腎生検診断Navi

改訂第2版

腎生検診断Navi

■編著 片渕 律子

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • B5変型判  128ページ  オールカラー,写真282点
  • 2016年6月17日刊行
  • ISBN978-4-7583-0396-5

9年目の改訂。シンプルに覚え,“木も診て,森も診る”ための腎病理ナビゲーション

本書では,必要最低限の内容,鮮明な病理像,シンプルな記述でロングセラーとなった初版の良さはそのままに,「移植腎病理」「腎生検でみられる血管」などの項目追加,付録の追加,画像の変更・追加,また初版刊行後に変更となった分類や定義のアップデートを行った。初版から約40ページ増となるが,「シンプルであること」を損ねず充実した内容となっており,新たな読者のみならず,初版を購入された読者の方にも手にとっていただけるものとなっている。


序文

改訂第2版の出版にあたって

 『腎生検診断Navi』を出版して早くも9年が経過し,腎生検診断の入門書としてご愛読いただき,深く感謝申し上げます。今回,改訂第2 版を出版するに至った経緯についてご説明します。
 まず,初版の出版以来,6つの基本パターン(FSGS病変を入れると7つ)に当てはまらないが,見落としてはいけない足細胞の空砲変性を呈するFabry病を是非入れたいという気持ちをずっと温めてきました。Fabry病は念頭においておかないと臨床的にも病理学的にも見落とす可能性の高い疾患です。酵素補充療法が可能な疾患ですので,きちんと診断することは医療従事者の義務です。改訂版でFabry病を追加しました。
 次に,初版のときから気になっていたのは,ややこしい巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)のvariant分類と膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)のType分類を完全に無視していたことです。両者ともわかりにくく,これを入れると混乱を生じて皆さんが腎生検病理を嫌いになるのではないか,と危惧してわざと触れませんでした。しかし,本当はこんな分類もあるのですよ,と説明したほうがいいのではないか? と自問自答していました。今回改訂第2 版刊行にあたり,シンプルなタッチで書き進めた本文には入れず,付録の形で入れました。FSGSについては狭義のものと広い意味のFSGSについても解説を加えました。MPGNのType 分類については,特にType IIIがわかりにくく,なかでもStrife型については論文を何度読んでも理解できませんでしたのでBurkholder型についてのみ解説するつもりでした。しかし,福岡大学医学部病理学教室の久野 敏先生に多大なご指導や画像のご提供をいただき,なんとかStrife型の解説も書くことができました。
 さらに,出版社からのご提案で移植腎病理の章を追加しました。この章は九州大学大学院医学研究院病態機能内科学の升谷耕介先生との合作です。一番弟子の升谷耕介先生と,このような仕事が出来たのは望外の喜びです。私の提案に快諾してくれ,『腎生検診断Navi』のタッチを忠実に守って原稿を書いてくれた升谷耕介先生に深謝します。
 また,細胞増殖は細胞増多に,メザンギウムはメサンギウムに書き換え,メサンギウム細胞増多の程度や半月体の種類の説明部分にはOxford分類の定義に従って書き換えました。血管のサイズの画像の差し替え,剖検腎での血管樹の挿入,血管樹に沿った血管のサイズの提示(この部分も福岡大学医学部病理学教室の久野 敏先生にご指導いただきました),動脈硬化の機序の説明文の書き換え,血栓性微小血管症(TMA)の糸球体病変,コレステロール塞栓の画像など数カ所差し替えています。
 この本の長所であるシンプルであることをできるだけ損ねないように内容を充実させたつもりです。改訂第2 版により,皆様の腎生検診断力がますますパワーアップすることを願っています。

2016年5月
国立病院機構福岡東医療センター内科部長
片渕律子
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目次

