こんなに役立つ肺エコー

救急ICUから一般外来・在宅まで

こんなに役立つ肺エコー

■編集 鈴木 昭広

定価 3,740円(税込) (本体3,400円+税)
  • i_movie.jpg
  • A5判  128ページ  2色,写真300点,Web動画視聴権付き(34本/計5分)
  • 2015年3月27日刊行
  • ISBN978-4-7583-0387-3
  • メジカルビュー社電子版

肺はエコーでここまで見える! 撮り方,読み取り方を身につけ,気胸や肺炎,胸膜疾患の鑑別に活用! 【電子版】も単体でご購入いただけます

現在,肺超音波の重要性が高まっている。以前は「肺をエコーで見るなんて・・・」との声も多かったが,現在では多くの論文も発表され,気胸の診断では第1選択となっている。救急の現場においては特に重要視されており,肺水腫と気胸の鑑別や肺炎の診断も可能である。さらに,肺超音波で過剰な液体の貯留を確認し心不全を早期に発見するこも可能となるため,今後,急速に発展していくエコー分野ともいわれている。また,携帯型エコーで見ることが容易であるため,開業医や高齢者の在宅医療,当直時の救急対応にも役立ち,活用の場も広い。
そして,肺エコーは心エコーや腹部エコー等と違い,比較的わかりやすく,エコー画像の描出や読み取り方についてもコツとテクニックを習得してしまえば応用がきく分野であるといえる。その反面,肺自体ではなく,肺の表面を覆う胸膜の動きを見る肺エコーの撮り方,読み取り方を正しく丁寧に指導する環境は整っていないのが実状である。
そこで本書では,進歩著しい肺エコーの撮り方,読み取り方等をコンパクトにまとめ,だれでも簡単に肺エコーが撮れるようになる方法を記載。
ウェブサイト上の動画配信サービス(メジカルビュー社Movie Archives)と連動し,34本の動画の視聴も可能。


序文

序文 肺エコーの可能性

 この度は本書をお手に取っていただき誠にありがとうございます。編集責任者の鈴木は麻酔科医ですが,医療過疎地への出張経験から,麻酔科医は術場麻酔で培った急変対応スキルをもっと広く活用できるはず,との思いを抱くようになりました。そこで,卒業時点では絶対にやらないと誓っていた救急医療や,当時は存在すらしていなかったドクターヘリ活動に従事する機会を得ました。
 救急を始めて間もなく,現在の外傷初期診療ガイドライン(JATEC)のFAST(Focused assessment with sonography for trauma)というお手軽な出血検索プロトコールに出会い,あてて見るだけで即断即決できる,いわゆるYES/NOエコー術の虜となりました。しかし,症例を積むにつれ,FASTでは閉塞性ショックとしての心タンポナーデは検索に含まれるのに,同じ閉塞性ショックである緊張性気胸を検索しないことに疑問を抱くようになりました。主観的な聴診や打診と異なり,エコーの所見は画像を介した客観的情報として記録に残すことができ,迅速かつリアルタイムにチームメンバー間で情報共有できます。その能力を最大限発揮するには気胸も視覚化できればよい,と強く思ったのですが,残念ながらそのころ国内では気胸に関するエコーの論文はほとんど皆無でありました。そこで気胸が超音波で見えないかどうか,自然気胸患者や,開胸手術中の患者で確認し続け,所見の確立を試みました。  
 正常肺では胸膜が動くこと,気胸では動きがなくなり多重反射を呈し,あたかもお菓子のミルフィーユのような多層構造となることなどに気づき,これらの所見に名前を付けられないものか?と考えはじめたころ,肺エコーの大家,Lichtensteinの論文に出会ったのです。自分が発見したと思いこんだ所見は,Lichtensteinが20年以上も前にすべて見出しており,命名が済んでいる事実を知ったとき,不思議と「落胆」ではなく,20年も前の画質も劣悪なオンボロ超音波装置を用いて肺エコーに取り組んでいた先達の努力に「感嘆」したことを覚えています。これを契機に,外国では肺エコーが盛んに実施され,いろいろな病態を描出する試みが行われていることを知り,肺エコーの奥深さにのめり込みました。その後しばらくして,臨床医学雑誌の巨塔であるNew England Journal of Medicineの特集,point of care ultrasound内で肺エコーが紹介されたことを契機に,肺エコーは世界的な認知度を得て爆発的な普及を見せ始めました。   
 この度,メジカルビュー社様より,未だ日本では認知度が高くない肺エコーに関する一般的な書籍を刊行したいとのご提案をいただきました。そこで,お手軽超音波の普及団体である“ABCD sonography”の設立メンバーを中心に協力を募り,本書ができあがった次第です。この書籍が実地医科の先生方の外来・入院診療の一助となるだけでなく,在宅患者の診療,研修医教育,麻酔・救急・ICUなどでの重症患者診療にまで,幅広くお役に立てれば幸いです。

