これだけは知っておこう

肩の診かた 治しかた

肩の診かた 治しかた

■編集 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院
筒井 廣明

定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)

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これだけは知ってほしい肩関節の本

肩が痛い,肩がゆるい,肩の動きが悪い,という主訴で始まることの多い診療について,何を診て,何を把握し,その結果をどのように診断するか,また確定した疾患・外傷に対して,どのような流れて治療を進めていくべきか,どの時点で専門施設への紹介をすべきか,ルーチンに行われる保存療法・手術療法にはどのようなものがあるか,など,肩の診療の基本をこの1冊で理解できる。
原因を肩のみに限定せず,身体全体を診ながら診断していく昭和大学藤が丘リハビリテーション病院の方針から構成されている。

  • B5変型判  192ページ  2色,イラスト150点,写真250点
  • 2004年9月29日刊行
  • ISBN978-4-7583-0623-2

序文

 肩の治療は難しいとよく言われる。確かに肩関節の障害は病態診断がついたとしても単に損傷された組織を手術的に修復するだけで患者が満足してくれることは少なく,なかなか切れの良い治療ができないのが実情だろうと思われる。また,保存療法あるいは術後の後療法においても治療効果が予見しにくく,結果として治療をする側にとっても治療を受ける側にとっても何となく消化不良に陥ってしまうことも多いのではないだろうか。
 著明な先生方が執筆された肩関節に関する教科書はいくつも出版されている。しかし,臨床の場で悩んでいる医師にとっては,自らが悩みながら診察・治療を行っている者が記述した内容の方が,より,実践的であろうと考え,本書を企画した。
 本書は外来診察時の診察に際してのポイント,比較的臨床家が遭遇することの多い肩関節疾患の病態および治療をとりあげ,肩を専門としていない整形外科の先生方にも,治療に際してのアイデアが見つけられ臨床の場で使えるように,また,専門家に回した方が患者にとって幸せかどうかの判断の一助となるような内容とした。さらに,肩を専門に扱っている先生方には,昭和大学藤が丘リハビリテーション病院整形外科の上肢班の医者はどのように考えながら治療をしているかの片鱗を読み取って頂きたいと思っている。
 上肢班は卒後2年目から25年までと年齢も得意とする分野も知識もまちまちではあるが,とにかく肩が好きな医者の集まりである。各項目の分担は得意な項目もあるが,このくらいは知っていて経験もしているから書けるだろうと分担させたところもある。
 本書は教科書ではなく実践書を目指したため,内容において教科書には及ばないところは多々あるが,患者の訴えを解決するために医学という知識と医療という技術を使う臨床医としては,外来診察においても手術に際しても,常に患者一人一人に対する医療行為において「その考え方,方法,結果に自分自身が納得できたか?」という問いかけをして,「納得できた」と答えれられるような仕事をすることを目標としている。そのような我々の姿勢を盛り込んだ内容を,読者が受け止めて頂ければなによりである。
 肩関節学会は会員数も1200名を超えてはいるが,臨床の場で肩の患者を診ておられる肩関節学会員以外の医師(整形外科医だけでなく外科医やリハビリテーション医,あるいは内科医など)の数はその何倍にもなる。そのような方々が少しでも肩に興味を持たれ,日本の肩関節外科の底辺が拡がってくれることを願い発刊した本書が,少しでも役に立てれば幸いである。
 最後に,レベル差の大きな執筆者の原稿をまとめ上げた鈴木一秀助手,三原研一講師と,叱咤激励されながら原稿を書き上げた上肢班の諸先生方のすばらしさを再認識することができ,メジカルビュー社の松原かおる,三沢雄比古両氏の執拗な後押しがあって本書が完成したことに感謝を述べたい。