総論
  腎生検とは?
  糸球体疾患の臨床症候分類
  病変の主座による腎疾患の分類
  腎生検診断の基本
  腎生検光顕診断に必要な基本的染色法
  腎生検診断の手順:Step 0
  腎生検診断の手順:Step 1(サンプルは適切か?)
  腎生検診断の手順:Step 2(少し拡大を上げて(100〜200 倍で)以下の点を評価)
  腎生検診断の手順:Step 3(糸球体のカウント=詳細な分析)
  腎生検診断の手順:Step 4(光顕診断=統合)
  腎生検診断の手順:Step 5(光顕診断と蛍光抗体法所見の統合)
  腎生検診断の手順:Step 6(光顕診断と蛍光抗体法所見と電顕所見の統合)

第1章 糸球体疾患
 Ⅰ.原発性糸球体腎炎
  糸球体病変の基本パターンを手に入れよう!
   1.微小変化
   2.巣状(分節性)糸球体硬化症(FGS or FSGS)
   3.増殖性腎炎
    A. 管内細胞増多
    B. メサンギウム細胞増多
    C. 管外増殖=半月体
   4.膜性腎症
   5.膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)Type Ⅰ
  基本パターン以外の主要病変
   1.硬化
   2.係蹄壁の壊死(tuft necrosis)
   3.癒着(tuft adhesion)
  糸球体病変の基本パターンのまとめ
  臨床症候と組織型
 Ⅱ.二次性糸球体腎炎
   1.紫斑病性腎炎(Shönlein-Henoch Purpura Nephritis)
   2.糖尿病性腎症(diabetic nephropathy)
   3.ループス腎炎:全身性ループスエリテマトーデスに伴う腎病変
   4.肝炎関連糸球体腎炎、クリオグロブリン血症に伴う糸球体腎炎
   5.アミロイドーシス
   6.その他の二次性糸球体病変
 Ⅲ.遺伝性腎疾患
   1.Alport症候群
   2.薄層基底膜病(thin basement membrane disease)
   3.Fabry病(Fabry disease)

第2章 間質・尿細管病変
 Ⅰ.糸球体病変に伴ってみられるありふれた間質、尿細管病変
   1.間質細胞浸潤、線維化、尿細管萎縮
 Ⅱ.間質・尿細管に病変の主座がある場合
   1.急性間質性腎炎(acute interstitial nephritis),尿細管炎(tubulitis)
   2.骨髄腫腎(myeloma kidney:cast nephropathy)
   3.急性尿細管壊死(acute tubular necrosis)

第3章 血管病変
 Ⅰ.腎生検でみられる血管
   1.腎生検でみられる血管のサイズと名称
   2.腎臓内血管樹と血管のサイズ
 Ⅱ.加齢や全身の動脈硬化の表れとしてのありふれた病変
   1.線維性内膜肥厚(fibrous intimal thickening)
   2.硝子様変化(hyaline change)
 Ⅲ.血管に病変の主座がある場合
   1.壊死性血管炎(necrotizing vasculitis)
   2.血栓性微小血管症(TMA)
   3.コレステロール塞栓(cholesterol emboli)

第4章 移植腎病理診断
 Ⅰ.拒絶反応
   1.急性T細胞関連拒絶(acute TCMR、拒絶反応で最も多いタイプ)
   2.急性抗体関連拒絶(acute ABMR、光顕だけでは診断できず、C4d染色、抗ドナー抗体検査が必須)
   3.慢性活動性T細胞関連拒絶(chronic active TCMR、acute TCMRが潜行性に進行、あるいは治療抵抗性の症例などでみられる)
   4.慢性活動性抗体関連拒絶(chronic active ABMR、抗ドナー抗体による持続的な内皮障害)
   5.間質線維化(ci病変)と尿細管萎縮(ct病変)
 Ⅱ.カルシニューリン阻害薬(CNI)による腎障害
   1.急性毒性変化
   2.慢性毒性変化
 Ⅲ.ウイルス腎症
   1.BKウイルス腎症
   2.アデノウイルス腎症
   3.移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)

総括
  腎生検診断の手順
  光顕標本
  腎生検診断:総括

付録
  1 FSGSのvariant分類(Columbia分類)
  2 MPGNのType分類
  3 腎生検診断をいかに臨床応用するか?
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