高齢者看護セミナー 1

高齢者の特徴と日常生活看護のポイント

高齢者の特徴と日常生活看護のポイント

■監修 折茂 肇

■編集 青木 民子
河上 淳子
石島 千佳子

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • B5判  232ページ  2色,イラスト170点
  • 2003年4月18日刊行
  • ISBN978-4-7583-0751-2

在庫僅少です。


20歳代を中心とした高齢者看護に不慣れな看護師,あるいはこれから高齢者看護に従事しようとする看護師を対象として東京都老人医療センターで日常行われている高齢者看護の実際をイラスト,写真を多く用いてわかりやすく解説。


序文

 急速な高齢者人口の増加により,2020年には超高齢化社会を迎えることになり,国民の健康への関心は高まっている。
 健康は常に高齢者の第1の関心事である。健康とは,単に病気や虚弱でないことを意味するのでなく,世界保健機関が定義するように「身体的,精神的,社会的にも満足のいく状態」であると考えられる。
 当病院は老人医療の専門病院として30年を経過しており,高齢者疾患で特徴とされる,1.複数の疾患を併せ持つ,2.高齢者特有の疾患(痴呆,尿失禁,転倒等)がある,3.非定型的症状を示し,一般症状に乏しい,4.日常生活上の機能障害を起こしやすい,5.免疫機能,基礎体力の低下で急性疾患からの回復が遅延する等があるとされているが,これらのことを踏まえて,高齢者の生活の質を考え全人的・包括的な医療を行ってきている。
 今後75歳以上の後期高齢者の増加が予測される状況の中で,高齢者の救急医療から終末期医療まで,さまざまな社会背景を持った患者さんへの看護は今まで高齢者医療のモデル病院として専門性を積み重ねてきた当院の看護師の誇りでもある。
 急性期総合病院や療養型病院にかかわらずどこの病院でも高齢者の患者さんの入院は増加されると考えられる。
 この書の第一巻では,高齢者にはなぜ総合評価が必要なのか,高齢患者さんが安全に安楽で快適な入院生活を過ごし地域社会へ復帰できるような基本的な看護を掲載している。是非,この書を参考にしていただいて高齢者の看護サービス向上に役立てていただければ幸いです。

平成15年3月
東京都老人医療センター看護部長
青木民子
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編集にあたって

 老人医療センターは高齢者を対象とした高度専門の急性期医療を提供しており,昼夜を問わず高齢者医療の最前線を担っております。
 高齢者の臨床の特徴として,症状が典型的でない,訴えが不明確である,症状の判断が難しい等があげられます。このため,医学的判断はもとより,看護判断が重要となってきます。
 わずかな訴えの中から症状やサインを見逃さない観察力が必要となってきます。
 では,観察能力はどのようにしたら習得できるのでしょうか。知識や技術を積み重ねる過程の中で看護の対象である患者をいかに全人的に理解することではないでしょうか。
 高齢者の歩み続けた人生と,心身の機能の変化や価値観について理解することが大切です。
 そのためには,老人看護の基本を理解し,状況をいかにキャッチできるかです。すなわち看護判断の的確さが求められると考えます。
 当院は全人的看護を実践し,プライマリーナースとして個別性のある看護を提供してきました。本書は,日々の看護実践から培われた看護師の看護ポイントをまとめたものです。
 看護実践時「これはどうなんだろう」と疑問を持った時に,本書が皆さんの参考書となり今後の看護の一助になれば幸いです。

平成15年3月

東京都老人医療センター
副科長 河上淳子
副科長 石島千佳子
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目次

