緩和医療の基本的知識と作法

緩和医療の基本的知識と作法

■編集 門田 和気
有賀 悦子

定価 3,520円(税込) (本体3,200円+税)
  • A5判  260ページ  2色
  • 2012年3月5日刊行
  • ISBN978-4-7583-0363-7

緩和医療を始める前に必ず知っておきたい「知識」と「作法」が身につく。緩和医療がもっとわかる! できる!

緩和医療を行うならば必ず知っておきたい「基本的知識」と「作法」が身につく,すべてのがん治療医必携の書。知っているようで知らなかった緩和医療の基本「痛みの評価」や「やさしい薬物処方」,円滑な「チーム医療」「コンサルテーション」がわかる。また,今日からすぐに実践にできる,患者さんや家族の気持ちに寄り添う「コミュニケーション」実例が満載。本書を通読すれば,緩和医療がもっとわかる! できる!


序文

「緩和医療に携わるならば,いかなる理由や時期(臨床経験)からでも,緩和医療とは何たるかを知るべし」。最初の作法である。
 緩和医療とは,文字のごとく「緩和する医療」だが,患者・家族から「緩和医療とは何ですか」と正面から問われたとき,自らの言葉で明言することは容易ではない。ほかの診療科と比べ科目名は特化されているが,実は専門性が定かではないことも一因であろう。
 「緩和医療の概念」「緩和医療の現状」は実に著しづらい項目だが,執筆者の立場から望む「目指すべき緩和医療とは何か」をまとめていただいた。「緩和医療の専門性」の執筆依頼文には,「互いに遠慮・配慮することなく,各立場から主張ください」と添えた。このように各章には具体的テーマを掲げ,項目ごとに無理な依頼も行った。執筆各先生には心から感謝申し上げる。
 本章の主題は「緩和医療を目指す医師にその覚悟を問い正す」である。いつの日か,矜持を正す機会があればと考える。

 2010年,個人的理由から,「がんを診ること」,そして「緩和医療」を考え直す時間をもった。年が明け,本書企画時に「作法」という言葉が頭に浮かび,そのままタイトルとなった。出版担当者の英断である。
 本書はⅠ〜Ⅳ章を筆者が編集し,Ⅴ章を帝京大学の有賀悦子准教授が編集した。各章に意図をおくが,本章の意図をもって序に代える。

2012年2月吉日
門田和気
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目次

学ぶ作法・教える作法 門田和気

Ⅰ章 緩和医療の基本事項
1.緩和医療の概念 林 章敏
緩和医療の定義/緩和医療の歴史と背景/さまざまな言葉の概念-その共通理念と相違-/がん治療と緩和医療の関係(パラレルケア)/緩和医療の専門性/緩和医療のこれから

2.緩和医療の現状 林 章敏
各種統計からみた緩和ケア/緩和医療の形態と内容/海外との比較/今後の課題

3.緩和医療の専門性
 a.医師の立場から 茅根義和
緩和医療の専門性とは/患者の生活を支える医療としての緩和医療/患者の最期のときまでつきあう医療である緩和医療

 b.患者・家族の立場から 本田麻由美
緩和医療のイメージ/「がん対策基本法」成立とその背景/患者たちが求めた緩和医療・ケアとは

 c.行政の立場から 加藤雅志
「がん対策基本法」と緩和ケア/「がん対策推進基本計画」と緩和ケア/行政による緩和ケアに関する取り組み/医療従事者に対する基本的な緩和ケアの知識の普及/緩和ケアに関する専門的な医療従事者の育成/緩和ケアの提供体制の整備/一般の方々に対する緩和ケアの普及啓発/緩和ケア領域における研究の推進

Ⅱ章 緩和医療の実践
1.トータルペイン(全人的苦痛)へのアプローチ 相河明規/大坂 巌
トータルペイン(全人的苦痛)とは/トータルペインの捉え方/トータルペインをどう評価して対応していくか/医師が注意すべき各苦痛の評価・対応のポイント/トータルペインの緩和の向こうに

2.痛みのアセスメント 門田和気
痛みの強さをアセスメントする/視覚的評価尺度(VAS)/数値的評価尺度(NRS)/口頭式評価尺度(VRS)/痛みのフェイススケール(FRS)/痛みの性質をアセスメントする/オピオイド療法におけるアセスメント/アセスメントの四方山話

3.痛みの治療原則−WHO5原則を中心に− 門田和気
経口的に(by mouth)/時刻を決めて規則正しく投与(by the clock)/除痛ラダーにそって効力の順に(by the ladder)/個別の量で(for the individual)/細かい配慮を(attention to detail)