2004年9月
筒井廣明
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目次

肩の診かた
 診断の進め方  三原研一,ほか
  ◆病態診断と機能診断
  ◆問診
   [主訴:肩が痛い]
    いつから痛み出したのか
    外傷の有無
    痛みの程度・種類
    痛みの部位
    痛みが発現する肢位・運動
   [主訴:肩の動きが悪い]
    外傷の有無
    運動制限の程度の確認
   [主訴:肩がゆるい]
    外傷の有無
    症状の発現する肢位・運動
    症状の発現する部位
    今までの経過および既往症
    その他の情報の把握
  ◆視診
   前方からの視診のポイント
   後方からの視診のポイント
   側面からの視診のポイント
  ◆触診
   前方からの触診のポイント
   後方からの触診のポイント
  ◆動きを診る
  ◆徒手抵抗テスト
   肩甲上腕関節(腱板機能)の評価
   肩甲胸郭関節の評価
  ◆誘発テスト
   上腕二頭筋に対するテスト
   腱板や第2肩関節に対するテスト
   肩鎖関節に対するテスト
   不安定肩のテスト
   胸郭出口症候群に対するテスト
   プロカインテスト(局麻剤テスト)
  ◆画像(補助)診断
   単純X線およびScapula-45撮影法
   MR関節造影(direct法)
   MR関節造影(indirect法)
   CT
   CT関節造影
  ◆確定診断
   主訴:肩がゆるい
   主訴:肩の動きが悪い
   主訴:肩が痛い
肩の治しかた
 肩関節周囲炎  保刈 成 
  ◆治療のアウトライン
   腱板炎
   石灰沈着性腱板炎
   凍結肩
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   薬物療法
   注射療法
   運動療法
   物理療法
  ◆手術療法
   手術適応
   マニピュレーション
   関節包切離
 インピンジメント症候群  大田勝弘,ほか
  ◆治療のアウトライン
   治療のポイント
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   急性期の治療法
   慢性期の治療法
  ◆手術療法
   鏡視下肩峰下除圧術(arthroscopic subacromial decompression;ASD)
   前肩峰形成術
   烏口肩峰靱帯切除術と滑膜切除術
 腱板損傷・断裂  大田勝弘,ほか
  ◆治療のアウトライン
   治療法の選択
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   急性期の治療法
   慢性期の治療法
  ◆手術療法
   関節鏡視下腱板縫合術(arthroscopic rotator cuff repair;ARCR)
   McLaughlin法
   パッチ法
   arthroscopically assisted rotator cuff repair法
   Debeyre法
   広背筋移行
   高岸法(三角筋腱板縫合法)
   三笠法(僧帽筋移行術)
   Paavolainen法(小円筋移行術)
 投球障害肩  鈴木一秀
  ◆治療のアウトライン
   治療のポイント
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   薬物療法
   注射療法
   運動療法
  ◆手術療法
   手術適応
   SLAP(superior labrum anterior to posterior)lesion
   腱板関節包側不全断裂
   posterosuperior glenoid impingement(internal impingement)
 動揺肩  鈴木一秀
  ◆治療のアウトライン
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   運動療法
  ◆手術療法
   手術適応
   thermal capsular shrinkage(TCS,鏡視下関節包熱収縮術)
   inferior capsular shift
   鏡視下rotator interval(RI)縫合術
   glenoid osteotomy
   拡大Bankart法
   大胸筋移行術
 外傷性肩関節前方脱臼  山口 健,ほか
  ◆治療のアウトライン
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   徒手整復
  ◆手術療法
   観血的整復術
   整復後固定
   鏡視下Bankart法
 反復性肩関節前方不安定症  鈴木一秀
  ◆治療のアウトライン
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   運動療法
  ◆手術療法
   手術適応
   術式選択
   鏡視下Bankart法(スーチャーアンカー法)
   直視下Bankart法(スーチャーアンカーを用いたRowe変法)
 上腕骨近位端骨折  三原研一
  ◆治療のアウトライン
   本骨折の特徴
   本骨折に対する分類法と特徴
  ◆治療のシミュレーション
   正確な骨折形態の把握は正確なX線評価から得られる
   治療のポイント
  ◆保存療法
   固定および早期運動療法
   徒手整復
  ◆手術療法
   手術適応
   術式適応
   Kirschner鋼線(K-wire)髄内固定法
   Ender釘による固定法
   Rush rodによる固定法
   tension band wiring法
   上腕骨外科頚骨折用髄内釘
 肩鎖関節脱臼  西中直也
  ◆治療のアウトライン
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   適応
   特徴
   注意点
   治療法切替えのタイミング
   Rockwood分類Type I〜III
   リハビリテーション
  ◆手術療法
   手術適応
   Cadenat変法
   長掌筋腱による烏口鎖骨靱帯の再建術
   Phemister変法
   Neviaser変法
   Dewar変法
   肩鎖関節プレート(Wolterフックプレート)による整復固定術
 鎖骨骨折  牧内大輔
  ◆治療のアウトライン
   治療のポイント
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   装具療法
   鎖骨バンドと併用する治療法
  ◆手術療法
   手術適応
   鎖骨骨折(骨幹部骨折)
   鎖骨外側骨折
 肩甲骨骨折  牧内大輔
  ◆治療のアウトライン
   治療のポイント
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
  ◆手術療法
   手術適応
   アプローチ
   骨折型別手術法
 変形性肩関節症  牧内大輔
  ◆治療のアウトライン
   治療のポイント
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   目的
   急性期の治療法
   慢性期の治療法
   運動療法
   保存療法の進め方
  ◆手術療法
   手術適応
   関節内デブリドマン
   人工骨頭置換術,人工肩関節置換術
   肩関節固定術
 リウマチ肩  西中直也
  ◆治療のアウトライン
  ◆治療のシミュレーション
   治療のポイント
  ◆保存療法
   薬物療法
   注射療法
   リハビリテーション
  ◆手術療法
   手術適応
   術式適応
   滑膜切除術
   人工肩関節(全)置換術
 化膿性肩関節炎  山口 健
  ◆治療のアウトライン
   治療のポイント
  ◆治療のシミュレーション
  ◆保存療法
   関節穿刺
   薬物療法
  ◆手術療法
   手術適応
   鏡視下洗浄,滑膜切除術
   関節切開,洗浄,病巣掻爬
   持続灌流療法(持続洗浄療法)
 神経麻痺(損傷)  松久孝行
  ◆治療のアウトライン
  ◆肩甲上神経麻痺
   治療のポイント
   保存療法
   手術療法
  ◆腋窩神経麻痺
   治療のポイント
   保存療法
   手術療法
  ◆副神経麻痺
   治療のポイント
   保存療法
   手術療法
  ◆長胸神経麻痺
   治療のポイント
   保存療法
   手術療法
藤が丘リハ流 機能訓練法
  ◆Cuff-Y exercise 1〜4
    :腱板機能訓練
  ◆5:肩甲胸郭関節機能訓練
  ◆6:関節複合体としての機能に対する訓練
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