整形外科 徒手検査法

整形外科 徒手検査法

■編集 高岡 邦夫

定価 10,450円(税込) (本体9,500円+税)
  • B5判  236ページ  イラスト400点
  • 2003年9月29日刊行
  • ISBN978-4-7583-0614-0

整形外科医が外来で行う各種の徒手検査法をイラストで理解する本

整形外科外来では,まず視診,触診が行われる。それは整形外科医自身の目と手(徒手検査)で,直接患者一人ひとりの状況を可能な限り把握するためである。X線などの画像診断も診断を確定するためには必須であるが,患者と直接向き合うことにより得ることができる情報量は少なくなく,その後の診断に大いに役立つものである。
本書は,視診時のチェックポイントとともに触診のポイントとなる“周辺解剖の触診法”“可動域の確認法”“各種テスト法”について,約400点のイラストにより図示したマニュアルである。上肢,下肢,脊椎の部位別の章に加え,小児整形,特殊検査法についての章も設けられており,見てわかるように構成されている。


序文

 スポーツの一般大衆への普及に伴うスポーツ人口の増加や,高齢者人口の増加に伴って,運動器のスポーツ障害や運動器の退行性変化による歩行,日常生活動作の障害を訴える患者が増加し,整形外科に受診する患者数が年々増加している。古くから整形外科学では運動器すなわち骨,関節,筋,靱帯,神経の損傷や諸疾患の診断治療を行ってきたが,その治療対象疾患も増加し,また整形外科医として習得すべき治療技術も高度化してきた。多彩な運動器障害を的確に診断し,的確に治療を行うための研修が求められている。
 運動器障害の診断は他の診療領域と同様に問診,視診,理学的徒手検査から始まり,レントゲン撮影をはじめとした種々の画像検査,生化学的検査などによって確定診断にいたることが一般的である。初期の正確な患者に関する情報収集と正確な初期診察が正確な診断に至るために必須である。近年では,MRIをはじめ,超音波画像,核医学検査など画像検査技術が発達し,徒手診察技術が軽視される傾向にあるように感じられるが,運動器疾患の正確で能率的な診断の基礎は患者の理学的異常所見であることに変わりはない。理学的所見のとり方,特に整形外科での諸々の徒手検査法は,多くの先人の工夫によってあみ出され伝承されてきたものであり,その習得は整形外科での初期研修として意義深いものである。
 本書は,整形外科を志す新しい世代の医師,医学生たちを主な対象に,その徒手検査手技とその異常所見の意味,疑うべき疾患との関連を理解してもらい,運動器疾患の診断技術の向上を目的として企画編集した。特に本書では,上下肢,脊椎と広範な部位に関する主な徒手検査手技を図で示したうえに,その徒手検査の目的,意義について簡潔な説明を加えて,実際の診察の場ですばやく理解できるようにした。簡潔さを基本としているため,それぞれの疾患,病態の詳細な記述は省いた。それについては他の専門書を参照していただきたい。
 本書の企画,編集にあたって執筆者として参加していただいた大阪市立大学整形外科学教室の諸氏,および多くのわかりやすい図の作成に協力いただいたイラストレーターの方々に感謝する。

2003年9月
高岡邦夫
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目次

1.上肢 
 肩関節,上腕
  診察のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  各種テスト法
 肘関節,前腕
  視診のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  可動域の確認
  筋力テスト
  知覚テスト
  反射テスト
  特殊テスト
 手関節,手
  診察のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
2.下肢 
 股関節,大腿
  視診のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  可動域の確認
  筋力テスト
  知覚テスト
 膝関節,下腿
  視診のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  可動域の確認
  各種テスト法
 足関節,足
  視診のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  関節可動域検査
  安定性テスト
  筋力テスト
  特殊テスト
3.脊椎 
 頚椎
  診察のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  各種検査法:知覚検査
  各種検査法:腱反射
  上肢徒手筋力テスト
  誘発テスト
  椎間孔圧迫テスト
  神経根伸展テスト
 胸椎
  視診のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  各種テスト法
 腰椎,仙椎
  視診のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  可動域の確認
  特殊検査[末梢神経牽引テスト]
  神経学的検査[運動機能検査]
  知覚検査
  反射[通常深部腱反射]
4.小児整形外科−注意すべき3疾患 
 先天性股関節脱臼
  視診のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  各種テスト法
 内反足
  視診のチェックポイント
  周辺解剖の触診法
  各種テスト法(知覚テスト,反射テストなど)について
 大腿骨頭すべり症
  視診のチェックポイント
  各種テスト法(知覚テスト,反射テストなど)
5.特殊検査法 
 筋電図検査
  筋電図検査の特徴・目的
  検査器材
  患者との位置関係
  検査を始める前に
  針筋電図の実際
  疾患別の特徴
 神経伝導速度(NCV)検査法
  神経伝導速度
  MCVの測定
  SCVの測定
 脊髄機能モニタリング
  脊髄機能モニタリングの特徴・目的
  検査の流れ
  評価法
  体性感覚誘発電位(Somatosensory evoked potential:SEP)
  脊髄誘発電位(Evoked spinal cord potential:ESCP)
  馬尾活動電位(Cauda equina action potential:CEAP)
  分節性電位(Segmental potential)
  神経根誘発電位(Nerve root action potential)
  筋枝知覚枝の区別
  脊髄モニタリング
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