神経内科外来シリーズ 5

脳卒中外来

脳卒中外来

■担当編集 棚橋 紀夫

定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
  • B5変型判  324ページ  2色(一部カラー) 写真194点,イラスト26点
  • 2017年2月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-0386-6

在庫僅少です。


脳卒中の診療に必要な知識を網羅,日常の診療に即役立つ一冊

本シリーズは特に患者の多い神経疾患(頭痛,認知症,パーキンソン病,てんかん,脳卒中)で構成。神経内科医が接する機会の多いこれらの疾患の外来診察に必要なノウハウを,シェーマ,フローチャートなどを多用しコンパクトにまとめて解説している。
本書では「脳卒中」を取り上げる。脳卒中の患者数は150万人ともいわれ,日本人の死因の第3位となっている。Ⅰ・Ⅱ章では脳卒中の基本的知識,診察・治療の流れを解説。Ⅲ章では脳卒中に含まれる各疾患を取り上げ,その診断から治療までを解説。最後にCase Studyをとおしてその実際を学べるようにしている。
脳卒中の診療に必要な知識を網羅した1冊である。

■シリーズ総編集
荒木信夫


序文

序文

 『神経内科外来シリーズ5脳卒中外来』の刊行にあたり,国内の脳卒中のオピニオンリーダーの方々にお忙しい中,精力的に執筆いただき感謝の意を表したいと思います。脳卒中は神経内科外来のなかでも最も患者数の多い疾患です。特に,我が国では,欧米諸国と比較し脳卒中の頻度が高いことが知られています。また高齢者に多い疾患であり,患者数は10〜20年先まで増加することが予測され,脳卒中罹患患者の外来診療の重要性は高いと考えられます。
 本書は,脳卒中が疑われる患者が外来または救急外来を受診した時,あるいは脳卒中罹患患者を外来で経過観察する際に,役立つ項目を取り上げました。近年脳卒中の病型,定義も少しずつ変化しております。本書では,脳卒中の分類,疫学,脳卒中の危険因子,診察・診断の基本,画像診断のポイント,鑑別診断,検査,薬物療法,外科的治療の適応,脳梗塞の主要病型(アテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,心原性脳塞栓症),branch atheromatous disease(BAD),一過性脳虚血発作(TIA),特殊な脳卒中としての悪性腫瘍に伴う脳梗塞(Trousseau症候群),脳出血,くも膜下出血,血管奇形,脳動脈解離,もやもや病,遺伝性脳卒中,脳静脈洞血栓症,脳血管性認知症,脳卒中後のてんかん,脳血管性パーキンソニズム,脳卒中治療ガイドライン2015の変更のポイント,また最近の話題である脳微小出血,脳小血管病,未破裂脳動脈瘤,外来診療でしばしば必要となる介護保険認定,身体障害者福祉法による認定,日本脳卒中協会の活動なども取り上げています。脳卒中外来診療医にとって,確認したいポイントを網羅し,詳しく解説していただきました。
 脳卒中の外来診療は,神経内科医,脳神経外科医,一般家庭医,リハビリテーション医など多くの医師によってなされています。本書は,脳卒中専門医,非専門医どちらが読まれても,分かり易く診療に役立つ内容になっていると思います。脳卒中外来では,様々な知識が求められます。また患者さんから多くの質問を受けます。本書とともに,『脳卒中治療ガイドライン2015』などを参考にして外来診療にあたっていただきたいと思います。

2017年1月
埼玉医科大学国際医療センター神経内科教授
棚橋 紀夫
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目次

Ⅰ 脳卒中についての基礎知識
脳血管障害の分類 高嶋修太郎
 はじめに
 脳血管障害のNINDS-Ⅲ分類
 脳梗塞のTOAST分類
 新しいTIAの定義と問題点
 BADの概念と位置づけ
 塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)

脳卒中の疫学 古田芳彦、北園孝成
 脳卒中死亡率の時代的推移
 脳卒中発症率の時代的推移
 脳卒中各病型別の発症率
 脳梗塞サブタイプ別の頻度
 脳卒中発症後の予後
 脳卒中発症率の国際比較

脳卒中の危険因子 星野晴彦
 調整することのできない危険因子
 確立されている調整可能な危険因子
 脳卒中と関連する可能性がある調整可能な危険因子

脳卒中の画像診断 内野 晃
 頭部単純CT
 頭部造影CT、頸部〜頭部CTA、CTP
 頭部MRI、頸部〜頭部MRA、プラーク画像、MRP、MRS
 頸動脈超音波検査
 頭部SPECT、PET
 頭部血管造影
 画像診断検査の流れ

Ⅱ 外来の基本的な流れ
診察・診断の基本 林  健
 はじめに
 病歴聴取
 身体診察
 おわりに

鑑別診断 野川 茂
 はじめに
 脳梗塞と鑑別を要する病態
 t-PA静注が危険な脳梗塞の鑑別
 おわりに

検査 出口一郎
 はじめに
 生化学検査
 心電図
 胸部X線
 画像検査
 おわりに

薬物療法 髙尾昌樹
 外来における薬物療法における基本的姿勢
 リスク因子からみた外来治療
 病態からみた外来治療
 その他の治療的問題
 観血的処置における抗血栓薬の休薬
 まとめ