1 高齢者の特徴   
 身体的特徴  佐藤孝子
   高齢者の身体的特徴(フィジカル・アセスメント)  
   一般的な高齢者の身体的特徴  
   加齢による身体機能の変化と看護上必要な観察の視点  
 精神的特徴  佐藤孝子
   高齢者の精神機能の特徴(メンタル・アセスメント)  
   情報の収集  
   加齢による精神機能の変化  
   高齢者に比較的多い精神機能低下と看護の要点  
 社会的特徴  鎌田ケイ子
   高齢者を取りまく社会状況  
   わが国の高齢社会の課題  
   高齢者医学・看護システム  
2 CGAについて   
 CGAについて  荒井和美
   CGAとは  
   高齢者の疾患の特徴  
   なぜCGAが必要か  
   CGAはどのように行うか  
   生活機能評価のスケール(評価表の実際)  
   看護からみた総合機能評価  
3 日常生活の看護のポイント   
 呼吸  関根栄子
   浅い呼吸,加齢による変化
   呼吸困難  
   在宅酸素療法の導入,指導
   排痰  
   喫煙について  
 食事  前田孝子
   食事摂取量の変化  
   嗜好の変化  
   水分補給の重要性(脱水)  
   口腔ケア  
 排泄  関戸ひとみ
   正常な排尿  
   排尿障害  
   加齢による排尿機能の変化  
   尿失禁  
   正常な排便  
   排便異常  
   加齢による消化器系の変化  
   便秘に対する看護  
   高齢者の排泄ケアとQOL  
 運動と活動  鈴木由利子
   加齢に伴う運動機能の低下  
   寝たきりの問題と予防  
   ADL の評価と観察のポイント  
   ADL の訓練と留意点  
   転倒・転落予防  
   運動・活動意欲を高める援助  
 睡 眠  川幡富子
   睡眠パターンの変化(早朝の寝覚め,うとうと睡眠,浅い睡眠)  
   昼夜逆転現象  
   眠剤内服による睡眠,不眠
   満足感のない睡眠  
   夜間不穏への援助  
 衣 服  大内綾子
   高齢患者への衣服などに対する援助の基本姿勢  
   高齢患者にとって適切な衣服とは  
 体温調節  天羽ます子
   老化による体温調節の影響  
   高齢者の体温(調節)の特徴  
   体温調節の援助  
   高齢者の体温異常  
   発熱時の援助  
   低体温の援助  
 清 潔  渡辺君代  
   高齢患者の清潔保持の重要性  
   高齢者の皮膚の特徴  
   高齢患者の清潔援助の基本姿勢  
   清潔援助のアセスメント  
   清潔ケアの実際  
   褥瘡  
 環 境  山本しづ子
   温度,湿度,臭い
   照明  
   床  
   廊下  
   ベッド  
   ベッド周り  
   トイレ,洗面所
   ポータブルトイレ  
   浴室  
 コミュニケーション  浅見昌子
   コミュニケーションとは  
   看護師に求められるコミュニケーションとは  
   高齢者のコミュニケーションに影響する因子  
   高齢者とよいコミュニケーションをとるための基本姿勢  
   コミュニケーション障害に合わせた具体的方法  
   一般的な視力障害者への歩行の介助法  
   聴覚障害者とのコミュニケーション  
   言語障害者とのコミュニケーション  
   痴呆患者とのコミュニケーション  
   理解力が低下している患者とのコミュニケーション  
 信 仰  佐藤貞子
   高齢者の心理  
   高齢者の情緒  
   老いた自分を受け入れる  
   経験したことに執着  
   心のよりどころ  
   死と死にいくこと  
   高齢者と信仰  
   症例呈示  
   高齢者と宗教的背景  
 安 楽  加納江利子
   安楽について  
   安楽な状態とは  
   安楽を阻害する因子  
   安楽な状態に導くための援助  
   高齢者の安楽  
 レクリエーション  加納江利子
   レクリエーションとは  
   高齢者にとって生きがいとは  
   高齢者の生きがい促進事業  
   高齢者が生きがいを見出すための援助の基本  
   入院患者の生きがいの援助  
   看護師自身が生きがいをもって  
 終末期  宇野真澄
   終末期とは  
   終末期医療  
   本人の意思・希望を大切にすること  
   終末期前期・中期・後期とは  
   終末期ケアと家族への対応  
   症例呈示:終末期高齢患者の看護の実際  
 高齢者のリスク管理  山本しづ子
   転倒・転落の事故防止について  
   抑制を少なくするための看護について  
   高齢者の輸液管理
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