原発不明がん

適切な診断・治療のポイント

原発不明がん

■編集 向井 博文

定価 5,280円(税込) (本体4,800円+税)

原発不明がんの診断と治療を,豊富な写真と症例で詳細・実践的に解説!

原発不明がんでは,不適切な診断により原発不明となっている場合があり,これを除外することが重要である。本書では,診断に重要な画像診断や病理診断について,豊富な写真で詳細に解説した。また,原発が不明であっても治療が奏効する,見逃してはならない「予後良好群」があり,これらの診断と治療の手順を症例をあげて実践的に解説した。
遺伝子プロファイルなど最新の診断法や,緩和医療へ切り替えるタイミング,診断と治療のピット・フォールまで,原発不明がんに関する情報を網羅した,全がん診療医必携の書である。

  • B5判  240ページ  オールカラー,写真198点
  • 2012年3月30日刊行
  • ISBN978-4-7583-0364-4

序文

 がんの診断の過程でほとんどの場合は,そう困難なく原発は判明する。それは患者の訴えや臨床症状から原発を予想するのがさほど難しいことではない上に,その予想もごく簡単な初期の検査により確診に変わることが多いためである。
 しかしわずかにはこうはいかないケースがあることは,がん診療にかかわる臨床医であれば誰もが経験していることと思われる。“原発不明がん”と名づけられた,一見捉えどころのない病名の登場である。
 そもそもこのような疾患があることを読者諸姉・諸兄にはまずはご認識いただくことが本書の最初の目的となる。疾患が存在することを知らないと,力任せに際限なく原発巣探しの検査をやり続けることになってしまうから。
 そして,本疾患の中に実は大変に治療がよく効く,場合によっては治ってしまう患者群が存在することをご理解いただくことが目的の2つめとなる。これを知らないと,最初から厭戦気分ありありの,手控えた治療でお茶を濁すことになりかねないので。
 原発不明がんは臨床医泣かせであると同時に病理医を大変に困らせる疾患でもある。あれもこれもと免疫染色をして時間がかかり,結局さしたる情報も得られずに臨床医から(密かに?)顰蹙を買っている,あるいは信用を落としているという場面があるかもしれない。
 本書は,日本臨床腫瘍学会編の原発不明がん診療ガイドラインの執筆陣を中心に,わが国を代表する腫瘍内科医,病理医が真正面から本疾患に取り組んだ渾身の作である。原発不明がんの診断から治療まで取り扱ったその守備範囲の広さはもちろん,執筆陣のその圧倒的筆力ゆえに,現場で困る問題の大半は本書一冊で解決されるだろう。
 また,原発不明がん診療ガイドラインを随所に引用し,ガイドラインでは書き尽くせなかった細部までもきれいな図や写真を用いて解説してあるのが特徴である。理解を助けるための,かゆい所に手が届くような配慮が至る所にちりばめられてもいる。
 本疾患のすべてを網羅した本書を世に送ることにより原発不明がんが臨床の現場でより認識され,理解され,そしてその結果,患者アウトカムの向上につながるようであれば望外の喜びである。

 最後に本書の草案から完成までお付き合いいただいたメジカルビュー社編集部の加賀智子氏,藤原琢也氏に厚く御礼申し上げるとともに,いつも支えてくれている家族に感謝したい。

2012年3月   向井博文
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目次

原発不明がんをめぐる今日的問題—総論に代えて— 向井博文

【Basic】
原発巣探索・同定
 ①画像診断 寺内隆司
 ②腫瘍マーカー 仲野兼司/高橋俊二
 病理診断
  ③HEをどう読むか 森永正二郎
  ④形態学的アプローチ・細胞診-悪性体腔液の診断- 蔦 幸治
  ⑤分子生物学的アプローチ(臓器特異的遺伝子異常を用いた原発巣の推定) 津田 均
  ⑥症例提示 森永正二郎
 【症例1】リンパ節生検の病理診断で前立腺原発と判明した症例
 【症例2】肝生検病理診断で乳がん転移と判明した原発不明がん
 【症例3】剖検で胃に原発巣が見いだされた原発不明のがん性心外膜症
 【症例4】剖検で腹膜原発が疑われた原発不明がん性腹膜症
 【症例5】腋窩リンパ節のみに転移の認められた原発不明“乳がん”
予後良好群と予後不良群
 ⑦出現部位からみた原発不明がんの特徴(疫学的傾向を含めた原発巣の絞り込み) 松原伸晃
予後良好群の治療(症例提示)
 ⑧腺がん 太良哲彦/内藤陽一
 ⑨腹膜がん 河野 勤
 ⑩扁平上皮がん 上田響子/高橋俊二
 ⑪神経内分泌腫瘍 岡本 渉/倉田宝保
 ⑫germ cell tumor 河野 勤
⑬予後不良群の治療 松原伸晃
その他
 ⑭緩和ケア・支持療法 河野 勤

【Advance】
原発巣探索・同定
 ①画像診断 寺内隆司
 病理診断
  ②原発不明がんの病理診断に役立つ免疫染色 森永正二郎
  ③遺伝子変異の検出の意義(EFGR、KRAS、ARID1A、PIK3CA、BRAF、p53などの変異、HER2、EFGR
   増幅、染色体欠失、染色体転座など) 津田 均
  ④ウイルスゲノムの検出意義 大友梨恵/津田 均
  ⑤リンパ節の原発不明がん・転移性がんの細胞診 前島亜希子
  ⑥遺伝子発現プロファイル 林 秀敏/倉田宝保
予後良好群と予後不良群
 ⑦予後因子 公平 誠/高橋俊二
その他
 ⑧新たな診断治療の現在 松原伸晃

【Focus & Pitfall】
原発巣探索・同定
 ①臨床医から病理医へのオーダーについて 高橋俊二/石川雄一
 ②-1 原発不明がんの病理診断におけるpitfall① 森永正二郎
 ②-2 原発不明がんにおける細胞診と組織診の関連(特にセルブロック法について) 吉田正行
 ③エストロゲンレセプター陽性例にホルモン療法は有効か? 内藤陽一
 ④HER2陽性例に抗HER2療法は有効か? 内藤陽一
その他
 ⑤favorable subset(性腺外胚細胞腫瘍)だと思ったのだけれど… 内藤陽一
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