外科治療の適応 池田俊貴、栗田浩樹
 主な対象疾患と外科的治療の選択肢
 脳出血
 脳梗塞
 脳動脈瘤
 もやもや病
 脳動静脈奇形

Ⅲ 主な脳卒中の診断と治療
アテローム血栓性脳梗塞 卜部貴夫
 概念
 分類
 病態生理
 臨床症候
 検査所見
 超急性期〜急性期の治療
 慢性期の再発予防と危険因子の管理

ラクナ梗塞 大木宏一
 定義・概念
 病態生理
 症状
 危険因子
 各種検査・診断
 治療
 無症候性多発ラクナ病変の管理

心原性脳塞栓症 有水琢朗、豊田一則
 定義
 疫学
 機序
 臨床像
 画像所見
 診断
 治療

Branch atheromatous disease(BAD) 高木 誠
 概念と定義
 画像所見
 診断基準
 危険因子
 神経症候
 発症後の神経症候の増悪(進行性脳卒中)
 梗塞巣の拡大機序
 治療と予後
 BADの臨床的意義と今後の課題

一過性脳虚血発作 上原敏志
 早期診断・治療の重要性
 定義
 診断
 発症機序
 脳卒中発症リスクに関するスコア
 治療
 初期対応

悪性腫瘍に伴う脳梗塞(Trousseau症候群) 髙橋愼一、伊澤良兼
 歴史的にみたTrousseau症候群の概念
 病型と疫学
 病態生理
 急性期脳梗塞治療
 慢性期脳梗塞再発予防治療
 まとめ

脳出血 浦丸浩一、竹田理々子、栗田浩樹
 定義・分類
 病態生理
 症状
 診察・診断
 鑑別診断
 治療

くも膜下出血 大宅宗一
 はじめに
 症候からの鑑別
 SAH診断に必要な検査とその解釈
 SAHの臨床分類について
 非動脈瘤性SAHについて

脳動静脈奇形、海綿状血管腫、静脈性血管腫 山根文孝
 脳動静脈奇形
 その他の血管腫

脳動脈解離 神山信也
 定義・分類
 疫学
 病態生理
 症状
 診断
 鑑別診断
 急性期治療
 慢性期治療

もやもや病 吉川雄一郎
 概略
 疫学
 病因
 症状
 画像診断
 治療
 医療助成に関する申請

遺伝性脳卒中 加藤裕司
 はじめに
 虚血性脳卒中をきたす遺伝性疾患
 出血性脳卒中をきたす遺伝性疾患
 おわりに

脳静脈洞血栓症 伊藤康男、荒木信夫
 基本的な考え方
 脳の静脈系
 臨床症状
 基礎疾患
 診断と検査
 治療の一般方針

脳血管性認知症 三瀧真悟、山口修平
 はじめに
 脳血管性認知症の分類
 脳血管性認知症の診断
 脳血管性認知症の治療

脳卒中後のてんかん 村松和浩
 はじめに
 定義・分類
 疫学、原因
 病態生理
 臨床像、発作型
 病歴聴取
 診断と検査所見
 鑑別診断
 治療

脳血管性パーキンソニズム 高橋一司
 はじめに
 疾患概念
 病態機序
 病理所見
 臨床症状
 鑑別診断
 画像検査
 その他の検査
 治療

Ⅳ 脳卒中の最近のトピックス
脳卒中治療ガイドライン2015の変更のポイント 棚橋紀夫
 はじめに
 脳卒中一般
 脳梗塞・一過性脳虚血発作(TIA)
 脳出血
 くも膜下出血
 無症候性脳血管障害
 その他の血管障害
 おわりに

脳微小出血(microbleeds) 卜蔵浩和
 定義
 疫学
 MBsの病理
 脳卒中の危険因子としてのMBs
 MBsと認知機能
 MBsのある患者に対する治療

Cerebral small vessel disease 北川一夫
 脳小血管病の分類
 無症候性脳小血管病変の分類
 脳小血管病変の臨床的意義
 脳小血管病変を有する患者の内科的管理

未破裂脳動脈瘤 竹田理々子、栗田浩樹
 未破裂脳動脈瘤の自然歴
 動脈瘤の形成・破裂機序
 薬物治療の可能性
 画像診断による破裂リスク評価の可能性
 脳動脈瘤に対する血管内治療の最先端

Ⅴ 社会資源の活用法
介護保険制度、身体障害者福祉法による認定 高橋秀寿
 介護保険制度
 身体障害者福祉制度

日本脳卒中協会 橋本洋一郎、竹川英宏、中山博文
 公益社団法人 日本脳卒中協会とは
 日本脳卒中協会の活動
 最後に

Ⅵ Case study
アテローム血栓性脳梗塞 出口一郎
心原性脳塞栓症 丸山 元
ラクナ梗塞 大平雅之
頸動脈病変に対してステント留置(CAS)した症例 根木宏明
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