執筆者を代表して
平成27年4月
旭川医科大学 麻酔・蘇生学講座 准教授・救命センター 副部長
鈴木昭広
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目次

基礎編
01 プローブの選択と基本画像の描出方法  鈴木昭広
 1 プローブの種類と特徴
 2 プローブの持ち方と基本操作
 3 必要最低限のノボロジー

02 超音波画像の描出ルール  鈴木昭広
 1 画像のオリエンテーションはとても大事
 2 大原則:超音波画像はCTと同じように表示する
 3 プローブの目印と,画面の目印の関係に注目しよう

03 肺エコー所見の原理  田中博志
 1 確認:X線画像と超音波画像の違い
 2 超音波の反射率:画面上の白はなに?黒はなに?
 3 肺エコー基本画像
 4 多重反射(A-line)
 5 肝臓のミラーイメージ

04 正常:lung sliding(Bモード)  丹保亜希仁
 1 胸膜ラインの動きをみる〜lung sliding 〜
 2 lung slidingはどのプローブで観察するか
 3 参考所見!?カラードプラでpower slidingを見てみよう

05 正常:seashoreサイン  飯塚悠祐,野村岳志
 1 seashoreサインとはなにか?…
 2 seashoreサインはどのようなときに有用か
 3 プローブごとのseashoreサインの見え方の違い
 4 seashoreサイン描出の際のピットフォール

06 正常:lung pulse(Bモード)  大宮浩揮
 1 lung pulseは心拍動が胸膜まで伝わって生じる振動をとらえたものである
 2 lung pulse観察に最適なプローブは?
 3 lung pulseが認められれば,その部位における気胸を否定できることが最も重要である

07 正常・異常:A-line(Bモード・Mモード)  貝沼関志,青山 正
 1 A-lineはどのような病態で描出されるか
 2 A-lineができるわけ

08 B-line  鈴木昭広
 1 B-lineの本態は細かな多重反射アーチファクト
 2 B-lineは胸膜から縦に伸びるレーザー光のイメージ
 3 正常・異常の見きわめ方は?
 4 B-line観察に最適なプローブは?

09 胸水(curtain sign,spine sign)  小山洋史,野村岳志
 1 胸水をチェックするにはエコー検査が一番!!
 2 胸水を探すのに適したプローブは?
 3 描出のコツ
 4 エコーで見える胸水の性状は?

10 異常:PLAPS  吉田拓生
 1 posterolateral alveolar and/or pleural syndrome(PLAPS)とは?
 2 PLAPS 〜ギラギラと光る肺〜
 3 描出場所
 4 プローブ選択
 5 具体的にどのように活用するか

アドバンス編
01 気胸 診断フローチャート  田中博志
 Case 60歳代男性,腹腔鏡下胆のう摘出術術中
 1 気胸診断
 2 lung point
 3 フローチャート

02 diffuse A-line,no PLAPS  小山洋史,野村岳志
 Case 心疾患既往のある80歳代男性

03 肺水腫  鈴木昭広
 Case 老人保健施設入所中の80歳代女性

04 肺炎  吉田拓生
 Case 呼吸苦で救急来院した50歳代男性

05 間質性肺炎  貝沼関志,青山 正
 Case 70歳代男性
 1 肺エコーにおける間質症候群
 2 間質性肺炎を,ISの中から鑑別することはできるか

06 血胸(外傷事例)  丹保亜希仁
 Case 交通外傷の70歳代男性
 1 血胸
 2 肋骨骨折
 3 肺挫傷

07 急性肺血栓塞栓症  大宮浩揮
 Case 帝王切開術後の30歳代女性

08 BLUE protocol,FALLS protocol  飯塚悠祐,野村岳志
 1 BLUE protocol
 2 FALLS protocol

09 胸膜に接する肺疾患と胸膜疾患  浜崎直樹
 1 胸壁から肺までの解剖の理解
 2 胸膜に接する肺疾患や胸膜疾患に対する超音波Bモード診断
 3 パワードプラ法やB-flow colorによる血流診断
 4 造影超音波検査について

10 Pitfall:皮下気腫,横隔膜損傷,胃  丹保亜希仁
 Case1
 Case2
 Case3
 Case4
 Case5

11 横隔膜機能の評価  長島道生
 1 横隔膜を超音波で見てみよう
 2 2つのアプローチ

12 食道挿管,片肺挿管など  田中博志
 1 片肺挿管
 2 食道挿管
 3 気管挿管

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