図説 新しい尿路結石症の診断・治療

図説 新しい尿路結石症の診断・治療

■編集 伊藤 晴夫
正井 基之
赤倉 功一郎

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • B5判  288ページ  イラスト35点,写真60点
  • 2009年1月28日刊行
  • ISBN978-4-7583-0565-5

最新尿路結石症診療のすべて。尿路結石を治し,いかにして再発を予防するか。

 泌尿器疾患のなかで最も発症頻度の高い疾患のひとつが尿路結石症である。尿路結石は再発率も高く,泌尿器科臨床医にとっては治療とともに,その再発をいかに抑えるかを考えなければならない疾患でもある。
 この泌尿器科医が日常診療で頻繁に遭遇する尿路結石の最新の診断・治療,再発予防のノウハウをエキスパートが余すところなく解説。明日からの診療に即役立つ実用書である。


序文

 10年前に吉田 修京都大学名誉教授の命により,泌尿器科外来シリーズ1「尿路結石症外来」を編集させて頂いてより早くも10年が経過した。この間に尿路結石症の診療においても大きな進歩・変革がみられている。そこで,今回,正井基之,赤倉功一郎と小生でこの小著を編集させて頂くことになった。
 尿路結石症は泌尿器科領域で最も頻度の高い疾患の一つである。また,再発が高率にみられることが問題である。これは患者を苦しめるだけでなく医療経済的にも大きな損失を招いている。
 近年,尿路結石の除去法はESWLの出現とその進化,内視鏡手術と関連機器の進歩など革命的に進歩し,開腹手術はほとんど姿を消してしまった。これは尿路結石患者にとって福音であった。しかし,これらの手術も低侵襲とはいえ人体に大きな負荷を与える。また,結石除去後の再発率は開腹手術の時代より,むしろ上昇している。したがって,われわれ泌尿器科医は治療後の再発予防にも結石除去と同じくらいの努力を払ってゆくべきと思われる。
 以前より尿路結石の再発予防として食事が重要であることは知られていた。最近,尿路結石の形成にメタボリックシンドロームが関与していることが明らかになってきた。内臓肥満およびそれによるインスリン抵抗性と尿路結石形成との関連は,今後,結石研究の実りある一分野となりそうである。このシンドロームの予防手段は主に食事と運動であるが,泌尿器科医が栄養指導などの方面をもカバーすることは喜ばしいことと考える。また,結石患者に良い食事は家族全員にとっても良い食事であるということになるので指導し易いと思われる。
 本書を編集するにあたり,内容に一貫性を持たせるため,執筆者は編集者が所属していた千葉大学泌尿器科,帝京大学市原病院(現 帝京大学ちば総合医療センター)泌尿器科で尿路結石の診療・研究に携わったものに限った。これらの施設より他施設に移った医師も含まれるが,当時の基本方針は忘れていないものと考える。すなわち,結石除去は腎機能保護と最小の侵襲に努めることである。最も重視していたのが再発危険因子の究明と,これに基づいた再発防止対策である。
 本書の内容としては,基礎的な事項は最小限にとどめ,実際の診療に役立つことに主眼をおいた。体裁は出来るだけ図表を多くして読み易くし,患者さんに対する説明にも役立つように配慮した。実地症例でみる結石治療の章では,実際に遭遇した症例を提示し,解説を加えた。さらに,PNL, TUL, ESWLについてはいくつかの病院で使用中のクリティカルパスの実例を記載した。巻末には,食品の含有成分として,シュウ酸,カルシウム,プリン体,酸度・アルカリ度の表を載せた。また,書中の所々にいくつかのコラムを挿入した。最近の話題について述べているので気楽に読んで頂ければ有難い。
 本書が尿路結石診療の一助となれば幸甚である。

2008年11月
編集代表 伊藤晴夫
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目次

尿路結石症は増えているか
I どのようにして結石を見つけ,部位を特定するか
 問診・理学的検査
 ■現病歴
 ■既往歴
 ■家族歴
 ■身体所見
 各種検査とその評価
 ■尿・血液検査
 ■画像診断
 ■尿路結石症の鑑別診断
II どのようにして結石を治療するか
 ■治療法の選択(ガイドラインに沿った治療法の選択)
 緊急を要する病態に対する処置
 ■緊急を要する病態
 ■ドレナージのための緊急処置法
 保存的治療
 ■保存的治療の適応
 ■保存的治療のための生活指導
 ■疼痛発作時の処置
 ■薬物療法
 積極的治療
 ■積極的治療の適応
 ■体外衝撃波結石破砕術
 ■経尿道的尿管砕石術
 ■経皮的腎砕石術
 ■開放手術
III どのようにして結石の成因・原因を見つけ,再発を予防するか
 ■尿路結石発生の機序
 ■検査の進め方
 原因追求のための各種検査
 ■尿検査
 ■尿培養検査
 ■血液化学検査
 ■結石成分分析
 ■24時間蓄尿による尿化学検査
 ■酸負荷試験
 ■ニトロプルシド反応,24時間尿中アミノ酸定量
 原因疾患の診断・治療と再発予防
 ■感染結石
 ■腎尿細管性アシドーシス(RTA type 1)
 ■尿酸結石
 ■原発性副甲状腺(上皮小体)機能亢進症および高カルシウム尿を呈する状態
 ■シスチン尿症
 ■海綿腎
 ■薬物による結石
 ■高シュウ酸尿を伴う病態
IV どのようにして原因が明らかでない結石の再発を予防するか
 ■飲水・食事指導
 ■薬物療法
V どのようにして下部尿路結石を診断し治療するか
VI 実地症例でみる結石治療
 ●珊瑚状結石(1)
 ●珊瑚状結石(2)
 ●シスチン結石
 ●排尿障害による膀胱結石
 ●超高齢者の尿路結石
 ●腎盂癌と結石
 ●緊急処置を要した例−腎盂腎炎
 ●原発性高シュウ酸尿症
 ●原発性副甲状腺機能亢進症
 ●黄色肉芽腫性腎盂腎炎
 ●腎尿細管性アシドーシス
 ●尿路変向後の結石
 ●ESWL後の血腫
 ●自然腎盂外溢流
 ●妊婦と結石
 ●小児の結石
 ●腸性高シュウ酸尿症
 ●Milk of Calcium Renal Stone
 ●2,8dihydroxyadenine結石  
付録
 ◎クリティカルパス
 ◎食品の含有成分
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