4.医療用麻薬の適正使用−処方の際の注意事項− 加賀谷肇
麻薬を使用することができる人とは/麻薬中毒患者と診断したときはどうするか/麻薬の保管・管理/麻薬を携帯輸出入するとき/麻薬に関する記録のとり方/入院時における患者自身による麻薬の管理/廃棄の仕方/事故/盗難時の対応/正しい患者説明・服薬指導/患者・家族への麻薬管理上の指導/家族、友人などへの譲渡しは法律違反/自宅で紛失した場合/あいまいな表現の注意事項は撤廃してほしい

Ⅲ章 チーム医療とは
1.チームを起こす 橋口さおり
チームが目指す方向/病院執行部との交渉/業務計画を立てる/広報

2.チームを動かす 大坂 巌
interdisciplinary team/緩和ケアチーム診療の指標/よいチームの特徴/よいチームにおける医師の理想像/当院緩和ケアチーム活動の実際/チーム診療のコツ

3.在宅療養に向けてチームの役割 山田雅子
在宅療養者を支えるための地域における社会資源/在宅支援・地域連携に向けて病院が取り組むこと/地域の資源を使うということと、創るということ

Ⅳ章 コンサルテーションスキル
1.コンサルテーションの基本 名郷直樹
自分自身の経験から/主治医が明確であること/コンサルタントの専門性/コンサルテーションと日常診療の相同性/情報収集とギャップの認識/パターナリズムによるアプローチ/行動科学によるアプローチ/患者中心の医療の方法/建設的フィードバック

2.他科へのコンサルテーション
 a.麻酔科(ペインクリニック)医からの提言 関山裕詩
ケースから学ぶコンサルテーションスキル/推奨されるコンサルテーションモデル/コンサルテーションの際に必要な基礎知識-がん性疼痛における神経ブロックの適応/コンサルテーション後

 b.放射線科医からの提言 荒井保明
不適切なコンサルテーション/優れたコンサルテーション/気持ちよいコンサルテーションにこう応える

 c.精神科医からの提言 大上俊彦
緩和ケア医からのコンサルテーションに対して精神科医が思うこと/コンサルテーションには建前と本音がある/困るコンサルテーションの例/結局はコンサルタントとコンサルティーの関係性が大きく影響する

 d.腫瘍内科医からの提言 高野利実/陶山浩一/三浦裕司
がん医療の流れ/緩和ケア医と腫瘍内科医の役割分担/腫瘍内科医にとっての緩和ケア医の存在/緩和ケア医にとっての腫瘍内科医の存在/抗がん剤か緩和ケアか/そこにある緩和ケア

 e.リハビリテーション科医からの提言 辻 哲也
リハビリ医療と緩和医療の類似性/緩和医療におけるリハビリの目的と役割/リハビリの具体的な内容/リハビリの介入の流れ/緩和医療担当医がリハビリ科へコンサルテーションする際のポイント

Ⅴ章 緩和医療におけるコミュニケーション
1.コミュニケーションの基本 栗原幸江
コミュニケーションとは/知っておきたい基本的なスキル/「オープンクエッション」「クローズドクエッション」の使い道/「事・情」を聴く/共感を示す/そのほか注意したいこと/状況に応じた心得/家族への対応/多職種スタッフとの協働/スキルアップのためのセルフトレーニング

2.スタッフ間のコミュニケーション 安部睦美
皆さん、スタッフの現場の声をしっかり聴いていますか?/情報伝達・情報共有の重要性/情報共有の具体的な方法/情報伝達の具体的な方法

3.他科医療スタッフとのコミュニケーション 赤司雅子/有賀悦子
スキルミクス型のチーム医療におけるコミュニケーションの重要性/事例検討

4.患者とのコミュニケーション 三田礼子/有賀悦子
がんの告知からがん治療へつなぐ/再発の告知/緩和チームとしての関わり/痛みの診察とオピオイドの導入/スピリチュアルペインに寄り添う/Do Not Resuscitate(DNR)の選択/鎮静/薬剤に抵抗を示す患者との関わり/怒りを表出する患者との関わり/予後が短いと思われる患者との関わり

5.家族とのコミュニケーション 大沢かおり/小澤美和/Martha Aschenbrenner
患者の代諾者としての家族を見極める/家族の感情を知る/家族へ病名を伝えることと、その後のプロセス/グリーフケア

6.外国語でコミュニケーション−日常診療でよく使うフレーズ集(英語編) 関根龍一
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