眼科インストラクションコース 9

白内障手術 極小切開完全マスター

白内障手術 極小切開完全マスター

■担当編集委員 黒坂 大次郎

定価 10,450円(税込) (本体9,500円+税)
  • A4変型判  168ページ  オールカラー
  • 2006年10月10日刊行
  • ISBN978-4-7583-0715-4

極小切開白内障手術のコツと注意点がわかる

今後,主流となっていくと思われる低侵襲の「極小切開白内障手術」というテーマについて,coaxial法,bimanual法においてそれぞれ複数の著者が検討している。極小切開白内障手術と同時に硝子体手術,緑内障手術を行う際のコツも掲載した。本文と図に付記した「ふきだし」で流れがつかめ,「ビデオチェックポイント」で重要ポイントを把握できる。


序文

 外科系手術の流れは,感染対策,手術侵襲の軽減を絶えず追い求める流れであった。内視鏡手術がさまざまな問題があるにせよ広く一般に受け入れられ外科系手術に普及してきている。早期に離床ができ,傷口も小さいとあれば,だれもが歓迎するであろう。一方,この手術の普及時期にあっては,術者のラーニングカーブやそれにまつわるさまざまな合併症も社会問題として取り上げられた場面もあった。
 眼科領域に目を移すと,切開を少なくし眼球を閉鎖空間として如何に保つか,光学系への影響を如何に減らすか,感染を如何に減らすかなどが上記に当てはまる。白内障手術の分野では,超音波水晶体乳化吸引術の普及が,その大きなブレイクスルーであった。その後眼内レンズの進歩により切開幅は,6mmから4mm,3mmへと減少した。この時点で,ある程度の上記の目的は達せられたかにみなが思っていた。ところが,今切開幅は,2mmの時代を迎えようとしている。極小切開白内障手術の時代の幕開けである。上述のごとく,変化の時代には,リスクを伴う。しかし,ラーニングカーブを如何に減らし普及させるのかそれを第一の目的として本書は刊行された。
 さらに,実際にこの手術に深く関わってみると,ちょっと先にはまだまだ術式が発展する予感を感じさせる。その先には,より低侵襲な手術が可能になる気がする。切開幅減少=乱視減少の概念から一歩発展した新しい手術への変化が始まっている。本書では,そんな息吹を感じこの手術を積極的に行っている各方面の先生方にお願いして,そのコツ,実際の手技,さらにはその可能性まで含めて記述していただいた。Bimanual, coaxialとそれぞれにはそれぞれのよさがある。とっつきやすいのは,Coaxialかもしれないが,現行の方法では1.7mm程度が限界であろう。IOLが1.6mmに対応すれば,bimanualの時代になるかもしれない。いやもっと第3の術式が出てくるかもしれない。仮にそうであったとしても,本書に記載されている内容が基本になっているはずである。
 今後おそらく主流になるであろうtorsional PEAについても現時点でわかる限りの特徴とその実際を記載したつもりである。IOLについても,今後さまざまなIOLが極小切開に対応してくるであろうが,白内障手術が1.2mmの切開創から可能な現在でも,すぐに1.2mmに対応したIOLが出てくるとは思えない。あるいは1.8mm対応可能というIOLが出れば,本書に記載されているテクニックを駆使すれば1.6,もしかしたらば1.5mmから挿入が可能かもしれない。基本的なテクニックのすべては本書に記載されている。
 Bimanualで白内障手術をはじめて行ったとき,あらためて白内障手術の奥行きの深さを実感し感動したのを覚えている。一人でも多くの方が,白内障手術の新しい息吹を感じ,安全に極小切開の世界に移行していただければと思う。本書がその一助になれば,このテーマを選択し編集したものとしてこれ以上の喜びはない。

2006年9月
黒坂大次郎
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目次

coaxial法
 coaxial phacoのコツ
 coaxial法でのコツと注意点—導入は簡単といえども,予備知識は重要
 極小切開もスローサージェリー

bimanual法
 bimanual法での極小切開白内障手術とは—将来を見据えた理想の術式だ!
 bimanual法でのコツと注意点
 irrigating chopperを使いこなしてbimanual
 bimanual法でのコツと注意点

IOL挿入
 極小切開創からのIOL挿入(Acrysof SA60AT,3P-IOL)
 極小切開創からのIOL挿入(Acrysof SA60AT, ClariFlex )
 極小切開創からのIOL挿入(ThinOptX)
 極小切開創からのAR40eの挿入—ホントに入るの?
 2.2〜2.4mm切開創よりIOLを入れてみよう

極小切開白内障手術で行う同時手術
 極小切開白内障手術と硝子体手術(25Gとcoaxialの相性)
 従来の20G硝子体手術に極小切開白内障手術を組み合わせてみよう
 極小切開白内障手術と硝子体手術(bimanualとの相性)
 bimanual micro phacoは緑内障同時手術できわめて有用

〈速報〉torsional PEAと極小切開白内障手術

コラム
 術中眼内圧の考え方—ボトルはどこまでの高さが許されるか−
 極小切開の将来性
 極小切開の将来性—bimanual micro phacoは夢を実現する—
 ちょっと気をつけていること(coaxial編)—灌流スリーブのネジレに注意!— 
 ちょっと気をつけていること(coaxial編)
 bimanualならではのfluidity
 ちょっと気をつけていること(bimanual編1)
 ちょっと気をつけていること(bimanual編2)
 IOLはさらに挿入しやすくなるのか?
 ちょっと気をつけていること(triple編)  

Appendix
1.私の設定(coaxial編)
2.私の設定(bimanual編)
3.私の使うナイフ(coaxial編) 切開,サイドポート,IOL挿入時
4.私の使うナイフ(bimanual編)
5.bimanualならではの潅流付きフック,ナイフ以外で用意した器具(bimanual編)
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