oncologic Emergencyについては日本臨床腫瘍学会が編集している教科書である「臨床腫瘍学」および「新臨床腫瘍学」に項目立があり若干の記載があるほか,一部の医学雑誌で特集が組まれてきましたが,本としてまとまったものは日本では出版されていませんでした。日本臨床腫瘍学会や日本がん治療認定機構の教育セミナーでもOncologic Emergencyは取り上げられていますが,いずれも時間の関係もあり十分に内容をカバーしているとはいえません。日常臨床でOncologic Emergencyに遭遇することはがん専門病院を除いてはそれほど多いことではないかも知れませんが,適切かつ迅速な対応を怠ると患者さんにとって重大な結果を引き起す可能性があります。したがって,がん診療にかかわるすべての医師,コメディカルスタッフが,Oncologic Emergencyに関する正確な知識を有することが重要です。
 本書は日本臨床腫瘍学会や日本がん治療認定機構の教育セミナーでOncologic Emergencyの講師を務めている四国がんセンターの新海哲院長,癌研有明病院の高橋俊二部長と私の3名で編集にあたりました。本書では,神経,肺・縦隔,心臓・血管,消化器,泌尿器,血液,感染,代謝,内分泌,精神,治療関連と多岐にわたる分野の項目を,それぞれの専門家に執筆をお願いし,特に写真や図表を用いて定義,病因・病態,診断,治療をわかりやすくコンパクトに解説してあります。がん専門病院やがん診療拠点病院でのレジデントやコメディカルの教育に是非,本書を活用していただければと思います。
 本書を通して,がん診療の現場でのOncologic Emergencyに対する理解が深まるとともに,本書がひとりでも多くのがん患者さんに貢献できることを期待しています。

2011年2月吉日
国立がん研究センター東病院
大江裕一郎
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目次

1.Oncologic Emergencyとは   新海 哲

2.神経(中枢神経・脊髄)
 1 頭蓋内圧亢進  成田善孝
 2 脊髄圧迫  武井 寛
 3 てんかん重積状態  久保田英幹

3.肺・縦隔
 1 喀血  後藤 悌
 2 肺塞栓症  後藤信哉
 3 気道閉塞  石田 明、宮澤輝臣
 4 大量胸水・血胸  王 志明、鈴木健司
 5 気管食道瘻  川後光正、淺村尚生

4.心臓・血管
 1 心タンポナーデ  大江裕一郎
 2 上大静脈症候群  宿谷威仁
 3 静脈血栓塞栓症  窓岩清治

5.消化器
 1 消化管出血・閉塞・穿孔  石田道拡、片井 均、森田信司、阪 眞、深川剛生
 2 閉塞性黄疸(胆管閉塞)  古瀬純司、廣川 智、北村 浩、長島文夫
 3 大量腹水  竹内義人
 4 急性胆嚢炎・急性胆管炎  酒井裕司、露口利夫、横須賀收
 5 急性膵炎  清水 怜、池田公史
 6 腹腔内出血  布部創也、比企直樹、古賀倫太郎、齋浦明夫、谷村慎哉、佐野 武、山口俊晴

6.泌尿器
 1 血尿  都筑俊介、頴川 晋
 2 尿路閉塞  西田隼人、冨田善彦
 3 急性腎障害(AKI)  根木茂雄、重松 隆

7.血液
 1 播種性血管内凝固症候群(DIC)  鈴木伸明、直江知樹
 2 同種造血幹細胞移植における急性移植片対宿主病(GVHD)  岡本真一郎
 3 過粘稠症候群  三木浩和、安倍正博
 4 血栓性微小血管障害症(TMA)  松本雅則

8.感染
 1 敗血症  藤田昌樹
 2 免疫不全者の感染(肺炎を中心に)  吉田 稔

9.代謝
 1 腫瘍崩壊症候群  石澤賢一
 2 高カルシウム血症  福本誠二
 3 低ナトリウム血症  吉田尚弘、竹内靖博
 4 乳酸アシドーシス  松下弘道、宮地勇人

10.内分泌
 1 急性副腎不全  渡邉隆史、西川哲男
 2 甲状腺中毒症  田中祐司、栗原鮎美
 3 高血圧クリーゼ  
   成瀬光栄、中尾佳奈子、難波多拳、玉那覇民子、田上哲也、立木美香、田辺晶代

11.精神
 1 せん妄  保坂 隆
 2 自殺企図  明智龍男

12.がん治療に伴う救急疾患
 1 手術合併症(a.縫合不全、b.大量出血、c.術後感染)  菊池章史、小林宏寿、杉原健一
 2 化学療法有害事象  
   a.発熱性好中球減少症 大曲貴夫
   b.抗がん剤による心毒性 田村徹太郎
   c.抗がん剤による肺障害 齋藤好信、弦間昭彦
   d.抗がん剤による消化管障害 近藤千紘、室 圭
   e.血栓塞栓症 駒井宏好、重松 宏
   f.Hypersensitivity Reaction 原野謙一、田村研治
   g.抗がん剤の血管外漏出 清原祥夫
   h.非細菌性膀胱炎(抗がん剤による出血性膀胱炎、放射線による出血性膀胱炎) 田中良典
 3 放射線治療の合併症  中山優子、野中哲生、溝口信貴
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